民泊の運営を開始したものの、ゲストが出したゴミの処理に悩んでいませんか? 実は民泊から出るゴミは「事業系一般廃棄物」に分類されるため、家庭ごみとして出すことはできません。適切な処理を怠ると不法投棄として摘発され、5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金という重い刑事罰が科される可能性があります。2025年には東京都荒川区で民泊運営者が家宅捜索を受ける事例が発生し、民泊のゴミ問題が大きな社会問題として注目されています。本記事では、民泊ゴミの不法投棄の実態と最新の摘発事例、運営者が知っておくべき法的責任、適切な処理方法、そして9割のトラブルを未然に防ぐ予防策まで、実務に即した対処法を徹底解説します。これから民泊を始める方も、既に運営中でゴミ処理に不安を感じている方も、近隣住民として民泊のゴミ問題に悩む方も、本記事を参考に適切な対応を取ることができます。
民泊のゴミ・不法投棄問題とは? 実態と深刻度
民泊運営において、ゴミ問題は騒音トラブルと並んで最も深刻な課題の一つです。2024年の民泊に関する苦情データでは、ゴミ問題は537件と報告されており、全苦情のうち重要な割合を占めています。出典: Lify調査 問題の本質は、多くの運営者が「民泊のゴミは家庭ごみと同じ」と誤解していることにあります。
民泊のゴミは「事業系一般廃棄物」扱い
住宅宿泊事業法に基づく民泊運営は事業活動とみなされるため、そこから発生するゴミは「事業系一般廃棄物」として処理する必要があります。家庭ごみとして自治体の集積所に出すことは、廃棄物処理法違反となり、不法投棄に該当する可能性があります。出典: 廃棄物処理法第25条
事業系一般廃棄物の処理には、以下の3つの方法が法的に認められています。
- 自治体との直接契約: 事業者として自治体と契約し、有料で回収してもらう
- 許可業者への委託: 一般廃棄物収集運搬業の許可を持つ業者と契約する
- 自己搬入: 運営者自身が自治体の処理施設へ持ち込む
多くの民泊運営者がこの事実を知らず、家庭ごみとして出してしまい、結果的に不法投棄として摘発されるケースが増加しています。
不法投棄の典型パターン3つ
民泊における不法投棄は、主に以下の3つのパターンで発生しています。
パターン①: 家庭ごみ集積所への無断投棄
最も多いのが、事業系廃棄物を家庭ごみの集積所に出してしまうケースです。特にマンションやアパートでは、他の住民との区別がつきにくく、トラブルになりやすい状況です。ゲストが大量のゴミを残した場合、運営者が「とりあえず」と集積所に出してしまい、管理組合や近隣住民から苦情が寄せられます。
パターン②: 粗大ゴミの放置
外国人ゲストが家具や大型家電を購入し、チェックアウト時にそのまま放置するケースが増えています。粗大ゴミは自治体への事前申込と手数料の支払いが必要ですが、ゲストがこのルールを知らず、運営者も対応できないまま物件内や共用部に放置され、不法投棄とみなされます。処理費用は1点あたり数千円から数万円に及び、運営者の負担となります。
パターン③: 深夜・早朝の大量排出
チェックアウトが深夜や早朝の場合、ゲストが大量のゴミを集積所に出してしまい、収集日でないタイミングで放置されるケースです。カラスや猫による散乱を招き、近隣住民とのトラブルに発展します。
これらのパターンは、運営者が廃棄物処理法と住宅宿泊事業法の両方の要件を理解していないことから発生しています。
【2025年最新】民泊ゴミ不法投棄の摘発事例
2025年以降、民泊のゴミ問題に対する行政の取り締まりが強化されており、実際に摘発される事例が増加しています。以下に代表的な3つの事例を紹介します。
事例① 荒川区での家宅捜索(2025年11月)
2025年11月、東京都荒川区で民泊運営者の自宅が警視庁により家宅捜索を受ける事例が発生しました。出典: 読売新聞 この運営者は、複数の民泊物件から出る事業系廃棄物を、長期にわたり家庭ごみ集積所に不法投棄していた疑いで捜査を受けました。近隣住民からの度重なる通報を受けた自治体が警察と連携し、証拠を収集した結果、廃棄物処理法違反容疑での強制捜査に至りました。
この事例では、運営者が「少量だから問題ない」と軽く考えていたことが問題を深刻化させました。実際には月間数十件の宿泊があり、累積されるゴミの量は膨大でした。家宅捜索により運営記録や契約書類が押収され、今後書類送検される可能性が高いとされています。
