東京都北区で民泊事業を検討中の方、または既に運営されている方にとって、最も気になるのは「果たして北区で民泊は儲かるのか?」という点でしょう。
結論から言えば、北区の民泊は非常に厳しい環境にあります。住居専用地域では週末・祝日のみの営業制限があり、年間営業日数は約160日程度に限定されます。さらに北区の平均稼働率は70%、平均宿泊単価は¥21,300と、限られた営業日数の中で安定した収益を上げるのは極めて困難です。
本記事では、北区の民泊規制の詳細、週末のみ営業での具体的な収益シミュレーション、そして赤字経営から脱却するための3つの選択肢(撤退・売却・転換)について、公式データと専門家の見解を交えて徹底解説します。
北区の民泊は実現可能?週末・祝日のみ営業の厳しい現実
北区の民泊営業の結論
北区での民泊運営は、法律上は可能です。しかし、住居専用地域では週末・祝日のみの営業制限があり、収益化は極めて困難というのが現実です。
住宅宿泊事業法(民泊新法)では年間180日までの営業が認められていますが、北区の条例により、住居専用地域では「金曜日正午から月曜日正午まで、および祝日とその前日」に限定されます。これにより、年間営業可能日数は約160~170日となり、さらに平日営業ができないことで稼働率も大きく制限されます。
本記事でわかること
本記事では、以下の3点について詳しく解説します:
- 北区の民泊規制の内容: 住居専用地域での営業日制限、届出要件など
- 具体的な収支シミュレーション: 1LDK物件を想定し、稼働率60%と80%の2パターンで年間収支を算出。稼働率60%の場合、年間約113万円の赤字になる可能性を数字で明示
- 撤退・売却の選択肢: 赤字が続く場合の3つの出口戦略(事業廃止、物件売却、通常賃貸への転換)とそれぞれのメリット・デメリット
北区での民泊運営を検討されている方も、既に赤字が続いている方も、客観的なデータに基づいた判断材料を得ることができます。
北区の民泊規制とは?住居専用地域での営業日制限
住宅宿泊事業法の基本ルール
住宅宿泊事業法(民泊新法)では、年間180日(泊)を上限として、住宅を利用した宿泊サービスの提供が認められています。事業者は都道府県知事(東京都特別区の場合は各区長)への届出が必須であり、以下の義務が課されます:
- 宿泊者名簿の作成・保管(3年間)
- 近隣住民への事前周知
- 宿泊者への衛生管理・安全確保措置の説明
- 苦情対応
- 2ヶ月ごとの定期報告
北区の上乗せ条例(営業日・時間帯制限)
北区では、住居専用地域における民泊営業に対して、曜日・時間帯の制限を設けています。
【住居専用地域の営業制限】
- 営業可能日:金曜日正午から月曜日正午まで、および祝日とその前日
- 年間営業可能日数:約160~170日(通常の180日制限よりさらに厳しい)
【住居専用地域以外(商業地域・準工業地域など)】
- 曜日制限なし(年間180日以内であればいつでも営業可能)
この条例は、閑静な住宅街における生活環境の保全を目的としています。北区の住居専用地域は区全体の広い範囲を占めるため、多くの民泊事業者がこの制限の対象となります。
家主居住型でも制限は緩和されない
一部の自治体では「家主居住型」(オーナーが同じ建物内に居住している形態)の場合、営業日制限が緩和されるケースがありますが、北区では家主居住型であっても住居専用地域では曜日制限が適用されます。
つまり、オーナーが同居していても、住居専用地域では週末・祝日のみの営業となり、平日営業はできません。この点は、北区での民泊運営を検討する上で重要なポイントです。
北区の民泊は赤字になる?週末のみ営業での収益シミュレーション
シミュレーションの前提条件
北区の住居専用地域で1LDK物件を民泊運営する場合の収支を、具体的な数字で検証します。
【物件条件】
- 物件タイプ:1LDK(約40㎡)
- 立地:北区内の住居専用地域
- 家賃:月額13.1万円(北区の1LDK平均家賃相場)
- 営業可能日数:年間160日(週末・祝日のみ)
【運営条件】
- 平均宿泊料金:¥21,300/泊(北区の平均相場)
- 稼働率:60%(平日営業不可のため控えめに設定)
- 清掃費:¥6,000/回(週末1回として月4回=月額24,000円)
- 光熱費:月額8,000円(1Kで月5,000~8,000円が相場)
- 消耗品費:月額5,000円(シーツ、アメニティなど)
