民泊市場の現状と今後|2025年の動向・地域別データから撤退判断まで

民泊事業を運営中の方、または投資を検討中の方にとって、民泊 市場の現状把握は重要な判断材料です。「市場全体は成長しているのか、それとも縮小しているのか?」「自分の地域は今後も採算が取れるのか?」こうした疑問に対し、本記事では最新の公的データと業界動向をもとに、客観的な市場分析を提供します。

2025年現在、インバウンド需要は回復傾向にありますが、民泊市場は必ずしも追い風とは言えない状況です。規制強化、供給過多、稼働率低迷により、成長期から淘汰期へと移行しつつあります。

本記事では、民泊市場の規模推移、地域別の採算性比較、廃業・倒産の実態データから、「続けるべきか、撤退すべきか」の判断基準まで、事業者が知るべき情報を網羅的に解説します。


民泊 市場の現状|2025年はインバウンド回復も稼働率は低迷

民泊市場の規模と推移|届出件数は増加も実稼働は伸び悩み

民泊市場は成長期から淘汰期に移行しています。

観光庁「住宅宿泊事業の届出状況」(2024年11月14日時点)によると、全国の累計届出件数は57,512件に達しました。このうち事業廃止件数は20,661件で、実際に稼働している届出住宅数は36,851件となっています。

届出件数自体は法施行後も着実に増加していますが、注目すべきは廃業のペースも同様に高いという点です。累計の廃業率は約36%に達しており、「届出はしたが実質的に撤退」という事業者が相当数存在します。

指標2024年9月時点2024年11月時点
累計届出件数55,377件57,512件
事業廃止件数20,131件20,661件
届出住宅数(実稼働)35,246件36,851件
廃業率36.4%35.9%

出典:観光庁「住宅宿泊事業の届出状況」(2024年11月14日)

特に2020年4月に累計届出件数が約21,385件でピークを迎えた後、コロナ禍で一時的に届出住宅数が減少しました。2023年以降は再び増加傾向にあるものの、新規参入と同時に廃業も増加しており、市場全体としては「拡大」というより「入れ替わり」が進んでいる状況です。

インバウンド回復後も続く稼働率低迷の理由

2024年、訪日外国人観光客数はコロナ禍前の水準に近づき、宿泊需要は回復傾向にあります。しかし、民泊の稼働率は依然として低迷しています。

観光庁の宿泊実績調査(2024年8~9月)によると、届出住宅あたりの平均宿泊日数は17.2日(2ヶ月間)でした。これを年換算すると約103日となり、民泊新法の上限180日に対して約57%の稼働水準にとどまっています。

業界関係者の推計では、民泊の平均稼働率は2022年が約35%、2023年が約40%、2024年が約42%程度とされています。コロナ禍前の2019年には業界では50%台と言われていたことを考えると、依然として厳しい状況です。

稼働率低迷の主な理由:

  1. ホテル・旅館の価格競争力向上: ビジネスホテルチェーンの低価格プランが充実し、民泊との価格差が縮小。清潔さ・安全性でホテルを選ぶ旅行者が増加。
  2. 民泊規制強化: 東京都・大阪市・京都市などの主要都市で180日規制、住居専用地域での営業制限が強化され、営業日数が制約。
  3. 供給過多による競争激化: コロナ禍後に多くの物件が市場に参入し、供給過多状態に。価格競争が激化し、収益性が悪化。
  4. 近隣トラブル・管理コスト増: 騒音・ゴミ問題などの近隣トラブルが頻発し、管理コストが増加。オーナーの負担が増大。

これらの要因が重なり、インバウンド需要が回復しても民泊の稼働率は伸び悩んでいます。市場全体としては「成長から淘汰へ」のフェーズに移行していると言えるでしょう。

民泊撤退の全体的な流れについては、民泊撤退の手続きと費用を徹底解説で詳しく解説しています。


地域別の民泊 市場動向|東京・大阪・京都・地方の採算性比較

東京・大阪・京都の主要都市|規制強化で淘汰が進行中

主要都市では、規制強化により民泊市場の淘汰が進行しています。

東京都では、区によって規制の厳しさに大きな差があります。新宿区・渋谷区・港区などの都心部では、住居専用地域での民泊営業が制限され、届出件数は減少傾向です。一方、豊島区(約1,473件)・台東区・墨田区(約1,798件)などは比較的規制が緩く、観光需要も高いため、届出が急増しています。

