民泊市場の現状と今後|2026年データで見る規模・動向・将来性

民泊事業を運営中の方、または投資を検討中の方にとって、民泊市場の現状把握は重要な判断材料です。「市場全体は成長しているのか、それとも縮小しているのか?」「自分の地域は今後も採算が取れるのか?」こうした疑問に対し、本記事では最新の公的データと業界動向をもとに、客観的な市場分析を提供します。

2026年現在、インバウンド需要は引き続き回復傾向にありますが、民泊市場は必ずしも追い風とは言えない状況です。規制強化、供給過多、稼働率低迷により、成長期から淘汰期へと移行しつつあります。

本記事では、民泊市場の規模推移、地域別の採算性比較、成功事例の共通点から、2027年以降の市場予測まで、事業者が知るべき情報を網羅的に解説します。


民泊市場の規模と現状|2026年の届出件数・廃業率・稼働率

累計届出5.7万件・実稼働3.7万件の実態

民泊市場は成長期から淘汰期へ移行しつつあります。

観光庁「住宅宿泊事業の届出状況」(2024年11月14日時点)によると、全国の累計届出件数は57,512件に達しました。しかし、このうち事業廃止件数は20,661件で、実際に稼働している届出住宅数は36,851件にとどまっています。

指標2024年11月時点
累計届出件数57,512件
事業廃止件数20,661件
届出住宅数(実稼働)36,851件
廃業率35.9%

届出件数自体は法施行後も着実に増加していますが、注目すべきは廃業のペースも同様に高いという点です。累計の廃業率は約36%に達しており、「届出はしたが実質的に撤退」という事業者が相当数存在します。

2025年を通じてこの傾向は継続しており、2026年2月時点でも廃業率は約37~38%程度で推移していると業界関係者は推計しています。

廃業率36%・稼働率57%が示す市場の「淘汰期」移行

観光庁の宿泊実績調査(2024年8~9月)によると、届出住宅あたりの平均宿泊日数は17.2日(2ヶ月間)でした。これを年換算すると約103日となり、民泊新法の上限180日に対して約57%の稼働水準にとどまっています。

業界推計では、民泊の平均稼働率は2022年が約35%、2023年が約40%、2024年が約42%、2025年が約43~45%程度とされています。2026年に入ってからも、この緩やかな改善傾向は続いているものの、コロナ禍前の2019年に50%台と言われていたレベルには依然として届いていません。

市場全体としては「拡大」というより「入れ替わり」が進んでおり、新規参入と同時に廃業も増加する淘汰期の様相を呈しています。


インバウンド需要回復と民泊市場の相関|稼働率が伸び悩む4つの理由

訪日客4,000万人超でも民泊稼働率は45%の背景

訪日外国人観光客数は記録的な水準に達しています。日本政府観光局(JNTO)の統計では、2024年の訪日外国人数は約3,686万人と過去最高を更新し、2025年は約3,900万人超を記録しました。2026年は4,000万人突破が確実視されています。

しかし、この好調なインバウンド需要にもかかわらず、民泊の平均稼働率は45%程度(2025年の業界推計)にとどまっています。この矛盾は、民泊市場が単純な需要回復では解決できない構造的課題を抱えていることを示しています。

供給過多・規制強化・ホテル競争力が重なる構造的課題

民泊の稼働率が伸び悩む主な理由は以下の4つです:

  1. ホテル・旅館の価格競争力向上: ビジネスホテルチェーンの低価格プランが充実し、民泊との価格差が縮小。清潔さ・安全性でホテルを選ぶ旅行者が増加しています。
  2. 民泊規制強化: 東京都・大阪市・京都市などの主要都市で180日規制(年間営業日数の上限を180日に制限)、住居専用地域での営業制限が強化され、営業日数が制約されています。2025年には一部自治体でさらなる規制強化の動きも見られました。
  3. 供給過多による競争激化: コロナ禍後に多くの物件が市場に参入し、供給過多状態に。価格競争が激化し、収益性が悪化しています。2025年も新規届出が続き、競争環境はより厳しくなっています。
  4. 管理コスト増・近隣トラブル: 清掃・メンテナンス・ゲスト対応などの管理コストが想定以上にかかり、収益を圧迫。騒音・ゴミ問題などの近隣トラブルも頻発しています。