事例② 書類送検と罰金(2026年1月)
2026年1月には、荒川区の別の民泊運営者が廃棄物処理法違反で書類送検されました。出典: 産経新聞 この事例では、運営者が事業系廃棄物を家庭ごみとして継続的に排出していたことが立証され、罰金刑が科される見込みです。
廃棄物処理法第25条では、不法投棄に対して「5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、またはこれらの併科」という重い刑罰が規定されています。初犯であっても、悪質性や継続性が認められる場合、数十万円から数百万円の罰金が科される可能性があります。
事例③ 粗大ゴミ放置による民泊禁止決議
都内の分譲マンションで、民泊運営者がゲストの残した粗大ゴミ(ソファ、冷蔵庫、ベッドフレームなど)を共用部に放置し続けた結果、管理組合が臨時総会を開催し、管理規約を改正して民泊を全面禁止する決議を行いました。運営者は粗大ゴミの処理費用として約30万円を請求されただけでなく、民泊運営の継続が不可能となり、投資回収の道を閉ざされました。
この事例は、ゴミ問題が単なる行政処分に留まらず、物件での民泊運営そのものを不可能にする可能性を示しています。
不法投棄の罰則と運営者の法的責任
民泊のゴミ問題において、運営者が負う法的責任は非常に重大です。ここでは、関連する法令と具体的な罰則、責任範囲を解説します。
廃棄物処理法における排出者責任
廃棄物処理法第3条では、「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない」と定めています。この「排出者責任」の原則により、民泊から出るゴミの処理責任は、最終的に運営者(事業者)が負うことになります。
不法投棄を行った場合、廃棄物処理法第25条により、以下の罰則が科されます。
- 5年以下の懲役
- 1,000万円以下の罰金
- またはこれらの併科(両方が同時に科される)
法人の場合は罰金刑の上限が3億円まで引き上げられます。
運営者の責任範囲―ゲストの不法投棄への対応
「ゲストが勝手に捨てたゴミなので、運営者に責任はない」という主張は、法的には認められません。住宅宿泊事業法第5条では、運営者に対して「宿泊者に対する衛生の確保」と「周辺地域の生活環境への悪影響の防止」が義務づけられています。出典: 住宅宿泊事業法
具体的には、以下の責任が運営者に発生します。
- ハウスルールでのゴミ処理方法の明示義務: ゴミの分別方法、出せる場所と時間、粗大ゴミの処理方法を多言語で明確に伝える
- チェックアウト後の確認義務: ゲスト退室後、速やかに物件を確認し、残されたゴミを適切に処理する
- 適正処理の実施義務: 事業系廃棄物として、自治体契約または許可業者委託により処理する
ゲストが不法投棄を行った場合でも、運営者が事前に適切な指導を行っていなかったり、事後の確認・処理を怠った場合は、運営者の責任が問われます。
無許可業者への委託も違反
「安く請け負う」という業者に安易に委託することも危険です。一般廃棄物収集運搬業の許可を持たない業者に委託した場合、廃棄物処理法第12条第5項違反となり、運営者自身が「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」の対象となります。
委託する際は、必ず業者の許可証を確認し、契約書を交わすことが必須です。
民泊のゴミを適切に処理する3つの方法
民泊のゴミを適切に処理するには、法令に従った正規の方法を選択する必要があります。以下の3つの方法から、物件の規模や運営スタイルに合ったものを選びましょう。
方法① 自治体との直接契約
最も基本的な方法は、物件所在地の自治体と事業系一般廃棄物の収集契約を結ぶことです。
手順:
- 自治体の廃棄物担当課に連絡し、事業系廃棄物の収集を申し込む
- 必要書類(住宅宿泊事業の届出番号、物件情報など)を提出
- 収集頻度と料金を確認し、契約を締結
- 自治体指定のゴミ袋または有料シールを購入
- 指定された日時・場所にゴミを排出
費用の目安:
- 自治体により異なりますが、月額3,000円〜10,000円程度
- ゴミの量に応じた従量制の場合もあり
メリット:
- 公的機関との契約で安心
- 比較的低コスト
デメリット:
- 自治体によっては民泊事業者との契約を受け付けていない場合がある