特に東京都心3区(千代田区・中央区・港区)では規制強化の影響が顕著に表れており、民泊事業からの撤退が相次いでいます。

東京都の民泊規制については、東京都の民泊規制と届出状況を詳しく解説で詳しく解説しています。

大阪市は特区民泊制度により、2025年11月時点で約7,000件の認定施設があり、全国の特区民泊の94%を占めています。しかし、申請件数が月200件を超え、審査待ちが2ヶ月に達するなど、新たな課題も生じています。住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく届出は、180日規制の影響で伸び悩んでおり、事業者の中には採算が取れずに撤退するケースも増加しています。

大阪市の民泊動向については、大阪市の民泊規制と市場動向を詳しく解説で詳しく解説しています。

京都市は、全国でも最も厳しい民泊規制を実施しており、住居専用地域では1月15日~3月15日の60日間のみ営業可能という制限があります。この規制により、京都市内の民泊届出件数は大幅に減少し、2024年時点で約1,000~1,500件程度、2025年11月には初めて1,000件を突破したとの報道もありますが、ピーク時からは大幅に減少しています。

地方都市(金沢・軽井沢・沖縄)の実態|季節変動と採算性の課題

地方都市では、観光需要はあるものの、季節変動が大きく年間を通じた採算確保が困難です。

金沢市は、北陸新幹線開業以降、観光需要が高まり民泊市場も拡大しました。しかし、観光シーズン(春・秋)以外の稼働率が低く、年間平均では30~40%程度にとどまります。冬季の降雪期や夏季の猛暑期は観光客が減少し、赤字となる月も多いのが実情です。

軽井沢は、夏季の避暑地需要、冬季のスキー需要があるものの、春・秋の端境期は稼働率が大幅に低下します。また、別荘地としての性格が強く、長期滞在型の民泊需要は限定的です。年間を通じて安定した収益を確保するのは難しい地域です。

沖縄は、観光需要が高く民泊市場も大きいですが、台風シーズン(8~9月)や梅雨時期(6月)は稼働率が低下します。また、湿気によるカビ問題、設備の劣化が早いなど、メンテナンスコストが高いことも課題です。

地域別採算性比較表|稼働率・平均単価・年間収益の実態

地域別の採算性を比較すると、以下のような実態が明らかになります。

地域物件タイプ平均稼働率平均単価(1泊)年間収益(推計)採算性
東京都心(豊島区・台東区)1R/1K45%8,000円約132万円
東京都心(豊島区・台東区)1LDK42%12,000円約184万円
大阪市(中央区)1R/1K40%7,000円約102万円×
大阪市(中央区)1LDK38%10,000円約139万円
京都市1R/1K35%7,500円約96万円×
京都市1LDK32%11,000円約129万円×
金沢市1R/1K35%6,500円約83万円×
軽井沢1LDK40%15,000円約219万円
沖縄(那覇市)1R/1K48%7,000円約123万円

※年間収益は、(稼働率 × 365日 × 平均単価)で算出。管理費・清掃費・光熱費などの経費は含まず。
※採算性: ○=黒字の可能性が高い、△=収支トントン、×=赤字の可能性が高い
※本表の数値は、業界調査および市場動向をもとにした推計値です。実際の収益は物件条件、運営方法、時期により大きく異なります。

この表から、以下のことが読み取れます:

  • 都心部の1R/1Kは採算が厳しい: 稼働率が40%台でも、単価が低いため年間収益は100万円前後にとどまり、経費を差し引くと赤字になる可能性が高い。
  • 1LDK以上の広めの物件は相対的に有利: ファミリー層や長期滞在者の需要があり、単価が高いため収益性が改善。
  • 京都市は全体的に厳しい: 規制が厳しく、稼働率・収益性ともに低い。
  • 地方都市は季節変動が大きい: 軽井沢のように高単価を取れる地域もあるが、年間を通じて安定した収益を確保するのは困難。

民泊 市場の淘汰実態|廃業率・倒産件数から見る厳しい現実

民泊廃業率の推移|全体の約36%が既に廃業

民泊市場の淘汰が進んでいることは、廃業率の高さからも明らかです。

観光庁のデータ(2024年11月時点)によると、累計届出件数57,512件のうち、事業廃止件数は20,661件に達しており、**廃業率は約36%**に達しています。

