一棟民泊の事業譲渡を検討しているものの、「どのスキームが最適か」「旅館業許可は引き継げるのか」「相場はいくらか」と悩んでいませんか。本記事では、一棟民泊の事業譲渡の定義、事業譲渡・株式譲渡・資産譲渡の3つのスキーム比較、旅館業承継の手続き、売却相場と評価額の算定方法を解説します。2023年12月の旅館業法改正による承継制度の最新情報も紹介しますので、一棟民泊オーナーの方は必見です。
一棟民泊の事業譲渡とは?区分所有との違い
一棟民泊の事業譲渡を検討する前に、まずは基本的な定義と区分所有民泊との違いを理解しましょう。
事業譲渡の定義と一棟民泊での意味
一棟民泊の事業譲渡とは、建物全体の民泊事業を運営権・許認可・ノウハウ含めて第三者に譲渡することです。単なる不動産売却とは異なり、事業としての価値(営業権・顧客リスト・レビュー評価・運営ノウハウ)も評価対象となります。
一棟民泊ならではの特徴:
- 複数室の一括譲渡による評価額向上 – 5〜10室をまとめて譲渡することで、単室売却より高い評価を受けやすい
- 物件全体の収益構造・管理体制の引き継ぎ – 清掃業者・管理会社との契約、運営システムも含めて引き継げる
- 旅館業許可(一棟単位)の承継がスムーズ – 2023年12月の法改正により、旅館業許可の名義変更が可能に
区分所有民泊との違い(評価・手続き・メリット)
一棟民泊と区分所有民泊では、事業譲渡の評価額・手続き・買い手の幅が大きく異なります。
| 項目 | 一棟民泊 | 区分所有民泊 |
|---|---|---|
| 評価額 | 年間営利×2〜3倍 + 物件価値 | 年間営利×1〜2倍 + 物件価値 |
| 買い手の幅 | 広い(投資家・事業会社・個人) | 狭い(個人投資家中心) |
| 許認可引継ぎ | 旅館業許可は承継可能(2023年改正) | 民泊新法は新規届出必須 |
| 管理体制 | 一括引継ぎが容易 | 管理会社との個別交渉必要 |
| 売却期間 | 3〜6ヶ月 | 6ヶ月〜1年 |
一棟民泊のメリット:
- スケールメリット: 複数室をまとめて譲渡することで、買い手の運営効率が上がり、評価額が高まる
- 事業価値の評価: 安定した収益構造と管理体制が評価され、物件価値以上の価格が期待できる
- 売却スピード: 買い手の幅が広く、比較的短期間で成約しやすい
関連情報: 民泊撤退の方法で、撤退手続きの全体像を詳しく解説しています。
一棟民泊を譲渡する3つのスキームと選び方
一棟民泊の譲渡には、事業譲渡・株式譲渡・資産譲渡の3つのスキームがあります。それぞれの特徴を比較し、最適な方法を選びましょう。
3つのスキーム(事業譲渡・株式譲渡・資産譲渡)の比較
| 項目 | 事業譲渡 | 株式譲渡 | 資産譲渡 |
|---|---|---|---|
| 譲渡対象 | 特定の事業のみ | 法人ごと全て | 物件(不動産)のみ |
| 許認可 | 旅館業許可は承継可能(2023年改正)、民泊新法は新規届出 | 全ての許認可が自動引継ぎ | 引き継がない(買い手が新規取得) |
| 税金 | 譲渡益に法人税・所得税 | 株式譲渡益課税(軽減税率あり) | 不動産譲渡所得税 |
| 手続き | 中程度(保健所承継申請) | 簡単(株式譲渡契約のみ) | 複雑(不動産登記、許認可新規取得) |
| メリット | 特定事業のみ切り出せる、債務引継ぎ回避 | 手続き簡単、許認可自動引継ぎ、税制優遇 | 物件売却後、事業継続可能 |
| 適した状況 | 個人事業主、複数事業から民泊のみ売却 | 法人経営、全事業を譲渡 | 賃貸物件での運営、物件のみ売却 |
2023年12月の旅館業法改正による承継制度:
厚生労働省の通知によると、2023年12月の旅館業法改正により、旅館業許可の承継(名義変更)が可能になりました。従来は譲渡の際に許可を廃止し、買い手が新規取得する必要がありましたが、改正後は保健所への承継申請で手続きが完了します。(出典:厚生労働省「旅館業法の改正について」)
注意: 民泊新法(住宅宿泊事業法)の届出は承継制度がないため、買い手が新規届出を行う必要があります。
あなたに最適なスキームの選び方(所有形態・法人/個人別)
所有形態・経営形態別の最適スキーム:
| あなたの状況 | 最適なスキーム | 理由 |
|---|---|---|
| 個人事業主・所有物件 | 事業譲渡 or 資産譲渡 | 旅館業許可の承継が可能、物件ごと売却も可 |
| 法人経営・所有物件 | 株式譲渡 | 手続き簡単、許認可自動引継ぎ、税制優遇 |
| 賃貸物件で運営 | 事業譲渡(営業権のみ) | 大家の承諾を得て営業権を譲渡 |
| 複数事業展開(民泊以外も) | 事業譲渡 | 民泊事業のみを切り出して売却 |
スキーム選択の判断基準:
- 法人か個人か – 法人なら株式譲渡が有利、個人なら事業譲渡
- 物件は所有か賃貸か – 所有なら資産譲渡も可、賃貸なら営業権譲渡
- 許認可の種類 – 旅館業許可なら承継可能、民泊新法は新規届出
- 税金面の有利不利 – 株式譲渡は軽減税率(最大20%)、事業譲渡は法人税・所得税(最大55%)
関連情報: 民泊の株式譲渡(準備中)で、法人経営の譲渡スキームを詳しく解説予定です。
事業譲渡の流れと売却相場・注意点
実際に事業譲渡を進める際の手続きと、売却相場の算定方法を理解しましょう。
旅館業承継の手続きと必要書類(保健所申請)
旅館業許可の承継手続き(2023年改正対応):
- 保健所へ事前相談 – 管轄保健所に承継可否と必要書類を確認
- 承継申請書の提出 – 譲渡契約書、施設の図面、衛生管理マニュアル等を添付
- 承継承認書の受け取り – 譲渡実行前に保健所から承認を受ける
- 譲渡実行・立入検査 – 譲渡後、保健所の立入検査を受ける
必要書類(一般的な例):
- 旅館業営業許可証(原本)
- 承継申請書(保健所指定様式)
- 譲渡契約書(写し)
- 施設の図面・配置図
- 衛生管理マニュアル
- 法人の場合:登記簿謄本
民泊新法(住宅宿泊事業法)の場合:
承継制度がないため、買い手が新規届出を行う必要があります。既存の届出番号は引き継げません。
一棟民泊の売却相場と評価額の算定方法
売却相場の基本:
民泊M&A市場では、年間EBITDA(営業利益+減価償却費)の2〜3倍が適正価格とされています。一棟民泊の場合、物件価値と事業価値を合算して評価されます。
評価額の算定式:
評価額 = 物件価値(不動産鑑定額) + 事業価値(年間EBITDA × 2〜3倍)
具体例(年間営利500万円の一棟6室民泊):
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 物件価値 | 4,000万円(土地・建物の不動産鑑定額) |
| 事業価値 | 1,000万〜1,500万円(年間営利500万円 × 2〜3倍) |
| 合計評価額 | 5,000万〜5,500万円 |
評価額が高まる要素:
- 全室平均稼働率60%以上
- レビュー評価4.5以上、件数100件以上
- 旅館業許可(承継可能)
- 管理体制の整備(清掃業者・管理会社との契約)
- 立地が良好(駅徒歩5分以内、観光地近接)
注意点:
- 180日制限の引き継ぎ(民泊新法) – 年間営業日数の上限は引き継げない、買い手は届出年度から新たにカウント
- 賃貸物件の場合は大家の承諾必須 – 営業権譲渡には大家の許可が必要
- デューデリジェンス – 買い手は収益実績・法令遵守・設備状況を詳細調査
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まとめ・次のアクション
一棟民泊の事業譲渡には、複数のスキームと手続きがあります。以下の要点を押さえ、最適な方法を選びましょう。
重要ポイント3つ
- 一棟民泊の事業譲渡は、事業譲渡・株式譲渡・資産譲渡の3スキームがある
- 個人事業主・所有物件 → 事業譲渡 or 資産譲渡
- 法人経営・所有物件 → 株式譲渡が有利
- 賃貸物件 → 営業権譲渡(事業譲渡)
- 旅館業許可は2023年改正で承継可能に、民泊新法は新規届出が必要
- 旅館業許可:保健所への承継申請で名義変更可能
- 民泊新法:承継制度なし、買い手が新規届出
- 売却相場は年間営利×2〜3倍、M&A成立まで3〜6ヶ月が目安
- 評価額 = 物件価値 + 事業価値(年間EBITDA × 2〜3倍)
- 例:年間営利500万円 → 事業価値1,000万〜1,500万円
次のアクション
一棟民泊の事業譲渡を成功させるには、早めの準備と専門家への相談が重要です。以下のステップで進めましょう。
状況別の最適な選択:
- 高値売却を希望 → M&A仲介業者へ相談(BATONZ、TRANBI等)
- スピード重視 → 専門買取業者へ査定依頼(最短3営業日)
- 運営から手を引きたいが所有は継続 → 借上げサービスを検討
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関連記事:民泊の買取相場と手順を完全解説 | 民泊M&Aの完全ガイド
免責事項
本記事の情報は2026年1月時点のものです。旅館業法・住宅宿泊事業法・税制は変動する可能性がありますので、最新情報は管轄保健所・税理士等にご確認ください。事業譲渡の手続きや評価額は物件の状況・自治体により異なります。実際の判断は専門家(M&A仲介業者・行政書士・税理士)への相談をおすすめします。
参考リンク・出典
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