「簡易宿所」について調べているあなたは、新規開業を検討中の投資家でしょうか、それとも既に運営中で撤退を視野に入れているオーナーでしょうか。この記事では、簡易宿所の基本知識から、開業手続き、収益性の実態、そして撤退・売却の選択肢まで、2024〜2025年の最新データに基づいて徹底解説します。
厚生労働省の最新統計によれば、2023年度の簡易宿所営業施設数は41,909施設(前年比+2,098施設、+5.3%増)と、市場は拡大を続けています。しかし同時に、旅館業全体では2024年に73件の倒産(前年比+9.0%増)が発生しており、競争激化と収益悪化の現実も見逃せません。
開業を検討している方には正確なリスク評価を、既存事業者には撤退や売却の選択肢も含めた出口戦略を提供します。この記事が、あなたの意思決定の一助となれば幸いです。
簡易宿所とは|定義と旅館業法上の位置づけ
簡易宿所の法的定義
簡易宿所とは、旅館業法第2条に基づく宿泊施設の一種で、正式には「簡易宿所営業」と呼ばれます。法律上の定義は「宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」とされています。
この定義をわかりやすく言い換えると、「複数のゲストが同じ部屋や共用スペースを利用する形式の宿泊施設」ということです。個室型でも、共用の浴室やトイレ、リビングスペースなどを設けている場合は簡易宿所に該当します。
具体的な施設例:
- ゲストハウス:個室またはドミトリー形式の宿泊施設
- ホステル:バックパッカー向けの低価格宿泊施設
- カプセルホテル:カプセル型の簡易宿泊施設
- 山小屋:登山者向けの簡易宿泊施設
- ユースホステル:青少年向けの共同宿泊施設
これらの施設を営業するには、管轄の保健所から「簡易宿所営業許可」を取得する必要があります。
出典:
e-Gov法令検索「旅館業法」
厚生労働省「旅館業法の概要」
民泊・ホテル・旅館との違い【比較表】
簡易宿所は、民泊(住宅宿泊事業)やホテル・旅館とは異なる営業形態です。以下の比較表で、主な違いを確認しましょう。
| 項目 | 簡易宿所 | 民泊(住宅宿泊事業) | ホテル・旅館 |
|---|---|---|---|
| 根拠法 | 旅館業法 | 住宅宿泊事業法 | 旅館業法 |
| 営業日数制限 | なし(年間365日可能) | 年間180日まで | なし(年間365日可能) |
| 許可・届出 | 保健所の営業許可 | 都道府県知事への届出 | 保健所の営業許可 |
| 施設基準(床面積) | 33㎡以上 または 1人あたり3.3㎡ | 特になし | 1人あたり3㎡以上(ホテル) |
| フロント設置義務 | 条例により異なる | 不要 | 条例により異なる |
| 初期投資目安 | 50万〜200万円 | 10万〜50万円 | 500万円以上 |
最大の違いは営業日数制限です。民泊は住宅宿泊事業法により年間180日までしか営業できませんが、簡易宿所は旅館業法に基づくため、年間を通じて営業が可能です。この点が、収益性を重視する事業者にとって簡易宿所を選ぶ最大の理由となっています。
ただし、簡易宿所は民泊よりも施設基準が厳しく、初期投資も高額になる傾向があります。また、自治体の条例によっては用途地域制限(住居専用地域での営業不可など)が設けられている場合もあるため、事前の確認が必須です。
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簡易宿所の開業に必要な許可と手続き
営業許可の取得要件
簡易宿所を開業するには、物件所在地を管轄する保健所に営業許可申請を行い、許可を取得する必要があります。許可取得には、以下の要件を満たす必要があります。
1. 申請者の要件(欠格事由の確認)
旅館業法第3条第2項に定める欠格事由に該当しないことが条件です。主な欠格事由は以下の通りです:
- 過去に旅館業法違反で許可を取り消され、取消日から3年を経過していない者
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わってから3年を経過していない者
