地方民泊は成立するのか|採算・失敗例・撤退方法まで徹底解説

メタディスクリプション: 地方民泊の採算性、成功・失敗の分かれ目、地方特有の課題と撤退・売却方法まで網羅的に解説します。


地方 民泊の現状|市場環境と都市部との決定的な違い

地方で民泊事業を始めることは、都市部とは全く異なる戦略と覚悟が必要です。近年、地方創生や空き家活用の観点から注目を集める地方民泊ですが、実際の市場環境は想像以上に厳しいのが現実です。

地方民泊の市場規模とインバウンド需要の実態

観光庁の「宿泊旅行統計調査」によると、2023年の地方部における外国人延べ宿泊者数は約2,800万人泊で、コロナ前の2019年(約3,200万人泊)の約87%まで回復しています。一方、東京・大阪・京都の三大都市圏では2019年比95%以上の回復を見せており、地方部の回復は都市部に比べて遅れているのが実情です。

また、地方と都市部では稼働率に大きな差があります。Airbnbの公開データおよび業界レポートによると、東京都心部の民泊平均稼働率が年間6070%であるのに対し、地方部は**年間平均3045%程度**に留まっています。この差が、地方民泊の採算性に直結する最大の要因となっています。

観光庁 宿泊旅行統計調査

地方民泊が抱える3つの構造的課題

課題1: 交通アクセスの悪さ

地方民泊の最大の弱点は、交通アクセスです。最寄駅から車で30分以上、公共交通機関が1日数本しかないといった立地では、レンタカーを借りない限り訪問が困難です。特にインバウンド客にとって、公共交通機関の少なさは大きなハードルとなります。

課題2: 認知度の低さと集客コストの高さ

Airbnbや楽天トラベルなどの予約サイトでは、検索結果の上位に表示されるのは都市部や有名観光地の物件です。地方の無名な物件は検索されにくく、広告費をかけて露出を増やさなければ予約が入りません。その結果、集客コストが売上の15~25%に達するケースも珍しくありません。

課題3: 季節変動の激しさ

地方民泊は、夏季やGW、年末年始などの繁忙期には稼働率7080%を記録することもありますが、閑散期(11月2月、梅雨時期)には1020%まで落ち込みます。この極端な季節変動により、**年間平均稼働率が3040%に留まり、採算割れを起こしやすい**構造になっています。

地方民泊で成功している物件の3つの特徴

一方で、地方民泊でも成功している物件は存在します。その共通点は以下の3つです。

特徴1: 体験価値の提供

成功している地方民泊は、単なる「宿泊場所」ではなく、その土地でしかできない体験を提供しています。例えば、古民家に泊まりながら地元の農家と一緒に野菜を収穫する、伝統工芸品づくりを体験する、地域住民との交流イベントに参加するなど、体験価値が価格に反映されています。

特徴2: 明確なターゲット設定

成功物件は、ターゲットを明確に絞っています。ファミリー向け(キッチン完備、広い庭)、グループ向け(BBQ施設、複数部屋)、長期滞在向け(ワーケーション対応、高速Wi-Fi)など、誰に何を提供するのかが明確です。

特徴3: 価格ではなく独自性で勝負

地方民泊で成功している物件の宿泊単価は、1泊10,000円~30,000円と決して安くありません。しかし、その独自性(築100年の古民家、絶景のロケーション、オーナーの人柄)に価値を感じるゲストが集まり、高稼働率を維持しています。


地方 民泊の収支シミュレーション|採算ラインはどこ?

地方民泊を始める前に、最も重要なのが収支のシミュレーションです。ここでは、成功パターンと失敗パターンの2つのモデルを比較します。

地方民泊の収支モデル①:古民家・体験型(成功パターン)

項目金額
物件タイプ古民家一棟貸し(3LDK)
宿泊単価20,000円/泊
年間稼働日数120日(180日×約67%)
年間売上約240万円
年間経費約150万円(光熱費、清掃、広告、保険等)
年間利益約90万円(黒字)

このモデルでは、古民家という独自性と体験価値(農業体験、地域交流)を提供することで、宿泊単価20,000円を実現しています。稼働率67%は高めですが、SNSでの口コミやリピーター獲得により達成可能な数字です。

地方民泊の収支モデル②:ワンルーム・単純宿泊型(失敗パターン)

項目金額
物件タイプ地方都市のワンルーム
宿泊単価5,000円/泊
年間稼働日数60日(180日×約33%)
年間売上約30万円
年間経費約60万円(賃料、光熱費、清掃、広告等)
年間利益約-30万円(赤字)

