民泊運営で赤字が続き、「このまま続けるべきか、撤退すべきか」と悩んでいる方は少なくありません。観光庁の最新統計(2025年11月時点)によると、累計届出件数57,512件のうち、廃業は20,661件で廃業率は約36%に達しています(観光庁「住宅宿泊事業の届出状況」)。インバウンド需要の回復が報じられる一方で、実態として3件に1件以上が事業を中止しているのです。
本記事では、民泊運営が赤字に陥る5つの主要原因、改善可能か撤退すべきかの判断基準、そして赤字を解消する3つの具体的解決策(改善・転用・撤退)を、収支シミュレーションと地域別データを交えて解説します。特に撤退を検討中の方には、**原状回復費用50~120万円を不要にし、最短3営業日で現金化できる「現況渡し買取」**という選択肢も紹介します。StayExitの実務経験に基づく実践的な情報で、あなたの民泊事業の最適な出口戦略を見つけてください。
民泊が赤字に陥る5つの主要原因|データで見る実態
民泊運営が赤字化する原因は多岐にわたりますが、実務経験と各種統計から以下の5つの要因が特に影響しています。
1. 稼働率の低迷|全国平均は50~60%に留まる
稼働率の低さは赤字の最大要因です。観光庁の統計(令和7年8~9月期業務報告)によると、2025年8~9月期の平均宿泊日数は**物件あたり17.2日/2ヶ月(報告率81.8%)でした。これを年換算すると約103日/年(稼働率約57%)**となります。
住宅宿泊事業法では年間営業日数の上限が180日と定められていますが(観光庁「民泊制度ポータルサイト」)、実際には過半数の物件がこの半分程度しか稼働していない実態が浮き彫りになっています。
地域・物件タイプ別の稼働率目安(業界推計値):
- 都市部マンションタイプ(東京23区・大阪中心部): 60~70%
- 地方都市・観光地: 40~50%
- 交通不便なエリア・1R/1K小規模物件: 30%未満も
(※これらは業界関係者の経験則に基づく推計値であり、公的統計は存在しません)
稼働率が低迷する要因:
- ホテル・ビジネスホテルとの価格競争
- OTA(Airbnb・Booking.com等)での掲載順位低下
- 立地条件(駅距離・周辺施設)の不利
- 物件設備・内装の陳腐化
- 周辺での民泊物件の増加による供給過多
2. 固定費の高止まり|賃料・管理費が収益を圧迫
民泊運営には稼働の有無にかかわらず発生する固定費があります。
主な固定費の内訳(賃貸物件の場合、月額):
- 賃料: 820万円(都市部1LDK2LDK想定)
- 管理費・修繕積立金: 1~3万円
- 水道光熱費基本料金: 0.5~1万円
- 火災保険料(月割): 0.5~1万円
- 運営代行費用(利用の場合): 売上の1530%または固定費25万円
- その他(通信費・消耗品等): 0.5~1万円
月額固定費合計: 10~30万円
この固定費を回収するには、**最低でも稼働率4050%以上**(年間7590日以上の宿泊)が必要です。しかし、前述の通り全国平均は約57%(約103日/年)に留まっており、立地や物件条件によっては固定費回収すら困難な状況が生じています。
3. 変動費の増加|清掃・消耗品・OTA手数料の負担
稼働が増えると変動費も増加します。
主な変動費の内訳:
- 清掃費: 1回3,000~8,000円(物件規模による)
- リネン類洗濯・交換: 1回1,000~3,000円
- 消耗品(アメニティ・トイレットペーパー等): 1回500~1,500円
- OTA手数料: 売上の3~15%(プラットフォームにより異なる)
- 水道光熱費(従量部分): 1泊500~1,500円
1回の宿泊あたり変動費合計: 5,000~15,000円
例えば1泊の宿泊料金が8,000円の場合、変動費を差し引くと粗利益は限定的です。稼働率を上げても変動費が増加するため、価格設定を誤ると赤字が拡大するリスクがあります。
4. 法規制と地域条例|営業日数制限が収益を制約
住宅宿泊事業法では年間営業日数が180日以内と制限されています(観光庁「民泊制度ポータルサイト」)。さらに、自治体独自の条例により営業可能日数が大幅に制限される地域も存在します。
