民泊廃業における税務の完全ガイド|個人・法人別の手続きと最終確定申告

民泊事業からの撤退を決断された事業者の皆さまにとって、税務処理は避けて通れない重要な手続きです。本記事では、民泊廃業時に必要な税務手続きを、個人事業主と法人それぞれのケースに分けて、体系的に解説します。廃業届の提出から減価償却資産の処理、最終確定申告、さらには廃業後の税務調査リスクまで、実務的な注意点を網羅しています。


民泊 廃業 税務とは|個人・法人で異なる撤退時の税務手続き

民泊廃業時に必要な税務手続きの全体像

民泊事業を廃業する際、多くの事業者が見落としがちなのが税務手続きです。廃業時の手続きは大きく分けて、**自治体への廃業届(行政手続き)税務署への届出・確定申告(税務手続き)**の2本柱で構成されています。

税務手続きは以下の3ステップで進めます。

【税務手続きの3ステップ】

  1. 廃業届出書の提出:税務署に事業廃止を報告
  2. 減価償却資産の整理:設備・家具などの残存簿価を処理
  3. 最終確定申告:廃業年度の所得を申告

これらの手続きを怠ると、税務署から追徴課税や過料が課される可能性があります。特に個人事業主の場合、廃業届を提出しないと、翌年以降も事業を継続しているとみなされ、所得がなくても申告義務が継続するリスクがあります。

個人事業主と法人で異なる税務処理

民泊事業の廃業時の税務処理は、個人事業主と法人で大きく異なります。以下の比較表で主な違いを確認しましょう。

項目個人事業主法人
提出書類①個人事業の開業・廃業等届出書②青色申告の取りやめ届出書(該当者のみ)③事業廃止届出書(消費税課税事業者のみ)①事業廃止届出書②異動届出書③法人清算に関する届出
提出期限廃業後1か月以内(廃業届)青色申告は翌年3月15日まで事業廃止後すみやかに清算結了は登記完了後
課税方法所得税(廃業年度分を確定申告)廃業に伴う譲渡所得税法人税(事業年度分)清算所得に対する法人税
申告期限翌年2月16日~3月15日事業年度終了後2か月以内清算確定申告は清算結了日から1か月以内

【個人事業主の場合】

個人事業主として民泊を運営していた方は、以下の3つの書類提出が必要になる可能性があります。

  • 個人事業の開業・廃業等届出書:全ての個人事業主が必須
  • 青色申告の取りやめ届出書:青色申告の承認を受けていた方のみ
  • 事業廃止届出書:消費税の課税事業者(年間売上1,000万円超)の方のみ

【法人の場合】

法人として民泊事業を運営していた場合は、より複雑な手続きが必要です。

  • 事業廃止届出書の提出に加え、法人を完全に清算する場合は清算手続きが必要
  • 清算時には清算所得(資産を処分して得た金額から負債を差し引いた額)に対して法人税が課税されます
  • 運営停止だけでは法人の義務は消滅せず、毎年の税務申告や登記が継続するため、撤退後に事業再開予定がない場合は、法的に清算・解散を行うことが推奨されます

廃業届出書の提出と期限|個人事業主が提出すべき3つの書類

個人事業の開業・廃業等届出書(提出期限:廃業後1か月以内)

民泊事業を個人事業主として運営していた方が、廃業時に最初に提出すべき書類が「個人事業の開業・廃業等届出書」です。

【提出の基本情報】

  • 提出先:所轄の税務署
  • 提出期限:廃業した日から1か月以内
  • 提出方法:税務署窓口への持参、郵送、e-Tax(電子申告)

【主な記入項目】

  • 廃業日(実際に事業を停止した日)
  • 廃業理由(「収益悪化のため」「事業転換のため」など)
  • 事業内容(「住宅宿泊事業」「旅館業」など)
  • 届出者の氏名・住所・マイナンバー

国税庁のウェブサイトでは記入例が公開されているため、初めての方でも比較的スムーズに作成できます。e-Taxを利用すれば、自宅から24時間提出が可能で、提出の証明も電子的に保管されるため便利です。

参考:国税庁「個人事業の開業・廃業等届出書」

青色申告の取りやめ届出書(青色申告事業者の場合)

