沖縄で民泊運営を続けるべきか、撤退すべきか――そんな岐路に立つオーナー様へ。本記事では「沖縄 民泊 M&A」をテーマに、事業譲渡・売却の実態を徹底解説します。エリア別相場、M&A vs 買取 vs 廃業の比較、手取り額シミュレーション、許認可の承継方法まで、2025年最新データをもとに具体的にお伝えします。「赤字継続で悩んでいる」「事業ごと売却したい」という方必見の内容です。
沖縄の民泊M&A市場|2025年の現状と動向
沖縄の民泊市場では、180日制限による収益悪化や管理コストの増大により、「事業ごと売却したい」というオーナーが増加しています。一方、買い手側は初期投資を抑えて即稼働できる既存事業を求めており、M&A市場が活性化しています。
沖縄の民泊市場規模と施設数
観光庁「住宅宿泊事業法に基づく届出状況」によると、沖縄県内の民泊施設数は約3,500件(2025年12月時点)となっています。エリア別の内訳は以下の通りです。
沖縄県内の民泊施設数(推定):
| エリア | 施設数 | 平均稼働率 | 特徴 |
| 那覇市 | 約1,500件 | 60〜70% | 最大の市場規模、空港アクセス良好 |
| 恩納村 | 約400件 | 50〜65% | リゾート需要、単価高・季節変動大 |
| 北谷町 | 約250件 | 55〜70% | 米軍基地周辺、多様なゲスト層 |
| 石垣島 | 約300件 | 45〜60% | 離島需要、夏季集中 |
| 宮古島 | 約250件 | 45〜60% | 離島需要、台風リスク高 |
| その他 | 約800件 | 40〜55% | 北部・南部エリア |
市場の現状:
- 平均稼働率は**45〜65%**と、物件により大きなばらつき
- 住宅宿泊事業法の年間180日制限により、稼働率60%でも年間108日稼働が限界
- この制限により、黒字化が困難な物件が増加
国土交通省「宿泊旅行統計調査」によると、2024年の沖縄の延べ宿泊者数は3,127万人泊と回復傾向にありますが、一方で民泊施設数も前年比15%増と増加しており、競合環境は厳しさを増しています。
M&A需要が高まる3つの背景
1. 180日制限による収益悪化
住宅宿泊事業法では年間営業日数が180日以内に制限されており、この制約が収益性を大きく圧迫しています。
収益への影響:
- 稼働率60%の場合:180日×60%=年間108日稼働
- 単価8,000円の場合:年間売上86万円
- 年間コスト90万円の場合:年間4万円の赤字
繁忙期に予約が殺到しても、180日を超えて営業できないため、収益の上限が構造的に決まってしまいます。この状況下で、「撤退したいが原状回復費用50〜100万円は避けたい」という層が増加し、M&Aや買取による事業譲渡のニーズが高まっています。
2. コロナ後の回復遅延
観光客数は回復傾向にあるものの、2019年のピーク時と比較すると依然として約5〜10%低い水準にとどまっています。
回復の実態:
- 国内客:ほぼコロナ前水準まで回復
- 外国人客:コロナ前の約70〜80%に留まる
- 特に離島(石垣島・宮古島)では外国人客依存度が高く、回復が遅延
この回復遅延により、コロナ前の収益計画を下回る物件が多く、撤退を検討するオーナーが増えています。
3. 管理コストの増大
沖縄特有の環境要因により、管理コストが本土より高額になる傾向があります。
沖縄特有のコスト増要因:
| コスト項目 | 年間費用増額 | 理由 |
| カビ対策 | +5〜15万円 | 高温多湿環境、エアコン24時間稼働必要 |
| 塩害対策 | +3〜10万円 | 金属部分の錆、エアコン室外機劣化 |
| 台風対策 | +5〜20万円 | 窓ガラス補強、突発的修繕 |
| 離島の業者費用 | +1.2〜1.5倍 | 輸送費・出張費の上乗せ |
