京都の民泊の規制と現状|180日制限・撤退方法まで徹底解説

京都で民泊を運営している方、またはこれから始めようとしている方の中には、「京都の民泊規制は厳しい」という話を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。実際、京都市では全国でも特に厳格な規制が設けられており、180日規制に加えて繁忙期の営業禁止など、収益化に大きな影響を与える制限が存在します。

本記事では、京都における民泊の現状と規制内容を詳しく解説するとともに、開業を検討している方への情報提供だけでなく、赤字が続いて撤退を考えている方への具体的な解決策まで、両面から包括的にお伝えします。


京都 民泊の現状|なぜ「厳しい」と言われるのか?

京都で民泊を運営する際、多くの事業者が「想像以上に厳しい」と感じる理由があります。それは、国の法律である住宅宿泊事業法(民泊新法)に加えて、京都市独自の条例による二重の規制が存在するためです。

京都市の民泊規制が全国で最も厳しい理由

京都市では、2018年の民泊新法施行と同時に、独自の条例を制定し、全国でも類を見ない厳格な規制を導入しました。その主な内容は以下の通りです。

住居専用地域での営業期間制限 京都市の条例では、住居専用地域において民泊営業が可能な期間を1月15日から3月15日までの60日間のみに制限しています。この期間は観光客が比較的少ない閑散期にあたり、収益性が大きく制限されます。

年末年始・GW・お盆の営業禁止 さらに、以下の繁忙期における営業が原則禁止されています。

  • 12月29日~1月3日(年末年始)
  • ゴールデンウィーク期間
  • 8月13日~16日(お盆)

これらの期間は本来、宿泊需要が最も高く、高単価での運営が期待できる時期です。この規制により、年間で最も稼げる時期の営業ができないという影響を受けます。

近隣住民への事前説明義務 京都市では、民泊を開始する20日前までに、近隣住民への書面による説明が努力義務として定められています。これにより、開業前から近隣との調整が必要となります。

民泊新法の180日規制が京都に与えた影響

2018年6月に施行された住宅宿泊事業法(民泊新法)では、全国一律で年間営業日数を180日以内に制限しています。

京都市民泊ポータルサイトのデータによると、民泊新法施行直後は届出が増加しましたが、厳しい規制の実態が明らかになるにつれ、廃業や届出取り下げが相次いでいます。特に住居専用地域での営業制限により、実質的に年間60日しか営業できない物件が多数存在し、収益性の低さから撤退を余儀なくされる事業者が続出しました。

京都市と京都府(市外)の規制の違い

京都府内でも、京都市とその他の地域では規制内容に違いがあります。

項目京都市京都府(市外)
年間営業日数180日以内180日以内
住居専用地域の制限1/15~3/15のみ(60日)観光客集中時期の制限あり
繁忙期営業年末年始・GW・お盆禁止地域により異なる
学校周辺制限100m以内で授業期間中禁止同様の制限あり

京都市以外の地域では、住居専用地域での極端な制限がない場合もあり、比較的運営しやすい環境となっています。

参考: 京都市民泊ポータルサイト | 京都府住宅宿泊事業について


京都で民泊を始める3つの方法|特徴と必要手続き

京都で民泊を始める場合、法的には3つの選択肢があります。それぞれメリット・デメリットが大きく異なるため、自身の物件や運営スタイルに合った方法を選ぶことが重要です。

住宅宿泊事業法(民泊新法)での届出

民泊新法に基づく届出は、最も手続きが簡便な方法です。

180日制限あり、手続きは比較的簡単 民泊新法では、年間180日以内の営業制限がありますが、旅館業法の許可と比較して届出のみで開始できるため、初期のハードルは低くなっています。オンラインでの届出も可能です。

必要書類リスト

  • 届出書(民泊制度運営システムから作成)
  • 住宅の図面(平面図・配置図)
  • 消防法令適合通知書
  • 近隣住民への説明資料
  • 宿泊者名簿の様式
  • 賃貸の場合は転貸承諾書

ただし、京都市の場合は住居専用地域では実質60日しか営業できないため、収益性を十分に検討する必要があります。

簡易宿所営業の許可取得

簡易宿所は旅館業法に基づく営業形態で、民泊新法よりも自由度が高い運営が可能です。

営業日数制限なし、設備基準が厳しい 簡易宿所の最大のメリットは、年間を通じて営業できる点です。180日制限がないため、通年での収益確保が可能になります。

床面積・消防設備の要件

  • 延べ床面積: 原則33㎡以上
  • 寝室の広さ: 1人あたり3.3㎡以上
  • 換気設備: 各室に設置必須
  • 避難設備: 非常口、誘導灯、消火器など
  • 自動火災報知設備: 宿泊室5室以上の場合