これらの要因が重なり、インバウンド需要が回復しても民泊市場は好調とは言えない状況が続いています。

規制強化や赤字継続で撤退を検討される際は、民泊撤退の手続きと費用で詳しく解説しています。


地域別の民泊市場動向|東京・大阪・京都・地方の収益性比較

東京・大阪・京都の主要都市|規制と供給過多の実態

主要都市では、規制強化により民泊市場の淘汰が進行しています。

東京都では、区によって規制の厳しさに大きな差があります。東京都の民泊規制と届出状況で詳しく解説していますが、新宿区・渋谷区・港区などの都心部では住居専用地域での民泊営業が制限され、届出件数は減少傾向です。一方、豊島区(約1,473件)・台東区・墨田区(約1,798件)などは比較的規制が緩く、観光需要も高いため届出が急増しています。

大阪市は特区民泊制度により、約7,000件の認定施設があり、全国の特区民泊の94%を占めています。大阪市の民泊規制と市場動向で解説していますが、住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく届出は180日規制の影響で伸び悩んでいます。2025年には大阪万博を見据えた動きもありましたが、規制緩和には至っていません。

京都市は、全国でも最も厳しい民泊規制を実施しており、住居専用地域では1月15日~3月15日の60日間のみ営業可能という制限があります。この規制により、京都市内の民泊届出件数は大幅に減少した状態が続いています。

地域別採算性比較表|稼働率・単価・年間収益の目安

地域別の採算性を比較すると、以下のような実態が明らかになります。

地域物件タイプ平均稼働率平均単価(1泊)年間収益(推計)採算性
東京都心(豊島区・台東区)1R/1K45%8,000円約132万円
東京都心(豊島区・台東区)1LDK42%12,000円約184万円
大阪市(中央区)1R/1K40%7,000円約102万円×
大阪市(中央区)1LDK38%10,000円約139万円
京都市1R/1K35%7,500円約96万円×
京都市1LDK32%11,000円約129万円×
金沢市1R/1K35%6,500円約83万円×
軽井沢1LDK40%15,000円約219万円
沖縄(那覇市)1R/1K48%7,000円約123万円

※年間収益は(稼働率 × 365日 × 平均単価)で算出。管理費・清掃費・光熱費などの経費は含まず。
※採算性: ○=黒字の可能性が高い、△=収支トントン、×=赤字の可能性が高い
※本表の数値は2024~2025年の業界調査および市場動向をもとにした推計値です。実際の収益は物件条件、運営方法、時期により大きく異なります。

この表から、都心部の1R/1Kは採算が厳しく、1LDK以上の広めの物件が相対的に有利であることがわかります。また、京都市は規制が厳しく全体的に収益性が低く、地方都市は季節変動が大きいことが特徴です。


市場淘汰期でも黒字を維持する事業者の5つの共通点

稼働率60%超を実現する物件の特徴

市場環境が厳しい中でも、黒字を継続している事業者が存在します。稼働率60%超を維持する物件には、明確な共通点があります。

黒字継続事業者の5つの共通点:

  1. 1LDK以上の広めの物件: ファミリー層や長期滞在者の需要があり、単価が高く取れる。前述の表でも、1LDKは1R/1Kに比べ収益性が高い傾向が確認できます。
  2. 規制が緩い地域での運営: 東京都の豊島区・台東区、大阪市の一部エリアなど、営業日数の制限が少ない地域では稼働率を維持しやすくなっています。
  3. 差別化施策の実施: コンセプト型民泊(和モダン、アート系など)、地域体験の提供、地域連携による独自サービスなど、他物件との明確な差別化を図っています。
  4. 動的価格設定: 繁閑期・曜日別に柔軟な価格調整を行い、稼働率を最適化。業界レポートによると、動的価格設定により稼働率が10~15%向上した事例も報告されています。
  5. 管理体制の確立: 代行業者の活用やシステム化により、オーナーの負担を軽減しつつ、質の高いゲスト対応を実現しています。

差別化施策・価格戦略・管理体制の具体例

差別化施策としては、地域の観光資源と連携した体験プログラムの提供(料理教室、ガイドツアーなど)、インテリアやアメニティへのこだわり、長期滞在割引の導入などが効果的です。

価格戦略では、OTA(オンライン旅行会社)のアルゴリズムを理解し、競合物件の価格動向をモニタリングしながら、最適な価格帯を設定することが重要です。2025年から2026年にかけて、AIを活用した価格最適化ツールを導入する事業者も増加しています。

管理体制では、清掃・メンテナンスを専門業者に委託し、ゲスト対応は自動化ツールを活用することで、運営効率を高めている事例が多く見られます。

赤字の原因分析と改善策については、民泊赤字の原因と対策で詳しく解説しています。

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民泊市場の今後の見通し|2027~2029年の3つのシナリオ

