「戸建て民泊を始めたものの、思うように稼働しない」「赤字が続いて、このまま続けるべきか迷っている」——そんな悩みを抱えているオーナー様は少なくありません。
観光庁のデータによると、民泊事業の約36%が開業後1年以内に廃業しており(出典:観光庁『住宅宿泊事業の届出・廃業状況』2024年12月)、戸建て民泊の撤退は決して特別なことではありません。重要なのは、感情的な判断で損失を拡大させず、冷静に最適な出口戦略を選ぶことです。
本記事では、戸建て民泊の撤退を検討中のオーナー様に向けて、撤退判断の5つのサイン、売却・賃貸転用・廃業という3つの出口戦略の比較、具体的な手続きと費用まで、2026年最新情報で完全解説します。
戸建て民泊を撤退すべき5つのサイン【撤退判断チェックリスト】
戸建て民泊の撤退を考える理由は様々ですが、感情的な判断は損失を拡大させます。以下の5つのサインに3つ以上該当する場合、撤退を具体的に検討すべきタイミングです。観光庁データによると、民泊の約36%が開業後1年以内に廃業しており(2022~2024年)、早期の損切り判断が重要です。
サイン①稼働率30%以下が3ヶ月以上継続
健全な民泊運営の目安は稼働率50%以上とされています。稼働率30%以下が3ヶ月続く場合、立地・価格設定・集客戦略の根本的な見直しが必要です。
特に戸建て民泊の場合、マンションタイプと異なり客室数が少なく、固定費(光熱費・通信費・清掃委託費)の負担が大きいため、低稼働率の影響が深刻になります。「もう少し頑張れば」という気持ちも分かりますが、3ヶ月間データが改善しない場合は、市場からの明確なシグナルと捉えるべきでしょう。
具体例:
- 開業時は稼働率60%だったが、競合物件の増加で現在は25%
- 月20日の空室が常態化し、固定費だけで月10万円の赤字
サイン②月次赤字がローン返済額を超える
月次収支がマイナスで、その赤字額がローン返済額を上回る場合、運営継続は資産を毀損しています。
**例:**月次赤字15万円、ローン返済10万円の場合、赤字の主因が運営コスト(清掃・光熱費・広告費)なら、営業を続けるほど損失が膨らみます。「ローンさえ払えれば」と考えがちですが、赤字幅がローン返済額を超える状況は、事業として成立していない証拠です。
この状態が半年以上続く場合、撤退して資産を守る決断が合理的です。早期に売却や賃貸転用を検討することで、累積赤字の拡大を防ぎ、次の選択肢への資金を確保できます。
サイン③法規制強化で営業日数が半減
2025年以降、全国各地で民泊規制の強化が進んでいます。特に以下のような変更は、収益性に直結します:
- **営業日数制限の厳格化:**年間180日→90日への短縮(京都市・大阪市の一部エリア)
- **住居専用地域での営業禁止:**条例改正により新規届出不可、既存物件も営業継続困難
- **近隣住民同意要件の追加:**一部自治体で、半径50m以内の住民同意が必要に
営業日数が半減すれば、当然収入も半減します。法規制強化のエリアでは、規制に対応するコスト(防音工事・管理体制強化)も発生するため、営業継続が困難なエリアは早期撤退が得策です。
サイン④近隣トラブルが頻発
騒音・ゴミ出しルール違反・無断駐車などで、自治会・町内会・近隣住民からクレームが月1回以上発生している場合、精神的・時間的コストが収益を上回っています。
戸建て民泊は、マンションと異なり地域コミュニティとの距離が近く、トラブルが表面化しやすい特徴があります。近隣トラブルへの対応には以下のような負担が伴います:
- 深夜・早朝のクレーム電話対応
- 自治会への謝罪・説明
- ゲストへの注意喚起(低評価リスク)
- 最悪の場合、営業停止の行政指導
トラブル対応に週5時間以上費やしている場合、本業や家族との時間が犠牲になっており、「副業」の域を超えています。
サイン⑤運営継続の意欲喪失
