民泊を廃業する際に必要な書類は、届出制度によって異なります。多くの方が見落としがちなのですが、あなたの民泊が「住宅宿泊事業法(民泊新法)」に基づいて運営されているのか、それとも「旅館業法(簡易宿所営業)」の許可を取得しているのかによって、提出する書類も手続き先も変わってくるのです。
民泊廃業の必要書類は届出制度によって異なる
まずは、ご自身の民泊がどちらの制度に該当するかを確認しましょう。
あなたの民泊はどちらの制度?判定フローチャート
【判定基準】
| 質問 | 該当する場合の制度 |
|---|---|
| 2018年6月以降に民泊を始めた | 住宅宿泊事業法の可能性が高い |
| 都道府県や保健所から「営業許可証」を取得した | 旅館業法(簡易宿所営業) |
| 届出番号が「M」で始まる(例:M130001234) | 住宅宿泊事業法 |
| 年間営業日数が180日を超える運営をしていた | 旅館業法の可能性が高い |
もし判定に迷う場合は、届出時や許可取得時の書類を確認するか、物件所在地の自治体窓口に問い合わせることをおすすめします。
住宅宿泊事業法と旅館業法の廃業手続きの違い
両制度の基本的な違いを整理すると、**住宅宿泊事業法は「届出制」**であり、事業を廃止した際は「廃業届出書」を提出します。一方、**旅館業法は「許可制」**であるため、営業を廃止する際は「廃止届」を提出し、営業許可証を返納する必要があります。
提出先も異なり、住宅宿泊事業法では都道府県または保健所設置市の民泊担当窓口へ、旅館業法では保健所へ提出します。このように制度によって手続きが大きく異なるため、正しい手続きを理解することが重要です。
民泊廃業の全体的な流れについて詳しく知りたい方は、民泊廃業の完全ガイドで解説していますので、併せてご参照ください。
【住宅宿泊事業法】廃業に必要な書類と提出方法
住宅宿泊事業法に基づいて民泊を運営していた方が廃業する場合、必要な書類はシンプルです。
廃業届出書の記載項目と入手方法
【必要書類】
- 廃業届出書 – 各自治体の公式サイトからダウンロード可能(様式は自治体によって若干異なる場合があります)
- 届出番号が記載された書類 – 届出時に受理された届出番号を確認できる書類(届出受理書など)
廃業届出書には、以下の項目を記載します。
| 記載項目 | 内容例 |
|---|---|
| 届出者氏名 | 山田太郎(個人)/株式会社〇〇(法人) |
| 届出番号 | M130001234(届出時に付与された番号) |
| 住宅の所在地 | 東京都新宿区〇〇1-2-3 |
| 廃業年月日 | 2026年1月15日 |
| 廃業理由 | 収益悪化のため/物件売却のため など |
様式は観光庁のガイドラインに準拠していますが、各自治体が独自の書式を用意している場合もあります。東京都であれば「東京都 民泊 廃業届」、大阪府であれば「大阪府 住宅宿泊事業 廃業」などで検索すると、自治体の公式サイトから最新の様式をダウンロードできます。
提出先・提出期限・提出方法(電子申請可)
【提出先】
物件所在地を管轄する都道府県または保健所設置市の民泊制度担当窓口です。例えば、東京23区内であれば東京都の担当部署、大阪市内であれば大阪市の担当部署に提出します。
【提出期限】
観光庁の住宅宿泊事業法ガイドラインによると、廃業後10日以内に提出する必要があります(法第9条)。この期限は法定のものであり、遅延すると後述する罰則の対象となる可能性があります。
【提出方法】
- 窓口持参: 自治体の担当窓口へ直接提出
- 郵送: 所定の住所へ郵送(自治体のウェブサイトで確認)
- 電子申請: 民泊制度運営システムを利用したオンライン提出も可能(自治体によって対応状況が異なります)
電子申請が可能な自治体では、民泊制度運営システムにログインし、「廃業届出」メニューから手続きを進めることができます。事業開始時に電子申請で届出をしていた場合は、同じシステムを使って廃業手続きも完了できるため便利です。
【旅館業法】廃業に必要な書類と提出方法
旅館業法の簡易宿所営業許可を取得して民泊を運営していた方は、住宅宿泊事業法とは異なる手続きが必要です。
廃止届の記載項目と入手方法
【必要書類】
- 廃止届 – 保健所の公式サイトからダウンロード、または窓口で入手
- 営業許可証(原本) – 許可取得時に交付された許可証を返納
廃止届には、以下の項目を記載します。
| 記載項目 | 内容例 |
|---|---|
| 営業者氏名 | 佐藤花子(個人)/合同会社△△(法人) |
| 営業所の名称 | ゲストハウス〇〇 |
| 営業所の所在地 | 大阪府大阪市中央区〇〇2-3-4 |
| 許可番号 | 第1234号(許可証に記載) |
| 廃止年月日 | 2026年1月20日 |
| 廃止理由 | 物件売却のため/事業縮小のため など |
廃止届の様式は保健所ごとに異なるため、物件所在地を管轄する保健所のウェブサイトで確認するか、電話で問い合わせて入手方法を確認しましょう。
提出先・提出期限・その他の手続き
【提出先】
物件所在地を管轄する保健所です。東京23区であれば各区の保健所、政令指定都市であれば市の保健所が窓口となります。
【提出期限】
厚生労働省の旅館業法施行規則第5条によると、営業を廃止した場合は10日以内に届け出る義務があります。この期限も法定であり、遵守が求められます。
【その他の手続き】
