民泊の営業を停止する場合、あなたの状況によって必要な手続きが異なります。「営業停止」という言葉には、実は複数の意味が含まれており、それぞれで対応方法が大きく変わってきます。一時的に休みたいだけなのか、完全に廃業するのか、それとも自治体から行政処分を受けたのか——まずはあなたの状況を正確に把握することが重要です。
民泊の営業停止手続きは3つのケースで異なる
民泊の営業停止には、主に3つのパターンがあります。それぞれで必要な手続きや対応が異なるため、まずはあなたがどのケースに該当するかを確認しましょう。
あなたはどのケース?営業停止の3パターン判定
【状況判定】
| あなたの状況 | 該当するケース | 必要な対応 |
|---|---|---|
| 数ヶ月〜1年程度、一時的に民泊を休みたい | ケース①:自主的な一時休止 | 廃業届は不要だが定期報告は継続 |
| 民泊事業を完全にやめたい | ケース②:完全廃業 | 廃業届の提出が必要(30日以内) |
| 自治体から業務停止命令を受けた | ケース③:行政処分 | 即時営業停止+改善対応が必要 |
一時休止・完全廃業・行政処分の手続きの違い
3つのケースの基本的な違いを整理すると、ケース①の一時休止では届出は不要ですが、定期報告義務(2ヶ月に1回)は継続します。ケース②の完全廃業では廃業届の提出が必須であり、期限は廃業した日から30日以内です。ケース③の行政処分では即座に営業を停止し、自治体の指示に従って改善計画を提出する必要があります。
それぞれのケースで提出先や対応方法が異なるため、以下で詳しく解説していきます。
民泊廃業の全体的な流れについて詳しく知りたい方は、民泊廃業の完全ガイドで解説していますので、併せてご参照ください。
ケース別:民泊営業停止の具体的な手続き
あなたの状況に応じて、必要な手続きを確認していきましょう。
ケース①自主的な一時休止(営業停止)の場合
**一時的に民泊の営業を休止する場合、廃業届の提出は不要です。**届出済みの状態が継続するため、再開時に改めて届出をする必要もありません。
ただし、重要な注意点があります。観光庁の「住宅宿泊事業法FAQ」によると、**「入居者の入居等により一時的に民泊を休止している場合でも、定期報告義務(2ヶ月に1回)は継続する」**とされています。つまり、営業していなくても、2ヶ月ごとに自治体への報告を行う義務があるのです。
定期報告では、営業日数や宿泊者数などを報告しますが、一時休止中の場合は「営業日数:0日、宿泊者数:0名」として報告することになります。この報告を怠ると、後述する行政処分の対象となる可能性があるため注意が必要です。
ケース②完全廃業する場合の手続き
民泊事業を完全にやめる場合は、住宅宿泊事業法に基づく廃業届(廃業等届出書)の提出が必要です。
【必要な手続き】
- 提出期限: 廃業した日から30日以内
- 提出先: 物件所在地を管轄する都道府県または保健所設置市の民泊担当窓口
- 必要書類: 廃業等届出書、届出番号が記載された書類(届出受理書など)
- 提出方法:
- 民泊制度運営システムでの電子申請
- 郵送
- 窓口持参
廃業等届出書には、届出者氏名、届出番号、住宅の所在地、廃業年月日、廃業理由などを記載します。様式は各自治体の公式サイトからダウンロードできます。
なお、一般的な「廃業届」の提出期限は10日以内と記載されている情報もありますが、住宅宿泊事業法における廃業等届出は30日以内が正しい期限です。混同しないよう注意しましょう。
詳しい廃業手続きについては、民泊廃業の必要書類と手続きの記事で解説していますので、併せてご確認ください。
ケース③行政処分(業務停止命令)を受けた場合の対応
自治体から業務停止命令を受けた場合は、即座に営業を停止する義務があります。
実際の事例として、新宿区の住宅宿泊事業法違反者の公表によると、2025年11月に定期報告義務違反で12事業者が業務停止命令(30日間)を受けました。このように、定期報告を怠っただけでも行政処分の対象となるのです。
【業務停止命令を受けた場合にすべきこと】
- 全予約の即時キャンセル・返金: 営業停止期間中の予約をすべてキャンセルし、宿泊者に返金する
