港区で民泊事業を始めようと考えている方、あるいは既に営業中で採算が合わず撤退を検討している方にとって、港区の民泊規制は非常に複雑です。特に「家主居住型」と「家主不在型」の違いによって、年間営業日数が180日か84日かが決まり、収益性が大きく変わります。
本記事では、港区の上乗せ条例の詳細、届出手続き、収支シミュレーション、そして継続・撤退の判断基準まで、2025年1月時点の最新情報を基に徹底解説します。
港区で民泊を始める前に知っておくべき基礎知識
港区の民泊市場の特徴と需要
港区は、六本木、赤坂、麻布、青山といった高級エリアを抱える東京屈指の人気エリアです。外資系企業のオフィスや大使館が集積し、外国人ビジネスマンや富裕層の観光客からの宿泊需要が高いのが特徴です。
2025年1月時点、港区内には約500件以上の住宅宿泊事業(民泊)届出施設が存在し、東京23区内でも上位の届出数を誇ります(港区公式HP)。インバウンド需要の回復により、高単価設定(1泊15,000〜30,000円)でも稼働率を確保しやすい市場環境にあります。
ただし、その人気ゆえに港区独自の厳しい上乗せ条例が適用されており、営業形態によっては採算が取れないケースも多くあります。
港区の上乗せ条例が導入された背景
港区では、住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行と同時に、「港区住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例」(以下、上乗せ条例)を制定しました(条例全文)。
この条例が導入された背景には、以下のような地域住民からの懸念があります:
- 騒音・ゴミ出しトラブル: 外国人宿泊者による深夜の騒音やゴミ出しルール違反
- マンション管理組合とのトラブル: 管理規約で民泊を禁止しているにも関わらず、無断で営業するケース
- 治安への不安: 不特定多数の外国人が出入りすることへの住民の不安
港区は、これらの問題を未然に防ぐため、家主不在型の民泊に対して厳しい営業日数制限を設けることで、住環境の保全を図っています。
家主居住型と家主不在型の違いとは
港区の上乗せ条例を理解する上で最も重要なのが、「家主居住型」と「家主不在型」の区別です。
【家主居住型】
住宅宿泊事業の届出住宅に、届出者自身が実際に居住している形態を指します。ここで言う「居住」とは、住民票の有無だけでなく、実際に生活の本拠として日常的に居住していることが求められます(国土交通省ガイドライン)。
【家主不在型】
届出者が届出住宅に居住しておらず、宿泊者のみが滞在する形態です。投資用物件や別荘、セカンドハウスなどでの民泊運営が該当します。
この違いによって、港区での営業可能日数が大きく変わります。
港区の上乗せ条例による営業制限の詳細
家主不在型の営業日数制限(年間約84日)
港区の上乗せ条例では、家主不在型の民泊について、特定の区域・期間において営業を制限しています(港区公式HP)。
具体的には、以下の区域において制限が適用されます:
- 第一種低層住居専用地域
- 第二種低層住居専用地域
- 第一種中高層住居専用地域
- 第二種中高層住居専用地域
- 文教地区(一部例外あり)
これらの区域では、家主不在型の民泊は**1月15日正午から3月15日正午まで(約60日間)**のみ営業可能とされています。
さらに、上記以外の期間(約305日間)は営業不可となるため、実質的な年間営業可能日数は約60日となります。
ただし、港区全域で一律に制限されているわけではなく、商業地域や近隣商業地域など、住居系以外の用途地域であれば、家主不在型でも180日間のフル営業が可能です。
制限の対象区域と対象期間
港区の用途地域は複雑に入り組んでおり、同じマンション内でも階数や位置によって用途地域が異なる場合があります。民泊を始める前に、必ず東京都都市計画情報等インターネット提供サービスで対象物件の用途地域を確認してください。
【制限の対象となる区域】
- 第一種・第二種低層住居専用地域
- 第一種・第二種中高層住居専用地域
- 文教地区(一部)
【営業可能期間(家主不在型の場合)】
- 1月15日正午〜3月15日正午の約60日間のみ
【営業不可期間】
- 3月15日正午〜翌年1月15日正午の約305日間
