箱根エリアで民泊を運営されている方の中には、稼働率の低下、管理の負担、規制強化などの理由で「売却」を検討されている方も少なくありません。箱根は観光地として高い需要がある一方、温泉権の引き継ぎ、別荘地規制、急傾斜地物件など、エリア特有の売却障壁も存在します。本記事では、箱根で民泊を売却する際の仲介 vs 買取の判断基準、売却相場、税金・費用、温泉権の扱い、最短売却期間まで、実務的な情報を整理しました。赤字運営やトラブル物件でお困りの方、高値売却を目指す方、早期売却を優先したい方、それぞれに適した売却方法を解説しています。
箱根で民泊を売却する2つの方法
箱根エリアで民泊物件を売却する際、選択肢は大きく分けて「仲介」と「買取」の2つがあります。それぞれの特徴を理解し、物件の状況やご自身の優先順位に合った方法を選ぶことが、満足のいく売却につながります。
仲介での売却(高値期待だが時間がかかる)
仲介での売却は、不動産会社を通じて広く買い手を探す方法です。市場に物件情報を公開し、購入希望者を募集します。
メリットとしては、市場価格に近い金額での売却が期待できることです。箱根エリアの場合、坪単価15〜30万円程度が相場となり、アクセスが良好なエリアや稼働率の高い物件であれば、より高値での売却も可能です。2024年の箱根町観光客数は約2,031万人と6年ぶりに2,000万人を突破しており、投資家からの注目度も高まっています。稼働率が60%以上で黒字運営、レビュー評価が4.5以上の物件であれば、複数の購入希望者から選べる可能性があります。
温泉権付き物件や箱根湯本駅周辺のアクセス良好な物件は、仲介での売却で高評価を得やすい傾向にあります。稼働実績が優れていれば、投資物件として魅力的に映り、購入希望者も見つかりやすくなります。
ただし、デメリットも存在します。売却までに3〜6ヶ月程度の時間を要し、その間の内覧対応や購入希望者との価格交渉が必要になります。仲介手数料は譲渡額の5〜10%程度(法定上限は「譲渡額×3%+6万円+消費税」)と高額になる場合があります。
また、購入希望者によってはリフォームを求められることもあり、売却前に修繕費用がかかる可能性があります。近隣トラブルが発生している物件や、温泉権の引き継ぎが複雑な物件は、購入希望者から敬遠される傾向にあり、売却期間が長引くこともあります。
仲介が向いているのは、時間的余裕があり、物件の状態が良好で、できるだけ高値での売却を優先したい方です。稼働率が高く黒字運営を維持できている物件や、温泉権がシンプルに引き継げる物件であれば、仲介でも比較的スムーズに売却できるでしょう。
買取での売却(迅速・現況渡しOK)
買取は、不動産買取業者が直接物件を購入する方法です。市場に物件情報を公開せず、買取業者との直接取引となります。
メリットは、最短1〜4週間で現金化できることです。現況のまま引き渡せるため、リフォームや修繕の必要がなく、内覧対応も不要です。近隣トラブルや赤字運営中の物件でも対応可能で、温泉権の複雑な引き継ぎや、急傾斜地・再建築不可物件など、仲介では敬遠されがちな物件でも買取してもらえる可能性があります。
また、仲介手数料が不要なため、売却にかかる諸費用を抑えられます。売却が決まれば確実に現金化できるため、次の投資先への資金移動や、早期に負担から解放されたい場合には大きなメリットとなります。
デメリットは、買取価格が仲介での売却相場の70〜80%程度になることです。箱根エリアの場合、坪単価11〜24万円程度が買取相場の目安となり、仲介と比べて価格は低くなります。別荘地規制により営業日数が制限されているエリアでは、収益性の低さから買取価格がさらに控えめになることもあります。
買取が向いているのは、早期売却を優先したい方、面倒な手続きを避けたい方、近隣トラブルや赤字運営で悩んでいる方、営業日数制限のある物件を所有している方です。精神的負担から早く解放されたい場合や、次の投資先への資金移動を急ぐ場合には、買取が現実的な選択肢となります。
箱根エリアの場合、どちらを選ぶべきか?
