民泊収益が悪化し、赤字が続いている――そんな悩みを抱えるオーナーは決して少なくありません。インバウンド需要の回復が報じられる一方で、観光庁の統計(2024年11月時点)によると、累計届出件数57,512件のうち、廃業件数は20,661件で**廃業率は約36%**に達しています(観光庁「住宅宿泊事業法の施行状況」)。つまり、届出された民泊の3件に1件以上が事業を中止しているのが実態なのです。
観光庁データ: 届出の3件に1件以上が廃業
メディアでは「インバウンド回復」が盛んに報じられていますが、民泊事業者の現場では収益悪化・赤字転落に苦しむケースが増えています。2024年以降、ホテル供給の増加や価格競争の激化により、民泊の収益環境は厳しさを増しているのが実情です。
「自分の運営が悪いのではないか」「このまま続けるべきか、撤退すべきか判断できない」――そんな不安を抱えているオーナーも多いでしょう。しかし、収益悪化の原因には、個人の努力では改善できない「構造的要因」も多く含まれています。
この記事で分かること
この記事では、民泊収益悪化に悩むオーナーに向けて、以下の内容を解説します。
- 収益悪化の7つの原因を「構造的要因(改善困難)」と「運営起因要因(改善可能)」に分類
- 2024〜2025年の最新市場環境の変化と外部要因
- 稼働率・赤字額別の3段階診断で、改善すべきか撤退すべきかの判断基準
- 原因別の具体的な改善策と撤退時の選択肢
あなたの状況を客観的に診断し、最適な選択肢を見つけるための情報を提供します。「あなたのせいではない」という客観的視点を持ちながら、データに基づいた冷静な判断をしていきましょう。
民泊 収益悪化の7つの理由|構造的要因と運営起因要因
民泊収益が悪化する原因は、大きく「構造的要因(改善困難)」と「運営起因要因(改善可能)」の2つに分類できます。この区別を理解することで、「改善に時間・資金を投じるべきか、早期撤退すべきか」の判断がしやすくなります。
【構造的要因(改善困難)】①立地条件 ②法規制・180日制限 ③市場環境の変化 ④ホテル供給増・価格競争激化
構造的要因とは、個人の運営努力では変えることが難しい外部環境や制度上の制約です。
①立地条件
駅から遠い、観光地から離れている、周辺に観光資源がないといった立地は、どれだけ設備や価格を工夫しても稼働率が上がりにくい傾向があります。
- 具体例: 駅徒歩20分の住宅街にある物件は、都心の駅近物件と比較して稼働率が30%未満に留まることが多い
- 改善可能性: 改善困難(物件を移転することは現実的ではない)
②法規制・180日制限
住宅宿泊事業法では年間営業日数が180日までと制限されており、さらに自治体条例でより厳しい制限がかかる地域もあります。
- 具体例: 京都市の住居専用地域では年間60日のみの営業に制限され、収益の上限が構造的に決まってしまう
- 改善可能性: 改善不可(法改正・条例改正を待つしかない)
③市場環境の変化(2024〜2025年)
インバウンド需要は回復しているものの、民泊物件の供給も増加しており、競争が激化しています。東京・大阪などの都市部では物件数増加により供給過多の状況が生まれています。
- 具体例: 2024年以降、東京都内の民泊届出件数が増加し続け、同じエリア内での競合物件が増加。価格を下げないと予約が入らない状況に
- 改善可能性: 改善困難(市場全体のトレンドは個人では変えられない)
④ホテル供給増・価格競争激化
2024年以降、ホテルの新規開業が相次ぎ、民泊との価格競争が激化しています。ビジネスホテルが7,000〜9,000円で提供される中、民泊は価格を下げざるを得ず、利益率が大幅に悪化しています。
- 具体例: 主要駅近くのビジネスホテルが1泊8,000円で展開する中、民泊も同価格帯に合わせざるを得ず、清掃費・運営費を差し引くと利益がほとんど残らない
- 改善可能性: 改善困難(業界全体の動きは個人では制御できない)
観光庁の統計(2024年8〜9月期)によると、物件あたり平均宿泊日数は17.2日/2ヶ月で、年換算すると約103日/年(稼働率約57%)に留まっています。年間180日の営業制限がある中、実態として半分程度しか稼働していない状況です。
【運営起因要因(改善可能)】⑤価格設定ミス ⑥清掃・設備の劣化 ⑦集客施策の不足
運営起因要因とは、オーナー自身の判断や投資で改善できる要素です。
⑤価格設定ミス
競合相場を無視した高額設定、または安すぎて利益が出ない価格設定が収益悪化の原因になります。また、繁忙期・閑散期で価格を変動させる動的価格設定を導入していない場合、機会損失が発生します。