これにより、家主不在型の民泊は、年間でわずか約60日間しか営業できないことになります。
家主居住型と不在型の比較表
以下の表は、港区における家主居住型と家主不在型の違いをまとめたものです(2025年1月時点):
| 項目 | 家主居住型 | 家主不在型 |
|---|---|---|
| 定義 | 届出者が届出住宅に実際に居住 | 届出者が届出住宅に居住していない |
| 年間営業日数(上限) | 180日(民泊新法の上限) | 約60日(港区条例による制限) |
| 制限対象区域 | なし(港区内全域で180日可能) | 住居系用途地域・文教地区 |
| 営業可能期間 | 1年中いつでも営業可能 | 1月15日正午〜3月15日正午のみ |
| 届出時の追加要件 | なし | 近隣住民への事前説明が必須 |
| 収益性 | 高い(180日フル稼働可能) | 極めて低い(60日のみ) |
この表から分かる通り、港区で民泊を運営して採算を確保するには、家主居住型での届出がほぼ必須と言えます。
関連記事: 東京 民泊 規制(親記事)で東京23区全体の規制動向を詳しく解説しています。
港区での民泊届出手続きと必要書類
届出に必要な書類一覧
港区で住宅宿泊事業を始めるには、以下の書類を揃えて都道府県知事(東京都の場合は保健所)に届出を行う必要があります(港区公式HP・届出様式)。
【必須書類】
- 住宅宿泊事業届出書(様式第1号)
- 住宅の図面(各階平面図、敷地の周囲の見取図)
- 誓約書(住宅宿泊事業法第3条第2項に基づくもの)
- 住宅が「住宅」であることを証明する書類
- 住民票(家主居住型の場合)
- 登記事項証明書(不動産登記簿謄本)
- 固定資産税課税証明書 等
- 転貸の承諾書(賃借物件の場合)
- 貸主(オーナー)からの承諾書原本
- 管理組合の承諾書(区分所有マンションの場合)
- 消防法令適合通知書(消防署から取得)
- 事前説明実施報告書(家主不在型の場合、後述)
届出は、オンライン(民泊制度運営システム)または窓口(みなと保健所生活衛生課)で受付しています。
港区独自の要件:近隣住民への事前説明
港区の上乗せ条例では、家主不在型の民泊を届出する場合、事前に近隣住民への説明を実施することが義務付けられています(条例第4条)。
【事前説明の対象】
- 届出住宅の隣接住戸(上下階・左右)の住民
- 町会・自治会(該当する場合)
- マンション管理組合(区分所有建物の場合)
【説明内容】
- 住宅宿泊事業を行う旨
- 事業の実施方法(管理業者の有無、緊急連絡先等)
- 騒音防止、ゴミ出しルール等の遵守事項
この事前説明は、届出前に実施し、「事前説明実施報告書」を届出書に添付する必要があります。説明を怠ったまま届出を行うと、届出が受理されない可能性があります。
届出から営業開始までの流れ
港区での民泊届出から営業開始までの標準的な流れは以下の通りです:
- 事前準備(約2〜4週間)
- 用途地域の確認(都市計画情報サービス)
- 消防法令適合通知書の取得(所轄消防署)
- 賃貸の場合、貸主・管理組合の承諾取得
- (家主不在型の場合)近隣住民への事前説明
- 届出申請(オンラインまたは窓口)
- 民泊制度運営システムでの電子申請が推奨
- 窓口の場合、みなと保健所生活衛生課へ
- 審査期間(約2〜3週間)
- 保健所による書類審査・現地確認(場合により)
- 届出番号の通知(届出完了)
- 届出番号(M130〇〇〇〇〇〇)が発行される
- この時点で営業開始可能
- 標識の掲示
- 届出住宅の見やすい場所に届出番号等を記載した標識を掲示(義務)
関連記事: 民泊 撤退 手続きでは、逆に民泊を廃止する際の手続きを詳しく解説しています。
港区での民泊採算性を徹底分析
家主不在型(約60日)の収支シミュレーション
家主不在型で港区の住居系地域にて民泊を運営した場合の収支を試算してみましょう(2025年1月時点の試算例)。
【前提条件】
- 物件: 1LDK(50㎡)、六本木エリア
- 宿泊単価: 20,000円/泊
- 稼働率: 70%(営業可能日数の約42日間稼働)
- 年間営業日数: 約60日(1月15日〜3月15日)
【年間収入】
- 20,000円 × 42日 = 840,000円
【年間支出】
- 家賃(月15万円 × 12ヶ月): 1,800,000円