- 成年被後見人または被保佐人
- 暴力団員またはこれに準ずる者
2. 施設基準
簡易宿所として営業するには、以下の施設基準を満たす必要があります:
床面積の基準:
- 宿泊者の宿泊に使用する部分の床面積が33㎡以上
- または、宿泊者数が10人未満の場合は1人あたり3.3㎡以上
設備の基準:
- 適切な換気、採光、照明設備
- 適切な数のトイレ・洗面設備
- 入浴設備(共同浴室または近隣の公衆浴場の利用可能な場合は不要なケースも)
- 適切な避難設備(消防法令に適合)
3. 消防法令適合通知書の取得
営業許可申請の前に、管轄の消防署から「消防法令適合通知書」を取得する必要があります。これは、施設が消防法の基準(避難設備、消火設備など)を満たしていることを証明する書類です。
出典: 厚生労働省「民泊サービスを始める皆様へ〜簡易宿所営業の許可取得の手引き」
申請手続きの流れと必要書類
簡易宿所の営業許可取得は、以下の5ステップで進めます。
ステップ1:事前相談
保健所の窓口で事前相談を行います。物件の図面や写真を持参し、施設基準を満たしているか確認してもらいましょう。この段階で条例による用途地域制限なども確認できます。
ステップ2:書類準備
以下の書類を準備します:
- 営業許可申請書
- 施設の構造設備の概要(設備一覧表)
- 周辺地図・施設配置図・各階平面図
- 申請者の履歴書(法人の場合は登記事項証明書)
- 欠格事由に該当しない旨の誓約書
- 消防法令適合通知書
ステップ3:申請
保健所に書類を提出し、申請手数料を納付します。手数料は自治体によって異なりますが、22,000円〜30,000円程度が一般的です。
ステップ4:施設検査
保健所の担当者が現地を訪問し、施設基準を満たしているか検査します。不備があれば改善指導が入ります。
ステップ5:許可証交付
検査に合格すれば、営業許可証が交付されます。許可証を受け取った日から営業開始が可能です。
申請から許可証交付までの期間: 通常1〜2ヶ月程度
関連記事: 既に許可を取得している物件の売却方法
簡易宿所のメリット・デメリット|現実的な収益性評価
メリット
1. 年間営業日数に制限なし
民泊(住宅宿泊事業)の最大の制約である年間180日の営業日数制限がありません。つまり、年間365日フル稼働が可能です。高稼働率を維持できれば、民泊の約2倍の売上を狙えます。
2. 多様な施設形態に対応
ドミトリー形式、個室形式、またはその混在型など、柔軟な施設設計が可能です。ターゲット層(バックパッカー、ビジネス客、ファミリーなど)に応じた施設運営ができます。
3. 高稼働時の収益性
観光地や都心部の好立地であれば、高い収益性が期待できます。例えば、東京や京都の繁華街エリアでは、月50万円以上の売上を上げるゲストハウスも存在します。
デメリット・リスク
1. 初期投資が高額
民泊と比較して、施設基準が厳格なため初期投資が高額になります。改装費用50万〜200万円に加え、家具・家電・寝具などの設備費用も必要です。
2. 地域条例による規制
自治体の条例により、住居専用地域では簡易宿所の営業が認められない場合があります。また、学校や児童福祉施設の周辺での営業制限を設けている自治体もあります。開業前に必ず条例を確認しましょう。
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3. 稼働率リスク
地方都市や観光地以外のエリアでは、月次稼働率30%以下で赤字継続となるケースも少なくありません。立地選定を誤ると、初期投資を回収できないリスクがあります。
4. 旅館業全体の倒産増加
2024年の旅館・ホテル業の倒産件数は73件(前年比+9.0%増)、負債総額は約306億円に達しています。新型コロナからの回復途上にある中、人件費高騰や光熱費上昇により、収益悪化に苦しむ事業者が増加しています。
出典: 観光経済新聞「ホテル・旅館、24年の倒産、73件、負債306億円」