地域別営業日数制限の例:
- 京都市: 住居専用地域では**年間60日(1/15~3/15のみ)**に制限(StayExit「京都市 民泊概況」)
- 東京都新宿区: 住居専用地域では月曜正午~金曜正午は営業禁止(週末・祝日のみ可)
- 大阪市: 特区民泊(国家戦略特区)では最低宿泊日数2泊3日以上の制限あり
(※詳細は各自治体の条例をご確認ください)
これらの制限により、物理的に収益機会が限定されます。例えば京都市の住居専用地域では、年間稼働率の理論上限は**約16%(60日/365日)**となり、固定費の回収が極めて困難です。
5. 近隣トラブルと管理コスト|クレーム対応・規約違反リスク
民泊運営における近隣トラブルは、直接的な金銭的損失だけでなく、精神的負担や運営継続の障害となります。
主なトラブル事例:
- 騒音クレーム(夜間のパーティー・大声等)
- ゴミ出しルール違反(分別未実施・曜日違反)
- 共用部分の使用マナー違反(エントランス・廊下での騒音)
- セキュリティ問題(無断入館者・鍵の紛失)
- 治安不安(不特定多数の出入り)
分譲マンションで民泊を運営する場合、管理規約で民泊が禁止されている物件も多く、発覚すれば退去を求められるリスクがあります。また、賃貸物件でも大家・管理会社からのクレームにより契約解除となるケースも存在します。
トラブル対応にかかるコスト・リスク:
- クレーム対応の時間・労力
- 管理会社への違約金・損害賠償(規約違反の場合)
- 弁護士費用(訴訟に発展した場合)
- 評価・レビューの低下による予約減少
- 精神的ストレス
これらの要因が複合的に重なり、民泊運営が赤字に陥るのです。
赤字民泊の改善可能性を判断する4つの基準|続けるべきか撤退すべきか
赤字状態にある民泊を改善できるか、撤退すべきかは、以下の4つの基準で判断できます。
判断基準1: 現在の稼働率と改善余地
改善可能な目安: 現在の稼働率が30~40%台で、立地・設備・価格設定に改善余地がある場合 撤退を検討すべき目安: 稼働率が30%未満が6ヶ月以上継続し、改善施策を講じても効果が見られない場合
改善施策の例:
- 価格の見直し(競合相場との比較・動的価格設定の導入)
- OTAでの掲載内容改善(写真・説明文の充実・多言語対応)
- 設備投資(Wi-Fi高速化・家電更新・インテリア改善)
- レビュー評価の向上(丁寧なゲスト対応・アメニティ充実)
これらの改善策を実施しても3~6ヶ月で効果が出ない場合、市場・立地に根本的な問題がある可能性が高く、撤退を検討すべきです。
判断基準2: 累積赤字額と今後の見通し
改善可能な目安: 累積赤字が100万円未満で、改善策により6ヶ月以内に黒字化の見通しが立つ場合 撤退を検討すべき目安: 累積赤字が150万円以上で、黒字化の見通しが立たない、または黒字化まで1年以上かかる場合
赤字が拡大すると、撤退時の原状回復費用や違約金を支払う資金すら不足するリスクがあります。早期の決断が重要です。
判断基準3: 法規制・条例による制約
改善可能な目安: 営業日数制限が年間120日以上で、その範囲内で収益化が可能な場合 撤退を検討すべき目安: 営業日数制限が年間60日以下(京都市住居専用地域等)、または今後さらに規制強化の可能性がある場合
京都市のように営業日数が大幅に制限される地域では、固定費の回収が構造的に困難です。このような地域では、早期撤退または別用途への転用(後述)を検討すべきです。
判断基準4: 近隣トラブル・規約違反のリスク
改善可能な目安: 軽微なトラブルが散発的に発生する程度で、管理体制の強化で対処可能な場合 撤退を検討すべき目安: 管理規約違反が判明した、または重大なトラブル(警察沙汰・訴訟リスク)が発生している場合
分譲マンションの管理規約で民泊が禁止されている場合、法的リスクが極めて高く、即座に撤退すべきです。また、賃貸物件でも大家・管理会社から警告を受けている場合、契約解除のリスクがあります。
判断フローチャート:
