旅館業の倒産件数は2年連続増加中|旅館業が倒産する5つの原因と、倒産を回避するための計画的撤退・買取戦略を解説

「同じ地域の旅館が廃業した」「ゼロゼロ融資の返済が始まって資金繰りが苦しくなってきた」――そんなニュースや実感を持つ旅館・宿泊施設のオーナーが増えています。帝国データバンクの調査によると、2025年の宿泊業倒産は89件(前年比14.1%増)と2年連続で増加し、休廃業・解散を含めると年間267件の宿泊事業者が市場から退出しました。インバウンド需要が回復しているにもかかわらず、なぜこれほど多くの施設が経営を続けられないのでしょうか。

実は、旅館業の倒産はひとつの原因で起きるものではありません。ゼロゼロ融資の返済、設備の老朽化、人手不足、インバウンド恩恵の二極化など、複数の経営リスクが同時に重なることで引き起こされています。そのため、「経営が苦しいのはコロナの影響が残っているから」と一因に帰結させてしまうと、対策が後手に回り、取り返しのつかない状況になりかねません。

本記事では、旅館業が倒産する5つの主な原因と、倒産(破産)より有利な計画的撤退(買取・売却)の選択肢を、最新データとともにわかりやすく解説します。また、「設備が古くて売れないのでは」という不安を持つオーナーに向けて、現況渡しでも対応できる買取サービスの具体的な流れもご紹介します。

この記事でわかること

  • 2025年の旅館業倒産件数と最新動向
  • 旅館業倒産の5大原因(複合的な経営リスク)
  • 倒産(破産)と計画的撤退(買取)の費用・時間・リスク比較
  • 現況渡しOKで最短3営業日に成約できる買取サービスの流れ

民泊・簡易宿所オーナーの撤退全般については、民泊撤退の総合ガイドもあわせてご覧ください。


旅館業の倒産件数と最新動向【2025年データ】

2025年の宿泊業倒産件数と推移

帝国データバンク「宿泊業の倒産・休廃業解散動向(2025年)」(2026年2月発表)によると、2025年の宿泊業倒産件数は89件で、前年の78件から11件増加し、2年連続で前年を上回りました。さらに、休廃業・解散は178件に達しており、倒産と合算すると年間267件もの宿泊事業者が市場から退出したことになります。これは、2000年以降の記録と比べても、業界が構造的な転換点を迎えていることを示すデータといえます。

過去5年間の推移を振り返ると、傾向がより明確になります。

年度倒産件数前年比
2021年42件大幅減(ゼロゼロ融資の効果)
2022年58件+38.1%
2023年63件+8.6%
2024年78件+23.8%
2025年89件+14.1%

出典:帝国データバンク(2026年2月)

2021〜2022年にかけて倒産件数が抑制されていた主な理由は、コロナ禍向けの実質無利子・無担保融資(いわゆる「ゼロゼロ融資」)にあります。この融資制度が多くの宿泊事業者の資金繰りを支えていたため、本来であれば経営に行き詰まっていた施設も廃業を免れていました。しかし、2023年以降に返済が本格化すると、その反動が一気に顕在化しました。そのため、2023年以降は毎年前年比でプラスの伸びが続いており、2025年には89件と5年前の倍以上の水準にまで増加しています。また、2024年のホテル・旅館倒産では負債総額が306億1,500万円(帝国データバンクデータ引用)に達しており、規模の大きな案件も増えていることがわかります。

地方・小規模施設に集中する倒産の特徴

帝国データバンクの調査では、宿泊業の倒産・廃業は三大都市圏(首都圏・京阪神・中京)を除く地方に7割超が集中していることが明らかになっています。つまり、都市部ではインバウンド回復の恩恵を受けている施設もある一方で、地方の中小規模旅館では経営環境がまったく異なる状況に置かれているのです。インバウンド需要の回復は業界全体に均等に波及しているわけではなく、地域・施設の規模・設備水準によって大きな格差が生まれています。

また、倒産要因として「老朽化・修繕・故障」が含まれるケースが直近5年間で**14.6%**に達しており(同調査)、東日本大震災直後(8.9%)と比べても大幅に上昇しています。宿泊業は「装置産業」と呼ばれるほど設備への依存度が高い業種ですが、コロナ禍による収益悪化で設備投資を凍結した施設では老朽化が急速に進行し、修繕費を捻出できないまま事業継続を断念するケースが増えています。さらに、2026年以降も設備の老朽化が進むことを考えると、こうした「老朽化倒産」はしばらくの間増加傾向を続ける可能性が高いといえます。

