台東区で民泊運営をお考えのオーナー様、不動産投資家の皆様へ。台東区は浅草寺や上野公園など、国内外から観光客が集まる日本有数の観光地です。しかし同時に、厳格な上乗せ条例により家主不在型の民泊運営には大きな制約があります。
本記事では、台東区の民泊規制の実態(平日営業禁止、実質年間100日)、浅草・上野の観光需要と収益性、2016年以降のトラブル事例と対策、そして撤退・売却戦略まで、台東区で民泊を始める前に知っておくべき情報をすべて解説します。
1. 台東区で民泊はできる?|厳格な上乗せ条例の実態
1-1. 民泊新法と旅館業法の2つの選択肢
台東区で民泊を始める場合、**「住宅宿泊事業法(民泊新法)」による届出と、「旅館業法(簡易宿所営業)」**による許可の2つの選択肢があります。
| 項目 | 民泊新法 | 旅館業法(簡易宿所) |
|---|---|---|
| 営業日数 | 年間180日以内(家主居住型) | 制限なし(365日可) |
| 手続き | 届出制(台東保健所) | 許可制(台東保健所) |
| 初期費用 | 50~150万円 | 200~500万円 |
| 届出/申請手数料 | 0円 | 約2~3万円 |
| 行政書士費用 | 20万円前後 | 25~40万円 |
民泊新法は手続きが簡易で初期費用を抑えやすい反面、営業日数に制限があります。一方、旅館業法(簡易宿所)は365日営業可能で、浅草・上野の通年観光需要を最大限取り込めます。
台東区公式HP:住宅宿泊事業法
観光庁:住宅宿泊事業法ガイドライン
1-2. 台東区の上乗せ条例|家主不在型は平日営業禁止
台東区で民泊を検討する際、最も重要なポイントは台東区独自の上乗せ条例です。
家主不在型(管理者非常駐)の営業制限
- 営業禁止期間:月曜正午土曜正午(祝日・年末年始12/301/3を除く)
- 営業可能期間:土曜正午~月曜正午、祝日、年末年始
- 実質的な営業可能日数:年間約100日(法定180日から大幅減)
家主居住型・管理者常駐型は年間180日営業可能
- 曜日制限なし、180日以内で自由に営業可能
- ただし、30分以内の駆けつけ対応が義務
近隣住民への事前周知義務
- 届出の15日前までに周辺地域の住民及び学校等へ書面で周知
台東区公式HP:住宅宿泊事業(民泊)における台東区のルールについて
1-3. なぜ台東区は規制が厳しいのか?
台東区の厳格な規制には、明確な背景があります。
2016年4月、苦情急増
- 台東保健所に月17件の民泊に関する苦情が殺到
- 主な内容:騒音、ゴミ出しマナー違反、旅行者の頻繁な出入り
- 無許可の違法民泊が多発(浅草・上野の住宅地)
2016年3月、条例改正
- 従業員常駐やフロント設置を条件とする内容に条例を改正
- 近隣住民との トラブル防止を目的
2018年1月、規制緩和
- 家主居住型のみ曜日制限を撤廃(日本経済新聞報道)
- 家主不在型は平日営業禁止のまま維持
2025年12月、違法民泊の家宅捜索
- 荒川区で平日営業の違法民泊が警視庁に摘発(YouTube報道、テレビ朝日等)
- 台東区と同様の上乗せ条例を持つ地域での厳格な取り締まり
毎日新聞:民泊:旅行者出入りや騒音で相次ぐ苦情
日本経済新聞:民泊、家主いれば曜日で規制せず
2. 浅草・上野の観光需要と台東区民泊の収益性
2-1. 浅草・上野エリアの外国人観光客需要
台東区の最大の魅力は、国内外からの観光客が集中する立地です。
観光需要の実態
- 台東区の観光客数:年間約3,862万人(2023年、外国人観光客442万人)
- 浅草寺:年間約3,000万人の参拝者(日本有数の観光地)
- 上野公園・アメ横:美術館、博物館、動物園、ショッピングで常に高需要
- 台東区の民泊物件数:1,678件(2025年時点、23区で面積最小ながら多数)
宿泊単価
- 浅草・上野周辺:8,00015,000円/泊(家族4人換算:32,00060,000円/泊)
