マンションで民泊を運営しているものの、稼働率の低下や法規制の強化、管理組合からの指摘などで売却を検討している方へ。「マンション民泊売却」には、仲介・買取・M&A/オーナーチェンジの3つの方法があり、それぞれ売却期間や価格、手続きの複雑さが異なります。本記事では、売却方法の選び方から具体的な手順、注意点、税金・費用まで、マンション民泊の売却で失敗しないための情報を徹底解説します。
マンション民泊売却の3つの方法と選び方
【方法①】仲介売却|高値を狙うなら
対象物件: 好立地・高稼働率・管理組合の承認あり・適法運営
仲介売却は、不動産仲介会社を通じて買主を探す最も一般的な売却方法です。東京23区内の駅徒歩5分以内、稼働率70%以上、管理規約で民泊が許可されている物件であれば、市場価格の90~110%での売却が期待できます。
メリット: 最高値での売却が可能、複数の買主候補から選べる
デメリット: 売却まで3~6ヶ月程度かかる、内見対応や価格交渉の手間がかかる
売却期間: 3~6ヶ月
売却価格: 市場価格の90~110%
【方法②】買取|スピード重視なら
対象物件: 早期売却希望・稼働率30~60%・築年数やや古い
買取は、不動産買取業者が直接買主となる方法です。買主を探す必要がないため、最短1~2週間で現金化が可能です。特に民泊専門の買取業者であれば、管理組合とのトラブルや稼働率低下など、一般の仲介では売却困難な物件でも対応可能です。
メリット: 最短1~2週間で現金化、内見対応不要、現況渡しOK
デメリット: 売却価格が市場価格の70~85%と低い
売却期間: 1~2ヶ月(最短1~2週間)
売却価格: 市場価格の70~85%
【方法③】M&A/オーナーチェンジ|事業ごと売却するなら
対象物件: 高稼働率・安定収益・事業価値が高い
M&A/オーナーチェンジは、物件だけでなく民泊事業そのもの(予約サイトの評価、既存予約、清掃業者契約など)を買主に引き継ぐ方法です。稼働率が高く、安定した収益を上げている物件であれば、不動産価値だけでなく事業価値も評価されるため、仲介売却よりも高値での売却が期待できます。
メリット: 事業価値が上乗せされ高値売却が可能、既存予約をキャンセルせず引き継げる
デメリット: 買主が限定される(民泊運営者または投資家)、手続きが複雑
売却期間: 3~6ヶ月
売却価格: 市場価格の100~120%(事業価値込み)
売却方法の選び方フローチャート:
| 物件状況 | 最適な売却方法 |
|---|---|
| 好立地・高稼働率(70%以上)・管理組合承認あり | 仲介売却 |
| 早期売却希望・稼働率30~60%・トラブルなし | 買取 |
| 高稼働率・安定収益・事業価値が高い | M&A/オーナーチェンジ |
| 管理組合トラブル・赤字運営・条例違反 | 買取(撤退支援サービス) |
不動産流通推進センターによると、仲介売却の平均成約期間は3~6ヶ月ですが、買取では1~2ヶ月程度で完了します。売却スピードと価格のバランスを考慮し、自分の物件状況に最適な方法を選びましょう。
民泊買取について詳しく知りたい方は、[民泊買取の完全ガイド]もご参照ください。
マンション民泊売却の具体的な手順
マンション民泊の売却は、大きく3つのステップに分けられます。ここでは、仲介売却を前提とした基本的な流れを解説します。
ステップ①事前準備(管理規約・営業許可の確認)
所要期間: 1週間程度
売却を開始する前に、以下の項目を確認しましょう。
1. 管理規約の民泊可否確認
区分マンションでは、管理規約で民泊の可否が定められています。国土交通省の「マンション標準管理規約」では、民泊を許可する場合と禁止する場合のひな型が示されており、多くの分譲マンションでは管理規約で民泊を禁止しています。売却前に必ず管理組合に確認し、管理規約の該当部分のコピーを入手しておきましょう。
2. 営業許可の確認
民泊の営業許可には、旅館業法(簡易宿所)と住宅宿泊事業法(民泊新法)の2種類があります。どちらの許可で運営しているかを確認し、許可証・届出証明書のコピーを準備します。
3. 必要書類の準備
以下の書類を準備しておくと、査定や売却活動がスムーズに進みます。
- 登記簿謄本(法務局で取得、3ヶ月以内のもの)
- マンション管理規約・使用細則
- 固定資産税納税通知書
- 営業許可証または届出証明書
- 宿泊者名簿・運営実績データ(直近6ヶ月~1年分)
- 購入時の売買契約書・重要事項説明書
ステップ②査定・売却活動(業者選び・価格設定)
所要期間: 1~2ヶ月
1. 複数業者への査定依頼