稼働率30%以上 → YES → 法規制の制約が少ない → YES → トラブルなし → YES → 【改善を試みる】
↓ NO
稼働率30%未満が6ヶ月以上 → YES → 累積赤字150万円以上 → YES → 【撤退を検討】
↓ NO
営業日数制限60日以下 → YES → 【撤退または転用を検討】
↓ NO
管理規約違反・重大トラブル → YES → 【即座に撤退】
民泊赤字を解消する3つの解決策|改善・転用・撤退の選択肢
赤字民泊への対処法は、大きく分けて**「改善」「転用」「撤退」**の3つです。それぞれのメリット・デメリット・適用条件を解説します。
解決策1: 運営改善により黒字化を目指す
適用条件:
- 稼働率が30~50%で改善余地がある
- 法規制・条例による制約が少ない(年間営業日数120日以上)
- 近隣トラブルが深刻でない
- 資金的余裕があり、改善投資が可能
具体的な改善策:
- 価格戦略の見直し: 競合調査を行い、閑散期は価格を下げ、繁忙期は値上げする「動的価格設定」を導入
- OTA最適化: Airbnb・Booking.com等での掲載内容を改善(プロカメラマンによる写真撮影、多言語対応、詳細な説明文)
- 設備投資: Wi-Fi高速化、家電・家具の更新、インテリアのリニューアル
- レビュー評価向上: ゲストへの丁寧な対応、ウェルカムギフト、アメニティ充実
- 運営代行の見直し: 手数料の高い代行会社から、よりコストパフォーマンスの良い会社への変更、または自主運営への移行
メリット:
- 撤退コスト(原状回復費用等)が不要
- 事業継続による将来的な収益機会の維持
デメリット:
- 改善効果が出るまで数ヶ月~半年かかる
- 改善投資(設備更新・写真撮影等)に10~50万円程度の初期費用が必要
- 改善しても黒字化しない可能性がある
収支シミュレーション例(1LDK賃貸、都市部、改善後):
- 月額賃料: 15万円
- その他固定費: 5万円
- 月額固定費合計: 20万円
- 改善後稼働率: 50%(年間90日)
- 1泊売上: 10,000円
- 月平均売上(7.5泊): 75,000円
- 変動費(清掃・OTA手数料等): 30,000円
- 月収支: 75,000円 – 30,000円 – 200,000円 = -155,000円(赤字)
→ この例では稼働率50%でも赤字が継続します。黒字化には稼働率70%以上(年間126日以上)が必要です。
解決策2: マンスリーマンション等への転用
適用条件:
- 民泊の稼働率向上が困難だが、物件立地は悪くない
- 長期滞在需要が見込める(ビジネス街近く・大学近く等)
- 所有物件、または大家の許可が得られる賃貸物件
転用先の選択肢:
- マンスリーマンション: 1ヶ月以上の中期滞在者向け
- サービスアパートメント: 家具・家電付きの賃貸(長期契約)
- 通常賃貸: 家具を撤去し、一般賃貸物件として貸し出し
メリット:
- 民泊より安定した収入(空室リスクは低下)
- 180日規制の影響を受けない
- 近隣トラブルのリスクが減少
デメリット:
- 民泊用の設備(家具・家電)の処分費用が発生(5~20万円)
- 賃料相場が民泊の平均日額より低い場合、収益性が低下
- マンスリーマンション運営にも管理コスト・空室リスクは存在
収支シミュレーション例(1LDK、マンスリーマンション転用後):
- マンスリー家賃: 18万円/月(光熱費込み)
- 月額固定費(賃料・管理費等): 20万円
- 清掃費(月1回): 5,000円
- 月収支: 180,000円 – 200,000円 – 5,000円 = -25,000円(赤字)
→ この例では転用後も赤字ですが、赤字幅は縮小しています。賃料交渉や固定費削減により黒字化の可能性があります。
解決策3: 撤退(廃業・売却・買取)
適用条件:
- 稼働率30%未満が6ヶ月以上継続
- 累積赤字が150万円以上
- 法規制・条例により営業継続が困難
- 管理規約違反・重大な近隣トラブルが発生
- 精神的・時間的負担に耐えられない
撤退方法の3つの選択肢:
