京都で民泊を続けるべきか、売却すべきか
京都で民泊を運営されているオーナー様の中には、「年間60日しか営業できず赤字が続いている」「駆けつけ要件の対応で管理費が月5万円も増えた」「無届で営業していたら営業停止命令を受けた」「京町家を民泊にしているが、規制が厳しくて買い手が見つかるか心配」といった悩みを抱えている方が少なくありません。
京都市は、全国でも最も厳格な民泊規制を設けている自治体の一つです。オーバーツーリズムによる地域住民の生活環境悪化、ゴミ・騒音・キャリーバッグ音などのトラブル増加を背景に、2018年に「民泊施設の適正運営に関する条例」を施行し、2019年以降も段階的に規制を強化してきました。
現在、京都市の約70%を占める住居専用地域では、年間営業日数が60日に制限され、規制前の1/3の期間しか営業できません。また、緊急時に10分以内に現地駆けつけできる体制整備が義務付けられ、管理会社に委託する場合は月5万円〜10万円のコスト増となります。
こうした規制により、収益性が大幅に悪化し、売却を検討されるオーナー様が増えています。本記事では、京都市の民泊規制の具体的内容、規制が収益性に与える影響のシミュレーション、規制対応コストと売却の損益分岐点、エリア別の規制厳格度、規制下での売却方法まで詳しく解説します。
京都市の民泊規制の内容と全国との比較
京都市の民泊規制は、住宅宿泊事業法(民泊新法)に加え、独自の条例「民泊施設の適正運営に関する条例」を組み合わせることで、全国でも最も厳しい規制体系となっています。
住居専用地域での年間営業日数60日制限
京都市では、住居専用地域(第一種・第二種低層住居専用地域、第一種・第二種中高層住居専用地域)において、民泊の営業日数が年間60日に制限されています。
営業可能期間
- 1月15日〜3月15日(60日間)
- 3月15日〜7月15日(122日間)のうち60日間
注意: 上記2期間の合計ではなく、年間通算で60日が上限です。
影響
- 京都市の約70%が住居専用地域に該当するため、大半の民泊物件が対象
- 住宅宿泊事業法の年間180日制限よりもさらに厳しい
- 規制前に年間180日営業していた物件は、営業日数が1/3に減少
- 年間売上も1/3に減少するケースが多い
駆けつけ要件(10分以内の対応義務)
緊急時(トラブル・事故・苦情)に、10分以内に現地に駆けつけられる体制整備が義務付けられています。
対応方法
- 管理会社委託: 月5万円〜10万円のコスト(年間60万円〜120万円)
- 自社対応: 24時間365日待機できる人員配置が必要、実質的に正社員雇用(年間300万円〜)
影響
- 遠方在住のオーナーは実質的に管理会社委託が必須
- 複数物件を運営している場合、固定費が大幅に増加
標識掲示義務と近隣住民への説明
標識掲示義務
- 届出番号を記載した標識を物件の見やすい場所に掲示
- 民泊であることが一目で分かるため、近隣住民の監視が厳しくなる
近隣住民への事前説明義務
- 届出前に、近隣住民に対して民泊運営の計画を説明
- 反対意見が出た場合、トラブル予防策を講じる必要がある
規制違反の罰則
無届営業
- 50万円以下の罰金
- 営業停止命令
- プラットフォーム(Airbnb・Booking.comなど)への通報で掲載削除
届出事項虚偽
- 30万円以下の罰金
立入調査
- 京都市は民泊の立入調査を積極的に実施(年間数百件)
- 通報があった物件は優先的に調査対象
全国主要都市との規制比較
| 都市 | 住居専用地域の営業日数制限 | 駆けつけ要件 | 規制の厳しさ |
| 京都市 | 年間60日 | 10分以内 | ★★★★★(最も厳しい) |
| 大阪市 | 年間180日(制限なし) | 駆けつけ要件なし | ★★(緩やか) |
| 東京都 | 年間180日(制限なし) | 駆けつけ要件なし | ★★★(標準的) |
京都市の規制は、全国主要都市と比較しても圧倒的に厳しいことが分かります。
民泊規制が厳しいエリアでの撤退については、民泊 撤退 理由で全国的な傾向を整理しています。