これらのコスト増に加え、遠隔管理の場合は現地対応の困難さも重なり、「管理の限界」を感じるオーナーが増えています。
買い手側のニーズ|なぜ沖縄の民泊M&Aが注目されるか
買い手側にとって、既存の民泊事業を買収することには大きなメリットがあります。
M&Aによる買い手のメリット:
1. 初期投資の圧縮
ゼロから民泊を立ち上げる場合と比較して、大幅に初期投資を削減できます。
| 項目 | 新規立ち上げ | M&Aで買収 | 削減額 |
| 物件取得費 | 購入/敷金礼金 | 事業譲渡価格に含む | – |
| 家具・家電 | 50〜100万円 | 既存設備引継ぎ | 50〜100万円 |
| 許認可取得 | 10〜20万円 | 承継または簡略化 | 5〜15万円 |
| OTA登録・初期設定 | 5〜10万円 | アカウント引継ぎ | 5〜10万円 |
| リフォーム・内装 | 30〜80万円 | 既存設備利用 | 30〜80万円 |
| 合計 | 150〜300万円 | 大幅削減 | 90〜205万円 |
2. 許認可取得期間の短縮
新規で住宅宿泊事業の届出を行う場合、手続きに1〜2ヶ月かかります。簡易宿所許可の場合は3〜6ヶ月かかることもあります。M&Aにより既存事業を買収すれば、許認可の承継または簡略化された手続きで即稼働が可能です。
3. 既存の集客基盤の引継ぎ
最も大きなメリットが、既存の集客基盤を引き継げる点です。
引き継げる集客資産:
- OTA(Airbnb、Booking.com等)のアカウントとレビュー評価
- 既存のリピーター・予約客
- 稼働実績による信頼性(新規物件より予約が入りやすい)
- 写真・物件説明文などの掲載コンテンツ
特にAirbnbなどではレビュー評価が予約率に直結するため、レビュー評価4.5以上の物件は新規立ち上げより圧倒的に有利です。
M&A総合研究所「民泊業界のM&A動向」によると、民泊業界のM&Aは近年増加傾向にあり、特に地方の観光地(沖縄、京都、北海道等)で活発化しています。
沖縄の民泊M&A相場|エリア別・物件タイプ別の売買価格
沖縄の民泊M&Aにおける売買価格は、物件の収益性、立地、許認可の種類により大きく変動します。ここでは、2025年時点での相場を具体的に解説します。
M&A相場の算出方法(年間売上倍率)
民泊事業のM&A相場は、年間売上を基準とした倍率方式で算出されることが一般的です。
基本算出式:
M&A相場 = 年間売上 × 倍率(1.0〜2.0倍)
倍率の決定要因:
| 物件状態 | 倍率 | 条件 |
| 優良物件 | 1.5〜2.0倍 | 黒字、稼働率75%以上、レビュー4.5以上 |
| 標準物件 | 1.2〜1.5倍 | 収支トントン、稼働率60〜75% |
| 赤字物件 | 0.8〜1.2倍 | 赤字、稼働率60%未満 |
| 瑕疵物件 | 0.5〜0.8倍 | 重大な欠陥、許認可なし |
具体例:
【例1】優良物件(那覇市1LDK)
- 年間売上:360万円
- 営業利益:80万円(黒字)
- 稼働率:75%(180日中135日稼働)
- レビュー評価:4.7
- M&A相場:360万円×1.25倍=450万円
【例2】赤字物件(石垣島1LDK)
- 年間売上:180万円
- 営業損失:-20万円(赤字)
- 稼働率:50%(180日中90日稼働)
- レビュー評価:4.2
- M&A相場:180万円×1.0倍=180万円
エリア別M&A相場表(2025年版)
沖縄県内の主要エリア別のM&A相場と買取相場を比較します。買取相場は、専門業者による現況渡し買取の場合で、**市場価格(M&A相場)の70〜85%**が目安です。
エリア別×物件タイプ別の売買価格相場:
| エリア | 物件タイプ | 年間売上目安 | M&A相場(倍率1.25倍) | 買取相場(市場価格の70〜85%) |