①通常の廃業手続き(賃貸物件の場合)
- 貸主への解約通知(通常1~3ヶ月前)
- 原状回復工事(50~120万円)
- 設備・家具の処分(5~20万円)
- 廃業届の提出(行政書士依頼の場合5~10万円)
- 総費用: 60~150万円、手続き期間: 1~3ヶ月
②物件売却(所有物件の場合)
- 不動産仲介会社へ売却依頼
- 仲介手数料: 売却価格の3%+6万円+消費税
- 原状回復は買主との交渉次第(不要な場合もあり)
- 手続き期間: 3~6ヶ月以上、売却価格は市場次第
③現況渡し買取(StayExit等の専門業者による買取)
- 原状回復工事が不要(家具・設備付きのまま買取)
- 最短3営業日で売買契約、現金化
- 廃業届・予約キャンセル等の手続きサポート
- 買取価格は市場価格より10~20%程度低い場合あり
メリット:
- 赤字の拡大を即座に止められる
- 精神的・時間的負担から解放される
- (所有物件の場合)現金化により他の投資・借入返済が可能
デメリット:
- 撤退費用が高額(特に賃貸物件の原状回復)
- (所有物件の場合)売却価格が購入価格を下回る可能性(売却損)
撤退費用の比較表:
| 撤退方法 | 原状回復費用 | 設備処分費用 | 手続き費用 | 総費用目安 | 現金化までの期間 |
| ①通常廃業(賃貸) | 50~120万円 | 5~20万円 | 5~10万円 | 60~150万円 | 1~3ヶ月(費用支出) |
| ②物件売却(所有) | 0~120万円 | 0~20万円 | 仲介手数料 | 変動 | 3~6ヶ月以上 |
| ③現況渡し買取(所有) | 0円 | 0円 | 0~5万円 | 0~5万円 | 3営業日 |
③現況渡し買取が最も費用・時間を節約できます。
撤退時の注意点:
- 賃貸物件の場合、解約予告期間(通常1~3ヶ月)を守ること。期間内に解約しないと違約金が発生します。
- 廃業届は事業廃止日から10日以内に自治体へ提出が必要です(観光庁「民泊制度ポータルサイト」)。
- OTAでの予約がある場合、全てキャンセルし、ゲストへの返金・代替宿泊先の手配が必要です。これを怠るとペナルティ・訴訟リスクがあります。
StayExitでは、これらの煩雑な手続きをまとめてサポートします(StayExit 民泊撤退サポート)。
まとめ|赤字民泊からの脱却には早期の決断が重要
民泊運営が赤字に陥る原因は、稼働率の低迷、固定費の高止まり、法規制、近隣トラブルなど多岐にわたります。観光庁の統計でも累計届出の約36%が廃業している実態が示す通り、民泊運営は決して容易ではありません。
赤字民泊への対処法は**「改善」「転用」「撤退」**の3つです。
- 改善: 稼働率30~50%で改善余地があり、資金的余裕がある場合
- 転用: 民泊継続は困難だが、マンスリー等の別用途で収益化が見込める場合
- 撤退: 稼働率30%未満が長期継続、累積赤字150万円以上、法規制・トラブルで継続困難な場合
最も重要なのは早期の決断です。赤字が拡大すると、撤退費用すら支払えなくなるリスクがあります。
特に所有物件の場合、「現況渡し買取」なら原状回復費用50~120万円が不要、最短3営業日で現金化が可能です。賃貸物件でも、早期解約により違約金を最小化できます。
StayExitでは、民泊運営の赤字に悩む方向けに無料査定・無料相談を実施しています。「改善すべきか、撤退すべきか」の判断に迷っている方も、まずは現状を客観的に診断することから始めてみませんか?
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免責事項: 本記事の収支シミュレーション・費用目安は、StayExitの実務経験および一般的な不動産業界の相場に基づく推計値です。民泊撤退費用・収益性に関する公的統計は存在せず、実際の数値は物件条件・地域・時期により大きく異なります。正確な査定・判断には、個別の状況に応じた専門家への相談をお勧めします。法規制・条例の最新情報は観光庁「民泊制度ポータルサイト」および各自治体の公式サイトでご確認ください。