箱根エリア特有の事情を踏まえた判断基準をご紹介します。
仲介を選ぶべきケース
- 稼働率が60%以上で、黒字運営を維持できている
- レビュー評価が4.5以上で、ゲストからの評判が良い
- 箱根湯本駅周辺など、アクセスが良好で観光客の需要が高い
- 温泉権がシンプルで、買い手への引き継ぎが容易
- 物件の状態が良好で、大きな修繕が不要
- 3〜6ヶ月程度の売却期間を許容できる
- できるだけ高値での売却を優先したい
買取を選ぶべきケース
- 温泉権・源泉使用権の引き継ぎが複雑で、温泉組合との調整に手間がかかる
- 1〜2ヶ月以内に現金化したい
- 別荘地規制エリアで月曜日〜金曜日の営業ができず、収益性が低い
- 稼働率が低く、赤字運営が続いている
- 急傾斜地や再建築不可物件で、一般の買い手が見つかりにくい
- 近隣トラブルが発生している、または違反状態がある
- 内覧対応や価格交渉の手間を避けたい
- 現況渡しで手間をかけずに売却したい
箱根エリアは観光地としての魅力が高い一方、温泉権や別荘地規制など特有の制約があります。稼働実績が良好で物件の状態も良い場合は仲介での高値売却を目指し、早期売却を優先したい場合や特殊な事情がある場合は買取を選択するという判断が合理的です。
仲介での売却を詳しく検討したい場合、民泊 売却 仲介で仲介のメリット・デメリットを整理しています。
箱根エリアの民泊売却相場とエリア別特徴
箱根町は広範囲にわたり、エリアによって観光需要、規制内容、物件特性が大きく異なります。売却を検討する際は、ご自身の物件があるエリアの特徴と相場を把握しておくことが重要です。
箱根湯本周辺(アクセス良好・高稼働エリア)
箱根湯本は箱根観光の玄関口として、最も観光客が集中するエリアです。箱根登山鉄道の始発駅があり、新宿から小田急ロマンスカーで約90分という利便性の高さが魅力です。
売却相場は坪単価20〜30万円程度が目安となります。特に駅から徒歩10分圏内の物件は、観光客からの需要が高く、稼働率を維持しやすいため、買い手からの評価も高くなります。温泉街として老舗旅館が多く、民泊は旅館よりリーズナブルな宿泊先として一定の需要を確保しています。
このエリアの特徴は、日帰り温泉施設や飲食店が充実しており、観光客にとって滞在しやすい環境が整っていることです。コンビニやスーパーも徒歩圏内にあり、長期滞在のゲストにも対応しやすい立地です。
売却評価においては、稼働実績が最も重視されます。年間稼働率が60%以上、レビュー評価が4.5以上であれば、仲介での高値売却も期待できます。温泉権付き物件の場合、温泉組合との調整がスムーズであれば加点要素となり、売却価格の上乗せも可能です。
強羅・小涌谷周辺(温泉地・高級別荘地)
強羅・小涌谷エリアは、高級温泉旅館や別荘が点在する高級志向のエリアです。箱根登山ケーブルカーでアクセスし、彫刻の森美術館や箱根美術館など文化施設も充実しています。
売却相場は坪単価18〜28万円程度で、温泉権の有無や引き継ぎの複雑さによって変動します。このエリアは温泉権・源泉使用権を持つ物件が多く、売却時の大きな評価ポイントとなります。
エリアの特徴は、高級別荘地としてのブランド価値が高く、富裕層からの需要が根強いことです。一方で、温泉権の引き継ぎが複雑になりやすく、温泉組合との契約内容や源泉使用許可証の確認に時間がかかる場合があります。
また、一部のエリアでは別荘地規制により、月曜日〜金曜日の営業が禁止されています。神奈川県の住宅宿泊事業法に基づく箱根町の上乗せ条例により、別荘地エリアでは営業日数が大幅に制限されるため、収益性が低下します。このような規制対象エリアの物件は、売却価格も控えめになる傾向があります。