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2024年最新データで見る簡易宿所市場の現状
全国の簡易宿所営業施設数の推移
厚生労働省の「衛生行政報告例」によれば、2023年度の簡易宿所営業施設数は41,909施設で、前年比+2,098施設(+5.3%)と増加傾向にあります。
施設数の推移(過去5年間):
- 2019年度:約30,000施設
- 2020年度:約32,000施設(新型コロナの影響で伸び鈍化)
- 2021年度:約36,000施設
- 2022年度:39,811施設
- 2023年度:41,909施設
2010年代後半から急増した背景には、2018年の住宅宿泊事業法(民泊新法)施行があります。民泊の180日規制を回避するため、多くの事業者が簡易宿所営業許可へ転換しました。
地域別の特徴:
簡易宿所は東京都、大阪府、京都府の3大都市圏に集中しています。特に京都市内では、町家を改装したゲストハウスが急増しています。
出典:
厚生労働省「令和5年度衛生行政報告例」
観光経済新聞「旅館・ホテル営業軒数5万1038軒」
宿泊者数と稼働率の実態
観光庁の「宿泊旅行統計調査」によれば、2024年の全国の延べ宿泊者数は6億5,906万人泊(前年比+6.7%)と、コロナ前の2019年を上回る水準まで回復しました。
宿泊者数の内訳(2024年):
- 日本人:4億9,460万人泊(前年比-1.0%、2019年比+3.0%)
- 外国人:1億6,447万人泊(前年比+39.7%、2019年比+39.0%)
インバウンド需要の急回復により、外国人宿泊者数は過去最高を更新しています。特に都心部や主要観光地では、外国人宿泊者の比率が5割を超える施設も珍しくありません。
地方と都心部の格差:
一方で、地方都市では日本人宿泊者の減少が続いており、稼働率30%以下で苦戦する施設が増加しています。立地による収益格差が拡大している現状があります。
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簡易宿所の撤退・廃業を検討すべきケースと手続き
撤退を検討すべき3つのサイン
簡易宿所の運営を続けるべきか、撤退すべきか。以下の3つのサインに該当する場合は、撤退を真剣に検討すべきタイミングです。
サイン1:月次稼働率が30%未満を3ヶ月以上継続
月次稼働率が30%を下回る状態が3ヶ月以上続いている場合、赤字構造が固定化している可能性が高いです。改善施策(価格見直し、OTA強化、リニューアル等)を実施しても回復しない場合は、早期撤退を検討しましょう。
サイン2:近隣トラブルが月1件以上発生
騒音やゴミ出しルール違反など、近隣住民とのトラブルが月1件以上発生している場合、行政指導や営業停止のリスクがあります。トラブル対応に追われて本業に支障が出ている場合も、撤退を視野に入れるべきです。
サイン3:原状回復費用が年間売上の30%を超える見込み
賃貸物件で簡易宿所を運営している場合、退去時の原状回復費用が年間売上の30%を超える見込みであれば、撤退による損失が膨らむ前に早期判断が必要です。
簡易宿所の廃業手続き
簡易宿所を廃業する場合、以下の手続きが必要です。
1. 廃止届の提出
営業を廃止した日から10日以内に、管轄の保健所に「廃止届出書」を提出します。届出を怠ると、旅館業法違反となる可能性があります。
2. 既存予約の処理
既に受け付けている予約については、以下の対応が必要です:
- 廃業予定日の1ヶ月以上前にゲストへ通知
- 代替施設の案内または全額返金対応
- OTA(予約サイト)への掲載停止
3. 原状回復工事(賃貸物件の場合)
賃貸物件の場合、簡易宿所用に設置した設備(二段ベッド、共用キッチン等)を撤去し、原状回復工事を行います。費用は物件規模により異なりますが、30万〜150万円が目安です。
4. 各種契約の解約
以下の契約を解約します:
- 電気・ガス・水道契約
- インターネット・Wi-Fi契約
- OTA(Airbnb、Booking.com等)との契約
- 清掃業者・リネン業者との委託契約