- 運営代行手数料:売上の20%(業界標準)
- 通信費・保険料:月額5,000円(Wi-Fi、火災保険など)
出典:宿泊料金はminpakuchintai.jp、コストは民泊運営コスト調査等を参考
年間収支シミュレーション(稼働率60%/80%)
【稼働率60%の場合】
収入:
- 年間営業日数:160日
- 実際の宿泊日数:160日 × 60% = 96日
- 年間売上:96日 × ¥21,300 = ¥2,044,800
支出:
- 家賃:¥131,000 × 12ヶ月 = ¥1,572,000
- 清掃費:¥24,000 × 12ヶ月 = ¥288,000
- 光熱費:¥8,000 × 12ヶ月 = ¥96,000
- 消耗品費:¥5,000 × 12ヶ月 = ¥60,000
- 運営代行手数料:¥2,044,800 × 20% = ¥408,960
- 通信費・保険料:¥5,000 × 12ヶ月 = ¥60,000
- 年間支出合計:¥2,484,960
年間収支:
¥2,044,800(収入) − ¥2,484,960(支出) = ▲¥440,160
つまり、稼働率60%の場合、年間で約44万円の赤字となります。
【稼働率80%の場合】
収入:
- 実際の宿泊日数:160日 × 80% = 128日
- 年間売上:128日 × ¥21,300 = ¥2,726,400
支出:
- 運営代行手数料:¥2,726,400 × 20% = ¥545,280
- その他支出:¥2,076,000(家賃・清掃・光熱費等)
- 年間支出合計:¥2,621,280
年間収支:
¥2,726,400 − ¥2,621,280 = +¥105,120
稼働率80%でようやく年間約10万円の黒字となりますが、週末のみ営業で稼働率80%を維持するのは現実的に極めて困難です。
黒字化の条件は極めて厳しい
北区の住居専用地域で1LDK民泊を安定的に黒字化するには、以下の条件を同時に満たす必要があります:
- 稼働率:85%以上(週末のみでほぼ満室状態を維持)
- 宿泊料金:平均¥21,300を維持
- 家賃:月額13.1万円以下
- 運営代行手数料:20%以下
しかし、週末・祝日のみの営業で稼働率85%以上を継続的に維持するのは、北区の立地・需要を考えると非常に困難です。さらに、競合との価格競争や季節変動により、宿泊料金を高く維持することも簡単ではありません。
北区での民泊届出手続きの流れと必要書類
届出手続きの7ステップ
北区で民泊を始めるには、以下の7ステップの手続きが必要です。
- 事前相談: 北区保健所生活衛生課に事前相談し、対象物件が民泊営業可能な地域かどうかを確認(平日8:30~17:00受付)
- 用途地域の確認: 物件の所在地が住居専用地域か否かを確認し、営業日制限の有無を把握
- 近隣住民への事前周知: 届出の7日前までに、近隣住民への書面による事前周知が義務付けられています
- 消防法令適合通知の取得: 所轄の消防署に届出を行い、消防法令適合通知書を取得
- 届出書類の提出: 北区保健所生活衛生課に必要書類を提出
- 届出番号の取得: 届出が受理されると、届出番号が交付され、営業が可能に
- 定期報告の実施: 2ヶ月に1回(偶数月の翌月15日まで)、宿泊日数や宿泊者数などを報告
必要書類と注意点
【主な必要書類】
- 住宅宿泊事業届出書
- 住宅の図面(各階平面図、正面図、側面図など)
- 住宅の登記事項証明書
- 消防法令適合通知書
- 近隣住民への周知を証する書類
- 誓約書
- その他北区が指定する書類
【注意点】
- 近隣住民への事前周知は必須です。マンションの場合は同じ建物の全住戸と管理組合、一戸建ての場合は隣接する住戸への書面通知が必要
- 消防法令適合通知書の取得には、住宅用火災警報器の設置や消火器の配備などが求められます
- 届出後も、2ヶ月ごとの定期報告を怠ると罰則の対象となります
届出手続きは複雑で、書類の不備があると受理されないため、事前相談を十分に活用することをおすすめします。
北区の民泊が厳しい場合の3つの選択肢|撤退・売却・転換
選択肢①民泊事業からの完全撤退
最もシンプルな選択肢は、民泊事業を廃止し、通常の賃貸住宅に戻すことです。
【メリット】
- 民泊特有のコスト(清掃・運営代行費など)が不要になる
- 近隣トラブルのリスクがゼロになる