売却評価では、温泉権の内容が詳細に確認されます。引湯権なのか源泉の持ち分権なのか、使用量の制限があるのかなど、権利の詳細が明確であれば、仲介での高値売却の可能性が高まります。温泉権の調整に精通した買取業者を選べば、買取でもスムーズな売却が可能です。
仙石原周辺(別荘地・営業日数制限あり)
仙石原は、すすき草原や湿生花園などの自然景観が魅力の別荘地エリアです。広大な敷地を持つ別荘が多く、避暑地としての人気が高い一方、民泊運営には制約が多いエリアでもあります。
売却相場は坪単価13〜22万円程度で、箱根エリアの中では控えめな価格帯です。最大の理由は、箱根町の上乗せ条例による営業日数制限です。別荘地として指定されているエリアでは、月曜日〜金曜日の営業が禁止されており、土日祝日のみの営業となります。
この制約により、年間の稼働日数が大幅に減少し、収益性が低くなります。特にビジネス客や平日の観光客を取り込めないため、民泊としての収益モデルが成り立ちにくいのが実情です。稼働率が30〜40%程度にとどまる物件も多く、赤字運営に悩むオーナーも少なくありません。
売却評価では、営業日数制限の影響が大きく考慮されます。民泊としての収益性は低いため、定住用や別荘としての活用を前提とした価格設定となります。仲介での売却は時間がかかることが多く、買取での早期売却が現実的な選択肢となるケースが多いです。
一方で、自然環境の豊かさや別荘地としてのブランド価値は高く、定住用や別荘としての需要は一定程度存在します。民泊からの転用を前提とした買取であれば、対応可能な業者もあります。
芦ノ湖周辺(観光スポット・急傾斜地多い)
芦ノ湖周辺は、海賊船や箱根神社など観光スポットが集中する人気エリアです。湖畔の景観は箱根を代表する観光資源であり、インバウンド需要も高いエリアです。
売却相場は坪単価11〜20万円程度で、急傾斜地や再建築不可物件の場合はさらに減額されることがあります。このエリアの特徴は、地形の制約が大きいことです。箱根全体が山岳地帯であり、特に芦ノ湖周辺は急傾斜地が多く、再建築不可の物件も少なくありません。
再建築不可物件とは、建築基準法上の接道義務を満たしていない、または急傾斜地崩壊危険区域に指定されているなど、建て替えができない物件を指します。このような物件は、将来的な資産価値の維持が難しいため、一般の買い手が見つかりにくく、仲介での売却は困難です。
売却評価では、物件の建築基準法上の扱いが重要な判断材料となります。再建築可能であれば市場価格に近い評価が得られますが、再建築不可の場合は市場価格の50〜60%程度まで減額されることがあります。
観光需要は高いエリアですが、物件の物理的制約が売却価格に大きく影響するため、事前に物件の建築基準法上の扱いを確認しておくことが重要です。買取業者の中には、再建築不可物件専門に扱う業者も存在しますが、対応可能な業者は限定的です。
売却相場よりも早期売却を優先したい場合は、民泊 買取 相場で買取価格の決まり方を確認しておくと判断材料になります。
箱根で民泊を売却する流れと期間
売却方法によって、手続きの流れと期間は大きく異なります。仲介と買取、それぞれの具体的な流れを確認していきましょう。
仲介での売却の流れ(3〜6ヶ月)
仲介での売却は、複数のステップを経て進みます。各段階で必要な準備と期間の目安を把握しておくことで、スムーズな売却につながります。
査定依頼(1週間)
複数の不動産会社に査定を依頼します。物件の所在地、築年数、間取り、民泊としての稼働実績、温泉権の有無と契約内容などを提出します。箱根エリアに精通した不動産会社を選ぶことが重要です。
