千代田区では住宅宿泊事業法に加え、独自の上乗せ条例により、文教地区・学校周辺での民泊営業が大幅に制限されています。さらに、東京23区で最も厳格な「駆けつけ10分以内」という要件があり、民泊運営の難易度は極めて高いです。
千代田区の上乗せ条例による区域別の営業制限
千代田区公式サイトによると、住宅宿泊事業の営業制限は区域と運営形態によって細かく区分されています。千代田区公式サイト
| 区域 | 家主居住型 | 家主不在型(管理者常駐) | 家主不在型(その他) |
| 文教地区・学校周辺 | 金曜正午~日曜正午のみ(年間約104日) | 営業不可 | 営業不可 |
| その他の地域 | 制限なし(年間180日) | 制限なし(年間180日) | 日曜正午~金曜正午は営業不可 |
文教地区・学校周辺では、家主居住型に限り週末のみの営業が認められていますが、家主不在型は原則として営業できません。その他の地域でも、管理者が常駐しない家主不在型は平日の営業が禁止されています。
東京23区で最も厳格な「駆けつけ10分要件」
千代田区の最大の特徴は、家主不在型の民泊に対して「10分以内に現地へ駆けつけられる体制」を義務付けている点です。他の区では一般的に30分以内とされているため、千代田区の規制は東京23区で最も厳格といえます。
この要件により、千代田区内に事務所を構えるか、物件から極めて近い場所に管理拠点を設置する必要があり、運営コストが大幅に増加します。
千代田区以外の東京23区の規制については、東京23区の民泊規制完全ガイドで比較できます。
千代田区の民泊規制が厳しい理由と廃業率の実態
千代田区が民泊規制を厳格化している背景には、この区特有の環境があります。
文教地区・皇居周辺という特殊な立地環境
千代田区は皇居、国会議事堂、最高裁判所などの国家中枢機関が集中するエリアであり、セキュリティと住環境の保護が極めて重要視されています。また、番町・麹町などの文教地区は歴史的に閑静な高級住宅街として発展してきた経緯があり、住民の生活環境を守るため、民泊営業が大幅に制限されています。
このような特殊な立地環境が、東京23区で最も厳しい民泊規制を生み出す要因となっています。
千代田区の民泊廃業率は16.7%|全国平均の約半分
千代田区の民泊の実態を、最新の統計データから見てみましょう。観光庁が公表している『住宅宿泊事業法に基づく届出及び登録の状況一覧』(令和7年5月末時点)によると、**千代田区の民泊届出件数は48件、廃業件数は8件で、廃業率は約16.7%**となっています。観光庁PDF
これは全国平均の廃業率36%と比較すると約半分の数値です。
| 指標 | 千代田区 | 全国平均 |
| 廃業率 | 約16.7% | 約36.0% |
| 届出件数 | 48件(R7.5時点) | 57,512件(R7.11時点) |
| 廃業件数 | 8件(R7.5時点) | 20,661件(R7.11時点) |
ただし、この低い廃業率は「民泊運営が成功しやすい」ことを意味するわけではありません。 むしろ、厳格な規制により最初から参入しにくく、届出件数自体が極めて少ないことが要因です。
実際、千代田区の届出件数48件は東京23区の中でも最下位クラスであり、「規制の厳しさが参入障壁となり、届出件数が抑制されている」という構造が明確です。つまり、規制をクリアできる限られた事業者のみが運営を続けているため、廃業率が低く見えているのです。
千代田区の民泊規制下での収益性と撤退の判断
千代田区の厳しい規制下で民泊を続けるべきか、それとも撤退すべきか。この判断には具体的な収益性と法的リスクの理解が不可欠です。
文教地区での週末のみ営業(年間104日)の収益シミュレーション
千代田区の文教地区で週末のみ営業(年間約104日)した場合の月間収支を試算してみます。
【想定条件】
- 物件: 千代田区内1LDK(45㎡、文教地区)
- 月間稼働日数: 約8.7日(104日÷12ヶ月)
- 1泊単価: 15,000円(千代田区はビジネス需要が高いため他区より高め)
- 稼働率: 80%
【月間収支】
収入
- 月間売上: 15,000円 × 8.7日 × 0.8 = 約104,400円
支出
- 家賃・ローン返済: 約85,000円
- 水道光熱費: 約5,000円
- 消耗品・清掃費: 約3,000円
- システム・保険料: 約2,000円
- 月間支出合計: 約95,000円
収支
- 月間利益: 104,400円 – 95,000円 = 約9,400円
このように、稼働率が高くても月々の利益は1万円に満たず、ローン金利や駆けつけ10分要件を満たすための人件費(管理スタッフの配置コスト)を含めると実質的には赤字になるケースが大半です。
規制違反のリスクと罰則
営業日数の制限を守らず、週末以外にも営業を続けた場合のリスクは極めて高いものです。住宅宿泊事業法第76条によると、無届営業は6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。e-Gov法令検索
また、営業日数の制限違反に対しても業務停止命令や罰金が科される可能性があり、「規制を無視して営業日数を超過する」という選択肢は、法的リスクの観点から極めて危険です。
千代田区の厳しい規制下で民泊の収益改善が難しいとお感じの場合、専門業者への相談も選択肢の一つです。StayExitでは、民泊・旅館業の買取・借上げに対応しており、最短3営業日での成約実績があります。駆けつけ10分要件や週末のみ営業で運営が困難な物件でも、現況渡しで対応可能です。
まとめ|千代田区の民泊規制を理解し、適切な判断を
千代田区の民泊規制は東京23区の中でも最も厳格で、以下の3点を押さえておく必要があります。
- 千代田区は文教地区・学校周辺で週末のみ営業(年間約104日)に制限
- 東京23区で最も厳格な「駆けつけ10分要件」により運営負担が大きい
- 廃業率は16.7%と低いが、厳格な規制により参入障壁が高く届出件数自体が48件と極めて少ない
- 規制下での収益性は厳しく、撤退も合理的選択肢
千代田区で民泊を続けるか撤退するかは、区域と収益性を冷静に見極めて判断すべきです。
開業を検討中の方は、まず物件が文教地区・学校周辺に該当するか確認し、駆けつけ10分要件をクリアできる体制を整えられるか精査してください。文教地区では家主居住型でも週末のみの営業となり、年間104日では十分な収益を確保することは極めて困難です。
既存事業者の方で、収益改善が難しい場合は早期の撤退判断も現実的な選択肢です。赤字が続く状態で営業を続けるよりも、専門の買取業者に相談して早期に物件を売却することで、損失を最小限に抑えることができます。
千代田区以外の東京23区の規制状況については、東京23区の民泊規制完全ガイドでも詳しく解説しています。
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免責事項:
本記事の情報は2025年12月時点のものです。法律・条例・市場状況は変動する可能性がありますので、最新情報は以下の公式サイト等でご確認ください。
- 千代田区公式サイト: https://www.city.chiyoda.lg.jp/
- 国土交通省 民泊制度ポータルサイト: https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/
また、個別の事業判断については専門家(宅地建物取引士、税理士、弁護士等)にご相談いただくことをお勧めします。