民泊物件の査定に強い不動産会社または民泊専門業者に査定を依頼します。最低3社に依頼し、査定額だけでなく、査定根拠や売却戦略も比較しましょう。民泊専門業者は、稼働率や予約サイトの評価など、民泊特有の事業価値も考慮して査定してくれます。
2. 売出価格の設定
査定額を参考に売出価格を設定します。高値売却を狙う場合は市場価格の105~110%、早期売却を優先する場合は市場価格の95~100%が目安です。
3. 売却活動の開始
不動産ポータルサイトへの掲載、内見対応、価格交渉などを行います。民泊物件の場合、「民泊運営可能」「高稼働率実績あり」「予約サイト高評価」などをアピールポイントとして訴求すると、民泊運営希望者や投資家からの反応が高まります。
ステップ③契約・引き渡し(名義変更・引継ぎ)
所要期間: 2週間~1ヶ月
1. 売買契約の締結
買主が決まったら、売買契約を締結します。契約時には手付金(売買価格の5~10%)を受け取ります。
2. 営業許可の名義変更
旅館業法の場合は、買主が新たに許可申請を行う必要があります。民泊新法の場合は、届出内容の変更手続きを行います。名義変更には2~4週間程度かかるため、引き渡し日から逆算して手続きを開始しましょう。
3. 既存予約・契約の引継ぎ
既存の宿泊予約がある場合、買主に引き継ぐか、キャンセルするかを契約書で明確にします。オーナーチェンジの場合、予約サイトのアカウント、清掃業者契約、Wi-Fiなどの設備契約も買主に引き継ぎます。
4. 残代金の受領と物件引き渡し
残代金を受領し、所有権移転登記を行い、物件を引き渡します。鍵や設備の取扱説明書、宿泊者名簿なども引き渡しましょう。
売却手続きでお困りの際は、民泊専門業者への相談も選択肢の一つです。StayExitでは、営業許可の名義変更や既存予約の引継ぎもワンストップでサポートしています。
マンション民泊売却の注意点と必要書類
マンション民泊の売却には、通常の不動産売却にはない特有の注意点があります。トラブルを避けるため、以下の3点を必ず確認しましょう。
【注意点①】管理規約の民泊可否確認
区分マンションでは、管理規約で民泊が禁止されている場合、買主が民泊を継続できません。国土交通省の調査によると、分譲マンションの約80%が管理規約で民泊を禁止しており、この場合、民泊運営希望者には売却できず、一般の居住用として売却する必要があります。
対処法:
- 売却前に管理組合に民泊の可否を確認し、書面で回答を得る
- 管理規約で民泊が禁止されている場合、居住用として売却するか、買取業者に相談する
- 管理規約がグレーゾーンの場合、管理組合と交渉し、民泊許可の追加を検討する
【注意点②】営業許可の名義変更対応
民泊の営業許可は、物件所有者の名義で登録されています。売却後に買主が民泊を継続する場合、営業許可の名義変更または再取得が必要です。
旅館業法(簡易宿所)の場合:
- 所有者が変わると自動的に許可が失効するため、買主が新規に許可申請を行う必要がある
- 許可取得まで2~4週間程度かかるため、その間は営業できない
民泊新法(住宅宿泊事業)の場合:
- 届出内容の変更手続きを行う(所有者名義の変更)
- 手続き完了まで1~2週間程度
売買契約時に、営業許可の名義変更手続きを誰が行うか(売主 or 買主)、手続き期間中の営業停止による損失をどう扱うかを明確にしましょう。
【注意点③】既存予約・契約の引継ぎ
売却時に既存の宿泊予約がある場合、以下のいずれかの対応が必要です。
パターン①既存予約を買主に引き継ぐ
オーナーチェンジの場合、予約サイトのアカウント、清掃業者契約、Wi-Fi契約なども買主に引き継ぎます。予約サイトのゲストに対して、オーナー変更の通知を行い、トラブルを避けましょう。
パターン②既存予約をキャンセルする
買主が民泊を継続しない場合、既存予約をすべてキャンセルします。ゲストへのキャンセル料や代替宿泊先の手配が必要になる場合があり、売買契約でキャンセル費用の負担者を明確にしましょう。
必要書類リスト:
- 登記簿謄本(法務局で取得、3ヶ月以内のもの)
- マンション管理規約・使用細則
- 固定資産税納税通知書
- 営業許可証または届出証明書
- 宿泊者名簿・運営実績データ(直近6ヶ月~1年分)
- 予約サイトのアカウント情報(ID・パスワード)
- 清掃業者契約書・Wi-Fi契約書
- 購入時の売買契約書・重要事項説明書
- 身分証明書・印鑑証明書
民泊オーナーチェンジの詳細については、[民泊オーナーチェンジの完全ガイド]で詳しく解説しています。
マンション民泊売却にかかる税金と費用
