軽井沢で民泊はできる?規制の実態と旅館業許可・貸別荘の選択肢

軽井沢で別荘を所有している方や、リゾート地での宿泊施設運営を検討している方にとって、「軽井沢で民泊はできるのか?」という疑問は切実です。軽井沢町の公式サイトには「民泊施設の設置は認めません」と明記されていますが、これは本当に法的拘束力があるのでしょうか?

結論から言えば、軽井沢での民泊運営は完全に不可能ではありませんが、極めて困難です。町の取扱基準、長野県の条例、用途地域の制限という三重の規制により、実質的に営業できるのは年間わずか30日程度。しかも最も需要が高い夏季(7月~9月)は全面禁止という厳しい現実があります。

本記事では、軽井沢の民泊規制の法的実態から、旅館業法での許可取得、貸別荘という選択肢まで、そして運営が困難な場合の出口戦略まで、包括的に解説します。


軽井沢で民泊はできるのか?|町の方針と法的実態

軽井沢町「民泊禁止」の公式方針とは

軽井沢町は、公式ホームページで明確に「民泊施設の設置は認めません」という方針を打ち出しています。

軽井沢町公式サイト「民泊施設の設置は認めません」には、以下のように記載されています。

軽井沢町では、国際親善文化観光都市及び保健休養地としてのまちづくりを進めてきており、善良なる風俗の維持と良好な自然環境の保全に尽くしてきました。このため、不特定多数による利用や風紀を乱すおそれがあることから、民泊施設の設置については、町内全域で認めないこととし、基準を設けました

軽井沢町「民泊施設等の取扱基準」の概要

  1. 民泊施設は、町内全域において認めません
  2. カプセルホテルその他これに類する施設の設置は、町内全域において認めません

軽井沢町がこのような厳格な姿勢を取る背景には、明治時代から続く別荘文化と高級リゾート地としてのブランド保護があります。不特定多数の観光客が自由に出入りする民泊は、この伝統的な別荘文化と相容れないという判断です。

「禁止」に法的拘束力はない?法律と条例の違い

しかし、ここで重要なポイントがあります。軽井沢町の「民泊施設等の取扱基準」は、町の要綱であり、法律や条例ではありません

日本の法体系では、民泊の届出権限は以下のように定められています。

民泊の法的枠組み

  • 住宅宿泊事業法(民泊新法): 国の法律で、届出先は都道府県知事
  • 都道府県条例: 都道府県が制定でき、営業日数や区域の制限が可能
  • 市町村の要綱: 法的拘束力はないが、実質的な指導基準となる

つまり、軽井沢町の「認めない」という方針は、法的には届出を拒否できる根拠にはなりません。実際の届出受理権限は長野県にあり、長野県の条例に適合していれば、理論上は届出が受理される可能性があります。

軽井沢で民泊を検討する際に知っておくべきこと

では、「法的には可能」ということは、軽井沢で民泊ができるのでしょうか?現実はそう単純ではありません。

軽井沢で民泊が実質的に困難な理由

  1. 長野県条例による営業日数制限: 年間32日程度しか営業できない
  2. 用途地域の制限: 町内の約80%が第一種低層住居専用地域で、この地域では実質的に営業困難
  3. 町との土地利用協議: 町の協力なしには建築確認や各種許可が取得しづらい
  4. 近隣住民の反対: 別荘地の管理組合や近隣住民の同意が得られにくい

特に深刻なのが営業日数の制限です。後述しますが、長野県の条例により、軽井沢では最も需要が高い夏季(7月~9月)が全面営業禁止となっており、年間を通じて営業できるのは土日を中心とした約32日程度にしかなりません。

地方の民泊全般については、親記事「地方 民泊」で詳しく解説していますので、併せてご確認ください。


軽井沢で民泊ができない理由|条例と用途地域の規制

長野県条例による営業日数制限

軽井沢で民泊が実質的に不可能な最大の理由が、長野県「住宅宿泊事業の適正な実施に関する条例」による営業日数制限です。

長野県「住宅宿泊事業(民泊)について」によれば、軽井沢町では以下のような制限が設けられています。

軽井沢町での民泊営業制限(長野県条例)

期間第一種低層住居専用地域その他の地域
1月~4月土日のみ土日のみ
5月営業不可営業不可
6月土日のみ土日のみ
7月~9月営業不可営業不可
10月~12月土日のみ土日のみ

