マンションで民泊運営が始まり、騒音やゴミ問題、見知らぬ外国人観光客の頻繁な出入りに不安を感じていませんか? 実は全国の分譲マンションの80.5%が管理規約で民泊を禁止しており、管理組合には法的にこれを禁止する権限があります。本記事では、マンション管理組合が民泊を禁止するための法的根拠、国土交通省の標準管理規約に基づく具体的な条文例、規約改正の手続き、そして既に違法民泊が発生している場合の5段階対処フローまで、実務に即して解説します。管理組合の理事として対応に迷っている方、住民として管理組合に働きかけたい方、どちらにも役立つ実践的な内容です。
マンション管理組合が民泊を禁止できる法的根拠とは
**結論から言えば、管理組合は管理規約により民泊を禁止することができます。**これは区分所有法と国土交通省の標準管理規約改正により、明確な法的根拠が確立されています。
80.5%の管理組合が民泊を禁止している現状
マンション管理業協会の調査(2018年)によると、全国の分譲マンションの80.5%が管理規約で民泊を禁止しています。出典: マンション管理業協会 これは、民泊が住環境に与える影響(騒音、ゴミ、セキュリティ、資産価値の低下)を懸念する管理組合が圧倒的多数であることを示しています。
つまり、民泊を禁止することは特殊な対応ではなく、管理組合として標準的な対応と言えます。「民泊を禁止したら厳しすぎるのでは?」という不安は不要です。住民の安全と快適な住環境を守るための正当な権利行使です。
区分所有法と標準管理規約による禁止の仕組み
法的根拠は以下の2つです。
① 区分所有法第30条
「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる」
この条文により、管理組合は管理規約で専有部分の使用方法(民泊の可否を含む)を定めることができます。
② 国土交通省の標準管理規約改正(2017年)
2017年8月、国土交通省はマンション標準管理規約を改正し、民泊を許可する場合と禁止する場合の両方の条文例を明示しました。出典: 国土交通省 マンション標準管理規約 これにより、管理組合が民泊の可否を明確に規定することが推奨されるようになりました。
重要なのは、「規約に何も書いていない=民泊OK」ではないという点です。トラブルを防ぐためには、管理規約で明確に民泊の可否を定める必要があります。
マンション民泊と管理組合の全体像については、[マンション民泊と管理組合の完全ガイド]で詳しく解説しています。
管理規約で民泊を禁止する3つの方法と具体的な条文例
管理組合が民泊を禁止するには、主に以下の3つの方法があります。それぞれの特徴と具体的な条文例を見ていきましょう。
国土交通省の標準管理規約に基づく禁止条項(推奨)
最も確実で推奨される方法は、管理規約に民泊禁止条項を盛り込むことです。
国土交通省「マンション標準管理規約」(2017年改正版)では、民泊を禁止する場合の条文例として以下が示されています。
標準管理規約 第12条第2項(住宅宿泊事業の禁止)
「区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用してはならない」
この条文は住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく民泊のみを禁止するものです。より包括的に禁止したい場合は、以下のような条文が推奨されます。
包括的な禁止条項(推奨)
「区分所有者は、その専有部分を、住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊事業、旅館業法に基づく旅館業、国家戦略特別区域法に基づく特区民泊のいずれにも使用してはならない」
この条文により、すべての形態の民泊を禁止することができます。
管理規約改正の手続き
管理規約の改正には、区分所有法第31条に基づき、**特別決議(区分所有者の3/4以上および議決権の3/4以上の賛成)**が必要です。総会で決議を行い、可決されれば規約が改正されます。
規約改正が難しい場合の代替策(理事会決議・総会決議・使用細則)
「3/4以上の賛成を得るのは難しい」という場合、以下の代替策があります。
| 方法 | 必要な決議 | 法的拘束力 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|---|
| 管理規約改正 | 特別決議(3/4以上) | 強い | 最も確実に禁止できる | ハードルが高い |
| 総会決議 | 普通決議(過半数) | 中程度 | 比較的通しやすい | 規約より法的効力が弱い |
| 使用細則 | 理事会決議 | 弱い | 迅速に対応可能 | 私権制限に限界あり |
総会決議による禁止
総会で普通決議(過半数の賛成)により「民泊を認めない」旨の決議を行う方法です。管理規約改正よりハードルが低く、一定の法的効力があります。ただし、管理規約ほど強い拘束力はないため、違反者への対応が難しくなる可能性があります。