京都の民泊規制が収益性に与える影響(シミュレーション)
京都市の年間60日制限と駆けつけ要件が、民泊の収益性にどれほどの影響を与えるか、具体的な数値でシミュレーションしてみましょう。
年間営業日数60日制限での収益試算
前提条件
- 物件: 京都市中京区の住居専用地域、マンション1室(1LDK)
- 宿泊単価: 1.5万円/泊
- 稼働率: 70%(営業可能日数の70%)
- 固定費(規制前): 管理費5万円/月、光熱費・通信費1万円/月、固定資産税12万円/年 = 年間84万円
- 固定費(規制後): 上記+駆けつけ要件対応(管理会社委託)5万円/月 = 年間144万円
規制前(年間180日営業)
- 営業可能日数: 180日
- 実稼働日数: 180日×70% = 126日
- 年間売上: 1.5万円×126日 = 189万円
- 年間固定費: 84万円
- 年間利益: 189万円−84万円 = 105万円
規制後(年間60日営業)
- 営業可能日数: 60日
- 実稼働日数: 60日×70% = 42日
- 年間売上: 1.5万円×42日 = 63万円
- 年間固定費: 144万円(駆けつけ要件対応含む)
- 年間利益: 63万円−144万円 = ▲81万円(赤字)
結論: 規制により、年間105万円の黒字から81万円の赤字に転落。年間186万円の収益悪化。
駆けつけ要件対応コストの実態
管理会社委託の場合
- 月額費用: 5万円〜10万円
- 年間費用: 60万円〜120万円
- サービス内容: 24時間緊急対応、トラブル対応、近隣クレーム対応、鍵の受け渡し
自社対応の場合
- 24時間365日待機できる人員配置が必要
- 正社員雇用の場合: 年間人件費300万円〜
- 遠方在住のオーナーは実質不可能
複数物件運営の場合
- 2室運営: 年間120万円〜240万円
- 5室運営: 年間300万円〜600万円
- 固定費の増加が経営を圧迫
規制対応vs売却の損益分岐点
上記シミュレーションの物件(年間81万円赤字)の場合、損益分岐点を試算してみます。
5年間規制対応を続けた場合
- 累積赤字: 81万円×5年 = 405万円
売却した場合(買取)
- 物件の市場相場: 2,000万円(仮定)
- 買取価格: 市場相場の75% = 1,500万円
- 残債: 1,200万円(仮定)
- 手元に残る現金: 1,500万円−1,200万円 = 300万円
判断
- 5年間規制対応: 累積赤字405万円
- 売却: 手元現金300万円
- 差額: 705万円(売却の方が有利)
この試算から、規制対応で赤字が続く場合、早期売却の方が経済的に合理的であることが分かります。
民泊の収益性悪化による撤退については、民泊 撤退 方法で選択肢を整理しています。
京都のエリア別・用途地域別の規制厳格度
京都市は広域で、エリアによって用途地域と規制の厳しさが異なります。自分の物件がどの規制に該当するか確認しておきましょう。
観光地エリア(中京区・下京区・東山区)の規制
特徴
- 京都市の中心部、観光地として最も人気が高いエリア
- 住居専用地域が大半を占め、年間60日制限の物件が多い
- 近隣トラブル(ゴミ・騒音・キャリーバッグ音)の苦情が最も多い
- 京町家民泊が集中(歴史的建造物、景観条例の制約あり)
主な観光地
- 中京区: 二条城、錦市場周辺
- 下京区: 京都駅周辺
- 東山区: 清水寺、祇園、八坂神社周辺(最激戦区)
規制の影響
- 観光需要は根強いが、年間60日制限により収益化が困難
- 京町家は景観条例の制約で改修が困難、売却時の評価に影響
住宅地エリア(左京区・右京区・伏見区)の規制
特徴
- 住宅地色が強く、観光地から離れている
- 住居専用地域が主体、年間60日制限
- 観光客の集客難易度が高い
主な住宅地
- 左京区: 北白川、岩倉、修学院
- 右京区: 太秦、嵯峨(嵐山周辺は例外的に需要あり)
- 伏見区: 伏見稲荷周辺は観光需要あり
規制の影響
- 観光地から離れているため、年間60日の営業日数では集客が困難
- 売却時の評価も厳しい