- 水道光熱費: 120,000円
- 清掃費・リネン費: 100,000円
- OTA手数料(15%): 126,000円
- 住宅宿泊管理業者委託費: 200,000円
- 消耗品・備品: 80,000円
- 支出合計: 2,426,000円
【年間収支】
- 840,000円 − 2,426,000円 = ▲1,586,000円(赤字)
このように、家主不在型で港区の住居系地域で民泊を行った場合、年間約160万円の赤字となる計算です。わずか60日間の営業では、固定費(特に家賃)を回収することが極めて困難です。
家主居住型(180日)の収支シミュレーション
次に、家主居住型で180日間フル営業した場合の収支を試算します(2025年1月時点の試算例)。
【前提条件】
- 物件: 1LDK(50㎡)、六本木エリア
- 宿泊単価: 20,000円/泊
- 稼働率: 60%(180日の約108日間稼働)
- 年間営業日数: 180日
【年間収入】
- 20,000円 × 108日 = 2,160,000円
【年間支出】
- 家賃(月15万円 × 12ヶ月): 1,800,000円
- 水道光熱費: 150,000円
- 清掃費・リネン費: 260,000円
- OTA手数料(15%): 324,000円
- 住宅宿泊管理業者委託費(任意): 0円(自主管理の場合)
- 消耗品・備品: 100,000円
- 支出合計: 2,634,000円
【年間収支】
- 2,160,000円 − 2,634,000円 = ▲474,000円(赤字)
あれ、これでも赤字?と思われるかもしれません。しかし、家主居住型の場合、家賃の一部を「自己居住分」として計上できるため、実際には以下のような調整が可能です:
- 180日中108日を民泊として使用 → 残り約257日は自己居住
- 家賃の30〜50%を民泊事業の経費として計上
- 例: 家賃1,800,000円 × 40% = 720,000円を経費計上
【修正後の年間支出】
- 民泊事業関連経費: 720,000円(家賃の40%)+150,000円+260,000円+324,000円+100,000円 = 1,554,000円
【修正後の年間収支】
- 2,160,000円 − 1,554,000円 = +606,000円(黒字)
このように、家主居住型で適切に経費配分を行えば、年間約60万円の利益を出すことが可能です。
港区の高単価戦略と差別化のポイント
港区で民泊を成功させるには、高単価設定と差別化が不可欠です。以下のような戦略が有効です:
【高単価設定のポイント】
- ターゲット: 外国人ビジネスマン、富裕層観光客
- 1泊15,000〜30,000円の価格帯を狙う
- 六本木、赤坂、麻布、青山エリアが有利
【差別化のポイント】
- Wi-Fi・ワークスペースの充実: リモートワーク需要に対応
- 英語対応の徹底: 案内文書、コミュニケーション
- 高級家具・家電の導入: バルミューダ、ダイソン等のブランド家電
- アメニティの充実: ホテル並みのアメニティ
- アクセスの良さ: 駅徒歩5分以内
港区の民泊市場は競争が激しいため、平均単価15,000円以下での勝負は避け、20,000円以上の高単価帯を狙うことが採算確保の鍵となります。
関連記事: 民泊 赤字では、赤字に陥る原因と対策を詳しく解説しています。
民泊を継続すべきか撤退すべきか?判断基準
継続・撤退の判断フローチャート
港区で民泊を運営中、または これから始めようとしている方向けに、継続・撤退の判断フローチャートを作成しました(2025年1月時点)。
【判断フローチャート】
スタート
↓
【質問1】現在の営業形態は?
├─ 家主居住型(180日営業可能)
│ ↓
│ 【質問2】年間稼働率は50%以上?
│ ├─ YES → 【継続推奨】高単価戦略で収益最大化を目指す
│ └─ NO → 【質問3】へ
│
└─ 家主不在型(60日のみ営業可能)
↓
【質問3】年間収支は黒字?
├─ YES → 【継続可能】ただし利益率は低い
└─ NO → 【質問4】へ
【質問4】旅館業(簡易宿所)への転換は可能?
├─ YES(用途地域・設備がクリア)
│ ↓
│ 【検討】年中無休営業が可能に(初期投資100万円〜)
│
└─ NO(住居系地域で転換困難)
↓
【質問5】物件は賃貸?所有?
