
葛飾区は長年「上乗せ条例なし」として東京23区内で民泊参入のしやすいエリアとされてきました。しかし2025年12月17日、区は「葛飾区住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例」を公布し、2026年4月1日から施行されます。
この条例により、家主不在型の民泊は商業地域以外では土曜正午〜月曜正午のみ営業可能(年間約104日)となり、平日営業が全面禁止されます。従来の180日から約40%の大幅削減です。
観光庁「住宅宿泊事業法に基づく届出及び登録の状況」(令和7年5月末時点)によると、葛飾区の民泊廃業率はすでに約46%(届出620件、廃業285件)に達しており、全国平均(約36%)を10ポイント上回っています。条例施行後はさらなる廃業増加が見込まれます。
本記事では、条例の全容・収益シミュレーション・エリア別買取相場・売却手段の比較まで、葛飾区の民泊オーナーが今すぐ判断するために必要な情報を、公的データを根拠に徹底解説します。
📌 関連記事: 東京23区の民泊規制ガイド|条例比較と対応策
葛飾区の民泊条例改正|2026年4月から何がどう変わるか

条例公布の経緯と背景
2025年9月23日の日本経済新聞報道以降、葛飾区の条例制定に向けた動きが加速。区民意見公募(パブリックコメント)を経て、2025年12月17日に条例が公布されました。
条例制定の背景には、上乗せ条例なしで参入障壁が低かったために届出数が急増し(令和4年2月の285件→令和7年5月の620件へ約2.2倍増)、それに伴う騒音・ゴミ問題などの苦情が増加したことがあります。
住宅宿泊事業(民泊新法)の改正内容
施行日:2026年4月1日(葛飾区公式サイト)
| 項目 | 改正前 | 改正後(2026年4月〜) |
| 上乗せ条例 | なし(全国基準のみ) | 商業地域以外に制限導入 |
| 家主不在型の営業時間 | 年間180日(曜日制限なし) | 土曜正午〜月曜正午のみ(年間約104日) |
| 平日営業 | 可 | 全面禁止(商業地域以外) |
| 例外規定 | — | 事業者・管理者が施設内常駐の場合は制限なし |
| 既存届出済み施設 | — | 当面は適用除外(経過措置) |
旅館業法(簡易宿所)の改正内容
民泊新法と同時に、旅館業法施行条例も改正されます。無人ホテル・遠隔管理型の簡易宿所への規制強化が柱です。
- 従業員の常駐義務化: 宿泊者滞在中、営業従事者の施設内または同一敷地内への常駐が義務付けられます
- 人件費の増加: 常駐スタッフ確保により月20〜30万円の追加コストが発生します
- 構造設備基準の新設: 常駐用居室・専用便所の設置が義務化(既存施設は当面除外)
この「二本柱の規制強化」により、民泊新法で運営している物件だけでなく、旅館業法(簡易宿所)で運営している物件にも大きなコスト増が発生します。
「既存施設は経過措置あり」は安心できない
2026年4月1日以前に届出済みの既存施設は「当面は制限の対象外」とされていますが、以下の3つのリスクが存在します。
リスク①:更新審査の厳格化
更新時に現行条例の基準が適用される可能性があります。豊島区では既存物件も規制対象となった前例があります。
リスク②:稼働率の継続低下
届出数が2.2倍に増加したことで競争が激化し、稼働率の低下と単価下落が進んでいます。
リスク③:買い手市場への転換
条例施行後は投資家の購入意欲が減退し、仲介市場での売却期間が大幅に長期化するリスクがあります。
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週末のみ営業で赤字になる?収益シミュレーション

葛飾区の民泊市場データ(2025〜2026年)
| 指標 | データ | 出典 |
| 平均稼働率 | 72% | plays-inc.jp |
| 平均宿泊単価(保守値) | 9,100円/泊 | plays-inc.jp |
| 平均宿泊単価(高値) | 25,500円/泊 | minpakuchintai.jp |