使用細則による制限
理事会決議で使用細則を定め、民泊を禁止する方法です。最も迅速に対応できますが、法的拘束力は最も弱く、「細則は区分所有者の私権を制限できない」という判例もあるため、確実性に欠けます。
推奨: 可能な限り管理規約改正を目指し、どうしても難しい場合は総会決議を選択するのが現実的です。
違法民泊を発見した場合の管理組合の対処法【5段階フロー】
既に管理規約で民泊が禁止されているのに違法に営業されている場合、または規約改正前に民泊が始まってしまった場合の対処法を解説します。
違法民泊の見分け方(標識の有無・キーボックス・頻繁な出入り)
まず、違法民泊かどうかを見分けるポイントは以下の通りです。
違法民泊の兆候チェックリスト:
- ✅ 玄関にキーボックス(暗証番号式の鍵保管ボックス)が設置されている
- ✅ 外国人観光客がスーツケースを持って頻繁に出入りしている
- ✅ 玄関や掲示板に住宅宿泊事業法で義務付けられた標識が掲示されていない(合法民泊なら標識掲示が義務)
- ✅ 同じ部屋に異なる人物が短期間(数日〜1週間)で入れ替わっている
- ✅ 共用部での大きな声、深夜の騒音、ゴミ出しルール違反
これらの兆候が複数当てはまる場合、民泊として使用されている可能性が高いです。
通報窓口と相談先一覧(民泊制度コールセンター・保健所・管理会社)
違法民泊を発見した場合、以下の窓口に通報・相談できます。
通報・相談先の優先順位:
① 民泊制度コールセンター(観光庁)
- 電話番号: 0570-041-389(平日9:00〜17:00)
- 違法民泊の通報、届出の有無の確認、対処方法の相談が可能
- 出典: 民泊制度ポータルサイト
② 各自治体の保健所または住宅課
- 旅館業法違反(無許可営業)の通報先
- 自治体により対応窓口が異なるため、事前確認が必要
③ 管理会社
- 管理組合と連携し、区分所有者への警告や契約違反の通知を行う
5段階対処フロー:
- 発見: 上記のチェックリストで民泊の兆候を確認
- 確認: 民泊制度コールセンターに連絡し、届出の有無を確認
- 警告: 管理組合名義で区分所有者に書面で警告(管理規約違反の通知)
- 通報: 改善されない場合、自治体や観光庁に通報
- 法的措置: 区分所有法第57条に基づく使用禁止請求(裁判所への申立て)
重要: 法的措置は時間とコストがかかるため、まずは警告と通報で改善を促すのが現実的です。
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まとめ|管理組合による民泊禁止は住環境を守る正当な権利
本記事の要点を3つにまとめます。
- 管理組合は管理規約で民泊を禁止できる(法的根拠あり): 区分所有法第30条と国土交通省の標準管理規約改正により、管理組合には民泊を禁止する明確な権限があります。全国の80.5%のマンションが既に禁止しており、住環境を守るための正当な対応です。
- 国土交通省の標準管理規約を参考に条文を作成できる: 「住宅宿泊事業法に基づく民泊」だけでなく、「旅館業法」「特区民泊」すべてを包括的に禁止する条文例が推奨されます。管理規約改正には特別決議(3/4以上)が必要ですが、難しい場合は総会決議や使用細則という代替策もあります。
- 違法民泊には通報窓口や専門支援サービスを活用できる: 民泊制度コールセンター(0570-041-389)への通報、自治体への相談、管理組合による警告の5段階フローで対処できます。区分所有者が撤退を検討している場合、専門の買取・借上げサービスが解決を早めます。
読者の状況別アクション:
- 管理組合理事の方: まずは管理規約に民泊に関する記載があるか確認しましょう。記載がない場合、または曖昧な場合は、次回の総会で規約改正を議題に上げることを検討してください。国土交通省の標準管理規約を参考に、弁護士やマンション管理士に条文案を相談すると安心です。
- 区分所有者の方: 管理組合に民泊の兆候を報告し、対応を求めましょう。管理組合の動きが鈍い場合は、民泊制度コールセンターや自治体に直接通報することも可能です。
- 民泊運営を検討している方: マンションで民泊を始める前に、必ず管理規約を確認してください。80.5%のマンションが禁止しており、違反すれば損害賠償請求や使用禁止請求のリスクがあります。
民泊トラブルの具体的な事例については[マンション民泊トラブルの具体的な事例]で、民泊撤退の手続きについては[民泊撤退の手続き完全ガイド]で詳しく解説しています。
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免責事項:
本記事の情報は2026年1月時点のものです。法律・管理規約・行政の運用は変動する可能性がありますので、最新情報は国土交通省や各自治体の公式サイト等でご確認ください。管理規約の改正にあたっては、マンション管理士などの専門家にご相談されることをおすすめします。