- 排出日時が限定される
- 粗大ゴミは別途申込が必要
方法② 許可業者への委託
一般廃棄物収集運搬業の許可を持つ民間業者と契約する方法です。
手順:
- 自治体のウェブサイトで許可業者リストを確認
- 複数の業者から見積もりを取得
- 収集頻度、料金、対応範囲を比較検討
- 契約書を締結(業者の許可証のコピーを保管)
- 定期収集またはオンデマンド収集を利用
費用の目安:
- 月額10,000円〜30,000円程度(週1回収集の場合)
- 粗大ゴミは別途1点あたり3,000円〜10,000円
メリット:
- 柔軟な収集スケジュール
- 粗大ゴミも含めて一括対応可能
- 多言語対応や分別サポートを提供する業者もある
デメリット:
- 自治体契約より費用が高い
- 業者選定に注意が必要(無許可業者との誤契約リスク)
方法③ 清掃代行業者への一括委託
民泊専門の清掃代行業者の中には、清掃とゴミ処理をセットで請け負うサービスを提供する会社があります。
手順:
- 民泊清掃専門業者を検索・比較
- サービス内容にゴミ処理が含まれるか確認
- 業者が許可業者と提携しているか、または自社で許可を持っているか確認
- 契約を締結し、チェックアウト後の清掃とゴミ処理を委託
費用の目安:
- 清掃代行費用 3,000円〜10,000円/回
- ゴミ処理費用込みの場合もあり
メリット:
- 清掃とゴミ処理を一括で任せられる
- 運営者の手間が大幅に削減される
- プロによる分別と適正処理
デメリット:
- コストが最も高い
- 業者の質にばらつきがある
- 業者が適正に処理しているか定期確認が必要
いずれの方法を選択する場合も、必ず許可の有無を確認し、契約書や許可証のコピーを保管することが重要です。
ゴミ問題を未然に防ぐ5つの予防策
民泊のゴミトラブルの多くは、事前の対策により防ぐことができます。以下の5つの予防策を実践することで、9割以上のトラブルを回避できます。
予防策① 多言語対応のハウスルール作成
ゲストの多くは外国人であり、日本のゴミ処理ルールを知らないケースがほとんどです。チェックイン時に渡すハウスルールには、以下の内容を多言語(英語・中国語・韓国語など)で明記しましょう。
- ゴミの分別方法(可燃・不燃・資源ごみの区別)
- ゴミを出せる場所と時間
- 粗大ゴミは絶対に残さないこと
- 違反時のペナルティ(清掃費用の追加請求、悪いレビュー、次回予約の拒否など)
視覚的なイラストや写真を使用すると、言語の壁を越えて理解されやすくなります。
予防策② 分別ラベルとゴミ箱の設置
物件内に、分別用のゴミ箱を設置し、それぞれに多言語のラベルを貼りましょう。色分けや絵文字を使うと、さらに分かりやすくなります。
設置例:
- 青色ゴミ箱: 可燃ごみ(Burnable / 可燃垃圾 / 일반쓰레기)
- 黄色ゴミ箱: 資源ごみ(Recyclable / 资源垃圾 / 재활용쓰레기)
- 赤色ゴミ箱: 不燃ごみ(Non-burnable / 不可燃垃圾 / 불연쓰레기)
ゴミ箱の容量は、宿泊人数と滞在日数に応じて適切なサイズを選びましょう。
予防策③ 粗大ゴミの持ち込み禁止を徹底
外国人ゲストが家具や家電を購入して放置するケースを防ぐため、ハウスルールに「粗大ゴミ・大型家具の持ち込み禁止」を明記し、違反時の罰金(例: 50,000円)を設定しましょう。
チェックイン時に口頭でも説明し、理解を得ることが重要です。
予防策④ チェックアウト後の速やかな確認
ゲストのチェックアウト後、できるだけ早く物件を確認し、残されたゴミがないかチェックしましょう。清掃代行業者を利用している場合は、清掃完了後に写真付きレポートを送ってもらうよう契約に含めると安心です。
万が一ゴミが残されていた場合は、速やかに適正処理を行い、近隣トラブルを未然に防ぎます。
予防策⑤ 清掃代行・ゴミ処理の専門業者活用
運営物件数が多い場合や、遠隔地の物件を運営している場合は、清掃代行とゴミ処理をプロに任せることで、確実性と効率性が大幅に向上します。
初期費用は増えますが、トラブル対応や罰則のリスクを考えると、十分に投資価値があります。
近隣住民向けの通報先と証拠の集め方
民泊のゴミ問題に悩む近隣住民の方は、適切な通報先に連絡し、証拠を記録することで、問題解決につながります。
通報先①: 自治体の廃棄物担当課