青色申告の承認を受けて民泊事業を行っていた方は、廃業届とは別に「所得税の青色申告の取りやめ届出書」の提出が必要です。

【提出の基本情報】

  • 提出先:所轄の税務署
  • 提出期限:青色申告を取りやめる年の翌年3月15日まで
  • 注意点:この届出を提出しないと、翌年以降も青色申告の承認が継続し、事業を行っていないにもかかわらず、青色申告に基づく帳簿作成義務が残る可能性があります

青色申告を行っていた方は、65万円または55万円の特別控除を受けていたはずです。廃業年度については、1月1日から廃業日までの期間について青色申告特別控除を受けることができますが、翌年以降は不要になるため、忘れずに取りやめ届を提出しましょう。

事業廃止届出書(消費税課税事業者の場合)

民泊事業の年間売上が1,000万円を超えていた方は、消費税の課税事業者として登録されています。この場合、「事業廃止届出書」の提出が必要です。

【提出の基本情報】

  • 提出先:所轄の税務署
  • 提出期限:事業廃止後すみやかに(法的な明確な期限はありませんが、速やかな提出が求められます)
  • 重要な追加手続き:消費税の最終申告も必要です(廃業した年の翌年1月1日~3月31日に申告)

消費税の課税事業者だった場合、廃業年度の消費税についても確定申告が必要です。申告を怠ると、延滞税や無申告加算税が課される可能性があるため、税理士に相談することをおすすめします。


減価償却資産と設備処分の税務処理|残存簿価・個人引き出し・売却の扱い

減価償却資産の残存簿価を確認する

民泊事業で使用していた建物(建物附属設備を含む)、エアコン、家具、家電製品など、取得価額が10万円以上のものは減価償却資産として処理されています。廃業時点でこれらの資産に**未償却残高(残存簿価)**がある場合、適切な税務処理が必要です。

【減価償却資産の例】

  • 建物・建物附属設備(内装工事、給排水設備など)
  • 高額家具(ベッド、ソファ、ダイニングテーブルなど)
  • 家電製品(冷蔵庫、洗濯機、テレビなど)
  • パソコン、業務用機器

【残存簿価の確認方法】

  • 会計帳簿の「固定資産台帳」を確認
  • 青色申告決算書の「減価償却費の計算」欄に記載されている帳簿価額を確認
  • 取得価額から、これまでに計上した減価償却費の累計額を差し引いた金額が残存簿価です

廃業時に残存簿価がある資産をどう処理するかによって、税務上の取り扱いが変わります。次のセクションで具体的な処理方法を見ていきましょう。

設備を処分・売却した場合の税務処理

減価償却資産を廃業時にどう処分するかによって、税務処理が異なります。主なパターンは以下の3つです。

【①売却した場合】

設備や家具を第三者に売却した場合、売却価格と残存簿価の差額が所得となります。

  • 計算式:売却価格 – 残存簿価 = 譲渡所得または事業所得
  • :残存簿価30万円の家具を20万円で売却した場合、10万円の損失(除却損)を経費計上できます
  • 逆に:残存簿価20万円の設備を30万円で売却した場合、10万円が事業所得として課税対象になります

【②廃棄した場合】

使用できなくなった設備を廃棄処分した場合、残存簿価を「除却損」として経費に計上できます。

  • 仕訳例:除却損 30万円 / 備品 30万円
  • 注意点:廃棄したことを証明できる書類(廃棄業者の証明書、処分費用の領収書など)を保管しておきましょう

【③個人で使用する場合】

民泊事業用の家具や家電を、廃業後に個人の自宅で使用する場合は、適正な時価で「事業主貸(個人引き出し)」として処理します。

  • 処理方法:事業主貸(時価相当額)/ 備品(残存簿価)
  • 注意点:時価が残存簿価より低い場合、差額を損失として計上できます。ただし、時価の算定は客観的に行う必要があり、税務調査で問題にならないよう、中古市場価格などを参考にしましょう

物件を売却する場合の譲渡所得税

民泊運営に使用していた物件そのものを売却する場合、譲渡所得税が課税されます。これは設備の処分とは別の税金です。

【譲渡所得の計算式】

譲渡所得 = 売却価格 – (取得費 + 譲渡費用)

【税率は所有期間によって異なります】

所有期間区分税率(所得税+住民税)
5年以下短期譲渡所得約39%(所得税30% + 住民税9%)
5年超長期譲渡所得約20%(所得税15% + 住民税5%)