| 那覇市中心部 | 1LDK(40㎡) | 250〜400万円 | 310〜500万円 | 220〜425万円 |
| 那覇市郊外 | 1LDK(40㎡) | 180〜280万円 | 225〜350万円 | 160〜298万円 |
| 恩納村 | 1LDK(50㎡) | 350〜600万円 | 440〜750万円 | 310〜638万円 |
| 恩納村 | 戸建て(80㎡) | 600〜1,000万円 | 750〜1,250万円 | 525〜1,063万円 |
| 北谷町 | 1LDK(45㎡) | 280〜450万円 | 350〜560万円 | 245〜476万円 |
| 石垣島 | 1LDK(50㎡) | 300〜500万円 | 375〜625万円 | 263〜531万円 |
| 宮古島 | 1LDK(50㎡) | 280〜480万円 | 350〜600万円 | 245〜510万円 |
データ出典: StayExit沖縄買取実績(2024年1月〜2025年12月)、沖縄県不動産業者ヒアリング調査(2025年12月実施)
エリア別の特徴:
那覇市中心部:
- 観光・ビジネス需要が安定
- 空港から近く、稼働率が高い
- M&A・買取ともに需要が高く、相場も安定
恩納村:
- リゾート需要で単価が高い
- 海沿い物件は塩害リスクがあり、買取相場は若干低め
- 戸建て物件は高額取引が多い
離島(石垣島・宮古島):
- 夏季需要に集中、季節変動が大きい
- 台風リスク・輸送コスト増により、買取相場は本島より低め
- 外国人客依存度が高く、国際情勢の影響を受けやすい
簡易宿所 vs 住宅宿泊事業の相場差
許認可の種類により、M&A相場は大きく異なります。
許認可別の相場比較:
| 許認可の種類 | 年間営業日数 | 相場倍率 | M&A相場(年間売上300万円の場合) |
| 簡易宿所許可 | 365日 | 1.3〜1.5倍高い | 500万円(1.67倍) |
| 住宅宿泊事業 | 180日 | 標準 | 375万円(1.25倍) |
| 許認可なし | 営業不可 | 0.5倍以下 | 150万円以下 |
簡易宿所許可の価値:
簡易宿所許可を持つ物件は、年間365日営業可能なため、収益性が圧倒的に高くなります。
【例】同じ1LDK・那覇市の場合:
簡易宿所許可:
- 年間営業日数:365日
- 稼働率60%:365日×60%=219日稼働
- 単価8,000円:年間売上175万円
- M&A相場:175万円×1.5倍=約263万円(ただし年間営業可能な価値を評価し、実際は売上倍率より高く評価されることが多い)
- 実際のM&A相場:400〜600万円(年間売上の2.3〜3.4倍)
住宅宿泊事業:
- 年間営業日数:180日
- 稼働率60%:180日×60%=108日稼働
- 単価8,000円:年間売上86万円
- M&A相場:86万円×1.25倍=約108万円
- 実際のM&A相場:200〜350万円(売上倍率より高く評価、家具・設備・立地を考慮)
差額:簡易宿所許可の方が200〜250万円高い
許認可の種類は、M&A相場に最も大きな影響を与える要因の一つです。簡易宿所許可を保有している場合、M&Aによる売却が特に有利になります。
M&A vs 買取 vs 廃業|3つの撤退方法の徹底比較
沖縄で民泊を撤退する場合、M&A(仲介)、専門業者買取、自力廃業の3つの選択肢があります。それぞれのメリット・デメリットを比較し、最適な選択をサポートします。
M&A(仲介)のメリット・デメリット
M&A仲介会社を通じて、第三者(個人投資家、不動産会社、民泊運営会社等)に事業を譲渡する方法です。
メリット:
- 手取り額が最大(市場価格100%)
- 相場通りの価格で売却できる可能性が高い
- 年間売上×1.2〜1.5倍が期待できる
- 事業の継続により「育てた事業」が生き残る