まず連絡すべきは、物件所在地の自治体の廃棄物担当課(清掃課・環境課など)です。事業系廃棄物の不法投棄を報告し、行政指導を依頼しましょう。
通報先②: 観光庁 民泊制度コールセンター
観光庁が設置している民泊制度コールセンターでは、民泊に関する苦情や相談を受け付けています。
- 電話番号: 0570-041-389
- 受付時間: 平日9時〜17時
通報先③: 警察(110番)
悪質な不法投棄が繰り返される場合や、深夜に大量のゴミが放置される場合は、警察に通報することも有効です。廃棄物処理法違反は刑事事件として扱われます。
証拠の集め方
通報の際は、以下の証拠を記録しておくと、行政や警察の対応がスムーズになります。
- 写真・動画: 不法投棄されたゴミの状況、日時がわかるもの
- 日時の記録: いつ、何時頃にゴミが出されたか
- 頻度の記録: 繰り返し発生している場合、その記録
- 物件情報: 民泊の住所、外観写真
証拠は時系列で整理し、複数回の記録があると説得力が増します。
ゴミトラブル継続時の撤退判断と出口戦略
ゴミ問題が継続し、以下のような状況になった場合は、民泊運営の撤退を検討する時期かもしれません。
- 月に2回以上、近隣住民や管理組合から苦情が寄せられる
- 自治体から行政指導や業務改善命令を受けた
- 管理組合が民泊禁止の決議を検討している
- ゴミ処理費用が収益を圧迫している
撤退時の選択肢
選択肢① 通常賃貸への転換
民泊をやめて、通常の賃貸物件として運用する方法です。安定した家賃収入が見込めますが、民泊用に改装した物件は原状回復費用がかかる場合があります。
選択肢② 物件の売却
物件を売却し、民泊事業から完全に撤退する方法です。立地や物件状態により、相場価格での売却が可能です。
選択肢③ 民泊撤退支援サービスの活用
民泊運営に特化した撤退支援サービスを利用する方法もあります。例えば、StayExitは、民泊物件の買取・借上げ・仲介をワンストップで提供しており、以下の特徴があります。
- 現況渡しOK: 原状回復不要で買取可能
- 最短3営業日で成約: スピーディーな手続き
- 1R〜5棟まで対応: 規模を問わず対応
- 買取・借上げ・仲介の3択: 状況に応じた最適な選択肢
ゴミトラブルで行政処分を受ける前に、早めの撤退判断が賢明です。専門家に相談し、最適な出口戦略を検討しましょう。
まとめ: 民泊のゴミ不法投棄は9割防げる―適切な処理と予防策を
民泊のゴミ不法投棄は、運営者にとって刑事罰や多額の罰金、民泊禁止といった深刻なリスクをもたらします。2025年以降、東京都荒川区をはじめとする摘発事例が増加しており、行政の取り締まりは強化される一方です。しかし、本記事で解説した適切な処理方法と予防策を実践すれば、9割以上のトラブルは未然に防ぐことができます。
重要ポイントのまとめ:
- 民泊のゴミは事業系一般廃棄物: 家庭ごみとして出すことは不法投棄に該当する
- 不法投棄の罰則は重い: 5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金
- 適切な処理方法は3つ: 自治体契約、許可業者委託、清掃代行一括委託
- 予防策を徹底: 多言語ハウスルール、分別ラベル、粗大ゴミ禁止、チェックアウト確認、専門業者活用
- 継続困難なら早期撤退: 行政処分前に撤退支援サービスの活用を検討
読者別の具体的アクション:
- これから民泊を始める方: 物件契約前に、自治体のゴミ処理方針と許可業者を確認し、処理費用を収支計画に組み込みましょう
- 既に運営中の方: 現在のゴミ処理方法が適法か確認し、不足している予防策を速やかに追加しましょう
- ゴミトラブルを抱えている方: 本記事の対処法を実践し、改善が見られない場合は専門家に相談し撤退も検討しましょう
- 近隣住民の方: 自治体・民泊制度コールセンター・警察への通報と、証拠の記録を行いましょう
民泊運営でお困りの際は、StayExitなどの専門業者の無料査定・相談をご活用ください。複雑なゴミ問題も含め、民泊撤退をスムーズに進めることができます。
免責事項
本記事の情報は2026年1月時点のものです。廃棄物処理法、住宅宿泊事業法、自治体条例は改正される可能性があります。最新情報は各自治体の公式ウェブサイトや観光庁民泊制度ポータルサイトでご確認ください。個別の法的判断や処分については、弁護士や行政書士などの専門家にご相談ください。