├─ 賃貸 → 【撤退推奨】原状回復費用を最小化
└─ 所有 → 【売却検討】民泊物件専門の買取サービス利用
【撤退の場合】
↓
「現況渡しOK」の買取サービスを利用
↓
最短3営業日で成約、原状回復費用0円
↓
ゴール:スムーズな撤退完了
このフローチャートに従って、ご自身の状況を客観的に判断してください。
売却・買取サービスの活用(現況渡しOK)
民泊からの撤退を決断した場合、売却・買取サービスの活用がおすすめです。特に、「現況渡しOK」の買取サービスを利用すれば、以下のメリットがあります:
【現況渡しOK買取のメリット】
- 原状回復費用が不要
- 通常、賃貸物件の民泊撤退では50万円以上の原状回復費用がかかる
- 買取サービスなら家具・設備をそのまま引き渡しOK
- 最短3営業日での成約
- 通常の仲介売却だと3〜6ヶ月かかる
- 買取なら最短3営業日で現金化
- 1Rから5棟一括まで対応
- 小規模物件から、複数棟まとめての買取も可能
- 撤退手続きのサポート
- 住宅宿泊事業の廃止届の提出サポート
- 予約済みゲストのキャンセル対応アドバイス
【こんな方におすすめ】
- 家主不在型で赤字が続いている
- 原状回復費用を支払う余裕がない
- 早急に民泊から撤退したい
- 他の事業に資金を振り向けたい
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最短3営業日での成約、現況渡しOK、1Rから5棟一括まで対応
旅館業(簡易宿所)への転換という選択肢
港区で民泊の営業日数制限(60日)に苦しんでいる場合、旅館業法に基づく「簡易宿所」への転換という選択肢もあります。
【簡易宿所のメリット】
- 年中無休での営業が可能(営業日数制限なし)
- 住宅宿泊事業法の上乗せ条例の対象外
【簡易宿所のデメリット・ハードル】
- 用途地域の制限
- 住居系地域では許可が下りない場合が多い
- 商業地域、近隣商業地域等でのみ可能
- 設備基準が厳しい
- フロント設置(または代替措置)
- 消防設備の強化(自動火災報知設備等)
- 客室面積基準(33㎡以上等)
- 初期投資が高額
- 設備改修で100万円〜300万円かかる場合も
- 保健所の営業許可が必要
- 申請から許可まで1〜2ヶ月
港区の場合、六本木や赤坂などの商業エリアであれば簡易宿所への転換も検討の余地がありますが、住居系地域での転換は極めて困難です。転換を検討する場合は、事前にみなと保健所に相談することをおすすめします。
関連記事: 簡易宿所で、旅館業許可の取得方法を詳しく解説しています。
まとめ:港区での民泊成功のカギ
港区で民泊事業を成功させるには、以下のポイントを押さえることが不可欠です(2025年1月時点):
【港区民泊の成功ポイント】
- 家主居住型での届出が大前提
- 家主不在型(60日制限)では採算確保が極めて困難
- 家主居住型なら180日営業可能で黒字化の可能性あり
- 高単価戦略の徹底
- 1泊20,000円以上の価格帯を狙う
- 六本木、赤坂、麻布、青山エリアが有利
- 差別化でリピーター獲得
- ワークスペース、高級家電、英語対応の徹底
- 撤退判断も重要な経営判断
- 赤字が続く場合は早期撤退を検討
- 「現況渡しOK」の買取サービスで原状回復費用0円
特に、家主不在型で既に赤字が続いている方は、早急に撤退または家主居住型への切替(物件住み替え等)を検討してください。港区の上乗せ条例は今後も緩和される見込みが薄く、現状のまま続けてもさらなる赤字の拡大が予想されます。
撤退を決断された方は、ぜひ以下のサービスをご活用ください:
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民泊事業の継続・撤退判断は、今後の収益に大きく影響します。本記事を参考に、ご自身の状況を冷静に分析し、最適な選択をしてください。
【参考情報・引用元】
- 港区公式HP – 住宅宿泊事業(民泊)を行う皆様へ
- 港区住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例
- 国土交通省 – 住宅宿泊事業法(民泊新法)ガイドライン
- 民泊制度ポータルサイト(観光庁・厚生労働省・国土交通省)
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