東京23区で民泊運営を検討する事業者にとって、各区の規制内容は収益性を左右する重要な判断材料です。足立区は独自の上乗せ条例により、住居専用地域での平日営業を制限しており、年間営業可能日数は約165日に制限されます。本記事では、足立区の民泊規制の詳細、具体的な収益シミュレーション、高い廃業率の背景、そして規制に対応できない場合の現実的な選択肢まで、公式データに基づいて解説します。
足立区の民泊規制は23区で中程度|住居専用地域で平日営業不可・年末年始禁止
足立区では、住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく民泊運営に、独自の上乗せ条例が適用されます。特に注目すべきは、住居専用地域における営業日数の制限です。
足立区独自の上乗せ条例の内容
足立区では、住居専用地域において月曜正午から金曜正午までの民泊営業が禁止されています。これにより、土曜日、日曜日、祝日のみの営業となり、年間営業可能日数は約165日に限定されます。
さらに、年末年始(12月29日から翌年1月3日まで)の営業も禁止されており、書き入れ時である年末年始の収益機会を失うことになります。この年末年始規制は、足立区の大きな特徴の一つです。
住居専用地域の割合と対象エリア
足立区の面積のうち、約60〜65%が住居専用地域に該当すると推定されます。具体的には、以下のようなエリアが該当します。
- 千住地区の一部(千住旭町、千住中居町など住宅地)
- 梅島・西新井地区の住宅街
- 竹ノ塚・保木間地区の住宅地
- 綾瀬・東綾瀬地区の住宅街
一方、北千住駅周辺の商業地域や準工業地域では、年間180日の範囲で自由に営業日を設定できます。物件選定時には、都市計画図で用途地域を必ず確認する必要があります。
【出典】東京都足立区公式ホームページ 住宅宿泊事業法について
他区との規制比較
足立区の規制の厳しさを、他の23区と比較してみましょう。
| 自治体 | 営業可能日数 | 規制内容 |
|---|---|---|
| 足立区 | 約165日/年 | 住居専用地域で月曜正午〜金曜正午禁止、年末年始禁止 |
| 練馬区 | 約160〜170日/年 | 住居専用地域で月曜正午〜金曜正午禁止 |
| 目黒区 | 約104日/年 | 金曜正午〜日曜正午のみ営業可能 |
| 杉並区 | 約104日/年 | 家主不在型は月曜正午〜金曜正午禁止 |
| 渋谷区 | 180日/年 | 上乗せ条例なし(住宅専用地域でも可) |
| 北区 | 180日/年 | 上乗せ条例なし |
足立区の規制は、目黒区や杉並区ほど厳しくはありませんが、北区や渋谷区と比較すると明確に不利です。年末年始禁止という独自規制も加わり、**23区の中では「中程度の厳しさ」**と位置づけられます。
足立区民泊条例の詳細|家主居住型と家主不在型の違い
足立区で民泊事業を始める際、家主居住型と家主不在型では必要な届出要件や設備基準が大きく異なります。
家主居住型の届出要件
家主居住型とは、届出住宅に家主自身が居住し、不在時も原則として日帰りできる範囲内にとどまる形態を指します。
主な要件は以下の通りです。
- 届出者自身が届出住宅に居住していること
- 宿泊者の滞在中、家主も同じ建物内に居住していること
- 消防設備は延床面積50㎡以上の場合のみ必要(消火器、火災警報器など)
- 住宅宿泊管理業者への管理委託は不要
- 事前の周辺住民説明会は任意(条例では義務化されていない)
家主居住型の場合、住居専用地域であっても年間180日の範囲で自由に営業日を設定可能です。足立区独自の平日規制や年末年始規制は適用されません。
家主不在型の届出要件
家主不在型とは、届出住宅に家主が居住していない、または不在時に日帰りできない範囲を離れる形態を指します。いわゆる「投資用民泊」がこれに該当します。
家主不在型では、家主居住型より厳しい要件が課されます。
- 住宅宿泊管理業者への管理委託が必須(月額5〜10万円の管理費が発生)
- 消防設備が延床面積に関わらず必要(消火器、誘導灯、避難経路標識など)
- 周辺住民への事前説明が実質的に必要(トラブル回避のため)
- 苦情対応記録の3年間保存義務
- 定期報告(2ヶ月に1回)の提出義務
特に、住宅宿泊管理業者への管理委託費は固定費として毎月発生するため、収益構造に大きな影響を与えます。
【出典】観光庁 民泊制度ポータルサイト
消防設備の違い
家主居住型と家主不在型では、必要な消防設備が異なります。
家主居住型の場合
- 延床面積50㎡未満:住宅用火災警報器のみ
- 延床面積50㎡以上:消火器、誘導灯、避難経路標識が追加
家主不在型の場合
- 延床面積に関わらず、消火器、誘導灯、避難経路標識が必須
- 延床面積150㎡以上の場合:自動火災報知設備が追加
家主不在型の方が消防設備の初期投資が高くなる傾向にあり、投資回収期間を長期化させる要因となります。
平日規制下での収益性|年間165日営業の現実と廃業率32.7%の背景