このモデルでは、低価格戦略で集客を試みますが、地方では「安いだけ」では選ばれません。稼働率33%は地方民泊の平均的な数字で、年間60日しか稼働しないため、固定費を回収できず赤字に陥ります。

地方民泊で黒字化する3つの条件

上記のシミュレーションから、地方民泊で黒字化するための条件が見えてきます。

条件1: 宿泊単価10,000円以上

地方民泊では、少なくとも宿泊単価10,000円以上を確保する必要があります。そのためには、体験価値や独自性が不可欠です。単なる「安い宿」では、ビジネスホテルや既存の旅館に勝てません。

条件2: 稼働率60%以上(年間108日以上稼働)

民泊新法の180日制限の中で、最低でも60%(108日)の稼働率が必要です。これを実現するには、リピーター獲得、口コミ評価の向上、効果的なマーケティングが求められます。

条件3: 初期投資を抑える(リフォーム費用200万円以内)

地方民泊は稼働率が低いため、初期投資の回収に時間がかかります。過度なリフォームや設備投資は避け、必要最低限の投資で始めることが重要です。

民泊業界の収支データ参考:不動産投資の教科書


地方 民泊で失敗する5つの理由

地方民泊で失敗する事業者には、共通したパターンがあります。ここでは、代表的な5つの失敗理由を解説します。

理由1:都市部と同じ戦略で始めてしまう

地方民泊の最大の失敗要因は、都市部と同じ戦略で始めてしまうことです。都市部では「駅近」「安い」「清潔」という3要素で勝負できますが、地方では交通アクセスが悪いため、これらの要素だけでは集客できません。

地方では、交通アクセスの悪さをカバーする付加価値(体験、景観、地域交流、オーナーの人柄)が必須です。これを理解せずに「安さ」だけで勝負すると、稼働率が上がらず赤字に陥ります。

理由2:集客コストを甘く見積もる

多くの失敗事例では、集客コストの見積もりが甘すぎます。Airbnbや楽天トラベルなどの予約サイトは、手数料として売上の1020%を徴収します。さらに、地方物件は検索上位に表示されにくいため、**広告費として売上の510%を追加で投入する**必要があります。

結果として、売上の15~30%が集客コストとして消えていき、利益を圧迫します。

理由3:閑散期の稼働率低下を想定していない

地方民泊は季節変動が激しく、夏季やGW、年末年始は稼働率7080%を記録しても、その他の時期(11月2月、梅雨時期)は10~20%まで落ち込みます。

多くの失敗事例では、繁忙期の稼働率だけを見て事業計画を立ててしまい、閑散期の収益減少を想定していません。その結果、年間平均稼働率が30~40%に留まり、採算割れを起こします

トラベルボイス 民泊業界レポート


地方 民泊で赤字が続いた場合の撤退判断基準

地方民泊で赤字が続いた場合、早期に撤退を判断することが損失を最小限に抑える鍵となります。ここでは、具体的な撤退判断基準を示します。

撤退を検討すべき3つの基準

基準1: 6ヶ月連続で月次赤字5万円以上

毎月5万円以上の赤字が6ヶ月以上続いている場合、事業モデル自体に問題がある可能性が高いです。半年で30万円、1年で60万円の損失が積み重なります。この状況では、早急に撤退を検討すべきです。

基準2: 年間稼働率が30%を下回る状態が続く

地方民泊で年間稼働率が30%を下回る(180日中54日未満の稼働)場合、黒字化はほぼ不可能です。この状態が続くなら、物件の立地、価格設定、サービス内容に根本的な問題があると判断できます。

基準3: 月次キャッシュフローが-10万円以上

売上よりも支出が大きく、毎月10万円以上の持ち出しが発生している場合、年間で120万円以上の損失となります。この状況が続けば、個人の生活資金を圧迫し、経済的に持続不可能になります。

地方民泊の撤退時コスト

地方民泊から撤退する際には、以下のようなコストが発生します。

費用項目金額目安
原状回復費用(古民家)100万円~300万円
原状回復費用(ワンルーム)50万円~100万円
不要家具・家電の処分費10万円~30万円

特に古民家の場合、原状回復費用が高額になりやすく、撤退時の大きな負担となります。

撤退判断フローチャート

以下のフローチャートを参考に、撤退を判断してください。

  1. 現在の月次収支は?
    • 黒字 → 事業継続
    • 赤字 → 次へ
  2. 赤字は何ヶ月続いている?
    • 3ヶ月未満 → 改善策を実施
    • 3ヶ月以上 → 次へ
  3. 改善策(価格変更、体験価値追加)を実施したか?
    • 未実施 → 改善策を実施
    • 実施済み → 次へ
  4. 改善策の効果は?
    • 効果あり → 事業継続
    • 効果なし → 撤退を検討