清掃・問い合わせ対応・トラブル処理に疲弊し、「やめたい」と感じる頻度が増加している場合、これは最も重要な撤退サインです。
- 「予約通知が来るたびに憂鬱になる」
- 「清掃業者からの連絡に応答するのが苦痛」
- 「本業に支障が出ている」
- 「健康を害している(睡眠不足・ストレス性疾患)」
副業として始めた民泊が、本業や健康を脅かすレベルになっているなら、即撤退を推奨します。お金は取り戻せますが、健康と時間は戻りません。
【撤退判断チェックリスト】3つ以上該当で撤退検討
□ 稼働率30%以下が3ヶ月以上継続
□ 月次赤字がローン返済額を超える
□ 法規制強化で営業日数が半減
□ 近隣トラブルが月1回以上
□ 運営継続の意欲喪失(やめたいと週1回以上感じる)
□ 想定利回りの50%以下が半年継続
□ 競合物件の増加で価格競争に巻き込まれている
3つ以上該当する場合、次章で解説する「3つの出口戦略」から最適な選択肢を選び、具体的なアクションを起こすタイミングです。
戸建て民泊の3つの出口戦略【比較表で最適解を判断】
撤退方法は大きく3つ:①売却(買取/仲介/M&A)、②賃貸住宅への転用、③完全廃業。資金状況・物件状態・時間的余裕で最適解が変わります。
3つの出口戦略 比較表
| 項目 | ①売却(買取) | ②売却(仲介) | ③賃貸転用 | ④完全廃業 |
|---|---|---|---|---|
| 期間 | 最短3営業日~1ヶ月 | 3~6ヶ月 | 1~2ヶ月 | 1~2ヶ月 |
| 現金化額 | 市場価格の60~80% | 市場価格の90~100% | 敷金+月額家賃 | 0円(費用負担のみ) |
| 初期費用 | 0円(現況渡し) | 30~100万円(原状回復) | 50~150万円(住宅仕様への改装) | 30~100万円(原状回復+廃棄) |
| 手間 | 最小(業者が代行) | 中(内覧対応・交渉) | 中(入居者募集・契約) | 大(廃業届・撤去・清掃) |
| 適した物件 | 地方・赤字物件・急ぎ | 好立地・黒字物件 | 住宅需要のあるエリア | 売却・賃貸とも困難な物件 |
| 適した人 | 即時現金化重視 | 高値売却重視 | 安定収入重視 | 資産整理重視 |
※買取相場は市場調査データおよび主要買取業者5社のヒアリング結果を基に算出(2026年1月時点)
※原状回復費用は全国平均値。地域・物件状態により変動します
戦略①売却(買取・仲介・M&A)【最短3営業日で現金化】
売却には3つの方法があり、それぞれ特徴が異なります。
■買取
不動産買取業者が直接物件を購入する方式です。戸建て民泊の撤退において、最もスピーディで手間のかからない選択肢といえます。
メリット:
- 最短3営業日~1ヶ月で現金化が可能
- 現況渡しOK:家具・設備・営業許可をそのままで売却できる
- 原状回復費用0円(業者が負担)
- 地方・赤字物件・築古物件も対応可能
- 仲介手数料不要
デメリット:
- 買取価格は市場価格の60~80%(仲介より低い)
推奨対象:「ローン返済が厳しい」「早急に現金化したい」「手間をかけたくない」「原状回復費用30~100万円を節約したい」
■仲介
不動産仲介会社を通じて、一般の買い手を探す方式です。
メリット:
- 市場価格の90~100%で売却可能
- 買い手の選択肢が広い(投資家・実需層)
デメリット:
- 売却期間3~6ヶ月
- 原状回復費用30~100万円が必要
- 仲介手数料(売却価格の3%+6万円)
- 内覧対応・価格交渉の手間
推奨対象:「都市部の好立地(駅徒歩10分以内)」「黒字物件」「時間的余裕あり」「高値売却を優先したい」
■M&A
民泊事業そのものを第三者に譲渡する方式です。
メリット:
- 営業許可・家具・設備・予約アカウント・レビューを含めて譲渡できる
- 営業利益の1~3年分が相場で、高値が期待できる
- 事業の継続性を評価してもらえる
デメリット:
- 買い手探しに2~4ヶ月
- M&A仲介手数料(成約価格の3~10%)
- デューデリジェンス(買い手による調査)対応が必要
推奨対象:「複数棟運営」「高稼働率(50%以上)・黒字物件」「事業価値の最大化を図りたい」
戦略②賃貸住宅への転用【安定収入を確保】
民泊設備(業務用キッチン・複数ベッド・簡易宿所表示)を住宅仕様に改装し、一般の賃貸住宅として貸し出す方法です。
メリット:
- 安定した月額家賃収入を確保
- 住宅需要のあるエリアなら空室リスクが低い
- 売却せずに資産を保有できる
デメリット:
- 改装費用50~150万円(規模により変動)
- 賃貸管理の手間(入居者対応・修繕)
- 家賃収入が民泊収入より低いケースあり
具体的な改装内容:
- 業務用キッチン→家庭用キッチンへの変更
- 複数ベッド→居室仕様への変更
- 民泊表示・看板の撤去
- 火災報知器・消火器の住宅仕様への変更
推奨対象:「好立地で住宅需要あり(駅徒歩10分以内、ファミリー層需要)」「長期的な安定収入を求める」「賃貸収入で改装費用を2~3年で回収できる見込みがある」
戦略③完全廃業【資産整理を優先】
売却・賃貸転用とも困難な物件の最終手段です。
メリット:
- 固定資産税・維持費の負担を終了できる
- 相続物件など活用予定のない資産を整理できる
デメリット:
- 原状回復費用30~100万円+家具・設備撤去費用10~30万円
- 現金化は0円(費用負担のみ)
- 手続きの手間(廃業届・撤去・清掃)
推奨対象:「売却・賃貸とも困難な物件(築古・立地不良・法規制厳格)」「相続物件で活用予定なし」「維持費負担を終わらせたい」
【あなたに最適な出口戦略は?】
✓ 急ぎで現金化したい → **買取(最短3営業日)**
✓ 高値で売りたい、時間に余裕 → 仲介(3~6ヶ月)
✓ 住宅需要のある好立地 → 賃貸転用
✓ 売却・賃貸とも困難 → 完全廃業
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【戦略①売却】戸建て民泊を売る3つの方法と具体的手順
売却方法は買取・仲介・M&Aの3つ。戸建て民泊の場合、地方・小規模物件は買取が有利、都市部・黒字物件は仲介・M&Aが適しています。
方法①買取【最短3営業日・現況渡しOK】
買取は、戸建て民泊撤退において最も実務的な選択肢です。特に以下の状況では優位性が際立ちます。
メリット詳細:
- 最短3営業日~1ヶ月で現金化
査定申込から決済まで、平均2~4週間。急ぎの場合は最短3営業日での現金化実績もあります。 - 現況渡しOK
家具・家電・業務用キッチン・ベッド・営業許可をそのままで売却可能。原状回復工事(30~100万円)が不要なため、実質的な手取り額は仲介と大差ないケースも。 - 地方・赤字物件・築古物件も対応
仲介では買い手がつきにくい「地方の戸建て」「稼働率20%以下の赤字物件」「築30年超の築古物件」も、買取業者は事業用として購入するため対応可能です。 - 内覧・交渉の手間なし
業者が直接購入するため、一般の買い手への内覧対応(平均5~10組)や価格交渉が不要。
デメリット:
買取価格は市場価格の60~80%。ただし、原状回復費用0円・仲介手数料0円・スピード現金化を考慮すると、トータルでは合理的な選択です。
具体的手順(5ステップ):
- 複数社(最低3社)に無料査定申込
所要時間1分。物件情報(住所・築年数・間取り・運営状況)を入力。 - 査定結果受領(申込後3~5営業日)
各社から買取価格・条件(現況渡しOK/原状回復必要)の提示を受ける。 - 最高値の業者と条件交渉・契約(1~3日)
買取価格・決済日・残置物の扱い・廃業手続きサポートの有無を確認。 - 決済・所有権移転登記(契約後1~2週間)
司法書士立会いのもと、売買代金の受領と所有権移転登記を同時実施。 - 現金受領(登記完了後)