旅館業法の廃業では、廃止届の提出以外にも以下の手続きが必要になる場合があります。
- 消防署への届出: 消防法に基づく防火対象物使用開始届を提出していた場合、用途変更や廃止の届出が必要な場合があります
- 建築基準法上の用途変更: 建物の用途を「宿泊施設」から「住宅」などに変更する場合、自治体の建築指導課への届出や確認申請が必要になることがあります
- 帳簿の保存: 旅館業法では、営業を廃止した後も一定期間(通常3年間)宿泊者名簿などの帳簿を保存する義務があります
これらの手続きは物件の状況や自治体の条例によって異なるため、保健所や消防署に事前に確認することをおすすめします。
旅館業法の詳しい廃業手続きについては、旅館業廃業の完全ガイドで解説していますので、併せてご確認ください。
廃業手続きを怠った場合のリスクと廃業後の物件活用
「民泊をやめたから、わざわざ届出しなくてもいいのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、廃業届を提出しないことには法的リスクと実務上のトラブルがあります。
廃業届を提出しないとどうなる?罰則と実務上のリスク
【法的リスク・罰則】
- 住宅宿泊事業法: 廃業届出を怠った場合、30万円以下の罰金(法第76条)が科される可能性があります
- 旅館業法: 廃止届を提出しなかった場合、3万円以下の過料(法第13条)の対象となります
これらは刑事罰や行政罰として記録に残るため、軽視すべきではありません。
【実務上のリスク】
法律上の罰則以外にも、以下のような実務的な問題が発生する可能性があります。
- 行政指導の対象: 自治体から廃業届の提出を求める指導が入り、対応に時間と手間がかかる
- 固定資産税の優遇措置が受けられない: 住宅用地の特例が適用されず、固定資産税が高くなる可能性がある
- 物件売却時のトラブル: 廃業手続きが未完了のまま物件を売却しようとすると、買主から手続き完了を求められ、売却が遅延する
- 賃貸物件の場合、大家とのトラブル: 賃貸物件で民泊を行っていた場合、廃業手続きが済んでいないと退去時に問題になることがある
このように、廃業届の提出は形式的な手続きではなく、法的・実務的に重要な義務です。必ず期限内に手続きを完了させましょう。
廃業後の物件を売却・賃貸転用する際のポイント
民泊を廃業した後、物件をどう活用するかは重要な問題です。主な選択肢は以下の3つです。
【選択肢1:通常賃貸物件として再活用】
民泊用に整備した物件を、通常の賃貸住宅や賃貸オフィスとして貸し出す方法です。家具家電がすでに揃っている場合は、家具付き物件として需要が見込めます。ただし、消防設備や建築基準法上の用途変更が必要な場合があるため、事前に確認しましょう。
【選択肢2:物件を売却(自己所有の場合)】
自己所有物件であれば、売却して資金を回収することも選択肢です。ただし、民泊運営していた履歴が残っている物件は、一般の不動産市場では敬遠されることもあります。民泊特有の設備(消防設備、簡易宿所仕様のリフォーム)が残っていると、通常の住宅として購入する買主にとってはマイナス要素になる場合もあります。
【選択肢3:専門業者への買取相談(現況渡し可能)】
民泊物件の扱いに慣れた専門業者に買取を依頼する方法です。現況のまま引き渡せるため、リフォームや原状回復の手間がかからず、スピーディーに売却できるメリットがあります。
廃業後の物件処分でお悩みの場合は、民泊専門の買取業者への相談も選択肢の一つです。Stay Exitでは、最短3営業日での成約、現況渡しOKで民泊物件の買取に対応しています。
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まとめ:民泊廃業の必要書類は制度を確認してから準備しよう
民泊廃業の手続きは、あなたの物件がどちらの制度で運営されていたかによって大きく異なります。記事の要点を改めて整理しましょう。
【記事のポイント】
- 民泊廃業の必要書類は住宅宿泊事業法と旅館業法で異なる: 住宅宿泊事業法では「廃業届出書」、旅館業法では「廃止届+営業許可証の返納」が必要
- 廃業届は廃止後10日以内に提出が必須: 両制度とも法定期限があり、怠ると罰則の対象(住宅宿泊事業法は30万円以下の罰金、旅館業法は3万円以下の過料)
- 廃業後の物件は売却・賃貸転用など複数の選択肢がある: 通常賃貸への転用、物件売却、専門業者への買取など、状況に応じた出口戦略を検討することが重要
【状況別の次のアクション】
- まずは自分の民泊がどちらの制度か確認しましょう: 届出時の書類や届出番号(M番号)、営業許可証の有無を確認
- 廃業届の様式を自治体の公式サイトからダウンロードしましょう: 住宅宿泊事業法なら都道府県・市区町村の公式サイト、旅館業法なら保健所のサイトで入手
- 物件処分でお困りの際は専門業者への相談もご検討ください: 民泊からの撤退全般について詳しく知りたい方は、民泊撤退の完全ガイドもご参照ください
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免責事項:
本記事の情報は2026年1月時点のものです。法律・条例・自治体の手続きは変動する可能性がありますので、最新情報は観光庁や各自治体の公式サイトでご確認ください。廃業手続きに不安がある場合は、行政書士などの専門家への相談もご検討ください。