- 外国人観光客比率が高く、長期滞在(3~7泊)も多い
2-2. 台東区民泊の稼働率・利回り相場
台東区内の民泊物件は、運営形態により収益性が大きく異なります。
家主居住型・管理者常駐型
- 年間稼働率:70~85%(繁忙期90%超)
- 繁忙期:春(35月桜シーズン)、秋(911月紅葉シーズン)
- 閑散期:1~2月、梅雨時期(6月)
- 年間収益例:300~450万円(1物件、家族向け3LDK想定)
- 年間利回り:**812%**(初期投資300500万円)
家主不在型(管理者非常駐)
- 年間稼働率:約50%(営業可能日数約100日)
- 年間収益例:150~250万円
- 年間利回り:3~6%(収益性が大幅に制限される)
収益シミュレーション(3LDK家族向け物件)
家主居住型(180日営業)の場合
- 初期投資:400万円
- 宿泊単価:12,000円/泊
- 稼働率:70%(年間126泊)
- 年間売上:151万円
- 経費率:35%(清掃・光熱費・運営代行等)
- 年間利益:約98万円
- 実質利回り:約8~10%
家主不在型(実質100日)の場合
- 年間売上:約84万円(宿泊単価12,000円×70泊)
- 年間利益:約55万円
- 実質利回り:約3~5%(平日営業禁止で大幅減)
2-3. 浅草・上野特化型民泊の差別化ポイント
浅草・上野の観光需要を最大限活かすには、明確な差別化戦略が必要です。
成功している民泊の特徴
- 和風テイストの内装:畳・障子・浴衣の提供
- 浅草寺・上野公園への徒歩アクセス:10分以内の立地
- 多言語対応の利用案内:英語・中国語・韓国語の案内掲示
- 長期滞在割引:7泊以上で10~15%割引
- 外国人向けサービス:Wi-Fi無料、観光案内、荷物預かり
運営形態別の収益比較
| 運営形態 | 営業可能日数 | 年間稼働率 | 年間収益 | 利回り |
|---|---|---|---|---|
| 家主居住型 | 180日 | 70~85% | 300~450万円 | 8~12% |
| 管理者常駐型 | 180日 | 70~85% | 300~450万円 | 8~12% |
| 家主不在型(管理者非常駐) | 約100日 | 約50% | 150~250万円 | 3~6% |
3. 旅館業法vs民泊新法|台東区での最適な選択は?
3-1. 旅館業法(簡易宿所)のメリット・デメリット
メリット
- 365日営業可能:曜日・日数制限なし、浅草・上野の観光需要を年間通じて取り込める
- 信頼性向上:許可制のため宿泊客からの信頼度が高い
- OTA掲載の優遇:楽天トラベル、じゃらんなど主要OTAに優先掲載
デメリット
- 許可取得に時間とコスト:申請から許可まで23ヶ月、初期投資200500万円
- 消防設備・建築基準法対応:誘導灯、消火器、火災報知器等の設置義務
- 行政書士費用:許可申請代行で25~40万円
3-2. 民泊新法(住宅宿泊事業法)のメリット・デメリット
メリット
- 届出のみで開始可能:届出から約1ヶ月で営業開始、申請手数料0円
- 初期投資が安い:50~150万円、行政書士費用20万円前後
- 家主居住型なら年間180日営業可能:曜日制限なし
デメリット
- 家主不在型は実質年間100日(平日営業禁止)、収益性が大幅に制限される
- 近隣住民への事前周知義務:届出15日前までに書面で周知が必須
3-3. 台東区での現実的な選択肢とケーススタディ
浅草・上野の観光地周辺:旅館業法推奨
- 理由:徒歩圏内の立地で通年需要が高く、365日営業で収益最大化
- 初期投資は高いが、年間450万円の収益も可能
家主が同居できる物件:民泊新法(家主居住型)も選択肢
- 理由:曜日制限なく年間180日営業可能、初期投資を抑えてテスト運営
- 軌道に乗れば旅館業法へ切り替え
家主不在型は非推奨
- 理由:平日営業禁止で実質年間100日、収益性が3~6%に低下
- 旅館業法への切り替えを強く推奨