稼働実績データ(AirbnbやBooking.com、楽天トラベルなどの管理画面から予約数、稼働率、売上データ、レビュー評価など)を準備しておくと、査定額の根拠が明確になります。温泉権付き物件の場合、温泉組合との契約書類や源泉使用許可証も用意しておきましょう。
媒介契約締結(1週間)
査定結果を比較検討し、依頼する不動産会社を決定します。媒介契約には「専任媒介」「専属専任媒介」「一般媒介」の3種類があります。
専任媒介は1社のみに依頼する契約で、不動産会社が積極的に販売活動を行う傾向にあります。一般媒介は複数の不動産会社に依頼できる契約で、より多くの買い手候補にリーチできますが、各社の販売意欲は専任媒介より低くなることがあります。
販売活動(1〜3ヶ月)
不動産会社が物件情報をポータルサイトや自社サイトに掲載し、購入希望者を募集します。この期間中、内覧対応や価格交渉が発生します。
箱根エリアの場合、温泉権の詳細や別荘地規制の有無、稼働実績などが購入希望者の判断材料となります。内覧時には、物件の魅力を伝えるとともに、温泉権の引き継ぎ方法や管理の実態についても説明できるよう準備しておきましょう。
購入希望者が見つからない場合、価格の見直しやリフォームの検討が必要になることもあります。
売買契約締結(1週間)
買主が決定したら、売買契約書を締結します。契約内容の確認、手付金の受領、決済日の確定などが行われます。この段階で、温泉権の引き継ぎスケジュールや、民泊届出の廃業手続きについても確認しておきます。
決済・引き渡し(1〜2ヶ月)
残代金の決済と物件の引き渡しを行います。決済は通常、司法書士立会いのもと行われ、所有権移転登記の手続きも同時に進められます。
この期間中に、温泉権の名義変更手続き(温泉組合への届出、名義変更費用の支払い)と、民泊届出の廃業手続き(神奈川県小田原保健福祉事務所への届出)を完了させます。
買取での売却の流れ(1〜4週間)
買取での売却は、仲介と比べて手続きがシンプルで期間も短いのが特徴です。
査定依頼(即日〜3日)
買取業者に物件情報を提出します。必要な情報は、物件の所在地、築年数、間取り、民泊としての稼働実績、温泉権の有無と契約内容、近隣トラブルの有無などです。
稼働実績データや温泉権の契約書類があれば、この段階で提出すると査定がスムーズです。近隣トラブルや違反状態がある場合も、正直に申告することが重要です。
現地調査(3〜5日)
買取業者が実際に現地を訪問し、物件の状態を確認します。建物の劣化状況、設備の動作確認、周辺環境の確認などが行われます。
箱根エリアの場合、急傾斜地かどうか、再建築可能かどうかの確認も重要なポイントです。温泉設備がある場合は、給湯設備や配管の状態も確認されます。
買取価格提示(即日〜3日)
現地調査の結果をもとに、買取業者から買取価格と条件が提示されます。価格の内訳や、現況渡しの可否、温泉権の引き継ぎ方法、決済までのスケジュールなどが明示されます。
複数の買取業者に査定を依頼している場合は、この段階で比較検討します。価格だけでなく、温泉権の扱いに精通しているか、急傾斜地物件の買取実績があるかなども判断材料になります。
契約締結(1〜3日)
買取価格と条件に合意したら、売買契約書を締結します。契約内容の確認、手付金の受領、決済日の確定などが行われます。
決済・引き渡し(1〜2週間)
残代金の決済と物件の引き渡しを行います。買取業者によっては、温泉権の名義変更手続きや民泊廃業届の提出を代行してくれる場合もあり、売主の手間が大幅に軽減されます。
温泉権・民泊廃業届の手続き
箱根エリア特有の手続きとして、温泉権の名義変更と民泊廃業届の提出があります。
温泉権の名義変更(1〜2週間)
温泉組合への届出、名義変更費用の支払い(数万円〜、組合により異なる)が必要です。温泉使用料の滞納がある場合、清算を求められることが多く、滞納があると手続きが進みません。