- レビュー評価、リピーター、ブランドが継承される
- 売却後も物件が民泊として稼働
- 買い手の選択肢が豊富
- 複数の買い手候補から条件の良い相手を選べる
- 価格交渉の余地がある
デメリット:
- 成約まで3〜6ヶ月(買い手探しに時間)
- 買い手が見つからないリスク
- その間も固定費(家賃・管理費等)が発生
- 仲介手数料5〜10%
- 売却額500万円の場合:25〜50万円の手数料
- 売却額が低い場合、最低手数料(10〜20万円)が設定されることも
- 赤字物件・瑕疵物件は買い手がつきにくい
- 稼働率50%未満の物件は買い手探しに時間がかかる
- 重大な瑕疵(構造的欠陥、近隣トラブル等)がある場合は成約困難
- 原状回復が必要な場合も
- 買い手の条件により、原状回復や修繕を求められることがある
- 交渉次第で現況渡しも可能だが、価格に影響
向いている人:
- 黒字物件で時間に余裕がある
- 高値売却を優先したい
- 稼働率75%以上で買い手が見つかりやすい物件
- 事業の継続を望む
専門業者買取のメリット・デメリット
民泊・不動産買取専門業者(StayExit等)が、物件と事業を直接買い取る方法です。
メリット:
- 最短3営業日で現金化
- 査定から契約・入金まで最短3営業日
- 即時撤退が可能
- 原状回復不要(現況渡しOK)
- 家具・家電そのまま買取
- 原状回復費用50〜100万円を削減
- 赤字物件・瑕疵物件も対応可能
- 稼働率が低くても買取可能
- カビ・塩害・築古物件もOK
- 仲介手数料不要
- 買取業者が直接買取するため、仲介手数料ゼロ
- 諸費用も最小限
- 遠方でも対応可能
- 現地立ち会い不要(遠隔対応可能)
- 賃貸物件の場合のオーナー交渉も代行
デメリット:
- 手取り額は市場価格の70〜85%
- M&A仲介より15〜30%低い
- 【例】M&A相場500万円の物件 → 買取価格350〜425万円
向いている人:
- 即時撤退を希望
- 原状回復コストを避けたい
- 遠方で現地対応が困難
- 赤字物件で買い手がつきにくい
- 複数物件を一括で処分したい
StayExitの買取実績例:
【例1】那覇市1LDK、年間売上280万円
- M&A仲介相場:280万円×1.25倍=350万円
- 仲介手数料:350万円×8%=28万円
- 手取り:350万円−28万円=322万円
- 成約期間:4ヶ月
StayExit買取:
- 買取価格:350万円×80%=280万円
- 手数料:0円
- 手取り:280万円
- 成約期間:3営業日
差額:42万円(M&Aが有利)
ただし:時間差は約4ヶ月、その間の固定費(家賃3万円×4ヶ月=12万円)を考慮すると実質差額は約30万円
自力廃業のメリット・デメリット
M&Aや買取を利用せず、自分で原状回復・廃業手続きを行う方法です。
メリット:
- 第三者を介さない
- 仲介手数料・買取業者の利益分が不要
- 自分のペースで進められる
デメリット:
- 原状回復費用50〜100万円
- 沖縄はカビ・塩害対応で高額化
- クロス張替え、床補修、設備修繕等
- 違約金(賃貸物件の場合)
- 契約期間中の解約で家賃2〜3ヶ月分
- 那覇市1LDK(家賃8万円)の場合:16〜24万円
- 家具・家電処分費5〜15万円
- 不用品回収業者への支払い
- 離島の場合は1.2〜1.5倍
- 廃業届・設備撤去の手間
- 自治体への届出、OTA解約手続き
- 大家との交渉、立ち会い
- 手取り額マイナスが大半
- 【例】原状回復70万円+違約金20万円+処分費8万円=−98万円
向いている人:
- 自己資金で原状回復可能
- 時間に余裕があり、手続きを自分で処理できる
- 所有物件で違約金が発生しない
- 原状回復費用が30万円以下で済む物件
比較表|どの方法を選ぶべきか?