比較表
| 項目 | 旅館業法 | 民泊新法(家主居住型) | 民泊新法(家主不在型) |
|---|---|---|---|
| 営業日数 | 制限なし | 年間180日 | 年間約100日 |
| 届出/許可 | 許可制(約2~3ヶ月) | 届出制(約1ヶ月) | 届出制(約1ヶ月) |
| 初期費用 | 高(200~500万円) | 低(50~150万円) | 低(50~150万円) |
| 適した運営形態 | 通年運営 | 家主同居 | 非推奨 |
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4. 台東区民泊の届出手続きと必要書類
4-1. 届出窓口と手続きの流れ
届出窓口
- 台東保健所 生活衛生課 住宅宿泊事業担当
- 住所:〒110-0015 東京都台東区東上野4-22-8(台東区健康センター5階)
- 電話:03-3847-9403(平日8:30~17:00)
手続きの流れ
- 事前相談(予約制):平日9:0011:00、13:0016:00(1回最大1時間)
- 届出書類の準備
- オンライン届出(民泊制度運営システム)
- 現地確認
- 届出番号取得(営業開始可能)
4-2. 必要書類と近隣住民への周知義務
主な必要書類
- 住宅宿泊事業届出書
- 住宅の登記事項証明書
- 欠格事由に該当しないことを誓約する書面
- 図面(間取り図、配置図)
- 入居者募集の広告やそれを証明する書類(該当する場合)
近隣住民への周知義務(台東区独自ルール)
- 届出の15日前までに書面で周知
- 周知対象:周辺地域の住民及び学校等
- 周知内容:運営方針、騒音対策、ゴミ出しルール、緊急連絡先
4-3. 消防設備基準への対応
消防法令適合通知書の取得が必須
- 届出前に台東消防署へ事前相談
必要な消防設備
- 誘導灯
- 消火器
- 火災報知器
- 避難経路図
届出前に必ず台東消防署へ相談し、消防法令適合通知書を取得してください。
5. 台東区民泊のトラブル実態と対策|近隣住民との共存
5-1. 2016年以降の騒音・ゴミトラブル急増の背景
台東区で厳格な規制が敷かれた背景には、実際に発生した深刻なトラブルがあります。
2016年4月、苦情急増
- 台東保健所に月17件の民泊に関する苦情
- 主な内容:
- 騒音(深夜の大声、音楽、ドアの開閉音)
- ゴミ出しマナー違反(分別無視、収集日以外の排出)
- 旅行者の頻繁な出入り(キャリーバッグの音)
- 無許可の違法民泊が多発
2025年12月、違法民泊の家宅捜索
- 荒川区で平日営業の違法民泊が警視庁に摘発
- 区条例に反して平日に営業し、虚偽報告
- 業務改善命令に従わず、家宅捜索に至る
- 警視庁が違法民泊で家宅捜索するのは初めて
毎日新聞:民泊:旅行者出入りや騒音で相次ぐ苦情
テレビ朝日:違法民泊の疑いで運営会社を家宅捜索
5-2. 近隣住民への事前説明の重要性
台東区では、届出15日前までに近隣住民へ書面で周知が義務です。
事前説明なしで開業するリスク
- 住民の反発による苦情・通報の増加
- 届出受理が保留される可能性
- 運営開始後のトラブル頻発
効果的な事前説明の方法
- 届出前に周辺住民へ説明:運営計画を丁寧に説明
- 説明内容:運営方針、騒音対策、ゴミ出しルール、緊急連絡先
- 理解と協力を求める姿勢:地域との共存を最優先に
- 周知実施報告書の提出:台東保健所へ提出
台東区公式HP:住宅宿泊事業(民泊)における台東区のルールについて
5-3. トラブルを未然に防ぐ5つの対策
対策①:近隣住民への事前説明 届出前に周辺住民へ説明、理解を得る
対策②:多言語の利用案内 英語・中国語・韓国語で、騒音禁止、ゴミ出しルール、喫煙場所を明記
対策③:24時間緊急連絡体制 トラブル発生時の即座対応、30分以内の駆けつけ対応
対策④:近隣住民への連絡先掲示 施設の目立つ場所に管理者の連絡先を掲示