組合によっては、新所有者の承認に理事会の決議が必要な場合もあり、時間がかかることがあります。買取の場合、業者が代行してくれることも多いですが、仲介の場合は売主と買主で分担して手続きを進めることが一般的です。
民泊廃業届(即日〜1週間)
神奈川県小田原保健福祉事務所への届出が必要です。住宅宿泊事業法に基づく届出をしている場合、廃業届を提出します。
届出はオンラインまたは窓口で行え、手続き自体は即日〜数日で完了します。ただし、予約中のゲストがいる場合は、すべての予約をキャンセルまたは完了させてから廃業手続きを行う必要があります。
民泊仲介サイトへの登録削除も忘れずに行いましょう。Airbnb、Booking.com、楽天トラベルなど、利用しているすべてのプラットフォームから物件情報を削除します。
売却の流れ全体については、民泊 売却 流れでより詳細に解説しています。
箱根で民泊を売却する際の費用と税金
民泊の売却には、仲介手数料や税金など様々な費用がかかります。事前に費用の全体像を把握しておくことで、手元に残る金額を正確に見積もることができます。
仲介で売却する場合の費用
仲介での売却には、主に以下の費用がかかります。
仲介手数料
最も大きな費用が仲介手数料です。法定上限は「譲渡額×3%+6万円+消費税」と定められています。例えば、1,500万円で売却した場合、「1,500万円×3%+6万円+消費税=56万1,000円」が上限となります。
実際には、譲渡額の5〜10%程度を目安に考えておくとよいでしょう。高額物件ほど手数料も高くなるため、売却価格と手数料のバランスを考慮する必要があります。
温泉権名義変更費用
温泉組合によって金額は異なりますが、数万円〜十数万円程度が目安です。温泉組合への届出手数料、名義変更手数料、事務手数料などが含まれます。組合によっては、新規加入金のような費用が発生する場合もあります。
民泊廃業届の手続き費用
自分で手続きを行う場合は無料ですが、司法書士に依頼する場合は1〜2万円程度の報酬が発生します。手続き自体は複雑ではないため、自分で行うことも可能です。
その他費用
印紙税(売買契約書に貼付する印紙代、譲渡額に応じて数千円〜数万円)、登記費用(抵当権が設定されている場合の抵当権抹消登記、司法書士報酬込みで1〜2万円程度)、測量費用(境界確定が必要な場合、30〜50万円程度)などがかかることがあります。
買取で売却する場合の費用
買取での売却は、仲介と比べて費用を抑えられます。
仲介手数料
買取業者が直接買取するため、仲介手数料は不要です。これは買取の大きなメリットの一つです。
温泉権名義変更費用
買取業者が代行する場合が多く、代行手数料込みで対応してくれることもあります。業者によって対応が異なるため、契約前に確認しておきましょう。
民泊廃業届の手続き費用
買取業者が代行する場合が多く、売主の手間が軽減されます。
その他費用
印紙税、登記費用(抵当権抹消)は仲介と同様に発生します。ただし、測量費用は買取業者が負担する場合が多いです。
譲渡所得税(短期 vs 長期で大きく変わる)
民泊を売却した際に得た利益には、譲渡所得税がかかります。税率は所有期間によって大きく異なるため、売却のタイミングが重要です。
短期譲渡所得(所有5年以内)
税率は39.63%(所得税30.63% + 住民税9%)です。所有期間が5年以内の場合、高い税率が適用されます。
長期譲渡所得(所有5年超)
税率は20.315%(所得税15.315% + 住民税5%)です。所有期間が5年を超えると、税率が約半分になります。