足立区の住居専用地域で家主不在型民泊を運営する場合、平日営業制限により収益性が大きく制約されます。実際の収益シミュレーションと、高い廃業率の背景を見ていきましょう。
年間165日営業の収益シミュレーション
以下は、足立区の住居専用地域で1LDK(45㎡)の民泊を運営する場合の収益モデルです。
前提条件
- 物件タイプ:賃貸マンション1LDK(北千住駅徒歩10分)
- 宿泊料金:8,000円/泊
- 営業可能日数:165日/年(土日祝のみ+年末年始除外)
- 稼働率:55%(週末型民泊の平均的な稼働率)
- 家賃:12万円/月
収益計算
| 項目 | 金額(年間) |
|---|---|
| 宿泊収入 | 165日 × 55% × 8,000円 = 726,000円 |
| 賃料支出 | 12万円 × 12ヶ月 = 1,440,000円 |
| 管理委託費 | 7万円 × 12ヶ月 = 840,000円 |
| 水道光熱費 | 月2万円 × 12ヶ月 = 240,000円 |
| 消耗品・清掃費 | 91日 × 3,000円 = 273,000円 |
| 通信費・その他 | 年間120,000円 |
| 損益 | ▲2,187,000円(赤字) |
このシミュレーションでは、年間約220万円の赤字となります。賃貸物件で家主不在型の民泊を運営する場合、足立区の平日規制下では収益化がほぼ不可能であることが分かります。
年末年始規制の影響
足立区独自の年末年始規制(12月29日〜1月3日の営業禁止)は、収益に追加的なダメージを与えます。
年末年始は民泊の繁忙期であり、通常の1.5〜2倍の宿泊料金設定が可能です。仮に年末年始6日間を12,000円/泊で満室運営できた場合、72,000円の機会損失が発生します。
また、年末年始に宿泊したいという需要が取り込めないため、リピーター獲得の機会も失われます。この規制は、収益面だけでなく事業成長の観点からも不利に働きます。
足立区の廃業率32.7%の実態
観光庁「住宅宿泊事業法に基づく届出及び登録の状況」(2024年5月時点)によると、足立区では**届出件数165件のうち54件が廃業しており、廃業率は32.7%**に達しています。
この数字は、以下の区と比較しても高い水準です。
- 北区:34.0%(145件/426件)
- 板橋区:64.6%(337件/522件)
- 練馬区:データ未公表
- 大田区:約15%(特区民泊は別制度)
廃業率が高い背景には、以下の要因があります。
- 平日営業制限による収益不足:年間165日では固定費を回収できない
- 年末年始規制による機会損失:最も稼げる時期に営業不可
- 管理委託費の負担:月7万円の固定費が経営を圧迫
- 稼働率の低さ:足立区は観光エリアではなく、需要が限定的
- 賃貸物件での運営困難:賃料負担により黒字化がほぼ不可能
黒字化できるケースは極めて限定的
足立区で民泊を黒字化できるのは、以下の条件がすべて揃った場合のみです。
- 自己所有物件である(賃料負担がない)
- 家主居住型で運営する(管理委託費不要、年間180日営業可能)
- 北千住駅など需要の高い立地(稼働率60%以上を確保)
- 複数室を同時運営(固定費を分散できる)
賃貸物件で家主不在型の民泊を運営する投資家にとって、足立区は極めて厳しい市場環境と言えます。新規参入を検討している方は、収益性を慎重にシミュレーションする必要があります。
民泊運営で赤字が続いている方へ
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規制に対応できない場合の選択肢|撤退・売却・転用の比較
足立区の民泊規制により収益化が困難な場合、事業継続以外の選択肢を検討する必要があります。ここでは、3つの主要な選択肢を比較します。
選択肢1:旅館業法(簡易宿所営業)への転換
民泊新法の180日制限を回避し、年間365日営業を可能にする方法として、旅館業法に基づく簡易宿所営業への転換があります。
メリット
- 年間365日営業可能(平日規制・年末年始規制なし)
- 複数組の同時宿泊が可能(収益性向上)
- 事業としての信頼性が高い
デメリット
- 初期投資が高額(50〜200万円)
- 消防設備の大幅強化
- 玄関帳場の設置または代替措置
- 客室面積基準の遵守(3.3㎡/人以上)
- 建築基準法上の用途変更が必要な場合がある
- 住居専用地域では原則として営業不可
- 営業許可取得まで3〜6ヶ月程度かかる
- 保健所による厳格な審査がある
向いているケース
- 自己所有物件で長期的に宿泊事業を続ける意思がある
- 商業地域や準工業地域など、旅館業法の許可が取得できる立地
- 初期投資を回収できる見込みがある
ただし、足立区の住居専用地域では旅館業法の許可取得が困難であり、現実的な選択肢になりにくい点に注意が必要です。
選択肢2:通常の賃貸物件への転用
民泊運営を諦め、通常の賃貸物件として運営する方法です。
メリット
- 安定した賃料収入が見込める