対策⑤:運営代行サービスの活用 プロによる管理で、清掃・ゴミ処理・ゲスト対応を徹底
苦情窓口
- 民泊制度コールセンター(観光庁):0570-041-389(平日9:00~18:00)
- 台東保健所:03-3847-9403(平日8:30~17:00)
6. 台東区民泊が難しい場合の撤退・売却戦略
6-1. 撤退を検討すべき3つのサイン
以下のような状況が続く場合は、早期撤退を検討すべきです。
サイン①:家主不在型で稼働率低迷 平日営業禁止により、年間稼働率が30%を下回る状態が3ヶ月以上続く
サイン②:近隣トラブルの頻発 近隣住民からの苦情が月2件以上発生し、改善要求を受ける
サイン③:条例改正の可能性 台東区の条例が更に強化される可能性(2025年12月の家宅捜索事例を受けて)
特に家主不在型では、平日営業禁止により収益性が大幅に低下します。赤字が続く場合は、早めに専門家へ相談しましょう。
6-2. 専門業者による民泊物件の買取・売却サービス
民泊運営が難航している場合、専門業者による買取サービスが有効です。
買取サービスのメリット
- 現況渡しOK:原状回復費用(25~80万円)不要
- 最短3営業日で査定:スピーディーな現金化
- トラブルごと引き取り:近隣苦情、条例違反リスクも含めて対応
- 撤退手続きサポート:廃業届、消防設備廃止届の代行
売却方法の比較
| 方法 | メリット | デメリット | 売却期間 |
|---|---|---|---|
| 仲介売却 | 高値で売れる可能性 | 時間がかかる、買主が見つからないリスク | 3~6ヶ月 |
| 即時買取 | 最短1週間で現金化、原状回復不要 | 市場価格より10~30%安い | 1~2週間 |
| 事業譲渡 | 許可・届出も引き継げる | 譲渡先を見つけにくい | 2~4ヶ月 |
平日営業禁止で収益悪化している場合は、仲介で時間をかけるよりも、即時買取で早期に損切りする方が総合的な損失を抑えられます。
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6-3. 撤退時の手続きと注意点
民泊新法の廃業手続き
- 台東保健所へ廃業届提出
- 台東消防署へ消防用設備の使用廃止届
- 賃貸物件の場合は原状回復工事(内装撤去、消防設備撤去)
旅館業法の廃業手続き
- 台東保健所へ廃業届提出
- 消防署へ消防用設備の使用廃止届
- 営業許可証の返納
- 原状回復工事
注意点
- 廃業手続きを怠ると、翌年度の営業日数カウントに影響
- 原状回復費用は25~80万円かかることが多い
- 買取業者に「現況渡し」で売却する方がコスト削減になる
7. まとめ|台東区で民泊を始める前に知っておくべきこと
台東区での民泊運営について、重要なポイントをまとめます。
ポイント①:浅草・上野の観光需要は高いが規制も厳格 年間3,862万人の観光客が訪れる一方、家主不在型は平日営業禁止で実質年間100日に制限されます。
ポイント②:家主居住型・管理者常駐型なら収益性は高い 年間180日営業可能、稼働率7085%、利回り812%が目安。家主不在型は非推奨です。
ポイント③:旅館業法vs民泊新法の選択 浅草・上野の観光地周辺は旅館業法で通年営業、家主同居可能なら民泊新法(家主居住型)も選択肢です。
ポイント④:近隣住民への事前説明が必須 届出15日前までの書面周知が義務。2016年以降のトラブル事例を教訓に、地域との良好な関係構築が運営成功の鍵です。
ポイント⑤:平日営業禁止で収益悪化時は早期撤退を検討 家主不在型で稼働率30%未満が続く場合は、専門業者へ相談し、即時買取で損失を最小化する戦略を検討しましょう。
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免責事項
本記事の情報は2025年12月時点のものです。実際の内容と異なる可能性がありますので、最新情報はご自身でご確認ください。