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旅館業が倒産する5つの主な原因

旅館業の倒産は「一つの原因」で起きるのではなく、複数の経営リスクが重なって起きることがほとんどです。そのため、「一つの問題を解決すれば大丈夫」という考え方では不十分であり、経営全体を俯瞰して複合的に対処する必要があります。以下に主な5つの原因を詳しく解説します。

ゼロゼロ融資返済・設備老朽化・人手不足のトリプル打撃

① ゼロゼロ融資の返済本格化

コロナ禍に活用した実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済が2023年以降に本格化しました。返済額は施設の規模によって異なりますが、数百万円から数千万円に及ぶケースも珍しくありません。しかし、コロナ後の稼働率回復が期待より遅れていた施設では、返済が始まった時点で手元資金がほとんど残っていないというケースも多く、致命的なキャッシュフロー悪化につながっています。また、元々の借入金に加えてゼロゼロ融資の返済が重なる「二重の負債」を抱えている施設では、金融機関への返済だけで精一杯という状況に追い込まれています。

② 設備老朽化による修繕費の増大

宿泊業は「装置産業」であり、一定周期でのリノベーションや設備更新が不可欠な業種です。エアコン・給湯設備・大浴場・防火設備など、宿泊施設の維持に必要な設備の多くは定期的なメンテナンスと交換が必要ですが、コロナ禍による収益悪化でこれらの投資を凍結していた施設では、老朽化が一気に進行しました。さらに、老朽化した設備は修繕コストが高くなるだけでなく、故障の頻度も上がるため、突発的な出費が発生しやすくなります。帝国データバンクのデータでは、直近5年の倒産事例のうち14.6%に老朽化・修繕・故障が関係していることが示されており、設備維持への投資余力の差が経営の明暗を分ける大きな要因になっています。

③ 人手不足による稼働率の低下

客室清掃やフロント対応、料理提供など、旅館運営には多くの人手が必要です。しかし、近年の深刻な人手不足の影響を受け、スタッフを確保できないために客室稼働率を意図的に下げざるを得ない施設が増加しています。客室があっても受け入れられないという状況は、そのまま機会損失につながります。また、人手不足はサービス品質の低下をもたらし、口コミ評価の悪化→予約減少という悪循環を生み出しかねません。東京商工リサーチのデータでも、宿泊業における人手不足倒産は増加傾向にあることが示されています。

④ 光熱費・食材費などのコスト高騰

近年の物価上昇により、光熱費・食材費・アメニティ費用などの各種コストが大幅に上昇しています。これらのコスト増は、宿泊料金への転嫁がしにくいため、利益率を直撃します。一方で、宿泊料金を大幅に値上げすると予約が入りにくくなるというジレンマがあり、コスト増と売上の板挟みに苦しむオーナーが増えています。特に、食事込みの「1泊2食」プランを提供している施設では、食材費の高騰がダイレクトに収益に影響します。

⑤ 後継者不在による事業継続の断念

経営者の高齢化と後継者不足も、旅館業倒産の大きな背景にあります。「施設自体はまだ稼働できる状態でも、後を継ぐ人がいない」「自分の代で終わりにするしかない」という理由で閉業を決断するオーナーは少なくありません。加えて、後継者が見つかったとしても、旅館業の運営に必要なノウハウの引き継ぎや、設備投資の負担を新たな経営者が受け入れられるかどうかも課題となっています。

インバウンド好調でも地方・小規模施設が恩恵を受けられない理由

「インバウンドが戻っているのになぜ倒産が増えるのか」と疑問を持つ方も多いでしょう。しかし、インバウンド需要の恩恵は業界全体に均等に行き渡っているわけではなく、実態は二極化が進んでいます。都市部の高付加価値施設(高単価ホテル・高級旅館)には資本・人材・予約が集まり、最新設備への投資ができる好循環が生まれています。一方で、地方の老朽化した中小旅館や民泊施設は、インバウンド観光客の動線から外れた場所にあることが多く、その恩恵をほとんど受けられていません。さらに、需要が戻っても「人手がいない」「設備が古い」という理由で受け入れ能力が落ちているため、稼働率と客単価を同時に失うという状況に追い込まれています。