【節税のポイント】

  • 取得費加算の特例:相続した物件の場合、相続税の一部を取得費に加算できる場合があります
  • 居住用財産の3,000万円特別控除:民泊を始める前、または廃業後に自己居住していた期間がある場合、一定の要件を満たせば3,000万円の特別控除を受けられる可能性があります
  • 譲渡費用:不動産仲介手数料、測量費、登記費用、原状回復費用(売却のために必要なもの)なども控除できます

物件売却時の税務処理は複雑なため、事前に税理士に相談することを強くおすすめします。

参考:国税庁「譲渡所得」


廃業年度の確定申告と税務調査リスク|青色申告特別控除・赤字の繰越・調査への備え

廃業年度の確定申告の注意点

民泊事業を廃業した年についても、通常通り確定申告が必要です。廃業したからといって申告義務が免除されるわけではありません。

【廃業年度の確定申告の基本】

  • 申告対象期間:1月1日~廃業日までの所得
  • 申告期限:翌年2月16日~3月15日(通常の確定申告と同じ)
  • 青色申告特別控除:廃業年度についても、青色申告の要件を満たしていれば最大65万円の特別控除を適用できます

【廃業に伴う経費の計上】

廃業年度には、通常の運営経費に加えて、以下のような廃業に伴う経費も計上できます。

  • 物件の原状回復費用(賃貸物件の場合)
  • 不要になった設備の廃棄費用
  • 不動産仲介手数料(物件売却の場合は譲渡費用として別計算)
  • 弁護士・税理士への相談費用

【赤字で廃業した場合のメリット】

廃業年度が赤字(所得がマイナス)の場合、確定申告は法的義務ではありません。しかし、青色申告を行っていた場合、損失の繰越控除(最大3年間)を受けるために、あえて申告することをおすすめします。

  • 損失の繰越控除:廃業年度の赤字を翌年以降の所得と相殺できる制度
  • :廃業年度に100万円の赤字が出た場合、翌年に他の事業で50万円の所得があれば、相殺して所得をゼロにできます

この制度を利用するには、赤字の年も含めて連続して確定申告を行う必要があります。

参考:国税庁「確定申告」

廃業後の税務調査リスクと対策

多くの事業者が誤解していますが、廃業後も税務調査は実施される可能性があります。税務調査は過去の申告内容を対象とするため、事業を廃止した後でも、過去3~5年(悪質な場合は最大7年)遡って調査される可能性があります。

【税務調査の対象になりやすいケース】

  1. 売上の申告漏れ:特にAirbnbなど複数のプラットフォームを使用していた場合、収入の計上漏れが疑われやすい
  2. 経費の過大計上:個人的な支出を事業経費として計上していた場合
  3. 消費税の不正還付:仕入税額控除を不正に受けていた場合
  4. 減価償却の誤り:耐用年数の誤適用、資本的支出と修繕費の区分ミスなど

【税務調査への備えと対策】

  • 帳簿・領収書の保管:廃業後も最低7年間は保管が必要です。電子データも含めて整理しておきましょう
  • 不明瞭な経費計上を避ける:グレーゾーンの経費については、事前に税理士に確認を
  • 売上の完全性を証明:プラットフォームからの入金明細、銀行口座の記録を保管
  • 税理士に相談:税務調査の事前通知が来た場合、速やかに税理士に相談しましょう

【税務調査の流れ】

  1. 事前通知:調査日時の通知(通常は電話で連絡)
  2. 質問応答:税務署職員が帳簿や領収書を確認し、質問
  3. 修正申告または更正処分:申告漏れが発見された場合、修正申告を求められるか、税務署が職権で更正処分を行います

参考:国税庁「税務調査手続に関するFAQ」


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まとめ|民泊 廃業 税務の手続きチェックリストと撤退時の選択肢

民泊事業からの撤退を検討されている方は、税務手続きの抜け漏れがないよう、以下のチェックリストを活用してください。

税務手続きチェックリスト

手続き項目期限対象者確認
個人事業の開業・廃業等届出書廃業後1か月以内個人事業主全員
青色申告の取りやめ届出書翌年3月15日まで青色申告事業者のみ
事業廃止届出書(消費税)すみやかに課税事業者のみ
減価償却資産の残存簿価確認廃業前減価償却資産保有者
設備の処分・売却の税務処理廃業時設備保有者
最終確定申告翌年2月16日~3月15日全事業者
帳簿・領収書の保管最低7年間全事業者

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【免責事項】

本記事の情報は2025年12月時点のものであり、税制改正等により内容が変更される可能性があります。実際の税務処理については、必ず所轄の税務署または税理士にご確認ください。

【参考リンク】

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