指定口座に買取代金が入金。ローン残債がある場合は金融機関への一括返済も同時処理。
推奨業者の選定基準:
- 宅建免許番号が公式サイトに掲載されている(国土交通省「宅地建物取引業者検索システム」で確認可能)
- 年間買取実績100件以上、戸建て民泊の実績が明記されている
- 「現況渡しOK」「追加費用0円」を明示している
- 廃業手続きサポート(廃業届代行)がある
方法②仲介【高値売却・3~6ヶ月】
仲介は、時間をかけても高値で売却したい方に適した方法です。
メリット:
- 市場価格の90~100%で売却可能
- 買い手の選択肢が広い(投資家・実需層・民泊事業者)
デメリット:
- 売却期間3~6ヶ月(物件によっては1年超)
- 原状回復費用30~100万円
- 仲介手数料(売却価格×3%+6万円。例:1,000万円の場合36万円)
- 内覧対応・価格交渉の手間
具体的手順(6ステップ):
- 複数の不動産会社(3社以上)に査定依頼
一括査定サイト(HOME4U・すまいValue等)で効率的に依頼。 - 媒介契約締結(専任媒介or一般媒介)
専任媒介:1社に絞り積極的な販売活動を期待
一般媒介:複数社に依頼し幅広く買い手を探す - 原状回復工事(民泊設備撤去、住宅仕様へ)
業務用キッチン撤去、複数ベッド撤去、壁紙・床の補修(費用30~100万円) - 広告掲載・内覧対応(平均5~10組)
SUUMO・athome等のポータルサイトに掲載。内覧希望者への対応。 - 買付申込受領・価格交渉
買い手から購入申込書を受領。価格・引渡し時期を交渉。 - 売買契約締結・決済・引渡し
契約後1~2ヶ月で決済。所有権移転登記・残代金受領を同時実施。
推奨対象:「都市部の好立地(駅徒歩10分以内)」「稼働率50%以上の黒字物件」「時間的余裕あり(半年~1年)」「高値売却を優先」
方法③M&A【事業ごと譲渡・営業利益の1~3年分】
M&Aは、民泊事業として価値がある物件に適した方法です。
メリット:
- 営業許可・家具・設備・予約アカウント(Airbnb・楽天トラベル)・レビュー評価を含めて譲渡
- 営業利益の1~3年分が相場(例:年間営業利益300万円なら、譲渡価格300~900万円)
- 事業の継続性・レビュー評価を高く評価してもらえる
デメリット:
- 買い手探しに2~4ヶ月
- M&A仲介手数料(成約価格の3~10%)
- デューデリジェンス(買い手による調査)対応が必要
具体的手順(5ステップ):
- M&A仲介サービスに登録
主要サービス:BATONZ・TRANBI・プレミアホスト - 企業概要書作成
稼働実績(過去3年の月次データ)・収支・営業許可情報・レビュー評価・運営ノウハウをまとめる - 買い手とのマッチング・条件交渉
匿名で情報公開→興味を持った買い手と面談→譲渡価格・引継ぎ内容を交渉 - 基本合意・デューデリジェンス
基本合意書を締結後、買い手が財務・法務・運営状況を詳細調査 - 最終契約・事業引継ぎ
最終契約締結→運営ノウハウ・アカウント情報・鍵・備品の引渡し→代金受領
推奨対象:「複数棟運営(3棟以上)」「高稼働率(50%以上)・黒字物件」「年間営業利益200万円以上」「事業価値の最大化を図りたい」
【戦略②廃業】戸建て民泊の廃業手続き完全版【チェックリスト付】
完全廃業を選ぶ場合、廃業届・原状回復・設備撤去・税務処理の4つを確実に実施する必要があります。以下の手順とチェックリストで抜け漏れを防ぎましょう。
手続き①廃業届の提出【事業廃止日から30日以内】
廃業届は、民泊事業を正式に終了させるための最重要手続きです。
提出先:
- 住宅宿泊事業法(民泊新法)で届出している場合:
都道府県・保健所設置市の観光担当課(例:東京都産業労働局観光部、大阪市経済戦略局観光部) - 旅館業法(簡易宿所)で許可を取得している場合:
保健所(各自治体の生活衛生課)
必要書類:
- 廃業届出書(自治体指定様式。各自治体の公式サイトからダウンロード可能)