マンション民泊を売却する際には、譲渡所得税をはじめとする税金と、仲介手数料などの費用がかかります。売却後の手取り額を正確に把握するため、以下の内容を確認しましょう。
税金①譲渡所得税(短期譲渡・長期譲渡の違い)
不動産を売却して利益が出た場合、譲渡所得税が課税されます。国税庁によると、所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得として税率30%(所得税30%、住民税9%)、5年超の場合は長期譲渡所得として税率20%(所得税15%、住民税5%)が適用されます。
譲渡所得の計算式:
譲渡所得 = 売却価格 - (取得費 + 譲渡費用)
取得費: 購入価格、購入時の仲介手数料、登録免許税、不動産取得税など
譲渡費用: 売却時の仲介手数料、印紙税、測量費、解体費など
具体例:
- 売却価格: 3,000万円
- 取得費: 2,500万円(購入価格2,400万円+諸費用100万円)
- 譲渡費用: 100万円(仲介手数料など)
- 譲渡所得: 3,000万円 – 2,500万円 – 100万円 = 400万円
短期譲渡(所有期間5年以下): 400万円 × 39% = 156万円
長期譲渡(所有期間5年超): 400万円 × 20% = 80万円
居住用特例(3,000万円控除)の適用可否
居住用不動産を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例がありますが、民泊物件は「事業用不動産」とみなされるため、原則として適用されません。ただし、住宅の一部を民泊に利用していた場合や、民泊廃業後に一定期間居住していた場合は、適用される可能性があります。詳細は税理士または税務署に確認しましょう。
税金②その他の税金(印紙税・登録免許税)
印紙税
売買契約書に貼付する収入印紙の費用です。契約金額により異なります。
- 1,000万円超~5,000万円以下: 2万円(軽減税率適用時1万円)
- 5,000万円超~1億円以下: 6万円(軽減税率適用時3万円)
登録免許税
所有権移転登記の際に課税されます。通常は買主が負担しますが、抵当権抹消登記がある場合は売主負担となります。
- 抵当権抹消登記: 不動産1個につき1,000円
費用(仲介手数料・原状回復費用)
仲介手数料
仲介売却の場合、不動産会社に支払う手数料です。法律で上限が定められています。
- 売却価格 × 3% + 6万円 + 消費税
具体例:
- 売却価格3,000万円の場合: 3,000万円 × 3% + 6万円 = 96万円 + 消費税9.6万円 = 105.6万円
原状回復費用
民泊運営のためにリノベーションや設備設置を行っていた場合、原状回復が必要になるケースがあります。費用は物件の状態により異なりますが、50~150万円程度が目安です。買取や現況渡しの場合、原状回復不要となるケースが多く、この費用を節約できます。
その他の費用:
- 測量費: 50~80万円(境界が不明確な場合)
- 解体費: 100~200万円(建物を解体して売却する場合)
- 引越し費用: 10~30万円
税務処理でお困りの際は、民泊専門業者への相談も有効です。StayExitでは、税理士と連携し、売却後の税務処理もサポートしています。
まとめ|マンション民泊売却は計画的に進めよう
マンション民泊の売却について、本記事の要点を以下にまとめます。
- マンション民泊売却の方法は仲介・買取・M&Aの3つ: 好立地・高稼働率なら仲介で高値売却、早期売却なら買取、事業価値も評価したいならM&A/オーナーチェンジが最適
- 売却手順は事前準備→査定→契約→引き渡しの4ステップ: 管理規約の民泊可否確認と営業許可の名義変更が特に重要。既存予約の扱いも契約書で明確にする
- 税金は譲渡所得税が主: 所有期間5年の区切りで税率が変わる(短期39%、長期20%)。居住用特例(3,000万円控除)は民泊物件には原則適用されないため、税理士に相談し節税対策を講じる
マンション民泊の売却は、通常の不動産売却に比べて管理組合対応や営業許可の名義変更など、手続きが複雑です。物件の状況や優先順位に応じて最適な売却方法を選び、計画的に進めましょう。
マンション民泊の売却でお悩みの際は、StayExitの無料査定をご利用ください。最短3営業日での成約、営業許可の名義変更サポート、税務処理まで一括対応可能です。
免責事項:
本記事の情報は2026年1月時点のものです。法律・条例・市場状況は変動する可能性がありますので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。