撤退を決断した場合、次に検討すべきはどのように撤退するかです。単純に廃業するだけでなく、物件や営業権を売却するという選択肢もあります。

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地方 民泊の売却・買取という選択肢

地方民泊からの撤退を決断した場合、「廃業」以外にも売却・買取という選択肢があります。この方法を選ぶことで、原状回復費用をゼロにし、さらに現金を得られる可能性があります。

地方民泊の売却方法3つ

方法特徴売却期間売却価格
買取最短、原状回復不要最短3営業日相場の70~80%
借上げ所有権保持、固定収入1~2週間月額固定
仲介最高値の可能性3ヶ月~1年相場の90~100%

買取は、不動産会社や民泊専門の買取業者に直接売却する方法で、最も早く確実です。原状回復不要で現況渡しOKのため、撤退コストを大幅に削減できます。

借上げは、物件の所有権を保持したまま、運営権のみを第三者に貸し出す方法です。固定収入を得られますが、借上げ先が見つからない場合もあります。

仲介は、不動産仲介会社を通じて買い手を探す方法で、最も高値で売却できる可能性がありますが、売却まで3ヶ月~1年以上かかることもあります。

地方民泊の買取相場

地方民泊の買取相場は、物件の立地、規模、収益性によって大きく異なります。

物件タイプ買取価格目安
古民家(3LDK以上)300万円~1,000万円
地方都市ワンルーム50万円~200万円
営業権のみ年間売上の0.5~1.0倍

赤字物件であっても、立地が良い、物件に独自性がある、設備が充実しているなどの条件が揃っていれば、買い手がつく可能性は十分にあります。

撤退を先延ばしにするコスト

赤字民泊の撤退を先延ばしにすると、毎月以下のような損失が積み重なります。

  • 月10万円の赤字 × 12ヶ月 = 年間120万円の損失
  • さらに原状回復費用100万円~300万円
  • 合計:220万円~420万円の損失リスク

撤退を1年先延ばしにすると、追加で220万円~420万円の損失が発生します。早期に撤退判断をすることが、経済的にも精神的にも賢明です。

民泊M&A市場データ参考


まとめ|地方 民泊は「体験価値」が全て

地方民泊の現実を直視する

本記事で見てきたように、地方民泊は都市部とは全く異なる環境にあります。

  • 年間平均稼働率は30~45%と低い
  • 集客コストが売上の15~30%を占める
  • 季節変動が激しく、閑散期は稼働率10~20%
  • 民泊新法の180日制限により、売上に上限がある

これらの要因により、地方民泊で黒字化するのは非常に困難であり、多くの事業者が赤字経営に苦しんでいるのが現状です。

成功の鍵は「体験価値」と「明確なターゲット設定」

一方で、地方民泊でも成功している物件は存在します。その共通点は、体験価値(古民家、農業体験、地域交流)と明確なターゲット設定(ファミリー、グループ、長期滞在)です。

黒字化の条件:

  • 宿泊単価10,000円以上(体験価値・独自性が必須)
  • 稼働率60%以上(年間108日以上稼働)
  • 初期投資を抑える(リフォーム費用200万円以内)

撤退も「正しい経営判断」

赤字が6ヶ月以上続く場合は、撤退も賢明な経営判断です。撤退を先延ばしにすると、年間120万円以上の追加損失が発生し、さらに原状回復費用(100万円~300万円)が必要となります。

撤退時は、原状回復費用をゼロにできる買取という選択肢があります。現況渡しOKで、最短3営業日での成約も可能です。

次のアクション

  • 開業を検討中の方: 収支シミュレーションを慎重に。体験価値を提供できるか確認しましょう。
  • 赤字で悩んでいる方: 撤退判断基準に照らし合わせて冷静に判断しましょう。
  • 撤退を決断した方: 無料査定で現状を把握し、損失を最小限に抑えましょう。

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※ 本記事の情報は2025年12月時点のものです。民泊に関する法令や規制、市場環境は変更される可能性がありますので、最新情報はご自身でご確認ください

【作成日】: 2025年12月

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