商業地域・準工業地域の規制
特徴
- 年間180日営業可能(規制が緩やか)
- 京都駅周辺、四条河原町周辺など限定的なエリア
規制の影響
- 規制が緩やかなため、民泊運営を継続しやすい
- 仲介での売却も比較的容易
エリア別規制マップ
| エリア | 主な用途地域 | 営業日数制限 | 特性 | 売却難易度 |
| 中京区 | 住居専用地域 | 60日 | 観光地中心、京町家多い | 高 |
| 下京区 | 住居専用地域 | 60日 | 京都駅周辺、観光需要高い | 中 |
| 東山区 | 住居専用地域 | 60日 | 清水寺・祇園周辺、最激戦区 | 高 |
| 左京区 | 住居専用地域 | 60日 | 住宅地寄り、集客難 | 高 |
| 右京区 | 住居専用地域 | 60日 | 嵐山周辺は需要あり | 中〜高 |
| 商業地域 | 商業地域 | 180日 | 京都駅・四条河原町周辺 | 低 |
確認方法
- 京都市都市計画情報システムで用途地域を確認可能
- 届出時に京都市から通知された営業日数制限を確認
京都で規制下の民泊を売却する方法と相場
京都市の厳格な規制は、民泊物件の売却価格にも大きな影響を与えます。
仲介での売却(規制対応可能物件)
向いている物件
- 商業地域・準工業地域の年間180日営業可能物件
- 築浅・好立地で、規制に対応できる管理体制が整っている物件
- 京町家で歴史的価値が評価される物件
売却価格
- 年間180日営業可能物件: 市場相場の90〜100%
- 年間60日制限物件: 市場相場の70〜85%(収益性が低いため評価が厳しい)
売却期間
- 3ヶ月〜1年以上
注意点
- 年間60日制限物件は、利回り重視の投資家から敬遠されやすい
- 京町家は歴史的価値で評価される一方、改修制約(景観条例・耐震補強)で買い手が限定される
買取での売却(規制対応困難物件)
向いている物件
- 住居専用地域の年間60日制限物件
- 規制違反物件(無届営業・営業停止命令)
- 京町家で改修制約があり、仲介では買い手が見つからない物件
- 早期現金化したい物件
買取価格
- 年間60日制限物件: 市場相場の65〜80%
- 規制違反物件: 市場相場の60〜75%
- 京町家: 2,000万〜8,000万円(立地・改修状況で大きく変動)
売却期間
- 最短3営業日〜1ヶ月
メリット
- 現況渡しOK、原状回復不要
- 仲介手数料不要
- 規制違反物件でも対応可能
- 内覧対応・条件交渉の手間が少ない
規制違反物件の売却方法
無届営業・営業停止命令を受けた物件
- 仲介では告知義務があり、買い手が見つかりにくい
- 買取なら現況渡しで対応可能(法的リスクを買取業者が引き継ぐ)
- 営業停止命令後は、速やかに廃業届を提出し、物件処分を進める
対処の流れ
- 営業停止・民泊廃止
- 廃業届提出(京都市役所)
- 買取業者に査定依頼
- 現況渡しで売却
京町家民泊の売却特性
京都には、歴史的建造物である京町家を民泊として活用しているケースが多く見られます。
京町家の特徴
- 伝統的な木造建築、中庭・坪庭・格子戸などの趣
- 景観条例による外観変更制限
- 耐震補強・改修の制約(歴史的価値を損なわない範囲で実施)
- 維持費が高い(瓦屋根・木造建築の修繕費)
売却への影響
- 歴史的価値で評価される一方、改修制約で買い手が限定される
- 京町家ファン、ホテル転用、住居用転用など買主のニーズ次第
- 買取相場: 2,000万〜8,000万円(立地・改修状況・築年数で大きく変動)
買取が向いているケース
- 改修費用が高額で、仲介では買い手が見つからない
- 規制により民泊運営が困難になった
- 遠方在住で管理が困難
売却相場よりも早期売却を優先したい場合は、民泊 買取 相場で買取価格の決まり方を確認しておくと判断材料になります。
中間CTA
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京都の民泊規制下での売却に関するよくある質問
Q1: 京都市の民泊規制は今後さらに厳しくなりますか?