この条例により、年間を通じて営業できるのは以下の計算になります。

年間営業可能日数の計算

  • 1月~4月の土日: 約8日×4ヶ月 = 32日
  • 5月: 0日
  • 6月の土日: 約8日
  • 7月~9月: 0日(夏季繁忙期が全面禁止)
  • 10月~12月の土日: 約8日×3ヶ月 = 24日
  • 合計: 約64日(実質的には32日程度)

避暑地として最も需要が高い7月~9月が全面営業禁止となっているため、収益性を根本から否定する規制となっています。

用途地域による立地制限

さらに深刻なのが、用途地域による立地制限です。軽井沢町の大部分は「第一種低層住居専用地域」に指定されており、この地域では宿泊施設の営業に厳しい制限があります。

第一種低層住居専用地域とは

  • 低層住宅のための地域で、住環境保護が最優先される
  • 建ぺい率・容積率が厳しく制限される
  • 商業施設や宿泊施設の立地が大幅に制限される

軽井沢町の場合、旧軽井沢、南軽井沢、中軽井沢などの主要別荘地は、ほとんどが第一種低層住居専用地域に指定されています。この地域では、以下のような制限があります。

第一種低層住居専用地域での制限

  • 住宅宿泊事業法(民泊新法): 届出は可能だが営業日数が極端に少ない
  • 旅館業法(簡易宿所等): 原則として許可取得が困難(用途違反となる可能性)
  • 建築確認: 用途変更の建築確認が下りない可能性が高い

軽井沢町独自の「軽井沢ルール」とは

軽井沢には、法令とは別に、地域独自の「軽井沢ルール」と呼ばれる厳格な基準が存在します。

軽井沢町の自然保護対策要綱

  • 建ぺい率: 20%以下(一般的な住宅地は60%程度)
  • 樹木伐採の制限: 敷地面積の30%以上の樹木を残す義務
  • 土地利用協議: 新築・増改築時に町との事前協議が必須
  • 善良なる風俗維持: 午後11時~午前6時の営業・作業禁止

これらの基準は、軽井沢の豊かな自然環境と静穏な別荘地としての環境を守るために設けられたものです。民泊や宿泊施設の運営は、この「善良なる風俗維持」の観点から、町から厳しい目で見られることになります。

軽井沢町「自然保護のための土地利用行為の手続等に関する条例」には、これらの詳細な基準が定められています。


軽井沢で宿泊施設を運営する3つの選択肢

住宅宿泊事業法(民泊新法)での届出

軽井沢で合法的に宿泊施設を運営する1つ目の選択肢が、住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく届出民泊です。

民泊新法の基本ルール

  • 年間営業日数: 180日以内
  • 届出先: 長野県(保健所経由)
  • 許可不要: 届出のみで営業可能
  • 管理業者: 家主不在型の場合は住宅宿泊管理業者への委託が必須

しかし前述の通り、軽井沢では長野県条例により年間32~64日程度しか営業できないため、収益化は極めて困難です。

民泊新法での軽井沢運営のメリット・デメリット

メリットデメリット
届出のみで許可不要年間32日程度しか営業できない
初期投資が比較的少ない夏季繁忙期が全面営業禁止
住宅のまま運営可能固定費を賄えず赤字必至

旅館業法(簡易宿所・旅館・ホテル)での許可取得

2つ目の選択肢が、旅館業法に基づく許可を取得する方法です。旅館業許可を取得できれば、365日営業が可能になります。

旅館業法の種類

営業種別特徴軽井沢での実現可能性
簡易宿所相部屋可、フロント不要△(用途地域による制限あり)
旅館営業和室中心、食事提供可△(同上)
ホテル営業洋室中心、フロント必須△(同上)

旅館業許可の最大のメリットは365日営業できることですが、軽井沢では以下のハードルがあります。

軽井沢で旅館業許可を取得する際の課題

  1. 用途地域の制限: 第一種低層住居専用地域では許可取得が困難
  2. 消防設備: 自動火災報知機、誘導灯、消火器等の設置義務
  3. 建築基準法: 用途変更の建築確認が必要
  4. 町との土地利用協議: 実質的に町の了承が必要
  5. 近隣住民の同意: 別荘地管理組合や近隣住民の理解が必要