所有期間の判定は、譲渡した年の1月1日時点での所有期間で判断されます。例えば、2021年4月に取得した物件を2026年3月に売却した場合、実際の所有期間は4年11ヶ月ですが、2026年1月1日時点では所有期間4年9ヶ月となり、短期譲渡所得となります。
計算式
譲渡所得 = 譲渡価格 − 取得費 − 譲渡費用
譲渡価格は売却金額、取得費は物件の購入価格と購入時の諸費用(仲介手数料、登記費用など)、譲渡費用は売却時の諸費用(仲介手数料、測量費用など)を指します。
計算例
1,500万円で売却、取得費1,000万円、譲渡費用50万円の場合
譲渡所得 = 1,500万円 − 1,000万円 − 50万円 = 450万円
長期譲渡の場合:450万円 × 20.315% = 約91万円の税金
短期譲渡の場合:450万円 × 39.63% = 約178万円の税金
所有期間によって約87万円もの差が出るため、売却のタイミングは慎重に検討する必要があります。
確定申告の注意点
民泊を売却した場合、確定申告が必要です。
申告期限
譲渡した年の翌年2月16日〜3月15日です。例えば、2026年中に売却した場合、2027年2月16日〜3月15日に確定申告を行います。
必要書類
確定申告書、譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)、売買契約書のコピー、譲渡費用の領収書(仲介手数料、測量費用など)、取得費の領収書(購入時の契約書、仲介手数料の領収書など)が必要です。
控除の注意点
別荘は「居住用財産」ではないため、居住用財産の3,000万円特別控除は適用されません。民泊として使用していた物件も同様に、この控除は受けられません。
税金の計算は複雑なため、不安な場合は税理士に相談することをおすすめします。特に、取得費が不明な場合や、建物の減価償却費の計算が必要な場合は、専門家のアドバイスが有効です。
売却時の費用について詳しくは、民泊 売却 費用で内訳を整理しています。
箱根エリアの特殊ケース別・売却対応の可否
箱根エリアには、観光地ならではの特殊な物件事情があります。それぞれのケースで売却が可能かどうか、注意点とともに確認していきましょう。
温泉権・源泉使用権付き物件の売却
箱根の民泊物件の多くは、温泉権または源泉使用権が付いています。温泉は箱根の大きな魅力ですが、権利の引き継ぎには注意が必要です。
対応可否
温泉権・源泉使用権付き物件の売却は、仲介・買取ともに可能です。ただし、温泉組合との調整が必要になるため、対応に慣れた業者を選ぶことが重要です。
注意点
温泉使用料の滞納がある場合、売却が困難になります。温泉組合への未払い金は、名義変更の際に清算を求められることが多く、滞納があると手続きが進みません。売却前に滞納がないか確認し、ある場合は清算しておく必要があります。
名義変更手続きには1〜2週間程度かかります。温泉組合によって手続きの内容や期間が異なるため、事前に確認が必要です。組合によっては、新所有者の承認に理事会の決議が必要な場合もあり、時間がかかることがあります。
温泉権の内容も重要です。引湯権(温泉を引く権利)なのか、源泉の持ち分権なのか、使用量の制限があるのかなど、権利の詳細を把握しておくことで、買い手や買取業者への説明がスムーズになります。
仲介の場合、買主が温泉権の詳細を理解するまでに時間がかかることがあります。買取の場合、業者が温泉権の調整を代行してくれることが多く、売主の手間が軽減されます。
別荘地規制エリア(営業日数制限)の売却
箱根町では、別荘地エリアに対して住宅宿泊事業法の上乗せ条例を設けており、月曜日〜金曜日の営業を禁止しています。
対応可否
営業日数制限がある物件でも、仲介・買取ともに売却可能です。ただし、収益性が低いため、売却価格は市場価格より控えめになります。