- 具体例: 周辺相場が1泊8,000円の中、12,000円で設定して予約が入らない。逆に5,000円に設定して稼働率は高いが、清掃費を引くと赤字
- 改善可能性: 改善可能(価格は即座に変更できる)
⑥清掃・設備の劣化
清掃品質の低下、家具・家電の老朽化、Wi-Fi速度の遅さなどが原因で、低評価レビューが蓄積し予約が入らなくなります。
- 具体例: 清掃が不十分で低評価レビューが3件続き、以降の予約が激減。Wi-Fiが遅く「リモートワークに使えない」とクレーム
- 改善可能性: 改善可能(清掃業者の変更、設備への投資で対応)
⑦集客施策の不足
Airbnb・Booking.comなどのOTA(オンライン旅行代理店)での掲載内容が古い、写真が暗い、多言語対応がない、レビュー返信をしていないなど、集客施策が不十分なケースです。
- 具体例: 掲載写真が暗く古いまま放置、英語の説明文が機械翻訳で不自然、レビューへの返信が一切ない
- 改善可能性: 改善可能(掲載内容の最適化、レビュー返信強化で対応)
収益悪化の度合いを3段階で診断|改善すべきか撤退すべきか
自分の民泊事業が「改善可能なレベル」なのか「撤退を検討すべきレベル」なのか、客観的な基準で診断してみましょう。収益悪化の度合いを「軽度」「中度」「重度」の3段階に分類し、それぞれの対処法を提示します。
【軽度】稼働率40〜60%・赤字月3万円以下 → 改善を試みる
状況
運営起因要因(価格設定・清掃品質・集客施策)の改善で回復する可能性があります。構造的要因の影響が比較的小さく、運営の工夫次第で黒字転換が見込めます。
対処法
- 価格見直し: 競合相場を調査し、繁忙期・閑散期で価格を変動させる動的価格設定を導入
- OTA掲載内容改善: プロカメラマンによる写真撮影、多言語対応の説明文追加、レビューへの丁寧な返信
- 設備投資: Wi-Fi高速化(月額5,000円程度)、家具・家電の更新(10〜30万円)
これらの改善策を3〜6ヶ月実施し、効果を検証します。稼働率が50%以上に回復し、月間収支が黒字化すれば継続可能です。改善効果が見られない場合は中度へ移行します。
【中度・重度】稼働率30%台・累積赤字150万円以上 → 撤退を検討
【中度】稼働率30〜40%・月赤字5〜10万円・累積赤字50〜150万円
状況
改善を試みつつ、並行して撤退準備も進めるべき段階です。構造的要因の影響が大きい場合、改善策を実施しても回復しない可能性があります。
対処法
- 改善策を実施しつつ、3ヶ月後に再評価
- 稼働率40%以上・月間収支が赤字3万円以内に改善すれば継続、改善が見られなければ撤退を決断
- 撤退費用(原状回復費用50〜120万円)を確保できるうちに決断することが重要
【重度】稼働率30%未満が6ヶ月以上継続・累積赤字150万円以上
状況
構造的要因(立地・法規制・市場環境)が主原因で、改善は困難です。赤字が拡大すると撤退費用すら支払えなくなるリスクがあります。
対処法
- 即座に撤退を検討
- 撤退方法は「通常廃業」「物件売却」「現況渡し買取」の3つ(後述)
- 早期決断が損失を最小化する鍵
診断フローチャート
稼働率40%以上 → YES → 月赤字3万円以下 → YES → 【軽度: 改善を試みる】
→ NO → 【中度: 改善と並行して撤退準備】
→ NO → 累積赤字150万円以上 → YES → 【重度: 即座に撤退検討】
→ NO → 【中度: 改善と並行して撤退準備】
中度・重度の段階にある場合、早期の撤退判断が損失を最小化します。民泊物件の無料査定を実施している専門業者に相談することで、「現況渡し買取」なら原状回復費用50〜120万円が不要、最短3営業日で現金化が可能です。まずは現状を客観的に診断することから始めてみませんか?(無料査定はこちら)
原因別の改善策と撤退時の選択肢
収益悪化の原因が「運営起因要因」である場合、具体的な改善策を実行することで黒字転換の可能性があります。一方、「構造的要因」が主原因の場合は、撤退を検討する段階です。
運営起因要因(⑤〜⑦)の改善策と実行難易度
⑤価格設定ミスの改善策
- 動的価格設定ツール導入(月額5,000円〜): 繁忙期・閑散期、曜日別に自動で価格調整
- 競合相場の定期チェック: 週1回、同エリアの競合物件価格をチェックし、自分の価格を最適化
- 実行難易度: 低(すぐに実行可能)
⑥清掃・設備の劣化の改善策
- 清掃業者の変更: 低評価レビューが続く場合、清掃品質の高い業者に変更(清掃費3,000〜8,000円/回)
- 家具・家電の更新: 老朽化した設備を更新(投資10〜30万円)