- 届出番号通知書(開業時に受領した書類)のコピー
提出期限:
事業廃止日から30日以内(住宅宿泊事業法第3条6項)。期限を超過しても受理されますが、速やかな提出を推奨します。
オンライン申請:
東京都・大阪府など一部自治体では電子申請が可能です。詳細は観光庁「民泊制度ポータルサイト」(https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/)で確認できます。
注意点:
- 廃業届を提出しないまま放置すると、行政指導の対象となる可能性があります
- 既存予約がある場合、事業廃止日はすべての予約完了後に設定するか、予約キャンセル・返金処理を完了させる必要があります
手続き②原状回復・設備撤去【費用30~150万円】
戸建て民泊の原状回復は、マンションと異なり内装・外装・庭・外構まで範囲が広いのが特徴です。
原状回復の範囲(戸建て特有):
■内装
- 業務用キッチンの撤去・住宅用キッチンへの変更
- 複数ベッド・二段ベッドの撤去
- 民泊表示(多言語案内・ハウスルール掲示)の撤去
- 壁紙・床の補修(ゲストによる損傷箇所)
- シャワー・トイレの増設分撤去(簡易宿所の場合)
■外装
- 看板・表示板の撤去
- 外壁の補修(看板設置跡・汚損箇所)
- 玄関の施錠システム(スマートロック等)の撤去
■庭・外構
- 駐車場表示の撤去
- ゴミ置場の撤去・原状回復
- 庭の手入れ(雑草・植栽)
費用目安(規模別):
| 物件規模 | 原状回復費用 |
|---|---|
| 1LDK(50㎡) | 30~50万円 |
| 2~3LDK(80~100㎡) | 50~100万円 |
| 一棟戸建て(150㎡以上) | 100~150万円 |
※物件の状態・地域の工事単価により変動。複数の工事業者から相見積もりを取ることを推奨します。
家具・設備の処分:
- 不用品回収業者に一括依頼:
1LDK:10万円、2~3LDK:20~30万円
メリット:一括処分で手間がかからない - リサイクルショップ・買取業者:
家具の状態が良ければ、ベッド・ソファ・冷蔵庫等を買取してもらえるケースあり(数万円の費用削減) - 家電リサイクル:
冷蔵庫・洗濯機・エアコン・テレビは家電リサイクル法により、各3,000~5,000円のリサイクル料金が必要
手続き③税務処理【個人事業主の場合】
民泊を個人事業として運営していた場合、税務署への廃業届提出が必要です。
提出書類(税務署):
- 個人事業の廃業届出書
廃業日から1ヶ月以内に提出(所得税法第229条) - 青色申告の取りやめ届出書
青色申告者のみ。廃業年の翌年3月15日までに提出 - 給与支払事務所等の廃止届出書
従業員・清掃スタッフを雇用していた場合。廃業日から1ヶ月以内
確定申告:
廃業年の所得(1月1日~廃業日)を、翌年2月16日~3月15日に確定申告する必要があります。
経費計上のポイント:
- 設備の減価償却費(残存価値)
- 原状回復費用(工事費・撤去費)
- 廃業に伴う諸費用(廃業届作成費用・専門家相談費用)
これらは経費として計上可能なため、領収書を必ず保管してください。税理士への相談を推奨します。
手続き④その他の解約・通知
廃業に伴い、以下の契約・サービスの解約・通知が必要です。
■予約サイト
- Airbnb・楽天トラベル・Booking.comのアカウント削除
- 既存予約のキャンセル対応・返金処理(キャンセルポリシーに従う)
- ゲストへの丁寧な説明(代替宿の案内など)
■委託契約
- 清掃委託契約の解約
- 運営代行・管理委託契約の解約
- 解約予告期間(通常1~3ヶ月前)を確認
■保険
- 火災保険・民泊保険の解約(未経過保険料の返金あり)
■公共料金・通信
- インターネット回線の解約
- 電気・ガス・水道の解約(賃貸物件の場合)または契約プラン変更(自己所有の場合)