注意点
別荘地規制により、年間の営業日数が大幅に制限されます。土日祝日のみの営業となるため、年間の稼働日数は100日前後となり、民泊としての収益モデルが成り立ちにくいのが実情です。
仲介の場合、民泊投資家からは敬遠されがちで、売却に時間がかかることがあります。定住用や別荘としての購入を検討する買い手を探す必要があり、ターゲットが限定されます。
買取の場合、業者は民泊以外の用途(定住用、別荘賃貸、管理物件など)での活用を前提に買取価格を算定します。そのため、民泊としての稼働実績よりも、物件の立地や建物の状態が評価の中心になります。買取価格は市場価格の70%程度が目安となります。
規制内容は箱根町の条例によって定められており、今後変更される可能性もあります。売却前に最新の規制内容を箱根町公式HPで確認しておくとよいでしょう。
急傾斜地・再建築不可物件の売却
箱根は山岳地帯であり、急傾斜地や再建築不可の物件も存在します。
対応可否
急傾斜地・再建築不可物件の売却は、訳あり物件専門の買取業者であれば対応可能です。ただし、対応できる業者は限定的で、仲介での売却は極めて困難です。
再建築不可物件の売却でお困りの場合は、再建築不可 民泊 売却で詳しく解説しています。
注意点
再建築不可物件とは、建築基準法上の接道義務を満たしていない、または急傾斜地崩壊危険区域に指定されているなど、建て替えができない物件を指します。将来的な資産価値の維持が難しいため、一般の買い手が見つかりにくいのが実情です。
買取価格は市場価格の50〜60%程度が目安となり、物件の状態や立地によってはさらに低くなることもあります。
急傾斜地の場合、災害リスクも考慮されます。土砂災害警戒区域に指定されている場合、買取価格がさらに低くなることがあります。神奈川県の土砂災害情報ポータルなどで、物件が警戒区域に指定されていないか確認しておくとよいでしょう。
再建築不可物件でも、リフォームや用途変更は可能なケースが多いため、現状の建物を活用する前提での買取となります。建物の老朽化が進んでいる場合、買取価格はさらに低くなります。
近隣トラブル・違反状態の物件
民泊運営中に近隣住民からの苦情が絶えない、または住宅宿泊事業法の届出をせずに運営していたなど、トラブルや違反状態のある物件も存在します。
対応可否
近隣トラブルや違反状態の物件でも、買取は可能です。現況渡しOKの買取業者であれば、トラブル対応を引き継ぐ形で買取してもらえます。仲介での売却は極めて困難です。
注意点
違反状態の場合、買取業者が適法化対応を行う必要があるため、買取価格は減額されます。届出をせずに運営していた場合、行政からの指導や罰則のリスクがあり、そのリスク分が買取価格に反映されます。
近隣トラブルの内容も重要です。騒音、ゴミ出し、駐車場の問題など、トラブルの内容によって買取業者の対応が変わります。自治会からの退会要請があった場合や、訴訟リスクがある場合は、買取価格がさらに低くなることがあります。
トラブルの内容を隠して売却すると、契約不適合責任を問われるリスクがあります。買取業者には正直にトラブルの内容を伝え、現況での買取を前提に交渉する方が、結果的にスムーズな売却につながります。
箱根で民泊の売却を検討されている方へ、StayExitでは温泉権付き物件・別荘地規制物件・急傾斜地物件・近隣トラブル物件など、箱根エリア特有の事情に対応した買取サービスを提供しています。最短3営業日での成約実績もあり、現況渡しOK・無料査定も承っています。仲介での高値売却のご相談も可能です。まずはお気軽にご相談ください。
よくある質問
Q1:温泉権がない物件でも売却可能ですか?