- 改善計画の作成・提出: 自治体によっては、違反の是正措置や再発防止策を記載した改善計画の提出を求められる
- 命令違反の是正措置: 報告義務違反であれば遅延していた報告を提出するなど、違反の原因を解消する
業務停止命令に従わない場合、さらに重い処分として廃止命令(届出の取消し)が出される可能性があります。廃止命令を受けると、その後3年間は民泊事業を行うことができなくなります。
命令期間が終了し、違反が是正されれば営業を再開できますが、再発防止策を確実に実施することが求められます。
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営業停止手続きを正しく行わないリスクと物件活用の選択肢
営業停止の手続きを怠ったり、行政処分に適切に対応しなかったりすると、さまざまなリスクが生じます。
手続きを怠った場合の罰則
【法的リスク・罰則】
- 廃業届を提出しない場合: 住宅宿泊事業法第76条により、30万円以下の過料の対象となります
- 業務停止命令に従わない場合: さらに重い処分として廃止命令(届出の取消し)が出され、その後3年間は民泊事業を行うことができなくなります
【実務上のリスク】
法律上の罰則以外にも、以下のような実務的な問題が発生する可能性があります。
- 固定資産税の優遇措置が受けられない: 住宅用地の特例が適用されず、固定資産税が高くなる可能性がある
- 物件売却時のトラブル: 廃業手続きが未完了のまま物件を売却しようとすると、買主から手続き完了を求められ、売却が遅延する
このように、営業停止の手続きは形式的なものではなく、法的・実務的に重要な義務です。必ず正しい手続きを踏みましょう。
営業停止後の物件を売却・賃貸転用する方法
民泊を営業停止した後、物件をどう活用するかも重要な選択です。主な選択肢は以下の3つです。
【選択肢1:通常賃貸物件として再活用】
民泊用に整備した物件を、通常の賃貸住宅として貸し出す方法です。家具家電が揃っている場合は、家具付き物件として需要が見込めます。
【選択肢2:物件を売却(自己所有の場合)】
自己所有物件であれば、売却して資金を回収することも選択肢です。ただし、民泊特有の設備が残っている場合、一般の不動産市場では評価が下がる可能性もあります。
【選択肢3:専門業者への買取相談(現況渡し可能)】
民泊物件の扱いに慣れた専門業者に買取を依頼する方法です。現況のまま引き渡せるため、リフォームや原状回復の手間がかからず、最短3営業日でスピーディーに売却できるメリットがあります。
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まとめ:民泊営業停止は状況に応じた手続きを
民泊の営業停止手続きは、あなたの状況によって大きく異なります。記事の要点を改めて整理しましょう。
【記事のポイント】
- 民泊の営業停止は3つのケース(一時休止・廃業・行政処分)で手続きが異なる: 一時休止では届出不要だが定期報告は継続、完全廃業では30日以内に廃業届の提出が必要、行政処分では即時営業停止と改善対応が必要
- 廃業届の提出期限は30日以内: 住宅宿泊事業法における廃業等届出の期限を守り、罰則を避けましょう
- 営業停止後の物件は売却・賃貸転用など複数の選択肢がある: 通常賃貸への転用、物件売却、専門業者への買取など、状況に応じた出口戦略を検討することが重要
【状況別の次のアクション】
- 一時休止の場合: 定期報告義務(2ヶ月に1回)は継続するため、忘れずに報告しましょう
- 完全廃業する場合: 速やかに廃業等届出書を自治体に提出しましょう
- 行政処分を受けた場合: 営業を即座に停止し、自治体の指示に従って改善計画を提出しましょう
- 物件処分でお困りの際: 専門業者への相談もご検討ください
民泊からの撤退全般について詳しく知りたい方は、民泊撤退の完全ガイドもご参照ください。
営業停止後の物件活用でお悩みの際は、Stay Exitへご相談ください。
免責事項:
本記事の情報は2026年1月時点のものです。法律・条例・自治体の手続きは変動する可能性がありますので、最新情報は観光庁や各自治体の公式サイトでご確認ください。行政処分に関する対応にお困りの場合は、行政書士などの専門家への相談もご検討ください。