撤退方法3択の徹底比較:
| 項目 | M&A(仲介) | 専門業者買取 | 自力廃業 |
| 期間 | 3〜6ヶ月 | 最短3営業日 | 1〜2ヶ月 |
| 手取り額 | 高(市場価格100%) | 中(市場価格70〜85%) | 低(マイナス50〜100万円) |
| 原状回復 | 要相談(交渉次第) | 不要(現況渡しOK) | 必須(50〜100万円) |
| 仲介手数料 | 5〜10%(25〜50万円) | 不要(0円) | 不要(0円) |
| 赤字物件対応 | × 難しい | ○ 可能 | △ 自己処理 |
| 瑕疵物件対応 | × 困難 | ○ 可能 | △ 自己処理 |
| 遠隔対応 | △ 現地立ち会い必要 | ○ 可能 | × 困難 |
| 複数物件一括 | △ 個別交渉 | ○ 一括買取可能 | × 困難 |
| 向いている人 | 黒字物件、時間に余裕 | 即時現金化希望 | 自己処理可能 |
選択のポイント:
M&A(仲介)を選ぶべきケース:
- 年間営業利益が50万円以上の黒字物件
- 稼働率75%以上で買い手が見つかりやすい
- 売却まで3〜6ヶ月待てる
- 手取り額を最大化したい
専門業者買取を選ぶべきケース:
- 赤字が月10万円以上で早期撤退が必須
- 原状回復費用100万円以上を避けたい
- 遠方で現地対応が困難
- 複数物件を一括で処分したい
- 賃貸物件でオーナー交渉が困難
自力廃業を選ぶべきケース:
- 所有物件で違約金が発生しない
- 原状回復費用が30万円以下で済む
- 時間と労力をかけられる
- 手続きを自分で処理できる
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沖縄の民泊M&A|手続きの流れと必要書類
沖縄で民泊のM&Aを実行する際の具体的な手続きの流れと、準備すべき書類を解説します。
M&A手続きの5ステップ
ステップ1:相談・査定(1〜2週間)
M&A仲介会社または買取業者に相談し、事業の価値を査定してもらいます。
提出する情報:
- 物件情報(所在地、間取り、築年数、設備リスト)
- 収支データ(過去2年分の売上・経費)
- 稼働実績(月別稼働率、レビュー評価)
- 許認可状況(住宅宿泊事業届出書または簡易宿所許可証)
- 賃貸契約書(賃貸物件の場合)
査定額の提示:
- M&A仲介:年間売上×1.2〜1.5倍の範囲で提示
- 買取業者:市場価格の70〜85%で提示
ステップ2:契約締結(1〜2週間)
査定額に納得したら、契約手続きに進みます。
M&A仲介の場合:
- 秘密保持契約(NDA)締結:物件情報の第三者への漏洩を防止
- 仲介契約締結:専任媒介または一般媒介を選択
- 買い手候補の紹介:仲介会社が買い手を探し、面談を設定
- 基本合意書(LOI)締結:売却価格・条件の骨子を合意
買取業者の場合:
- 買取契約書締結:価格・引渡し日を確定
- 手続きが簡略化され、NDAや基本合意書は省略されることが多い
ステップ3:デューデリジェンス(DD)(2〜4週間)
買い手による詳細調査です。買取業者の場合は簡略化されます。
調査内容:
- 財務DD:過去の収支、未払い債務、税務申告状況
- 法務DD:契約書、許認可、訴訟リスクの確認
- 物件DD:現地調査、設備状態、瑕疵の有無
売り手の対応:
- 質問事項への回答
- 追加資料の提出
- 現地案内の立ち会い
ステップ4:最終契約(1〜2週間)
DDの結果を踏まえ、最終的な売買契約を締結します。
契約内容:
- 売買価格の確定
- 引渡し日の設定
- 表明保証条項(売り手が開示した情報の正確性を保証)
- 損害賠償条項(虚偽があった場合の責任)
代金決済条件:
- 一括払いまたは分割払い
- 通常は引渡し時に全額決済
ステップ5:引渡し・許認可承継(2〜4週間)
最終契約後、物件と事業を引き渡します。
引渡し項目:
- 物件の鍵、暗証番号
- 家具・家電のリスト
- OTAアカウント情報(Airbnb、Booking.com等)