【廃業手続きチェックリスト】完了したら✓
□ 廃業届提出(事業廃止日から30日以内)
□ 既存予約のキャンセル対応・返金処理
□ 予約サイトアカウント削除
□ 原状回復工事(内装・外装・庭)
□ 家具・設備の撤去・処分
□ 清掃委託契約・管理委託契約の解約
□ 火災保険・民泊保険の解約
□ 個人事業の廃業届提出(税務署)
□ 青色申告取りやめ届出(該当者のみ)
□ 確定申告(廃業年の翌年2~3月)
このチェックリストを印刷し、各項目を完了するごとにチェックを入れることで、手続きの抜け漏れを防げます。
戸建て民泊撤退の費用シミュレーション【規模別・戦略別】
撤退費用は物件規模×出口戦略×物件状態で大きく変動。以下のシミュレーションで、あなたの費用目安を把握しましょう。
規模別・戦略別 費用シミュレーション表
| 物件規模 | 買取(現況渡し) | 仲介(原状回復) | 賃貸転用 | 完全廃業 |
|---|---|---|---|---|
| 1LDK(50㎡) | 0円 | 30~50万円 | 50~80万円 | 40~60万円 |
| (原状回復不要) | (原状回復+仲介手数料) | (住宅改装) | (原状回復+撤去) | |
| 2~3LDK(80~100㎡) | 0円 | 50~100万円 | 80~150万円 | 70~120万円 |
| (原状回復不要) | (原状回復+仲介手数料) | (住宅改装+募集) | (原状回復+撤去) | |
| 一棟戸建て(150㎡以上) | 0円 | 100~200万円 | 150~250万円 | 150~200万円 |
| (原状回復不要) | (原状回復+仲介手数料) | (住宅改装+募集) | (原状回復+撤去) |
注記:
- 買取(現況渡し)は業者が原状回復を負担するため、売主の費用負担は0円
- 仲介手数料は売却価格の3%+6万円(売却価格400万円超の場合。例:1,000万円→36万円)
- 原状回復費用は物件の状態・地域の工事単価で変動
費用内訳の詳細
■原状回復費用
- 内装工事:
壁紙張替え:1,000円/㎡
床補修(フローリング):2,000~3,000円/㎡
畳表替え:5,000~8,000円/畳 - 設備撤去:
業務用キッチン撤去:10~20万円
シャワー・トイレ増設分の撤去:5~10万円
スマートロック等の撤去:1~3万円
■家具・設備の処分費用
- 不用品回収:1LDK 10万円、2~3LDK 20~30万円、一棟戸建て 30~50万円
- 家電リサイクル:冷蔵庫・洗濯機・エアコン各3,000~5,000円
- 産業廃棄物処理(業務用設備):別途見積もり
■仲介手数料(仲介の場合)
売却価格に応じて以下の計算式:
- 売却価格400万円超:売却価格×3%+6万円
- 例:売却価格1,000万円の場合:1,000万円×3%+6万円=36万円
■その他
- 登記費用:5~10万円(司法書士報酬含む)
- 測量費用(境界確定が必要な場合):30~50万円
- 廃業届作成代行(行政書士):3~5万円
具体例:2LDK(80㎡)戸建ての費用比較
| 出口戦略 | 費用内訳 | 合計費用 |
|---|---|---|
| 買取(現況渡し) | 0円 | 0円 |
| 仲介 | 原状回復70万円+仲介手数料36万円+登記費用8万円 | 114万円 |
| 賃貸転用 | 住宅改装100万円+募集費用(家賃1ヶ月分)8万円 | 108万円 |
| 完全廃業 | 原状回復70万円+家具撤去25万円+廃業届代行3万円 | 98万円 |
※売却価格1,000万円、家賃8万円/月と仮定
このように、買取(現況渡し)は費用負担が一切ないため、「手元に現金を残したい」「費用をかけずに撤退したい」方に最適です。
戸建て民泊撤退のよくある質問(FAQ)【専門家が回答】
Q1: 撤退のタイミングはいつが最適ですか?
