
港区で民泊を運営しているオーナーのなかには、「思ったより稼げない」「毎月赤字が続いている」という悩みを抱えている方が少なくありません。その背景にあるのが、港区独自の上乗せ条例による厳しい営業日数制限です。民泊新法(住宅宿泊事業法)では年間180日まで営業が認められていますが、港区の条例によって住居専用地域や文教地区の家主不在型民泊は、実質年間約60日しか営業できないケースがあります。つまり、港区で民泊を運営しているだけで、他の地域より収益機会が大幅に制限されているのです。
また、民泊物件を相続したものの、どう扱えばよいかわからないというケースも増えています。まず自分の物件の現状を正確に把握し、そのうえで「継続すべきか、手放すべきか」を冷静に判断することが重要です。この記事では、港区独自の条例規制の詳細から採算性の検証、撤退を検討すべきタイミング、そして売却・買取の出口戦略まで、港区民泊オーナーに必要な情報を体系的にまとめました。ぜひ判断の材料としてご活用ください。
なお、民泊撤退全般の基礎知識については「民泊 撤退 完全ガイド」もあわせてご参照ください。
港区の民泊条例を正確に理解しよう|家主不在型と居住型の決定的な差

港区の上乗せ条例による家主不在型の営業制限(年間約60日)
まず把握しておくべきは、港区の民泊はエリアと運営形態によって年間60日しか営業できない場合があるという点です。港区は「港区住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例」(条例全文はこちら)を独自に制定しており、家主不在型の民泊について特定の区域・期間において営業を制限しています(港区公式サイト「住宅宿泊事業(民泊)を行う皆様へ」参照)。さらに、この制限は「住んでいない間だけ貸す」という典型的な民泊ビジネスモデルに直撃する内容になっています。
制限の対象となる区域(家主不在型のみ):
- 第一種低層住居専用地域
- 第二種低層住居専用地域
- 第一種中高層住居専用地域
- 第二種中高層住居専用地域
- 文教地区(一部)
上記の区域では、以下の期間のみ営業が認められ、それ以外の期間はたとえ予約が入っていても営業禁止となります。
| 営業可能期間 | 日数の目安 |
| 1月11日正午 〜 3月20日正午 | 約68日 |
| ※残りの約297日間は営業禁止 | — |
つまり、年間約60〜68日のみしか営業できないため、民泊新法の上限180日と比べると約3分の1以下の営業機会しかありません。また、港区の用途地域は地域ごとに細かく異なり、同じマンション内でも階数や位置によって対象区域かどうかが変わる場合があります。そのため、自分の物件がどの区域に該当するかは、港区の窓口または条例全文で必ず事前に確認しておきましょう。
家主居住型なら180日営業OK|二つの運営形態を比較表で整理
「自分が住んでいるかどうか」——この一点だけで、港区での民泊収益は最大3倍近く変わります。家主居住型の場合は港区内全域で年間180日の営業が可能であるため、採算が格段に取りやすくなります。一方で、家主不在型かつ住居専用地域に物件がある場合は、年間わずか60〜68日という制約の中で収益を上げなければなりません。
| 比較項目 | 家主居住型 | 家主不在型(制限区域) |
| 年間最大営業日数 | 180日 | 約60〜68日 |
| 制限区域の有無 | なし(港区全域で180日可) | あり(住居専用・文教地区) |
| 届出の要件 | 住宅宿泊事業届出 | 同左+近隣説明義務あり |
| 採算の取りやすさ | ◎ | △(高単価設定が必須) |
さらに注意すべき点として、家主不在型で届出を行う場合には、隣接住戸の住民や町会・自治会、マンション管理組合への事前説明義務も課されています。これは通常の不動産賃貸にはない手間とコストであり、見落としがちなデメリットです。東京23区全体の民泊規制については「東京 民泊 規制|23区別の上乗せ条例まとめ」で区ごとの違いを一覧で確認できます。
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港区民泊の採算性シミュレーション|年間60日制限でも黒字にできるか

家主不在型(年60日)の年間収支モデル
次に、実際の収支を数字で確認してみましょう。港区・1LDK・家賃15万円という標準的なモデルで、家主不在型(年60日制限)の年間収支を試算すると、以下のような結果になります。
【収支シミュレーション:家主不在型・制限区域の場合】
| 項目 | 金額 |
| 宿泊単価(1泊あたり) | 20,000円 |
| 稼働日数(60日×稼働率60%) | 36日 |
| 年間収入 | 720,000円 |
| 家賃(15万円×12ヶ月) | ▲1,800,000円 |
| 管理委託費(収入の15%) | ▲108,000円 |
| OTA手数料(収入の15%) | ▲108,000円 |