業界関係者の推計によると、民泊の短期廃業率は届出後半年以内で約6%、1年以内で約10~15%とされています。つまり、民泊を始めても1年以内に約1割が撤退しているのが実態です。

主な廃業理由:

  1. 稼働率低下による赤字継続: 当初の見込みより稼働率が低く、収益が上がらないまま赤字が継続。観光庁の調査でも「収益が見込めない」が廃業理由の約半数を占めています。
  2. 近隣トラブル: 騒音・ゴミ問題などで近隣住民からの苦情が続き、精神的・時間的負担に耐えられず撤退。
  3. 規制強化: 自治体の条例変更により営業制限が強化され、採算が取れなくなる。
  4. 管理コスト増: 清掃・メンテナンス・ゲスト対応などの管理コストが想定以上にかかり、収益を圧迫。

特に、個人オーナーが副業として始めたケースでは、管理の手間と収益のバランスが取れず、早期に撤退するケースが多く見られます。

旅館業・民泊の倒産件数|2024年は73件で4年ぶり増加

宿泊業全体の倒産も増加傾向にあります。

帝国データバンクの調査によると、2024年1年間(1~12月)のホテル・旅館経営業者の倒産件数は73件、負債総額は306億1,500万円に達しました。前年比で6件増加(9.0%増)となり、4年ぶりに増加に転じています。

年度ホテル・旅館経営業者の倒産件数負債総額前年比
2021年70件▲40.7%
2023年度67件約300億円
2024年(1~12月)73件306億円+9.0%

出典:帝国データバンク「旅館・ホテル経営業者の動向調査」、StayExit調査

特に、コロナ禍で政府の支援策(持続化給付金、雇用調整助成金など)により延命していた事業者が、支援終了後に倒産するケースが増加しています。民泊事業者も例外ではなく、「インバウンド需要回復=民泊復活」とはならない厳しい現実があります。

主な倒産理由:

  1. 価格競争激化: ホテル・旅館との競争に加え、民泊同士の競争も激化し、価格を下げざるを得ない状況。
  2. 人件費高騰: 清掃スタッフ、管理スタッフの人件費が上昇し、収益を圧迫。
  3. 光熱費・物価上昇: 電気代、ガス代、清掃用品などのコストが上昇し、利益率が悪化。
  4. 借入金返済負担: コロナ禍で借り入れた融資の返済が始まり、キャッシュフローが悪化。

市場全体が厳しい環境にあることは、これらのデータから明らかです。

旅館業の倒産動向については、旅館業倒産の実態と原因を詳しく解説で詳しく解説しています。


民泊 市場動向から見る撤退判断|続けるべきか、撤退すべきか

続けるべきケース|採算が取れている地域・物件の特徴

市場環境が厳しい中でも、以下のようなケースでは民泊運営を継続する価値があります。

続けるべき判断基準:

  1. 稼働率60%以上を維持: 稼働率が60%を超え、安定して黒字を確保できている場合は、引き続き運営を継続する価値があります。
  2. 規制が比較的緩い地域: 東京都の豊島区・台東区、大阪市の一部エリアなど、規制が緩く営業日数の制限が少ない地域では、採算を取りやすい環境が続きます。
  3. 観光需要が安定している地域: 東京・大阪の都心部、沖縄など、年間を通じて観光需要が安定している地域は、稼働率を維持しやすい傾向があります。
  4. 1LDK以上の広めの物件: ファミリー層や長期滞在者の需要があり、単価が高く取れる物件は収益性が高く、継続する価値があります。
  5. 管理体制が確立している: 清掃・メンテナンス・ゲスト対応などの管理体制が確立しており、オーナーの負担が少ない状態であれば、継続しやすいでしょう。

撤退すべきケース|市場環境が厳しい地域・赤字継続の判断基準

一方、以下のようなケースでは、早期撤退を検討すべきタイミングと言えます。

撤退すべき判断基準:

  1. 稼働率30%以下が6ヶ月以上継続: 一般的に、稼働率が30%を下回り6ヶ月以上継続する場合、撤退を検討すべきタイミングとされています。この状態では、固定費(ローン返済、管理費、光熱費など)をカバーできず、赤字が累積します。
  2. 赤字継続: 3ヶ月以上連続で赤字が続いている場合、今後も改善の見込みが低いと判断できます。累積損失が拡大する前に、撤退を検討しましょう。
  3. 規制強化地域: 京都市、東京都の一部区(新宿区・渋谷区など)のように、規制が非常に厳しい地域では、今後も営業環境が改善する見込みは低く、撤退が合理的な判断です。
  4. 近隣トラブル発生: 騒音・ゴミ問題などで近隣住民からの苦情が続き、警察通報や管理組合からの警告を受けている場合、精神的負担が大きく、早期撤退が推奨されます。
  5. 物件が1R/1Kで単価が低い: 都心部でも1R/1Kの小さな物件は、単価が低く採算が取りにくい傾向があります。稼働率が40%台でも赤字になる可能性が高く、撤退を検討すべきです。

民泊赤字の判断基準については、民泊赤字の原因と対策を詳しく解説で詳しく解説しています。

市場動向別の撤退判断フローチャート

市場動向をもとに、以下のフローチャートで撤退判断を行いましょう。

撤退判断フローチャート:

  1. 稼働率は50%以上か?
    • YES → 運営継続(市場動向を定期的に確認)
    • NO → 次へ
  2. 黒字を維持できているか?
    • YES → 運営継続(ただし稼働率改善の努力を)
    • NO → 次へ
  3. 赤字は3ヶ月以上継続しているか?
    • NO → 運営継続(改善策を実施)
    • YES → 次へ
  4. 地域の規制は厳しいか?(180日規制、住居専用地域制限など)
    • YES → 撤退を検討
    • NO → 次へ
  5. 近隣トラブルが発生しているか?
    • YES → 撤退を検討
    • NO → 改善策を実施し、3ヶ月後に再評価

このフローチャートをもとに、自分の状況を客観的に評価し、「続けるべきか、撤退すべきか」を判断しましょう。


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まとめ|民泊 市場の現状を踏まえた合理的な判断を

民泊 市場の現状と今後について、重要なポイントをまとめます。

記事の要点:

  • 市場は成長期から淘汰期へ移行: 累計届出件数は57,512件(2024年11月)と増加しているが、廃業率も約36%に達し、実稼働物件数は36,851件。インバウンド需要回復後も、民泊の稼働水準は約57%(180日中103日稼働)にとどまる。
  • 地域別で採算性に大きな差: 東京・大阪の一部エリアは比較的安定しているが、京都市・地方都市は季節変動が大きく採算確保が困難。1R/1Kは特に厳しい。
  • 廃業率36%、倒産件数も増加: 全体の廃業率は約36%。旅館業・宿泊業の倒産件数は2024年に73件と4年ぶりに増加。
  • 市場環境が厳しい場合、早期撤退が合理的: 稼働率30%以下が6ヶ月継続、赤字継続、規制強化地域では、早期撤退を検討すべき。

状況別のアクション:

  • 黒字継続中の方: 引き続き運営を継続し、市場動向を定期的に確認しましょう。稼働率改善の努力を続けることが重要です。
  • 赤字継続中の方: 市場環境を踏まえ、撤退タイミングを検討しましょう。累積損失が拡大する前に、早期の決断が必要です。
  • 撤退検討中の方: 専門業者への相談で、費用を抑えた撤退方法を検討しましょう。原状回復費用を最小化する「現況渡し買取」などの選択肢があります。

民泊市場は、残念ながら「誰でも簡単に稼げる」という状況ではなくなっています。市場環境を冷静に分析し、自分の状況に合った合理的な判断を行いましょう。

撤退費用の詳細については、民泊撤退費用の内訳と相場を詳しく解説で詳しく解説しています。


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免責事項:
本記事の情報は2025年12月時点のものです。民泊市場の動向、法律・条例は変動する可能性がありますので、最新情報は観光庁「民泊制度ポータルサイト」や各自治体の公式サイト等でご確認ください。記事内の推計値は業界調査および公開データをもとにしたものであり、実際の数値とは異なる場合があります。

参考資料・出典:

  • 観光庁「住宅宿泊事業法の施行状況」(2024年11月14日)
  • 観光庁「住宅宿泊事業の宿泊実績」(2024年8~9月)
  • 帝国データバンク「旅館・ホテル経営業者の動向調査」(2024年)
  • 各自治体の民泊関連条例・規則

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