| エリア特性 | 東京23区内で低単価エリアに分類 | — |
葛飾区は宿泊単価が港区・新宿区などの高単価エリアと比較して低く、稼働率で補うにも限界がある構造的な課題を抱えています。
1LDK物件での年間収支シミュレーション(条例改正後)
前提条件
- 物件:葛飾区1LDK
- 家賃:10.3万円/月(プラザホームズデータより)
- 平均宿泊単価:9,100円/泊
- 稼働率:72%
- 年間営業可能日数:108日(週末のみ換算)
| 費目 | 金額(年間) |
| 年間売上 | 9,100円 × 108日 × 72% = 約71万円 |
| 家賃 | 10.3万円 × 12ヶ月 = 123.6万円 |
| 管理委託費(売上の20%) | 約14.2万円 |
| 光熱費(1万円/月) | 12万円 |
| Wi-Fi(5,000円/月) | 6万円 |
| その他(消耗品等) | 10万円 |
| 清掃費(5,000円×78回) | 39万円 |
| 固定費・変動費合計 | 204.8万円 |
| 年間収支 | ▲約134万円(赤字) |
補足: 稼働率を100%に引き上げても年間売上は約98万円にとどまり、固定費204.8万円を下回ります。単価を25,500円で試算した場合でも、固定費を差し引くと利益はわずかです。
現行180日と条例後104日の収支比較
| 項目 | 現行(180日・稼働50%) | 条例後(104日・稼働30%) |
| 月間宿泊収入 | 18万円(22泊×8,000円) | 7.2万円(9泊×8,000円) |
| 月間固定費 | 14万円 | 14万円 |
| 月間収支 | +4万円(黒字) | ▲6.8万円(赤字) |
| 年間収支換算 | +約48万円 | ▲約82万円 |
条例施行後は1年間の運営継続で約82万円の損失が確定します。撤退を先延ばしにするほど、累積損失は拡大します。
赤字になる3つの構造的要因
①営業日数の激減(最大の要因)
年間180日→約104〜108日へ約40%削減。売上の基盤が根本から損なわれます。
②低単価エリアの壁
葛飾区は東京23区内でも宿泊単価が低水準。稼働率でカバーしようにも、週末のみでは稼働できる日数に絶対的な上限があります。
③固定費の重さ
週末のみの稼働では、毎月発生する家賃・管理費・光熱費を賄う売上の確保が構造的に困難です。
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葛飾区・エリア別民泊買取相場(2026年1月時点)
買取相場の全体感
葛飾区で民泊物件を専門買取業者に売却する場合、**市場価格の60〜80%**が目安です(StayExit「葛飾区民泊売却完全ガイド」)。用途地域・稼働実績・物件状態によって大きく変動します。
| 用途地域 | 買取率目安 | 主な該当エリア |
| 住居専用地域(週末限定対象) | 市場価格の60〜70% | 亀有・青砥・お花茶屋・堀切など |
| 商業地域・近隣商業地域 | 市場価格の70〜80% | 金町駅前・新小岩駅前・立石駅前 |
駅別・物件タイプ別の買取相場実例
| エリア(駅) | 物件タイプ | 市場価格目安 | 買取率 | 買取価格目安 |
| 金町駅 | 1K・25㎡ | 1,800万円 | 61〜70% | 1,098〜1,260万円 |
| 新小岩駅 | 1LDK・45㎡ | 3,200万円 | 63〜75% | 2,016〜2,400万円 |
| 亀有駅 | 1K・25㎡ | 1,600万円 | 63〜75% | 1,008〜1,200万円 |
| 青砥駅 | 1R・20㎡ | 1,400万円 | 60〜68% | 840〜952万円 |
| お花茶屋駅 | 1K・28㎡ | 1,700万円 | 62〜72% | 1,054〜1,224万円 |
出典:KURAMORE「葛飾区のマンション売却相場」 / StayExit「葛飾区民泊売却ガイド」
金町・新小岩エリアはJR常磐線・総武線で都心アクセスが良好なため、買取率も比較的高水準です。一方、青砥・お花茶屋は京成線1路線のみとなるため、60〜70%台に落ち着くケースが多くなります。