- 予約管理システムのログイン情報
- ゲスト対応マニュアル
- 清掃業者・メンテナンス業者の連絡先
許認可の承継:
住宅宿泊事業の場合:
- 承継不可(法律上、事業者個人に紐づく)
- 売り手:廃業届を提出(事業廃止日から30日以内)
- 買い手:新規届出を提出(都道府県知事または保健所設置市長へ)
- 手続き期間:届出から営業開始まで約1〜2ヶ月
簡易宿所許可の場合:
- 条件付きで承継可能
- 所有物件:名義変更申請で承継可能(保健所の承認が必要)
- 賃貸物件:原則新規取得(物件オーナーの承諾が必須)
- 手続き期間:2〜4ヶ月
必要書類チェックリスト
M&Aを円滑に進めるため、事前に以下の書類を準備しておきましょう。
売り手が準備する書類:
| 書類名 | 内容 | 備考 |
| 住宅宿泊事業届出書の控え | または簡易宿所許可証 | 許認可の証明 |
| 過去2年分の収支報告書 | 売上・経費の明細 | エクセルまたは会計ソフト |
| 稼働実績データ | 月別稼働率、予約件数 | OTAから出力可能 |
| OTA登録情報 | アカウント情報、レビュー評価 | Airbnb、Booking.com等 |
| 賃貸借契約書 | 賃貸物件の場合 | 大家の連絡先も併記 |
| 設備・家具のリスト | 写真付き | 買い手が引き継ぐもの |
| 物件の図面・写真 | 間取り図、現況写真 | 多めに用意 |
| 修繕履歴 | 過去の修繕内容・費用 | 台風被害、カビ対策等 |
| 清掃業者・業者連絡先 | 引継ぎ用 | 引渡し後も利用可能 |
買い手が準備する書類:
| 書類名 | 内容 | 備考 |
| 本人確認書類 | 運転免許証、パスポート等 | 法人は登記簿謄本 |
| 資金証明 | 融資承認書または預金残高証明 | 支払い能力の証明 |
| 事業計画書 | 買収後の運営計画 | M&A仲介の場合に提出 |
許認可の承継方法|住宅宿泊事業 vs 簡易宿所
許認可の承継方法は、住宅宿泊事業と簡易宿所で大きく異なります。
住宅宿泊事業(民泊新法)の場合:
承継不可の理由:
- 住宅宿泊事業法では、届出が「事業者個人」に紐づく
- M&Aによる事業譲渡では、届出を承継できない
手続きの流れ:
- 売り手:廃業届を提出(事業廃止日から30日以内)
- 買い手:新規届出を提出(都道府県知事または保健所設置市長へ)
- 自治体の審査(約1〜2ヶ月)
- 届出番号の発行
- 営業開始
注意点:
- 新規届出の審査中は営業不可(予約停止が必要)
- 買い手が届出要件を満たさない場合、営業再開できないリスクあり
簡易宿所許可の場合:
条件付きで承継可能:
| 物件の種類 | 承継方法 | 手続き期間 |
| 所有物件 | 名義変更申請で承継可能 | 2〜4週間 |
| 賃貸物件 | 原則新規取得 | 2〜4ヶ月 |
所有物件の承継手続き:
- 売り手と買い手が連名で許可承継届を保健所に提出
- 保健所の審査(施設基準、人的要件の確認)
- 承継承認
- 新しい許可証の発行
賃貸物件の場合の注意点:
- 物件オーナー(大家)の承諾が必須
- 承諾が得られない場合、買い手は新規取得が必要
- 那覇市の不動産オーナーは民泊転用に慎重な傾向(近隣トラブルを懸念)
沖縄特有のM&A留意点|失敗しないための3つのチェックポイント
沖縄の民泊M&Aでは、本土とは異なる特有のリスクや留意点があります。失敗しないための重要なポイントを3つ解説します。
180日規制下の収益性評価
住宅宿泊事業の場合、年間営業日数が180日に制限されており、この規制が収益性評価に大きく影響します。
買い手が求める最低稼働率:75%以上
買い手は、180日の制約下で黒字化できるかを重視します。一般的に、買い手が求める最低稼働率は75%以上(180日中135日稼働)です。
稼働率別の収益性評価:
| 稼働率 | 年間稼働日数 | 年間売上(単価8,000円) | M&A評価 |
| 90%以上 | 162日以上 | 130万円以上 | 優良物件(倍率1.5〜2.0) |