- 管理の手間が大幅に減少
- 空室リスクが民泊より低い
- 初期投資がほとんど不要
デメリット
- 収益性が民泊より低い
- 民泊用に購入した設備が無駄になる
- 短期間での高収益は期待できない
- 賃貸借契約の法的保護が強く、退去してもらうのが困難
向いているケース
- 物件の立地が住宅賃貸として需要がある
- 安定収入を重視する
- 民泊運営の手間から解放されたい
足立区の場合、北千住駅周辺など交通利便性の高いエリアであれば、賃貸需要は一定程度見込めます。民泊での収益化が困難と判断した場合、早期に賃貸転用することで損失を最小限に抑えられます。
選択肢3:民泊物件の専門買取サービスを利用した売却
民泊運営を完全に終了し、物件を売却する方法です。特に、民泊物件専門の買取サービスを利用することで、スムーズな売却が可能です。
一般的な仲介売却との違い
| 項目 | 専門買取サービス | 一般的な仲介売却 |
|---|---|---|
| 売却期間 | 最短3営業日 | 3〜6ヶ月以上 |
| 仲介手数料 | 不要 | 売却価格の3%+6万円+消費税 |
| 物件の状態 | 現況渡しOK | リフォームが必要な場合も |
| 運営中の物件 | 買取可能 | 買主が見つかりにくい |
| 確実性 | 買取保証あり | 買主が現れない可能性 |
専門買取サービスのメリット
- 最短3営業日での現金化が可能
- 現況渡しOKで、リフォーム不要
- 運営中の物件でも買取可能
- 仲介手数料が不要
- 周辺に知られずに売却できる
専門買取サービスのデメリット
- 買取価格が市場価格より10〜20%程度低い
- 買取対象エリアが限定される場合がある
向いているケース
- 赤字が続いており、早期に損切りしたい
- 物件管理の手間から即座に解放されたい
- 仲介での売却活動に時間をかけたくない
- 確実に売却したい
民泊専門買取サービスとして実績のある「StayExit」では、民泊・簡易宿所物件の買取に特化しており、以下の特徴があります。
- 最短3営業日での成約実績
- 運営中の物件でもそのまま買取可能
- 現況渡しOK(設備や家具はそのままで可)
- 全国対応(東京23区は特に迅速対応)
- 仲介手数料不要
足立区で民泊運営が赤字続きの場合、損失を拡大させる前に、まず無料査定を依頼することをおすすめします。
3つの選択肢の比較表
| 選択肢 | 初期費用 | 実現期間 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 旅館業法への転換 | 50〜200万円 | 3〜6ヶ月 | 自己所有・商業地域・長期継続意思あり |
| 賃貸転用 | ほぼ不要 | 1〜2ヶ月 | 安定収入重視・立地に賃貸需要あり |
| 専門買取で売却 | 不要 | 最短3営業日 | 早期損切り・確実売却・手間削減 |
自身の状況と優先事項を踏まえ、最適な選択肢を選ぶことが重要です。
まとめ|足立区の民泊規制と次のアクション
足立区の民泊規制について、重要なポイントをまとめます。
足立区の民泊規制の特徴
- 住居専用地域では平日営業が禁止され、年間約165日の営業に制限される
- 年末年始(12月29日〜1月3日)の営業も禁止されており、繁忙期の収益機会を失う
- 家主不在型では住宅宿泊管理業者への管理委託が必須で、月7万円程度の固定費が発生
- 賃貸物件での収益化はほぼ不可能で、年間200万円以上の赤字リスクがある
- **廃業率32.7%**と高く、多くの事業者が撤退している
状況別の推奨アクション
これから足立区で民泊を始める方
- 住居専用地域での家主不在型運営は避ける
- 自己所有物件で家主居住型での運営を検討
- または、北区・渋谷区など規制の緩い区を選択
- 商業地域や準工業地域の物件を選定
すでに足立区で民泊を運営している方
- 6ヶ月以上赤字が続いている場合は、早期に出口戦略を検討
- 旅館業法への転換可能性を確認(商業地域の場合のみ現実的)
- 賃貸転用が可能か、収益シミュレーションを実施
- 損失拡大を避けるため、専門買取サービスでの売却を検討
収益改善が見込めず、売却を検討している方
- まず「StayExit」で無料査定を依頼
- 現況渡しで最短3営業日での成約が可能
- 赤字が続く前に早期の損切りを実行
- 仲介手数料不要で確実な売却が可能
足立区の民泊規制は、23区の中でも収益性を確保しにくい内容となっています。既に運営している方も、これから始める方も、規制内容を正しく理解し、早期に適切な判断を下すことが重要です。
【免責事項】
本記事の情報は2025年12月時点のものです。民泊に関する法令や条例は変更される可能性がありますので、最新の情報は東京都足立区公式ホームページおよび観光庁民泊制度ポータルサイトでご確認ください。また、実際の事業判断は自己責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。