- Wi-Fi高速化: 光回線への切り替え(月額5,000円程度)
- 実行難易度: 中(初期投資が必要)
⑦集客施策の不足の改善策
- プロカメラマンによる写真撮影(3〜5万円): 明るく魅力的な写真で予約率アップ
- OTA掲載内容の多言語対応: 英語・中国語・韓国語の説明文を追加
- レビュー返信の強化: 全てのレビューに丁寧に返信し、次の利用者への訴求を強化
- 実行難易度: 中(時間・労力が必要)
民泊の運営コストは、清掃費3,000〜8,000円/回、運営代行費が売上の15〜30%が相場です。これらのコストを抑えつつ、稼働率を上げることが黒字化のポイントになります。
撤退する場合の3つの選択肢とコスト比較
構造的要因が主原因の場合、改善は困難なため早期撤退が賢明です。撤退時には以下の3つの選択肢があります。
| 撤退方法 | 対象 | 原状回復費用 | 設備処分費 | 総費用 | 期間 |
|---|---|---|---|---|---|
| ①通常廃業 | 賃貸物件 | 50〜120万円 | 5〜20万円 | 60〜150万円 | 1〜3ヶ月 |
| ②物件売却 | 所有物件 | 買主交渉次第 | 買主交渉次第 | 仲介手数料(売却価格の3%+6万円+消費税) | 3〜6ヶ月以上 |
| ③現況渡し買取 | 所有物件 | 0円 | 0円 | 0〜5万円(手続き費用のみ) | 3営業日 |
①通常廃業(賃貸物件)
賃貸契約に基づき、原状回復工事を行い、家具家電を処分して退去します。最も一般的な撤退方法ですが、費用と時間がかかります。
②物件売却(所有物件)
民泊用に購入した物件を売却する方法です。仲介手数料がかかり、売却までに時間がかかりますが、物件価格次第では損失を回収できる可能性があります。
③現況渡し買取(所有物件)
原状回復工事も家具処分も不要で、現状のまま専門業者に買い取ってもらう方法です。最短3営業日で現金化でき、撤退費用を大幅に削減できます。
撤退を決断した場合、専門サービスなら原状回復費用0円・最短3営業日で現金化が可能です。家具家電の買取・物件の買取・借上げの3つの選択肢から最適な方法を提案し、煩雑な廃業届・予約キャンセル手続きもサポートします。無料査定で現状を診断してみませんか?(無料査定はこちら)
まとめ|民泊 収益悪化は早期の決断が損失を最小化する
民泊収益悪化に悩むオーナーに向けて、原因の分析と対処法を解説してきました。重要なポイントを整理します。
- 民泊収益悪化の原因は「構造的要因(改善困難)」と「運営起因要因(改善可能)」に分類され、自分の状況がどちらに該当するかを見極めることが重要です。 立地・法規制・市場環境といった構造的要因が主原因の場合、個人の努力では改善が困難です。一方、価格設定・清掃品質・集客施策といった運営起因要因であれば、改善の余地があります。
- 廃業率36%のデータが示す通り、収益悪化は珍しくありません。 稼働率・赤字額で客観的に診断し、軽度なら改善、中度以上なら撤退検討が賢明な選択です。「自分の運営が悪い」と自責する必要はありません。市場環境の変化や構造的要因が原因のケースも多いのです。
- 撤退する場合、早期決断が損失を最小化します。 現況渡し買取なら原状回復費用0円・最短3営業日で現金化が可能です。累積赤字が150万円を超える前に決断することで、次のステップに進むための資金を確保できます。
読者の状況別・取るべきアクション
- 軽度の人(稼働率40〜60%・月赤字3万円以下): 価格見直し・清掃品質向上・集客施策を3〜6ヶ月実施し、効果を検証しましょう。
- 中度の人(稼働率30〜40%・月赤字5〜10万円): 改善と並行して撤退準備を進め、3ヶ月後に再評価してください。
- 重度の人(稼働率30%未満・累積赤字150万円以上): 即座に撤退を検討し、無料査定で現状を客観的に診断しましょう。
民泊収益悪化は「市場環境の変化」や「構造的要因」が原因のことも多く、あなたのせいではありません。客観的なデータに基づいて冷静に判断し、次のステップに進みましょう。
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免責事項:
本記事の情報は2025年12月時点のものです。民泊市場の動向、運営コスト、撤退費用は地域・物件条件・時期により大きく異なります。実際の判断には、個別の状況に応じた専門家(不動産業者・行政書士・税理士)への相談をお勧めします。法規制・条例の最新情報は観光庁「民泊制度ポータルサイト」および各自治体の公式サイトでご確認ください。