| 75〜90% | 135〜162日 | 108〜130万円 | 標準物件(倍率1.2〜1.5) |
| 60〜75% | 108〜135日 | 86〜108万円 | 要改善物件(倍率1.0〜1.2) |
| 60%未満 | 108日未満 | 86万円未満 | 買い叩かれるリスク(倍率0.8〜1.0) |
稼働率50%の物件の例:
- 年間稼働日数:180日×50%=90日
- 単価8,000円:年間売上72万円
- M&A相場:72万円×1.1倍=約80万円
- 買取相場:80万円×75%=約60万円
一方、稼働率75%の物件:
- 年間稼働日数:180日×75%=135日
- 単価8,000円:年間売上108万円
- M&A相場:108万円×1.3倍=約140万円
- 買取相場:140万円×80%=約112万円
差額:約52〜60万円
売却前に稼働率を上げる施策:
稼働率が低い場合、売却前に以下の施策を実施することで、M&A相場を引き上げられます。
| 施策 | 期待効果 | 実施コスト |
| 価格調整(閑散期の割引) | 稼働率+5〜10% | 0円 |
| OTA掲載強化(楽天、じゃらん追加) | 稼働率+5〜10% | 手数料増 |
| プロカメラマンによる写真撮影 | 予約率+10〜20% | 3〜5万円 |
| レビュー評価の改善(清掃品質向上) | リピート率+10〜15% | 清掃費増 |
3〜6ヶ月の改善期間を設けることで、M&A相場を30〜50万円引き上げられる可能性があります。
台風・カビ・塩害リスクの開示義務
沖縄特有のリスクは、M&Aにおいて重要事項説明で必ず開示する義務があります。
開示すべき項目:
1. 台風被害の履歴:
- 過去5年間の台風による被害(窓ガラス破損、雨漏り等)
- 修繕費用と修繕内容
- 台風対策(窓の補強、防水処理等)
2. カビ発生履歴・対策状況:
- カビが発生した箇所(浴室、エアコン、クローゼット等)
- カビ除去費用(過去2年分)
- 対策状況(除湿機設置、防カビ施工、24時間エアコン稼働等)
3. 塩害による設備劣化:
- エアコン室外機の交換頻度(海沿い物件は3〜5年ごと)
- 給湯器の劣化状況
- 金属部分(窓枠、蛇口、ドアノブ等)の錆
4. 近隣トラブル:
- 騒音苦情の有無
- ゴミ出しトラブル
- 大家・管理会社との関係
開示しない場合のリスク:
- 契約後に買い手がリスクを発見 → 損害賠償請求
- 契約解除(買い手の契約解除権行使)
- 売り手の信用失墜、法的トラブル
誠実な情報提供が成約率と売却価格を高める:
リスクを正直に開示することで、買い手の信頼を獲得し、結果的に成約率と売却価格が向上します。
開示のコツ:
- リスクとともに対策状況も説明(例:「カビ発生履歴あり、ただし除湿機を3台設置し、現在は発生なし」)
- 修繕履歴を書面で提示(領収書、写真を保存)
- 買い手が安心できる情報を積極的に開示
賃貸物件の場合|オーナー承諾取得の実務
賃貸物件で民泊を運営している場合、M&Aには物件オーナー(大家)の承諾が必須です。
承諾が必要な理由:
- 賃貸契約上、転貸や事業譲渡には大家の承諾が必要(契約書に明記されていることが多い)
- 承諾なしでM&Aを実行すると、契約解除のリスク
那覇市の不動産オーナーの傾向:
- 民泊転用に慎重(近隣トラブル、騒音、ゴミ問題を懸念)
- 特に住宅地の物件オーナーは承諾しないケースが多い
- 商業地・繁華街の物件オーナーは比較的柔軟
承諾取得のコツ:
1. 買い手の信用情報を提示:
- 法人の場合:登記簿謄本、会社案内、決算書
- 個人の場合:本人確認書類、職業・収入証明
2. 原状回復保証の上積み提示:
- 敷金を増額(例:2ヶ月分→3ヶ月分)
- 原状回復費用の保証書を提出
3. 管理体制の改善案提示:
- 24時間緊急対応体制の構築
- 騒音対策(夜間の注意事項、近隣挨拶)
- ゴミ出しルールの徹底
4. 大家へのメリット提示:
- 家賃滞納リスクの低減(法人契約)
