杉並区の民泊規制を完全解説|住専地域88%の実態と対策

杉並区の民泊規制は東京23区の中でも特に厳しい条例として知られています。その最大の理由は、区域の88%が住居専用地域であり、家主不在型の民泊が運営可能なエリアが約12%に限定されていることです。さらに、住居専用地域では家主不在型民泊の平日営業が禁止されており、実質的に週末のみの営業となります。

住居専用地域が88%を占め、運営可能エリアは約12%のみ

杉並区公式ホームページの用途地域データによると、杉並区の住居専用地域が区域の88%を占めており、民泊運営可能なエリアは約12%に限定されています。特に第1種低層住居専用地域が63.7%、第2種低層住居専用地域と合わせると区域の大半を占めています。

この背景には、杉並区の都市計画の歴史があります。杉並区は戦前から閑静な住宅街として発展してきたエリアで、昭和初期から「文化的な住宅地」として知られてきました。高度経済成長期以降も、住環境の保護を優先する都市計画が進められ、結果として住居専用地域の割合が極めて高くなったのです。

このため、民泊を運営できるのは商業地域や近隣商業地域、準工業地域といった限られたエリアのみとなり、荻窪駅周辺や阿佐ヶ谷駅周辺などの一部商業地域に集中しています。

家主不在型は平日(月曜正午〜金曜正午)営業不可

杉並区住宅宿泊事業実施制限条例では、家主不在型の民泊は住居専用地域において月曜日正午から金曜日正午までの営業が禁止されています。つまり、週末(金曜正午から月曜正午まで)のみの営業に限定され、年間の営業可能日数は約104日となります。

この規制により、平日のビジネス需要や長期滞在客を取り込むことができず、週末の観光客のみをターゲットにした運営を強いられることになります。結果として、稼働率が大幅に低下し、収益性が著しく制限されるのです。

東京23区の民泊規制について詳しく解説しています。

杉並区民泊条例の詳細|家主不在型と家主居住型の違い

杉並区の民泊条例を理解する上で重要なのが、家主不在型家主居住型の違いです。この2つの運営形態では、適用される規制が大きく異なります。

家主不在型の規制内容(平日営業不可、届出要件)

杉並区公式ホームページ「住宅宿泊事業(民泊)」によると、杉並区住宅宿泊事業実施制限条例では、家主不在型の民泊は住居専用地域で月曜正午から金曜正午までの営業が禁止されています。

家主不在型とは、民泊事業者が宿泊施設に居住せず、ゲストのみが宿泊する形態を指します。投資目的で物件を購入または賃借し、民泊運営を行うケースが該当します。

家主不在型の主な規制内容は以下の通りです:

  • 営業制限: 住居専用地域では月曜正午〜金曜正午は営業不可(祝日前後は例外あり)
  • 営業可能日数: 年間約104日(週末のみ)
  • 届出要件: 杉並保健所(生活衛生課)への事前届出が必須
  • 近隣通知: 事業開始前に近隣住民への事前通知が必要
  • 標識掲示: 届出番号を記載した標識の掲示が義務付けられる
  • 苦情対応: 24時間対応可能な連絡体制の整備が必要

届出手続きは、まず杉並保健所への事前相談を行い、必要書類(住宅の図面、登記事項証明書、近隣住民への説明記録など)を準備した上で、民泊制度運営システムを通じてオンライン申請するか、保健所窓口で紙媒体での申請を行います。

家主居住型は規制対象外(年間180日ルールのみ)

一方、家主居住型とは、民泊事業者が宿泊施設に居住しながら、自宅の一部をゲストに提供する形態です。

家主居住型の場合、杉並区の上乗せ条例(平日営業制限)の対象外となり、住宅宿泊事業法(民泊新法)の年間180日ルールのみが適用されます。つまり、住居専用地域でも平日・週末問わず営業でき、年間180日まで宿泊サービスを提供できます。

項目家主不在型家主居住型
平日規制あり(月曜正午〜金曜正午は営業不可)なし
年間営業日数最大約104日(週末のみ)最大180日(民泊新法)
届出要件杉並保健所へ届出杉並保健所へ届出
近隣通知必須必須
住居専用地域での運営制限あり(週末のみ)制限なし(180日以内)
24時間連絡体制必須必須

家主居住型であれば、杉並区の厳しい平日規制を回避できますが、事業者自身が物件に居住する必要があるため、投資目的での民泊運営を希望する場合は選択できません。

家主不在型と家主居住型の違いについて詳しく解説しています。

平日規制下での収益性|年間104日営業の赤字リスク

杉並区で家主不在型民泊を運営する場合、平日営業禁止により年間約104日しか営業できないため、収益性が著しく低くなります。具体的な収支シミュレーションを見てみましょう。