貸別荘として1ヶ月以上の賃貸で運営

3つ目の選択肢が、貸別荘として1ヶ月以上の賃貸で運営する方法です。これが軽井沢では最も現実的な選択肢となります。

軽井沢町の「貸別荘の取扱基準」では、貸別荘を以下のように定義しています。

貸別荘とは、生業として、不特定の者に1ヶ月以上の賃貸を行う戸建ての住宅をいう。

貸別荘のポイント

  • 旅館業法の適用を受けない(1ヶ月以上の賃貸のため)
  • 軽井沢町の取扱基準でも一定条件下で認められる
  • ただし、第一種低層住居専用地域及び自然保護協定等の締結地では不可
  • 町内常駐の管理運営責任者の設置が必要

3つの選択肢の比較表

運営方法営業日数許可/届出初期費用軽井沢での実現可能性
民泊新法年間32日程度届出50~150万円△(収益化困難)
旅館業法365日許可300~1,000万円△(立地・手続き制限あり)
貸別荘(1ヶ月以上)制限なし不要50~200万円○(最も現実的)

民泊と旅館業法の違いについて詳しくは、関連記事「民泊 旅館業法 違い」をご参照ください。


旅館業許可を取得して軽井沢で運営する手順

簡易宿所とホテル・旅館の違い

旅館業許可には、簡易宿所、旅館営業、ホテル営業の3種類がありますが、軽井沢で最も現実的なのは簡易宿所営業許可です。

簡易宿所営業許可の特徴

  • フロント設置義務なし
  • 客室総面積: 33㎡以上(宿泊者数×3.3㎡以上)
  • 相部屋可能
  • 食事提供: 任意
  • 比較的取得しやすい

旅館・ホテル営業との違い

項目簡易宿所旅館ホテル
フロント不要不要必須
客室数制限なし5室以上10室以上
客室面積33㎡以上7㎡/室以上9㎡/室以上
洋室・和室不問和室主体洋室主体

軽井沢の別荘を簡易宿所に転用する場合、既存の建物をそのまま活用できる可能性が高く、初期投資を抑えられます。

軽井沢町との土地利用協議の流れ

軽井沢で旅館業許可を取得する際、最も重要なプロセスが軽井沢町との土地利用協議です。

土地利用協議の流れ

  1. 仮協議: 計画内容を町に相談し、実現可能性を確認
  2. 近隣説明: 敷地境界線から50m以内の近隣住民に説明
  3. 本協議: 正式な協議書類を町に提出
  4. 審査: 町の自然保護審議会等で審議
  5. 協議終了確認書の交付: 町からの了承を得る(2~3ヶ月)

土地利用協議で求められる主な基準

  • 建ぺい率・容積率の遵守
  • 樹木の保存(敷地面積の30%以上)
  • 排水処理計画
  • 駐車場の確保
  • 近隣住民の同意

この協議終了確認書がないと、保健所での旅館業許可申請が実質的に進められないため、軽井沢では事実上の許可制となっているのが現実です。

消防法・建築基準法への対応

旅館業許可を取得するには、消防法と建築基準法への適合が必須です。

消防法への対応

  • 自動火災報知機の設置
  • 誘導灯・誘導標識の設置
  • 消火器の設置
  • 避難経路の確保
  • 消防法令適合通知書の取得

建築基準法への対応

  • 用途変更の建築確認申請(100㎡超の場合)
  • 建築確認済証の取得
  • 検査済証の取得
  • 換気設備・採光の基準を満たす

これらの設備投資には、既存建物の状況にもよりますが、100万円~500万円程度の費用がかかることが一般的です。

「許可取得が難しい」「手続きが複雑すぎる」と感じたら、物件の売却・撤退支援も選択肢の一つです。専門業者による無料査定で、あなたの物件の価値を確認してみませんか?


軽井沢で民泊・宿泊施設運営が難しい場合の出口戦略

許可取得の現実的なハードルとコスト

ここまで解説してきたように、軽井沢で宿泊施設を運営するには、多くのハードルがあります。現実的なコストと期間を整理してみましょう。

旅館業許可取得にかかるコストと期間

項目費用目安期間
土地利用協議書類作成費用2~3ヶ月
近隣説明会資料作成・説明費用1~2ヶ月
建築確認申請20~50万円1~2ヶ月
消防設備工事100~300万円1~2ヶ月
旅館業許可申請手数料3~5万円1~2ヶ月
行政書士報酬30~50万円
合計150~400万円6~11ヶ月

さらに、これらの費用と時間をかけても、以下のリスクがあります。

許可取得のリスク

  • 近隣住民の反対で頓挫する可能性
  • 町との土地利用協議が不調に終わる可能性
  • 消防設備の追加工事で予算オーバーする可能性
  • 営業開始後も近隣トラブルで継続困難になる可能性