実際に、創業100年近い歴史を持ち地酒で人気を博していた富山県の「喜泉閣」が2025年3月に破産申請に至っています。知名度や歴史的な価値があっても、老朽化した設備の修繕費を確保できなければ事業継続は難しいという現実を示した事例です(Forbes Japan、2026年2月報道)。つまり、老舗であることや地域での人気が、必ずしも経営の持続性を保証するわけではないのです。

OTA依存と価格競争が利益率を直撃する構造

Airbnb・Booking.com・楽天トラベルなどのOTA(オンライン旅行代理店)は、集客力が高いため多くの宿泊施設が活用しています。しかし、OTAを通じた予約には一般に10〜20%水準の手数料がかかるため、客室単価が低い施設では手数料を差し引いた後の収益がほとんど残らないという問題があります。さらに、同じOTAプラットフォーム上で多数の施設が競合するため、価格競争が激しくなる傾向があります。客室単価を下げれば予約は入りやすくなりますが、その分だけ手数料の割合は上がり、手元に残る利益はさらに圧縮されます。OTAへの依存度が高ければ高いほど、この悪循環から抜け出しにくくなるという構造的な問題があります。

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旅館業の「倒産(破産)」と「計画的撤退(買取・売却)」を徹底比較

倒産手続き(破産)にかかるコスト・時間・リスク

「経営が苦しくなれば倒産(破産)しかない」と思い込んでいるオーナーは少なくありませんが、実際には破産手続きには大きなコスト・時間・リスクが伴います。まず費用の面では、弁護士費用と裁判所への申立費用を合わせると数十万〜100万円超になるケースが一般的です。また、手続き完結まで数ヶ月〜1年以上の期間がかかるため、その間も固定費の支払いが続くことになります。

次にリスクの面では、連帯保証人である経営者の自宅や預貯金が差し押さえられる可能性がある点が大きな問題です。さらに、破産は信用情報機関に記録され、以降5〜10年間は金融機関からの融資が困難になります。これは、破産後に再び事業を始めたいと思っても、資金調達が難しいことを意味します。加えて、旅館業法第8条により、廃止から10日以内に管轄保健所へ廃止届を提出する義務があり、手続きが漏れると法的責任が生じる点にも注意が必要です。破産手続きに必要な書類の詳細については、民泊・宿泊施設の廃業に必要な書類もあわせてご確認ください。

計画的撤退(買取・売却)を選ぶ3つのメリット

倒産(破産)と計画的な買取・売却を比較すると、早期に動いた方が経済的・時間的にも有利なケースが多くなります。以下の比較表を参考にしてください。

比較軸倒産(破産)計画的撤退(買取・売却)
費用弁護士費用+申立費用(数十〜100万円超)買取の場合は原則費用なし
期間数ヶ月〜1年以上最短3営業日〜
個人保証リスク高い(自宅・資産に影響の可能性)買い手が引き継ぐケースが多い
信用情報傷がつく(融資不可期間が生じる)影響なし
売却益残余財産が残らないケースが多い売却益を受け取れる可能性あり
営業の継続廃止が前提売却先が引き継いで継続する場合あり

計画的撤退を選ぶことで得られる主な3つのメリットをまとめると、以下の通りです。

メリット①:個人保証から解放される可能性がある
買い手が経営権を引き受けることで、連帯保証から外れるケースがあります。これにより、自宅や個人資産を守りながら事業を整理できます。

メリット②:信用情報に傷がつかない
破産と異なり、買取・売却では信用情報機関への記録が残りません。そのため、売却後の生活や新たな事業への融資・賃貸借契約に支障が生じません。

メリット③:手元に資金を残せる可能性がある
破産の場合、全財産を債務弁済に充てるため、残余財産が残らないことがほとんどです。しかし、早期に売却を決断した場合は売却益を受け取れるケースがあり、その後の生活資金や次のステップへの資金として活用できます。

旅館業・民泊施設の経営継続が難しい場合、計画的な撤退は有力な選択肢のひとつです。StayExit(ステイイグジット)では、民泊・旅館業の買取・借上げ・仲介の3つの方法から、状況に合わせた撤退プランをご提案しています。

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旅館業法許可物件の計画的撤退手順と買取サービスの活用法

設備老朽化・現況渡しOKでも売れる理由

「うちの旅館は設備が古くて売れないのでは?」「残置物があるから対応してもらえないのでは?」と不安を感じているオーナーは多いですが、実は現況渡し(現状のまま)での売却・買取が可能なケースが多くあります。そのため、設備の状態を心配して相談をためらう必要はありません。