- 営業日制限や定期報告義務から解放される
【デメリット】
- 初期投資(家具・家電・内装費など)の回収が困難
- 賃貸住宅に戻すための原状回復費用が発生する可能性
【撤退の手続き】
観光庁の「住宅宿泊事業法」に基づき、北区保健所生活衛生課に「住宅宿泊事業廃止届出書」を提出し、観光庁の民泊制度運営システムからも廃止手続きを行います。
出典:観光庁「住宅宿泊事業法」
選択肢②民泊物件の売却(一般仲介 vs. 専門買取)
民泊運営中の物件を売却する場合、「一般の不動産仲介」と「民泊専門の買取業者」の2つの選択肢があります。
| 項目 | 一般の不動産仲介 | 民泊専門買取業者 |
| 売却価格 | 市場価格に近い | 市場価格より低め |
| 売却期間 | 数ヶ月~1年以上 | 最短3営業日 |
| 売却条件 | 民泊がネガティブ要因 | 現況のまま買取OK |
| 仲介手数料 | 売却価格の3%+6万円 | 不要 |
| 秘密保持 | 広く公開される | 秘密厳守 |
赤字が続く場合、早期に専門買取業者に相談することで、損失の拡大を防ぐことができます。
【民泊物件の売却を検討中の方へ】
赤字が続く民泊物件の売却でお困りの際は、民泊・簡易宿所専門の買取サービス「StayExit」にご相談ください。運営中の物件でも現況のまま最短3営業日で買取可能。仲介手数料は一切不要で、秘密厳守での査定を行います。
選択肢③通常の賃貸物件への転換
民泊をやめて通常の賃貸住宅として運用する選択肢もあります。
【メリット】
- 安定した家賃収入が得られる
- 管理コストが民泊より低い
- 営業日制限や定期報告義務がなくなる
【デメリット】
- 民泊仕様の内装・設備が賃貸向けではない場合、原状回復費用がかかる
- 賃料は民泊宿泊料より大幅に低い
【転換の手順】
- 民泊事業の廃止届を提出
- 必要に応じて内装・設備を通常の賃貸仕様に戻す
- 賃貸仲介業者に依頼し、入居者を募集
北区は都心へのアクセスが良好で賃貸需要があるため、適切な家賃設定であれば入居者は比較的見つかりやすいでしょう。
まとめ|北区の民泊は規制が厳しく赤字リスク大。撤退・売却も視野に
本記事では、北区における民泊事業の現実について、規制・収益性・手続き・出口戦略の4つの観点から詳しく解説しました。
【重要なポイントのまとめ】
- 北区の住居専用地域では週末・祝日のみ営業(年間約160日)に制限され、平日営業は不可
- 1LDK物件の収支シミュレーションでは稼働率60%で年間約44万円の赤字、80%でようやく約10万円の黒字
- 北区の民泊届出件数は252件、事業廃止件数は51件(廃業率約20%)と、事業継続の難しさがデータに表れている(観光庁データ)
- 届出手続きは7ステップあり、近隣住民への事前周知や定期報告など継続的な義務が課される
- 赤字が続く場合は、撤退・売却・転換の3つの選択肢を早期に検討すべき
出典:観光庁「住宅宿泊事業法に基づく届出及び登録の状況一覧」
状況別のアクションプラン
【新規参入を検討中の方】
- 北区の住居専用地域での民泊は収益性が極めて低いため、参入は慎重に判断してください
- 参入する場合は、商業地域など営業日制限のない地域の物件を選ぶこと
【既に赤字が続いている方】
- 損失拡大を防ぐため、早期に撤退・売却・転換の検討を開始してください
- 民泊専門の買取業者に相談することで、迅速かつスムーズな出口戦略が可能です
【黒字だが将来に不安を感じている方】
- 週末のみ営業で黒字を維持するのは難しく、今後の競合増加や規制強化により経営環境はさらに厳しくなる可能性があります
- 黒字のうちに売却や転換を検討するのも賢明な選択肢です
【北区の民泊運営にお悩みの方へ】
赤字経営、営業日制限、近隣トラブルなど、北区の民泊には多くの課題があります。撤退・売却をお考えの方は、民泊物件専門の買取サービス「StayExit」にご相談ください。無料査定で現況のまま最短3営業日で買取可能。1Rから5棟一括まで対応しています。
免責事項:
本記事の情報は2025年12月時点のものです。法律・条例・市場状況は変動する可能性がありますので、最新情報は北区公式サイトや観光庁の公式サイト等でご確認ください。本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の投資判断や法的助言を行うものではありません。