A: 稼働率30%以下が3ヶ月継続、または月次赤字がローン返済額を超える状態が半年続く場合、早期撤退が推奨されます。
「もう少し頑張れば改善するかも」という期待は理解できますが、データが3~6ヶ月改善しない場合、市場・立地・競合状況の構造的な問題である可能性が高く、損失が拡大する前に決断することが重要です。
特に以下の状況では即撤退を検討してください:
- 累積赤字がローン残債の10%を超えた
- 法規制強化で営業日数が半減した
- 近隣トラブルで行政指導を受けた
- 本業・健康に深刻な支障が出ている
Q2: ローン残債がある戸建てでも売却できますか?
A: 可能です。買取代金で残債を一括返済する「任意売却」が一般的です。
手順:
- 事前に金融機関へ相談し、残債額を確認
- 買取業者に残債額を伝え、買取価格が残債を上回るか確認
- 買取価格で残債を一括返済する旨を金融機関に通知
- 決済時に、買取代金から残債を金融機関へ支払い、抵当権を抹消
注意点:
- 買取価格が残債を下回る場合(オーバーローン)、不足分を自己資金で補填する必要があります
- 金融機関によっては、任意売却に手数料(数万円)がかかるケースがあります
Q3: 家具・設備をそのまま売却できますか?
A: 買取なら可能です。「現況渡しOK」を明示している買取業者は、家具・設備・営業許可をそのまま引き継ぎます。
対象となる残置物:
- 家具:ベッド・ソファ・テーブル・椅子・収納棚
- 家電:冷蔵庫・洗濯機・エアコン・テレビ・電子レンジ
- 設備:業務用キッチン・食器・調理器具・シャワー増設分
- 民泊備品:タオル・シーツ・アメニティ
メリット:
- 原状回復費用30~150万円が不要
- 家具・設備の処分費用10~30万円が不要
- 撤去・処分の手間・時間がかからない
**仲介の場合:**一般的には原状回復(家具撤去)が必要ですが、「民泊物件」として売り出せば、次の買い手(民泊事業者)が家具込みで購入するケースもあります。
Q4: 賃貸物件(借家)の民泊でも撤退できますか?
A: 可能です。以下の手順で撤退できます。
手順:
- 廃業届提出
都道府県・保健所に廃業届を提出 - 原状回復
賃貸契約書の「原状回復条項」に従い、民泊設備を撤去し、入居時の状態に戻す - 物件オーナーへ解約通知
賃貸契約の解約予告期間(通常1~3ヶ月前)に従い、解約通知を提出 - 営業権の売却(オプション)
家具・設備・予約アカウントのみを第三者に売却する方法もあります(物件オーナーの承諾が必要)
注意点:
- 原状回復範囲は賃貸契約書で確認。通常損耗(経年劣化)は負担不要ですが、民泊運営による損耗(壁の汚れ・床の傷等)は借主負担となるケースが多いです
Q5: 撤退後の税金はどうなりますか?
A: 売却益が出た場合、譲渡所得税が課税されます。赤字売却の場合、他の所得と損益通算可能なケースもあります。
譲渡所得税の税率:
| 所有期間 | 税率 |
|---|---|
| 5年以下(短期譲渡所得) | 39.63%(所得税30%+住民税9%+復興特別所得税0.63%) |
| 5年超(長期譲渡所得) | 20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%) |
計算式:
譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)
例:
- 売却価格:1,200万円
- 取得費(購入価格-減価償却費):1,000万円
- 譲渡費用(仲介手数料等):50万円
- 譲渡所得:1,200万円-(1,000万円+50万円)=150万円
- 所有期間5年超の場合:150万円×20.315%=約30万円の税金
赤字売却の場合:
売却価格が取得費を下回る場合、譲渡所得はマイナス(損失)となります。この損失は、一定の条件下で他の所得(給与所得等)と損益通算できるケースがあります。詳細は税理士にご相談ください。
Q6: 廃業届を出さないとどうなりますか?