楽観シナリオ|インバウンド6,000万人で市場拡大

政府は2030年までに訪日外国人旅行者数6,000万人を目標としています。この目標達成に向けたペースが順調に進んだ場合、宿泊需要は大幅に増加し、民泊市場も拡大する可能性があります。特に地方都市や観光地では、ホテル不足を補う形で民泊需要が高まると予測されます。

このシナリオでは、2027年から2029年にかけて規制緩和が進み、営業日数の制限が一部緩和される可能性もあります。稼働率の向上により、現在赤字の物件も黒字転換する可能性が期待できます。

現実シナリオ|二極化進行と淘汰の継続

最も蓋然性が高いのは、インバウンドは増加するものの供給過多が継続し、二極化が進行するシナリオです。差別化に成功した「勝ち組」と、価格競争に巻き込まれる「負け組」が明確に分かれていきます。

廃業率は現在の36~38%からさらに上昇し、2027~2029年には40%を超える可能性もあります。一方で、生き残った物件は稼働率が向上し、収益性が改善するという構図です。市場全体の実稼働物件数は横ばいか微減で推移すると見込まれます。

悲観シナリオ|規制強化と供給過多で市場縮小

観光庁は2023年10月に「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージ」を発表しました。このようなオーバーツーリズム対策がさらに強化され、民泊への規制が厳格化された場合、市場は縮小に転じる可能性があります。

2025年から2026年にかけて、一部の観光地で住民の反発が強まっており、今後さらに規制が厳格化するリスクがあります。京都市のような厳格な営業日数制限が全国に波及すれば、多くの事業者が採算割れとなり、倒産・廃業が加速します。供給過多と規制強化のダブルパンチにより、市場規模は現在の6~7割程度まで縮小するリスクもあります。

宿泊業全体の倒産動向については、旅館業倒産の実態と原因で詳しく解説しています。


まとめ|民泊市場の現状を踏まえた意思決定を

記事の要点:

  1. 市場は成長期から淘汰期へ移行: 累計届出件数は5.7万件(2024年11月時点)と増加しているが、廃業率も36~38%に達し、実稼働物件数は3.7万件にとどまる。2026年もこの傾向は継続。
  2. インバウンド回復も稼働率は45%に留まる: 訪日客数は4,000万人突破が確実視されているが、供給過多・規制強化・ホテル競争力により民泊の稼働率は伸び悩んでいる。
  3. 地域差・物件タイプ差が大きい: 1LDK以上の物件、規制が緩い地域(豊島区・台東区など)が有利。京都市など規制が厳しい地域は厳しい状況が続く。
  4. 黒字継続事業者の共通点は差別化・管理体制: 広めの物件、差別化施策、動的価格設定、管理体制の確立により稼働率60%超を実現している事例がある。
  5. 2027年以降は二極化進行が現実的シナリオ: インバウンド増加は続くが、供給過多も継続。差別化に成功した勝ち組と価格競争に巻き込まれる負け組が明確に分かれる見通し。

状況別のアクション:

  • 黒字継続中の方: 引き続き運営を継続し、市場動向を定期的に確認しましょう。稼働率改善の努力を続けることが重要です。
  • 赤字継続中の方: 改善策(差別化、価格戦略、管理効率化)を実施するか、撤退タイミングを検討しましょう。損失が拡大する前に、早期の決断が必要です。
  • 参入検討中の方: 地域選定(規制が緩く観光需要が安定)、物件タイプ(1LDK以上)、差別化戦略を慎重に検討してください。安易な参入はリスクが高い市場環境です。

民泊市場は、「誰でも簡単に稼げる」という状況ではなくなっています。市場環境を冷静に分析し、自分の状況に合った合理的な判断を行いましょう。


民泊市場の厳しい環境下で撤退を検討される際は、専門業者への相談も選択肢の一つです。StayExitでは、買取・借上げ・仲介の3つの方法から最適な撤退方法をご提案しています。最短3営業日での成約、現況渡しOK、1Rから5棟一括まで対応可能です。

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免責事項:
本記事の情報は2026年2月時点のものです。民泊市場の動向、法律・条例は変動する可能性がありますので、最新情報は観光庁「民泊制度ポータルサイト」や各自治体の公式サイト等でご確認ください。記事内の推計値は業界調査および公開データをもとにしたものであり、実際の数値とは異なる場合があります。

参考資料・出典:

  • 観光庁「住宅宿泊事業法の施行状況」(2024年11月14日)
  • 観光庁「住宅宿泊事業の宿泊実績」(2024年8~9月)
  • 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客統計」(2024年・2025年)
  • 帝国データバンク「旅館・ホテル経営業者の動向調査」(2024年)

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