民泊物件の売却・買取という選択肢

「許可取得のハードルが高すぎる」「初期投資を回収できる見込みが立たない」という場合、物件の売却・買取という選択肢も真剣に検討すべきです。

軽井沢のような規制が厳しいエリアでは、無理に宿泊施設運営を続けるよりも、早期に売却して資金を回収する方が合理的なケースが少なくありません。

民泊・宿泊施設物件の売却方法

方法特徴期間手数料
一般仲介市場価格での売却を目指す3~12ヶ月売却価格×3%+6万円
現況渡し買取即時現金化、原状回復不要最短3営業日不要(買取価格に含まれる)
業者買取確実性高い、早期売却可能1~2ヶ月不要

特に、民泊・旅館業の撤退支援に特化した専門業者を利用すれば、以下のメリットがあります。

専門業者の買取・借上げのメリット

  • 原状回復費用がゼロ(現況渡しOK)
  • 最短3営業日で成約・入金
  • 地方・離島の物件でも全国対応
  • 停止中・赤字の物件でも査定可能
  • 1Rから5棟一括まで対応

軽井沢の物件を活かす転用・借上げの可能性

売却以外にも、物件を活かす方法があります。

1. 長期賃貸(1ヶ月以上)への転用

  • 旅館業法の適用を受けない長期賃貸として運用
  • リモートワーク需要、長期滞在者向け
  • 別荘地管理会社が仲介サポート

2. 別荘管理会社による借上げ運営

  • 所有権を維持したまま運営を委託
  • 固定賃料を受け取る
  • 管理・運営リスクから解放される

3. 自己利用へ切り替え

  • 週末利用の別荘として活用
  • 家族・親族の保養所として活用
  • 将来の移住先として維持

地域特性に合わせた柔軟な出口戦略を検討することで、「負動産」化を防ぐことができます。

軽井沢での宿泊施設運営に限界を感じたら、物件の買取・借上げ・仲介で撤退をサポートします。最短3営業日で成約、現況渡しOK。無料査定で最適な出口戦略を提案します。


まとめ|軽井沢で民泊を始める前に知っておくべきこと

軽井沢での民泊・宿泊施設運営について、重要なポイントをまとめます。

軽井沢の民泊規制の実態

  • 町は「民泊施設の設置は認めません」と明言しているが、法的拘束力はない
  • しかし長野県条例により年間32日程度しか営業できず、実質的に収益化は困難
  • 夏季繁忙期(7月~9月)が全面営業禁止という致命的な制限

合法的に運営する3つの方法

  1. 民泊新法での届出: 可能だが年間32日程度しか営業できず赤字必至
  2. 旅館業許可の取得: 365日営業可能だが用途地域の制限と許可取得のハードルが高い
  3. 貸別荘(1ヶ月以上賃貸): 最も現実的な選択肢、ただし短期貸しは不可

許可取得のハードル

  • 町との土地利用協議に2~3ヶ月
  • 消防設備・建築確認で150~400万円の初期投資
  • 近隣住民の同意が実質的に必要
  • 営業開始まで最短でも6~11ヶ月

運営が難しい場合の出口戦略

  • 一般仲介での売却: 市場価格での売却を目指す(期間3~12ヶ月)
  • 現況渡し買取: 撤退費用ゼロ、最短3営業日で現金化
  • 長期賃貸への転用: 1ヶ月以上の賃貸として運用
  • 自己利用への切り替え: 週末別荘として活用

軽井沢で宿泊施設を運営することは、決して不可能ではありませんが、規制のハードルとコストを十分に理解した上で慎重に判断する必要があります。特に民泊新法での運営は、年間32日程度の営業では収益化がほぼ不可能です。

旅館業許可を取得して365日営業を目指す場合も、初期投資と許可取得の期間、近隣住民との関係構築など、多くの課題をクリアする覚悟が必要です。

もし許可取得や運営継続に不安を感じたら、早期の段階で出口戦略を検討することが損失を最小化する鍵となります。

軽井沢での宿泊施設運営でお困りの方は、撤退支援の専門家にご相談ください。無料査定実施中。現況渡しでの買取にも対応し、最短3営業日で成約可能です。


※ 本記事の情報は2025年12月時点のものです。法令や条例は変更される可能性がありますので、最新情報は軽井沢町公式サイト長野県「住宅宿泊事業について」で必ずご確認ください。

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