A: 法律上は事業廃止日から30日以内の提出義務がありますが、罰則規定は明記されていません。ただし、行政指導の対象となる可能性があるため、速やかな提出を推奨します。
廃業届を出さない場合のリスク:
- 行政指導・勧告
自治体から提出を求める通知が届くケースがあります - 次の事業への影響
廃業届を出さないまま放置すると、将来的に別の民泊・旅館業を開業する際に支障が出る可能性があります - 保険・契約の自動更新
民泊保険・委託契約が自動更新され、不要な費用が発生するリスクがあります
提出のメリット:
- 行政上の手続きが正式に完了
- 心理的な区切りがつく
- 将来的なトラブル(近隣からの通報等)を回避
廃業届の提出は簡単(所要時間30分程度)なため、撤退を決めたら速やかに提出することを強く推奨します。
まとめ|戸建て民泊撤退で損しないための5つのポイント
戸建て民泊の撤退は、決して失敗ではありません。市場環境・法規制・個人の状況は常に変化しており、適切なタイミングで最適な出口戦略を選ぶことが、次のステップへの重要な判断です。
本記事の要点を改めて整理します:
✓ **撤退判断:**稼働率30%以下が3ヶ月継続、月次赤字がローン返済額超で検討開始。感情ではなくデータで判断する
✓ **出口戦略:**急ぎなら買取(最短3営業日・現況渡しOK)、高値狙いなら仲介(3~6ヶ月)、住宅需要があれば賃貸転用、困難なら完全廃業
✓ **買取のメリット:**現況渡しOK(原状回復費用30~150万円が不要)、地方・赤字・築古物件も対応、最短3営業日で現金化
✓ **廃業手続き:**廃業届(30日以内)+原状回復+税務処理を確実に実施。チェックリストで抜け漏れ防止
✓ **費用目安:**買取0円、仲介30~200万円、賃貸転用50~250万円、完全廃業40~200万円。規模・状態で大きく変動
✓ **複数社査定:**最低3社で相場を把握し、最高値の業者を選定。「現況渡しOK」「廃業手続きサポート」を確認
✓ **専門家活用:**宅建免許保有・年間実績100件超の買取業者、行政書士(廃業届)、税理士(税務処理)に相談
戸建て民泊の撤退は、売却・賃貸転用・廃業という3つの選択肢があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。あなたの状況(資金・時間・物件状態)に最も適した戦略を選び、確実に実行することで、次のステップへスムーズに進めます。
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✓ 1R~5棟一括買取可能
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・稼働率30%以下で赤字が続いている
・ローン返済が厳しく、早急に現金化したい
・原状回復費用30~150万円をかけずに売却したい
・地方・郊外の戸建てで買い手が見つからない
・廃業手続きが複雑で何から手をつければいいか分からない
・家具・設備をそのままで売却したい
・複数棟をまとめて売却したい
【執筆・監修】
本記事は、民泊・旅館業の撤退支援で年間100件超の実績を持つStayExitの専門チームが執筆・監修しています。累計500件以上の撤退相談に対応し、最短3営業日での現金化実績を持つ専門家が、2026年1月時点の最新の法規制・市場動向を踏まえて解説しました。
【免責事項】
本記事は2026年1月時点の情報に基づき作成しています。民泊の法規制(住宅宿泊事業法・旅館業法・各自治体条例)は頻繁に改正されるため、最新情報は必ず各自治体の公式サイトでご確認ください。撤退方法(売却・賃貸転用・廃業)の選択、買取価格、廃業手続きの詳細は個別の物件状況・市場動向により異なります。本記事の情報に基づく意思決定の結果について、当サイトは一切の責任を負いかねます。実際の手続き前には、宅地建物取引士・行政書士・税理士など専門家への相談を強く推奨します。
【参考情報・出典】
- 観光庁「住宅宿泊事業法(民泊新法)」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/sangyou/juutaku.html - 観光庁「民泊制度ポータルサイト」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/ - 国土交通省「宅地建物取引業者検索システム」
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000266.html - 観光庁「住宅宿泊事業の届出・廃業状況」(2024年12月)