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簡易宿所物件の売却・M&A・賃貸転換の選択肢
物件売却の方法と相場
簡易宿所を廃業する場合、物件処分には主に3つの選択肢があります。
選択肢1:仲介売却(市場価格での売却)
不動産仲介業者を通じて市場価格で売却する方法です。
メリット:
- 市場価格(相場)で売却できる
- 複数の買主候補から選べる
デメリット:
- 売却まで3〜6ヶ月かかる
- 仲介手数料が発生(売却価格の3%+6万円+消費税)
- 原状回復が必要な場合が多い
選択肢2:買取業者(スピード現金化)
簡易宿所・民泊専門の買取業者に売却する方法です。
メリット:
- 最短3営業日で現金化
- 市場価格の**80〜90%**で買取
- 現況渡しOK(原状回復不要)
- 仲介手数料不要
デメリット:
- 市場価格よりやや安くなる
適しているケース:
- 早期に現金化したい
- 原状回復費用を節約したい
- 売却活動に時間をかけられない
選択肢3:M&A(事業譲渡)
簡易宿所の営業権と物件をセットで譲渡する方法です。
メリット:
- 営業権込みで高値売却の可能性
- 既存スタッフの雇用継続が可能
デメリット:
- 買主探しに時間がかかる(6ヶ月〜1年以上)
- 収益性が高い施設でないと買主が見つからない
賃貸転換・用途変更
売却以外の選択肢として、用途を変更して収益化する方法もあります。
方法1:通常賃貸への転換
簡易宿所設備を撤去し、住居用または事務所用の賃貸物件に転換します。
転換コスト: 30万〜80万円(設備撤去費用)
メリット: 安定した家賃収入
デメリット: 宿泊業より収益性は低下
方法2:長期滞在型ホテルへの転換
マンスリー契約やウィークリー契約の長期滞在型ホテルに転換します。
メリット: 稼働率が安定しやすい
デメリット: 短期宿泊より単価は下がる
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まとめ|簡易宿所は開業前にリスクも含めて判断を
簡易宿所は、年間営業日数に制限がなく、高稼働時には高収益が期待できる魅力的な事業形態です。2024年のデータでは施設数が41,909件と増加を続けており、インバウンド需要の回復により市場環境は改善傾向にあります。
しかし同時に、初期投資の高さ、地域条例による規制、稼働率リスク、そして旅館業全体の倒産増加(2024年73件、前年比+9.0%増)といった課題も存在します。
開業を検討している方へ:
- 立地の徹底的な市場調査
- 収益シミュレーション(稼働率30%以下でも耐えられる収支計画)
- 自治体条例の事前確認
- 撤退シナリオも含めた事業計画
既存事業者で収益悪化している方へ:
- 月次稼働率30%未満が3ヶ月継続なら撤退検討
- 原状回復費用が膨らむ前の早期判断
- 買取業者やM&Aなど、複数の出口戦略を比較検討
簡易宿所を成功させるには、開業前のリスク評価と、運営中の柔軟な撤退判断が重要です。この記事が、あなたの意思決定の一助となれば幸いです。
免責事項
本記事は2025年12月時点の情報に基づき作成されています。旅館業法および関連法令は改正される可能性があるため、実際の開業・廃業手続きにあたっては、必ず管轄の保健所および専門家(行政書士、税理士等)にご相談ください。本記事の情報により生じた損害について、当社は一切の責任を負いかねます。
【この記事の要約】
- 簡易宿所は旅館業法に基づく宿泊施設で、年間営業日数制限なし
- 2023年度の施設数は41,909件(前年比+5.3%増)と市場拡大中
- 開業には保健所の営業許可が必要(申請手数料22,000〜30,000円)
- メリットは年中無休営業、デメリットは初期投資の高さと地域規制
- 2024年の旅館業倒産73件(前年比+9.0%増)と競争激化
- 稼働率30%未満3ヶ月継続なら撤退検討が必要
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