温泉権のない物件でも売却は可能です。温泉権の有無は売却価格の評価要素の一つですが、売却自体を断られることはありません。箱根エリアでも、温泉を引いていない民泊物件は存在し、立地や建物の状態が良好であれば、十分な売却価格が提示されることもあります。仲介・買取ともに対応しています。
Q2:箱根町の上乗せ条例で営業日数が制限されている物件でも売却できますか?
営業日数制限がある物件でも売却可能です。ただし、別荘地規制により月曜日〜金曜日の営業ができないエリアの物件は、民泊としての収益性が低いため、売却価格は市場価格より控えめになります。仲介での売却は時間がかかることが多く、買取での早期売却が現実的な選択肢です。買取業者は、民泊以外の用途(定住用や別荘賃貸など)での活用を前提に価格を算定することが多いです。
Q3:急傾斜地・再建築不可物件でも売却してもらえますか?
訳あり物件専門の買取業者であれば、急傾斜地・再建築不可物件の売却も対応可能です。ただし、将来的な建て替えができないため、売却価格は市場価格の50〜60%程度が目安となります。物件の状態や立地によっては、さらに低い価格になることもありますが、仲介では売却が困難な物件でも現金化できるメリットがあります。
Q4:売却時の税金はいくらかかりますか?
譲渡所得税は所有期間により異なります。所有5年以内(短期譲渡)は39.63%(所得税30.63% + 住民税9%)、所有5年超(長期譲渡)は20.315%(所得税15.315% + 住民税5%)です。計算式は「譲渡所得 = 譲渡価格 − 取得費 − 譲渡費用」で、この譲渡所得に対して税率をかけます。別荘は「居住用財産」ではないため、3,000万円特別控除は適用外です。税金の計算は複雑なため、税理士への相談をおすすめします。
Q5:仲介と買取、どちらが良いか迷っています
稼働率が高く黒字運営なら仲介、早期売却優先・赤字運営・営業日数制限のある物件なら買取がおすすめです。仲介は市場価格に近い金額で売却できますが、3〜6ヶ月程度の期間が必要です。買取は売却価格が仲介の70〜80%程度になりますが、1〜4週間で現金化できます。箱根エリアは温泉権や規制の影響で売却が複雑化するため、専門業者への相談を推奨します。ご自身の状況と物件の特性を踏まえて判断しましょう。
まとめ
箱根エリアで民泊を売却する際は、仲介と買取の違い、売却相場、税金・費用、温泉権の扱い、別荘地規制の影響などを事前に理解しておくことが重要です。箱根は観光地として高い需要がある一方、温泉権の引き継ぎ、営業日数制限、急傾斜地物件など、エリア特有の売却障壁も存在します。稼働率が高く黒字運営なら仲介での高値売却を、早期売却を優先する場合や赤字運営・営業日数制限のある物件なら買取を選択しましょう。温泉権付き物件や再建築不可物件、近隣トラブル物件など、箱根特有の事情に対応した専門業者を選ぶことが成功のカギです。売却後は確定申告を忘れずに行い、譲渡所得税の納税に備えましょう。所有期間が5年を超えるかどうかで税率が大きく変わるため、売却のタイミングも慎重に検討することが大切です。
箱根で民泊の売却をご検討なら、StayExitへお任せください。温泉権付き物件・別荘地規制物件・急傾斜地物件・近隣トラブル物件など、箱根エリア特有の事情に精通した専門スタッフが対応いたします。仲介での高値売却、買取での最短3営業日成約、現況渡しOK、無料査定も承っています。
【免責事項】
本記事は2026年1月時点の情報をもとに作成しています。民泊に関する法令・条例、売却相場、税率、規制内容は変更される場合がありますので、最新情報は箱根町公式HP、神奈川県公式HP、観光庁、国税庁などの公式情報源をご参照ください。また、個別の物件状況により対応可否や売却価格は異なりますので、具体的なご相談は専門業者へお問い合わせください。税金については税理士、法律については司法書士・弁護士にご相談ください。