買取価格を左右する3つの要因
①用途地域(最大10〜20%の差)
商業地域は年間180日営業が継続可能なため投資家評価が高く、買取率が上がります。住居専用地域は週末限定(104日)のため、収益性が大きく下がり買取率も低くなります。
②稼働実績(最大15%の差)
直近12ヶ月で稼働率70%以上・ADR15,000円以上の物件は、買取率が10〜15%アップします。逆に稼働率60%未満・ADR12,000円未満の場合は基準値のままです。
③物件状態(最大5%の差)
設備充実・リフォーム済みの物件は+5%程度の上乗せが期待できます。消防検査済証や届出書類の整備状況も査定に影響します。
📌 参考: 葛飾区の民泊売却相場|週末営業規制と買取のポイント
葛飾区民泊の撤退3択|廃業・仲介・買取を徹底比較

3つの選択肢を一覧で比較
| 比較項目 | ①廃業→賃貸転換 | ②一般仲介での売却 | ③買取業者への直接売却 |
| 売却価格 | —(賃料収入に転換) | 市場価格の95〜100% | 市場価格の60〜80% |
| 現金化スピード | 即時(収入は月次) | 3〜12ヶ月 | 最短3営業日 |
| 原状回復費用 | 20〜40万円(1Rの場合) | 別途必要 | 不要(現況渡しOK) |
| 仲介手数料 | なし | 売却価格の3〜6% | なし |
| 家具・家電 | 別途処分費用が発生 | 別途交渉 | そのまま引き渡し可 |
| 廃業届の手続き | 自分で対応 | 自分で対応 | 業者が代行 |
| 買い手不在リスク | なし | あり(最大1年以上) | なし |
選択肢①:廃業→賃貸転換
民泊設備を撤去し、通常の賃貸物件に転換する方法です。物件を手放したくない方、長期的に安定収入を求める方、立地が良く賃貸需要が見込めるエリアの方に向いています。
原状回復費用(1Rで20〜40万円)が発生します。2026年4月以降は葛飾区内でも民泊から賃貸への転換需要が急増し、リノベーション費用の上昇・工期の長期化が予測されます。早めの行動が重要です。
廃業届は事業廃止日から30日以内に葛飾区保健所(生活衛生課:03-3602-1242)または民泊制度ポータルサイトにて提出が必要です。
選択肢②:一般仲介での売却
不動産仲介会社を通じて市場価格に近い価格での売却を目指す方法です。時間的余裕がある方、物件の状態が良好で買い手がつきやすい方に向いています。
ただし、原状回復費用と仲介手数料(物件価格の3%+6万円+消費税)が発生するため、最終的な手取り額は想定より低くなることもあります。条例施行後は買い手市場に転じるリスクもあり、売却期間が長期化する可能性があります。
選択肢③:買取業者への直接売却
民泊・旅館業専門の買取業者に直接売却する方法です。売却価格は市場価格より低くなりますが、スピードと費用負担の少なさが最大のメリットです。すぐに現金化したい方、原状回復費用・仲介手数料をかけたくない方、遠方・海外在住の方、複数棟をまとめて処分したい方に向いています。
実質コストで比較すると差は縮まります。 2,000万円の物件を例に計算すると、一般仲介(6ヶ月後成約)では売却価格2,000万円から仲介手数料72.6万円と6ヶ月分の固定費84万円を差し引いた実質手取り約1,843万円となります。一方、買取業者(2週間後成約)では買取価格1,600万円から2週間分の固定費2.8万円を差し引いた実質手取り約1,572万円です。差額は約271万円ですが、4.5ヶ月早く現金化でき、条例施行前に撤退完了することで施行後の月間赤字(▲6.8万円)が積み重なるリスクを完全に回避できます。
📌 参考: 民泊買取業者の選び方|おすすめ3社と悪質業者を避ける5つのポイント
\ 民泊の買い取り価格の査定ができる /
最短3営業日で現金化|買取の5ステップ
査定申し込みから引渡しまでの流れ
1. 無料査定の申し込み
Web・電話で24時間受付。物件の基本情報(面積・築年数・稼働実績)を送るだけで申し込み完了です。