年間104日営業(稼働率60%)での収益シミュレーション

家主不在型で週末のみ営業の場合、年間約104日が営業可能な上限となります。実際の稼働率を60%と仮定すると、以下のような収支になります:

収入の試算

  • 年間営業可能日数: 約104日
  • 実際の稼働率: 60%
  • 年間稼働日数: 約62日
  • 1泊あたりの宿泊料金: 10,000円
  • 年間売上: 約620,000円

支出の試算

  • 賃料(月12万円): 年間1,440,000円
  • 管理費・光熱費(月2万円): 年間240,000円
  • 清掃費(1回5,000円×62回): 310,000円
  • 代行手数料(売上の20%): 124,000円
  • 消耗品・備品費: 年間100,000円
  • 年間支出合計: 約2,214,000円

収支
620,000円 – 2,214,000円 = -1,594,000円(年間赤字)

このように、賃貸物件で家主不在型民泊を運営する場合、年間約159万円の赤字となる計算になります。最大の問題は、週末のみの営業では売上が限定的である一方、賃料や管理費といった固定費は毎月発生し続けることです。

年間約159万円の赤字リスクと対策

観光庁「住宅宿泊事業の届出状況」によると、杉並区では2024年3月時点で届出380件のうち運営中は114件、廃業は266件に上り、廃業率は約70%に達しています。この高い廃業率は、平日営業禁止による収益性の低さが大きな要因と考えられます。

赤字を回避するための対策としては、以下の選択肢があります:

対策1: 家主居住型への転換
自分自身が物件に居住することで、平日も含めた年間180日の営業が可能になります。ただし、投資目的で物件を保有している場合は現実的ではありません。

対策2: 宿泊料金の大幅な値上げ
1泊15,000円以上に設定できれば、年間稼働62日でも売上93万円となり、赤字幅を縮小できます。ただし、杉並区は都心部から離れているため、高単価設定では集客が困難です。

対策3: 自己所有物件での運営
賃料負担がなくなれば、年間約144万円のコスト削減となり、黒字化の可能性が高まります。ただし、住宅ローンが残っている場合は返済額を考慮する必要があります。

対策4: 旅館業法(簡易宿所)への転換
旅館業法の許可を取得すれば、営業日数制限がなくなり年365日営業が可能になります。ただし、消防設備や構造基準への適合が必要で、初期投資が50〜200万円かかります。

現実的には、賃貸物件での家主不在型民泊は杉並区では成立しづらく、早期に撤退または売却を検討することが損失を最小限に抑える方法となります。

民泊運営の継続が難しい場合、専門業者への相談も選択肢の一つです。StayExitでは民泊・旅館業物件の買取を専門に行っており、最短3営業日での成約、現況渡しOKで対応しています。

規制に対応できない場合の選択肢|撤退・売却・転用の方法

杉並区の厳しい平日規制に対応できない場合、事業を継続するか、それとも撤退・転換するかの判断が必要です。ここでは具体的な選択肢とそれぞれのメリット・デメリットを整理します。

旅館業法(簡易宿所)への切り替えで365日営業

民泊新法(住宅宿泊事業法)ではなく、旅館業法に基づく簡易宿所の許可を取得すれば、杉並区の平日営業制限を受けずに年365日営業が可能になります。

簡易宿所のメリット

  • 営業日数制限なし(年365日営業可能)
  • 平日のビジネス需要や長期滞在客を取り込める
  • 週末だけでなく平日も収益化でき、年間売上が大幅に増加

簡易宿所のデメリット

  • 初期投資が50〜200万円必要(消防設備、建築基準法への適合工事など)
  • 用途地域の制限(住居専用地域では許可が下りない場合が多い)
  • フロント設置義務または管理者常駐体制が必要
  • 構造設備基準(客室床面積33㎡以上など)を満たす必要がある
  • 許可取得までの手続きが複雑で時間がかかる(3〜6ヶ月)

簡易宿所への切り替えは、商業地域や近隣商業地域に物件があり、長期的に運営する意思がある場合に有効な選択肢です。ただし、杉並区の88%を占める住居専用地域では、簡易宿所の許可も取得できない可能性が高いため、事前に杉並保健所へ相談することが必須です。

撤退・売却の選択肢(一般仲介 vs 専門買取)