| 清掃・消耗品費 | ▲120,000円 |
| 年間支出合計 | ▲2,136,000円 |
| 年間収支 | ▲1,416,000円(月平均▲118,000円) |
※出典:港区内民泊運営の平均的な収支モデル(StayExit調べ)
このモデルでは月10万円超の赤字が常態化します。「稼働率が上がれば改善できるのでは」と考えたくなりますが、そもそも年間60日しか営業できないため、仮に稼働率100%(60日フル稼働)でも年間売上は120万円にとどまり、家賃だけで年間180万円かかる計算になります。したがって、構造的に赤字から抜け出せないのが、家主不在型・制限区域の民泊の現実です。
黒字化するための条件と現実的なハードル
一方で、港区のプレミアムな立地を最大限に活かせば、黒字化がまったく不可能というわけではありません。たとえば、以下の条件がすべてそろった場合には、限られた営業日数でも収益を出せる可能性があります。
黒字化に必要な3つの条件:
- 1泊単価3万円超を安定的に確保できる — 六本木・麻布・赤坂エリアで、外国人富裕層やビジネストラベラー向けに高付加価値なサービスを提供できる物件であること
- 稼働率80%以上を維持できる — Airbnbなどのプラットフォームで高評価を獲得し、繁忙期の予約を確実に埋め続けられること
- 家賃が低水準に抑えられている — 月10万円以下の家賃であれば、60日営業でも損益分岐点を超えやすくなること
さらに、エリアによっても収益ポテンシャルには大きな差があります。六本木・赤坂・麻布といった国際的なエリアでは外国人富裕層の需要が強い一方で、白金・高輪・芝浦・港南などの住宅エリアでは、高単価設定でも稼働率を維持するのが難しい傾向があります。つまり、「港区だから稼げる」という単純な話ではなく、具体的な物件のエリアと単価設定が黒字化の鍵を握っています。赤字経営の深刻さをより詳しく知りたい方は「民泊 赤字|原因・対策・損切りタイミングを解説」も参考にしてください。
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港区民泊の撤退を検討すべき3つのサイン
撤退判断の3基準|赤字額・稼働率・条例強化リスク
「もう少し続けてみよう」という気持ちはよく理解できます。しかし、民泊は赤字を放置するほど損失が雪だるま式に膨らむビジネス構造です。そのため、早めに撤退を判断するほど損失を最小化できます。以下の3つのサインに当てはまる場合には、撤退を真剣に検討するタイミングです。
撤退を検討すべき3つのサイン(チェックリスト):
- ☐ 月間赤字が3万円超で、3ヶ月以上改善の見込みがない — 年換算で36万円以上の損失になります。手を打たなければ損失は拡大し続けます
- ☐ 稼働率が40%以下の状態が3ヶ月以上続いている — 需要低下・競合増加のシグナルです。単発の閑散期ではなく、構造的な問題の可能性が高まっています
- ☐ 条例強化や規制変更が見込まれる状況にある — 営業可能日数がさらに減少するリスクがあり、将来の収益性はさらに悪化するおそれがあります
実際のところ、観光庁「住宅宿泊事業の届出状況」(2024年11月時点)によると、累計届出件数57,512件のうち廃業件数は20,661件にのぼり、廃業率は約36% に達しています。民泊からの撤退はすでに多くのオーナーが選択しており、決して特殊なケースではありません。
条例強化リスク|東京23区の規制強化トレンドと港区への影響
東京23区では現在、民泊に対する規制強化の動きが着実に広がっています。まず、豊島区では2024年以降に届出件数が急増し、近隣トラブルへの対応として条例改正の議論が進んでいます。さらに、墨田区では民泊への苦情件数が2022年度の26件から2024年度には70件超に急増し、規制強化を検討中です(東京新聞、2025年報道)。加えて、港区もこうした23区全体の動向と無縁ではなく、今後さらなる営業日数制限が課される可能性を専門家は指摘しています。
「待てば状況が改善するかもしれない」という期待は理解できますが、一方で「待てば規制がさらに厳しくなるかもしれない」というリスクも同時に存在しています。現在の年間約60日制限がさらに短縮されれば、採算性は一層悪化します。したがって、撤退を選ぶなら早期判断が損失最小化につながるという点は、ぜひ頭に入れておいてください。
港区での民泊継続か撤退かでお悩みの場合は、専門業者への相談も有効な選択肢です。 StayExitでは買取・借上げ・仲介の3つの方法から、物件の状況に合わせた最適なプランをご提案しています。
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港区の民泊を売却・買取してもらう方法と相場感
港区民泊の売却相場|条例規制物件は市場価格の70〜80%が目安