法律的な観点を整理すると、旅館業法の許可は「一身専属性」があり(旅館業法第3条)、許可そのものは原則として第三者へ引き継げません。しかし、物件(不動産・設備)または事業そのものを売却することは可能であり、買い手が新規に旅館業許可を取得し直すことで、事業の継続が実現します。つまり、旅館業の許可が引き継げないことと、物件や事業の売却ができないこととは別の話なのです。

現況渡しの買取では、以下のような状態でも対応可能です。

  • 設備・備品の老朽化があっても買取可能
  • 残置物(備品・家具・リネン等)があっても対応可能
  • クリーニング・修繕・リフォームは不要(現状のまま引き渡しOK)
  • 1室(1R)規模の小規模施設から5棟一括まで対応可能

簡易宿所として旅館業許可を取得している物件の詳細については、簡易宿所の廃業・売却ガイドもご参照ください。

最短3営業日で成約できる買取サービスの具体的な流れ

計画的な買取・売却の最大のメリットは「スピード」です。破産手続きが数ヶ月〜1年以上かかるのに対し、専門業者への買取依頼であれば最短3営業日での成約が可能です。また、手続きをできるだけシンプルに設計しているため、初めて売却を検討するオーナーでもわかりやすく進められます。

具体的な流れは以下の4ステップです。

STEP 1|無料査定の申込
Webフォームまたは電話で物件情報(所在地・規模・旅館業許可の有無・稼働状況など)をお伝えいただくだけで、査定プロセスを開始できます。費用は一切かかりません。

STEP 2|現地確認または写真査定
担当者が現地確認(または写真・資料の送付)を行い、物件の状態を丁寧に確認します。老朽化・残置物がある場合でも査定対象になりますので、ありのままの状態をお伝えください。

STEP 3|条件提示・交渉
査定額と売却条件をご提示します。納得いただけた場合に売買契約へ進みます。疑問点があれば担当者に相談しながら進めることができます。

STEP 4|成約・決済(最短3営業日〜)
契約締結後、最短3営業日での決済・引き渡しが可能です。1Rから5棟一括まで、規模を問わず対応しています。

なお、旅館業法では営業廃止から10日以内に管轄保健所へ廃止届を提出する義務があります(旅館業法第8条)。買取・売却後の手続きについても、専門業者が連携してサポートするケースがあります。手続き全体の流れについては、民泊・旅館業の撤退手続き完全ガイドもあわせて参考にしてください。

旅館業・民泊施設の査定について、**StayExit(ステイイグジット)**にお気軽にご相談ください。現況渡しOK・最短3営業日での成約・1Rから5棟一括まで対応しています。

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まとめ|旅館業の経営悪化に気づいたら、最初に取るべき行動

本記事の要点を整理します。

  • 2025年の宿泊業倒産は89件・2年連続増加。休廃業・解散を含めると年間267件が市場から退出しており、特に地方・小規模施設に倒産・廃業が集中している。
  • 倒産の主な原因はゼロゼロ融資返済・設備老朽化・人手不足の三重苦に、インバウンドの二極化とOTA依存による利益率悪化が重なったもの。単一の要因ではなく、複合的な問題であることを認識することが重要。
  • 倒産(破産)は費用・時間・個人保証リスク・信用情報への影響が大きい。そのため、経営悪化の早い段階で計画的な売却・買取を検討する方が、経済的・精神的にも有利なケースが多い。
  • 旅館業法許可物件でも現況渡しOKで売却可能。老朽化・残置物があっても専門業者への買取依頼であれば対応可能であり、最短3営業日での資金化という選択肢がある。

今すぐ対策を取りたい方へ

経営の悪化を感じているなら、まずは無料査定を申し込んで「いくらで売れるか」を把握することが第一歩です。査定を受けることで売却という選択肢が具体的なものになり、倒産回避に向けた行動計画を立てやすくなります。また、民泊の倒産リスクや撤退タイミングの判断基準については、民泊の倒産リスクと撤退判断のシグナルもあわせてご覧ください。

旅館業・民泊施設の撤退でお困りの際は、StayExit(ステイイグジット)の無料査定をご利用ください。現況渡しOK・最短3営業日での成約・1Rから5棟一括まで対応しています。まずはお気軽にご相談ください。

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免責事項

本記事の情報は2026年3月時点のものです。旅館業法・関連条例・市場状況は変動する可能性がありますので、最新情報は観光庁・各都道府県保健所等の公式サイトでご確認ください。また、個別の経営状況についての判断は、弁護士・税理士等の専門家にご相談されることをお勧めします。

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