平日規制により赤字が続き、簡易宿所への転換も困難な場合は、民泊事業からの撤退を検討する現実的なタイミングです。撤退後の物件活用方法としては、以下の3つの選択肢があります。

選択肢1: 通常の賃貸物件への転用
民泊用の家具・設備を撤去し、通常の居住用賃貸物件として貸し出す方法です。

  • メリット: 安定した賃料収入が得られる、管理が楽になる
  • デメリット: 民泊より収益性は低い、原状回復費用がかかる

選択肢2: 一般の不動産仲介で売却
通常の不動産仲介業者を通じて、物件を売却する方法です。

  • メリット: 市場価格での売却が期待できる
  • デメリット: 売却まで3〜6ヶ月かかる、民泊用設備の撤去が必要な場合がある、仲介手数料(売却価格の3%+6万円)が発生

選択肢3: 民泊専門買取業者に売却
民泊・旅館業物件の買取を専門とする業者に売却する方法です。

  • メリット: 最短1週間〜1ヶ月で現金化できる、現況渡しOK(家具・設備をそのまま引き渡せる)、仲介手数料不要
  • デメリット: 市場価格より若干安くなる可能性がある
選択肢現金化までの期間手間収益性おすすめの人
賃貸転用低〜中安定収入を求める人
一般仲介3〜6ヶ月時間をかけても高値で売りたい人
専門買取1週間〜1ヶ月早期に現金化したい人

杉並区の平日規制により、今後も赤字が続く見込みの場合、早期に撤退・売却を決断することで、累積赤字の拡大を防ぐことができます。特に賃貸物件で運営している場合は、毎月の賃料負担が重くのしかかるため、6ヶ月以内の意思決定が推奨されます。

民泊から簡易宿所への切り替え方法について詳しく解説しています。

杉並区の民泊規制でお困りの際は、StayExitの無料査定をご利用ください。民泊・旅館業物件の買取専門業者として、最短3営業日での成約、現況渡しOK、1Rから5棟一括まで対応可能です。

まとめ|杉並区の民泊規制と次のアクション

杉並区の民泊規制についての重要なポイントをまとめます:

  • 杉並区は住居専用地域88%で、家主不在型は平日営業不可という東京23区でも特に厳しい規制が適用される
  • 年間104日(週末のみ)営業では約159万円の赤字リスクがあり、賃貸物件での収益化は極めて困難
  • 対応できない場合は旅館業法への切り替え、賃貸転用、売却・撤退を早期に検討することが損失拡大を防ぐ鍵

読者の状況別の次のアクション

これから杉並区で民泊を始める方へ
杉並区の平日営業規制は非常に厳しく、家主不在型での収益化はほぼ不可能です。投資目的であれば、規制の緩い他の区(渋谷区、中央区、港区など)での運営を検討するか、旅館業法(簡易宿所)の許可取得を前提に商業地域の物件を選定することをお勧めします。

家主居住型として自宅の一部を活用する場合は、平日も含めた年間180日の営業が可能なため、副業として成立する可能性があります。

すでに運営中で赤字に悩んでいる方へ
平日営業禁止により赤字が続いている場合、以下の優先順位で検討しましょう:

  1. 簡易宿所への転換が可能か確認(物件が商業地域にあるか、初期投資50〜200万円を回収できる見込みがあるか)
  2. 通常の賃貸物件への転用(安定収入を重視する場合)
  3. 早期の売却・撤退(累積赤字を最小限に抑えたい場合)

特に賃貸物件で運営している場合、毎月の賃料負担が続くため、6ヶ月以内に意思決定することを強く推奨します。

売却・撤退を検討している方へ
専門買取業者を活用すれば、最短1週間〜1ヶ月で現金化できます。民泊用の家具・設備をそのまま引き渡せる「現況渡しOK」のサービスを利用することで、原状回復費用や撤去費用を節約できます。

杉並区の民泊規制でお悩みの際は、StayExitにご相談ください。民泊・旅館業物件の買取専門業者として、最短3営業日での成約、現況渡しOKで対応しています。

東京23区の民泊規制一覧について詳しく解説しています。


免責事項:
本記事の情報は2025年12月時点のものです。法律・条例・市場状況は変動する可能性がありますので、最新情報は杉並区公式ホームページ等でご確認ください。本記事で紹介した収益シミュレーションや運営方法は一般的な例であり、実際の収益を保証するものではありません。民泊事業にはリスクが伴いますので、十分な検討の上で自己責任において判断してください。本記事の内容に基づいて行った行為により生じたいかなる損害についても、当方は一切の責任を負いかねます。

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