- 長期契約の提案(5年契約等)
承諾が得られない場合の選択肢:
- 買取業者に相談:現況渡しで買取可能な業者もある
- 廃業して原状回復:大家に物件を返却
- 買い手を法人に限定:個人より法人の方が承諾されやすい
買取業者(StayExit等)の対応:
- 賃貸物件でも現況渡しで買取可能
- 大家との交渉を代行
- 承諾取得が困難な場合も、買取により即時撤退をサポート
まとめ|沖縄の民泊M&Aで損しないための3つのアクション
沖縄の民泊M&Aは、正しい知識と戦略により、撤退時の損失を最小化し、場合によってはプラスの手取りを得ることが可能です。最後に、損しないための3つのアクションをまとめます。
1. 複数の選択肢を比較する
M&A仲介・専門業者買取・自力廃業の3択を、時間 vs 手取り額のトレードオフで数値比較しましょう。
比較のポイント:
- M&A仲介:手取り額最大(市場価格100%)、ただし3〜6ヶ月かかる
- 専門業者買取:手取り額は市場価格の70〜85%、ただし最短3営業日
- 自力廃業:手取り額マイナス50〜100万円、1〜2ヶ月
シミュレーション例(那覇市1LDK、年間売上280万円):
| 方法 | 手取り額 | 期間 | 向いている人 |
| M&A仲介 | 322万円 | 4ヶ月 | 黒字物件、時間に余裕 |
| 買取 | 280万円 | 3営業日 | 即時現金化希望 |
| 廃業 | -70万円 | 1ヶ月 | 自己処理可能 |
赤字が月10万円以上の場合、4ヶ月で40万円の追加損失が発生するため、買取の方が合理的です。
2. 沖縄特有リスクの開示を徹底する
180日制限、台風・カビ・塩害の影響を隠さず開示しましょう。
開示すべき情報:
- 過去の台風被害と修繕履歴
- カビ発生箇所と対策状況
- 塩害による設備劣化(エアコン、給湯器等)
- 稼働率の推移(月別データ)
誠実な情報提供のメリット:
- 買い手の信頼獲得 → 成約率UP
- リスクを踏まえた適正価格での成約 → トラブル回避
- 契約後の損害賠償請求リスクを回避
3. 専門家に早期相談する
「赤字継続」「稼働率低下」を放置すると損失が拡大します。早期に専門家(M&A仲介会社、民泊買取専門業者)に相談しましょう。
早期相談のメリット:
- 無料査定で現状の価値を把握
- 複数の選択肢を比較検討
- 損失を最小化する戦略を立案
StayExitの強み:
- 沖縄全域(那覇・恩納・北谷・石垣・宮古島)対応
- 最短3営業日で現金化
- 原状回復不要(現況渡しOK)
- 賃貸物件・赤字物件も対応可能
- 1R〜5棟一括買取可能
無料査定の流れ:
- WEBまたは電話で査定依頼
- 物件情報・収支データを提出
- 査定額の提示(1〜2営業日)
- 契約・決済(最短3営業日)
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参考文献・出典
公的機関・統計データ:
業界データ・実績:
- StayExit「沖縄 民泊の現状」
- M&A総合研究所「民泊業界のM&A動向」
- 沖縄県不動産業者ヒアリング調査(2025年12月実施)
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免責事項
本記事の情報は2025年12月時点のものです。法改正・市況変動により内容が変更される可能性があります。M&Aの実行にあたっては、弁護士・税理士・M&A仲介会社等の専門家にご相談ください。
個別の物件状況、契約内容、許認可の種類、買い手の条件により、実際の売買価格や手続きは大きく異なります。本記事で提示した相場や手取り額はあくまで目安であり、実際の取引を保証するものではありません。
StayExitは記事内容に起因する損害について一切の責任を負いません。M&A・買取の検討にあたっては、必ず複数の業者から見積もりを取得し、比較検討することを強くお勧めします。
更新日: 2025年12月
執筆: StayExit編集部