港区の民泊物件を売却する場合、相場は通常の中古マンション市場価格の70〜80%が目安となります。この価格帯になる主な理由は2点あります。まず、条例による年間60日制限のため投資対象としての魅力が通常物件より低く評価される点です。次に、消防設備の設置や簡易宿所仕様の内装が、通常の居住用として転用する際にコストとなる場合があるという点です。ただし、民泊専門業者に依頼した場合は、これらの設備をプラス材料として評価してくれるため、一般不動産業者への売却より有利な条件になることもあります。
エリア別の相場目安は以下の通りです。
| エリア | 民泊買取相場の目安 | 特徴 |
| 六本木・麻布 | 市場価格の75〜85% | インバウンド需要が高く、民泊としての価値が評価されやすい |
| 赤坂・青山 | 市場価格の75〜80% | 外国人ビジネス需要があり、比較的売りやすい |
| 白金・高輪 | 市場価格の65〜75% | 住宅エリアで民泊需要が低く、相場はやや下がりやすい |
| 港南・芝浦 | 市場価格の65〜75% | 再販難易度がやや高く、売却に時間がかかる場合がある |
港区の民泊買取相場と業者の選び方の詳細は「港区 民泊 買取|相場・業者選び・最短3日売却」で解説しています。
買取・仲介・借上げの3つの出口戦略を比較
港区の民泊物件を手放す方法は大きく3つあります。それぞれの特徴を理解したうえで、自分の状況に合った方法を選ぶことが重要です。
| 方法 | 成約スピード | 売却価格の目安 | 原状回復 | こんな方に向いている |
| 買取 | 最短3営業日 | 市場価格の70〜80% | 不要 | すぐに解決したい・赤字を早く止めたい方 |
| 仲介 | 3〜6ヶ月 | 市場価格の90%前後 | 必要な場合あり | 時間をかけてでも高値で売りたい方 |
| 借上げ | 即日〜1ヶ月 | 毎月の安定した賃料収入 | 不要 | 民泊は止めつつ継続収入を確保したい方 |
なかでも民泊専門業者への買取が有利な理由として特筆すべき点があります。消防設備や民泊仕様の内装・家具家電を「そのまま活用できる価値ある設備」として査定してくれるため、一般の不動産業者と比べて適正な査定額が期待できます。さらに、原状回復費用(一般的に50〜150万円)を負担せず現況のまま売却できるため、手取り金額は買取価格の数字以上になるケースがほとんどです。つまり、「買取価格が低い」というイメージとは逆に、トータルコストで見れば買取が最もコスパの高い選択になることがよくあります。
港区の民泊売却方法と失敗を避けるためのポイントは「港区 民泊 売却|条例規制物件の相場と高値売却の準備」でも詳しく紹介しています。
まとめ|港区民泊オーナーが今すぐ確認すべき3つのアクション

この記事では、港区の民泊事情を規制・採算・撤退の3つの軸で整理してきました。最後に、要点と状況別のアクションをまとめます。
【この記事のポイント】
- 港区の上乗せ条例により、家主不在型は住居専用地域・文教地区で年間約60日しか営業できない
- 年間60日制限では家賃・管理費などの固定費を回収できず、月数万円〜十数万円の赤字が常態化しやすい
- 稼働率40%以下・月赤字3万円超が3ヶ月以上続く場合は、撤退の目安として検討を始めるべきタイミング
- 東京23区の規制強化トレンドを踏まえれば、撤退するなら早期判断が損失最小化につながる
- 民泊専門業者への買取なら最短3営業日・現況渡し・原状回復不要で売却が可能
【あなたの状況に合わせたアクション】
「まだ様子を見たい」方は、まず自分の物件の年間収支をシミュレーションし直してみてください。家賃・管理費・OTA手数料・清掃費の合計支出と実際の年間収入を比較すれば、損益分岐点が明確になります。そのうえで「あと何日稼働すれば黒字になるか」を逆算することで、継続すべきかどうかの判断が客観的にできます。
「撤退を検討している」方は、いきなり売却先を決める前に、まず無料査定で相場感を確認するのがおすすめです。実際の買取価格や借上げ条件を複数社で比較したうえで判断するほうが、後悔のない選択につながります。
「即撤退を決めた」方は、民泊専門業者に連絡するだけでOKです。条例規制のある港区の物件でも積極的に対応している業者であれば、最短3営業日で問題を解決できます。
港区の民泊撤退・売却でお困りの際は、StayExitの無料査定をご利用ください。 条例規制のある港区の物件も積極対応。最短3営業日で成約、現況渡しOK、1Rから5棟一括まで対応しています。
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免責事項
本記事の情報は2025年12月時点のものです。港区の民泊条例・規制内容・市場状況は変動する可能性がありますので、最新情報は港区公式サイトおよび関係機関にてご確認ください。本記事の内容は情報提供を目的としており、特定の売却・投資行動を推奨するものではありません。