2. 現地調査または書類確認
遠方・海外オーナーはオンライン完結に対応。物件状況によっては現地調査が不要なケースもあります。申し込みから最短当日〜翌日に対応します。
3. 買取価格の提示
24〜48時間以内に査定結果をご提示します。複数社への相見積もりも推奨しており、断り自由・プレッシャーなしで進められます。
4. 契約締結
価格に合意後、契約手続きに進みます。廃業届・書類手続きを業者が代行するため、自分で動く必要がほとんどありません。
5. 決済・物件引渡し
契約後1週間以内に決済・引渡しが完了します。現況渡しOKで、家具・家電・設備はそのままで引き渡し可能です。
対応できる物件の範囲
- 規模: 1R(ワンルーム)から5棟一括まで対応
- 状態: 現況渡しOK(原状回復工事・清掃不要)
- 場所: 葛飾区内全域(亀有・金町・新小岩・青砥・堀切・立石・お花茶屋・四つ木など)
- オーナー: 国内在住・海外在住・法人名義すべて対応
- 書類: 民泊届出書類の紛失・不備があっても相談可
買取価格を最大化する4つのポイント
- 条例施行前(2026年3月末まで)に売却する: 規制強化前が買取相場の最高値ゾーンです。施行後は買取率が5〜10%程度下落することが見込まれます
- 複数の専門買取業者から相見積もりを取る: 競争原理により10〜15%のアップが期待できます
- 直近12ヶ月の稼働実績データを提示する: 高稼働率の裏付けは価格交渉の有効な材料になります
- 届出書類・消防検査済証を整備する: 書類の不備は買取価格の引き下げ材料になります
撤退を検討すべきサインチェックリスト

以下の項目に3つ以上当てはまる場合は、早急に売却・撤退を検討することをおすすめします。
- [ ] 月間稼働率が30%未満の状態が3ヶ月以上続いている
- [ ] 月1回以上、騒音・ゴミなどの近隣苦情が発生している
- [ ] 条例施行後(2026年4月〜)の収支シミュレーションで赤字になる
- [ ] 現況渡しで売却できるなら今すぐ手放したい
- [ ] 管理・対応業務で精神的・体力的な限界を感じている
- [ ] 遠方在住・海外在住で現地管理が困難になっている
- [ ] 複数棟を保有しており、まとめて整理したい
- [ ] 賃貸物件で運営しており、条例後も家賃負担が続く
条例施行後に運営を継続した場合、月間損失は物件規模・立地によって6.8〜25万円に達するケースがあります。廃業コストが100万円超になるのに対し、買取業者への売却なら費用ゼロで数百万円のキャッシュを確保できます。
まとめ|葛飾区の民泊は条例施行前の行動が資産最大化のカギ

- 2025年12月17日公布・2026年4月1日施行: 条例はすでに可決済み。家主不在型は商業地域以外で週末のみ(年間約104日)に制限されます
- 廃業率は約46%(全国平均36%を10ポイント上回る): 条例施行前でもこの数値。施行後はさらに廃業増加が見込まれます
- 1LDK試算で年間約134万円の赤字: 稼働率100%にしても固定費を賄えない構造的問題があります
- エリア別買取相場は市場価格の60〜80%: 住居専用地域60〜70%、商業地域70〜80%が目安です
- 買取業者なら最短3営業日・費用ゼロで現金化: 廃業届代行・現況渡しOK・1R〜5棟一括に対応しています
「まだ経過措置があるから大丈夫」と先送りにしているうちに、買取相場が下落し、売却期間が長期化するリスクがあります。少しでも早く無料査定を取り、売却タイミングを見極めることをおすすめします。
\ 民泊の買い取り価格の査定ができる /
免責事項
本記事の情報は2026年1月時点のものです。条例・法令・市場状況は改正・変動する可能性があります。最新情報は葛飾区公式サイト(住宅宿泊事業について)および観光庁民泊制度ポータルでご確認ください。本記事は情報提供を目的としており、法的助言・投資判断を行うものではありません。民泊事業の開始・撤退に関する判断は、必ず専門家(不動産業者・行政書士・税理士等)にご相談のうえ、ご自身の責任において行ってください。