A. 2024年時点で、京都市議会では条例改正の議論が継続しています。オーバーツーリズム問題が深刻化しているため、営業日数のさらなる短縮(年間60日→30日など)や、規制エリアの拡大(商業地域への営業日数制限導入)の可能性があります。規制は強化される方向性が高いため、早期売却を検討する価値があります。
Q2: 規制違反(無届営業)でも売却できますか?
A. 仲介では告知義務があり、規制違反の履歴は買主に伝える必要があります。このため、買い手が見つかりにくく、売却価格も大幅に下がります。一方、買取であれば現況渡しで対応可能です。営業停止命令を受けた場合は、速やかに廃業届を提出し、物件処分を進めることをおすすめします。
Q3: 年間60日制限の物件は売却価格が大きく下がりますか?
A. 年間60日制限の物件は、収益性が低いため、市場相場の70〜85%程度の評価となることが一般的です。買取の場合は65〜80%程度です。利回り重視の投資家からは敬遠されやすく、売却までに時間がかかることも多いため、早期売却を希望する場合は買取も検討する価値があります。
Q4: 京町家民泊は売却しにくいですか?
A. 京町家は歴史的価値で評価される一方、景観条例による改修制約、耐震補強の困難性、維持費の高さなどから、買い手が限定されます。京町家ファン、ホテル運営会社、住居用転用を検討する買主など、ニーズは一定数ありますが、仲介では売却までに1年以上かかることもあります。買取であれば、現況渡しで対応可能です。
Q5: 売却のタイミングはいつがベストですか?
A. 以下のような状況では、早期売却を検討することをおすすめします。
- 規制対応で年間赤字が続いている
- 駆けつけ要件対応のコスト負担が重い
- 規制違反で営業停止命令を受けた
- 京都市の条例改正でさらに規制が厳しくなる前に売却したい
また、相続税の納税期限(10ヶ月)が迫っている場合も、早期売却が有利です。
Q6: 売却せずに規制に対応し続ける選択肢はありますか?
A. 規制に対応し続ける選択肢もあります。ただし、以下のコストと収益性を試算し、損益分岐点を確認することが重要です。
規制対応のコスト
- 駆けつけ要件対応: 年間60万円〜120万円(管理会社委託)
- 年間60日制限での収益悪化
- 固定費(管理費・固定資産税)の継続負担
代替案: 賃貸転用
- 民泊から住居用賃貸、オフィス、店舗への転用も選択肢の一つ
- 京都市の賃貸需要は根強い(大学生・観光業従事者・移住者)
民泊から賃貸転用を検討する場合は、民泊 撤退 方法で選択肢を整理しています。
まとめ
京都市の民泊規制は、全国でもトップクラスの厳しさです。住居専用地域での年間60日制限、10分以内の駆けつけ要件、標識掲示義務により、多くの民泊物件で収益性が大幅に悪化しています。
規制の主な影響
- 年間営業日数が180日→60日に減少(1/3)
- 駆けつけ要件対応で年間60万円〜120万円のコスト増
- 規制前は黒字だった物件が赤字に転落
規制対応vs売却の判断基準
- 規制対応で年間赤字が続く場合、5年以内に売却の方が経済的に合理的なケースが多い
- 規制違反物件、京町家民泊は仲介での売却が困難だが、買取なら対応可能
売却を検討すべきケース
- 年間60日制限で赤字が続いている
- 駆けつけ要件対応のコスト負担が重い
- 規制違反で営業停止命令を受けた
- 京都市の条例改正でさらに規制が厳しくなる前に売却したい
京都市の規制は今後さらに厳しくなる可能性が高いため、早期売却を検討する価値があります。
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免責事項
本記事の情報は2026年1月時点のものです。京都市の民泊条例は変更される可能性がありますので、最新情報は京都市役所「民泊施設の適正運営に関する条例」の公式サイトでご確認ください。