簡易宿所の許可取得には、これらの設備基準を満たす必要があり、初期投資が大きくなる傾向があります。

旅館業法での営業許可

旅館業法に基づく旅館・ホテル営業は、最も厳格な基準が求められます。

最も厳格、ホテル・旅館と同等基準 旅館業法の許可を取得する場合、ホテルや旅館と同等の設備・衛生基準を満たす必要があります。フロント設置、客室面積の確保、浴室・トイレの基準など、要件が非常に厳しく、個人が小規模で運営するには現実的ではありません。

3つの方法の比較表

項目民泊新法簡易宿所旅館業法
営業日数180日以内制限なし制限なし
手続き届出のみ許可取得許可取得
初期費用50万~200万円200万~500万円500万円以上
設備基準緩やか中程度厳格
取得期間1~2ヶ月2~4ヶ月3~6ヶ月

参考: 京都府住宅宿泊事業法について | 観光庁 住宅宿泊事業法


京都 民泊の収支シミュレーション|180日規制下で黒字化できるか?

京都で民泊を始める前、あるいは継続するかどうかを判断する際、最も重要なのが収支計画です。特に180日規制と繁忙期営業禁止という二重の制約がある京都市では、慎重なシミュレーションが不可欠です。

実際の収支モデル(1R物件の場合)

京都市内の1R物件(約25㎡)で民泊を運営する場合の現実的な収支モデルを見ていきましょう。

初期投資額: 200万円~300万円

  • リノベーション費用: 80万~150万円
  • 家具・家電・備品: 50万~80万円
  • 消防設備等: 30万~50万円
  • 各種手続き費用: 10万~20万円

月間稼働率70%想定での年間売上

  • 1泊あたり単価: 8,000円
  • 稼働可能日数(180日規制): 180日
  • 実質稼働日数(70%): 126日
  • 年間売上: 8,000円 × 126日 = 約100万円

年間経費

  • 清掃代行費: 36万円
  • 水道光熱費: 18万円
  • 消耗品・アメニティ: 12万円
  • 通信費: 6万円
  • 固定資産税(概算): 10万円
  • プラットフォーム手数料(15%): 15万円
  • その他経費: 8万円
  • 年間経費合計: 約105万円

年間収支: 100万円 – 105万円 = -5万円(赤字)

もし年末年始、GW、お盆の計14日間を高単価(1泊15,000円)で営業できていたら、追加売上は21万円となり、黒字化できていた計算になります。

黒字化のための3つの条件

京都市内の民泊で黒字化を実現するには、以下の3つの条件を同時に満たす必要があります。

  1. 稼働率80%以上の維持
    • 180日の営業可能日のうち、144日以上の予約確保が必須
  2. 平均宿泊単価8,000円以上
    • 立地・設備・サービスによる差別化が必要
  3. 運営コストの徹底削減
    • 清掃の一部自己対応や省エネ対策

赤字に陥りやすい典型的な失敗パターン

立地選定ミス 清水寺、金閣寺、嵐山などの主要観光地へのアクセスが遠い物件は、価格を下げても稼働率が上がらず、慢性的な赤字に陥ります。

過大な初期投資 豪華な内装に300万円以上投資しても、180日規制下では投資回収に5年以上かかります。

清掃・管理代行費の過小評価 清掃代行を1回3,000円と見積もっていても、実際には交通費や鍵の受け渡し手数料が加算され、1回5,000円以上になるケースが多々あります。

収支シミュレーション表

項目月額年額
収入
宿泊料金収入(稼働率70%)約8.3万円約100万円
支出
清掃代行費3万円36万円
水道光熱費1.5万円18万円
通信費0.5万円6万円
消耗品・アメニティ1万円12万円
プラットフォーム手数料1.25万円15万円
固定資産税10万円
その他経費0.7万円8万円
支出合計約8.8万円約105万円
収支-0.5万円-5万円

京都 民泊で赤字が続いた場合の撤退判断基準

収支シミュレーションで見てきたように、京都市での民泊運営は厳しい現実があります。では、どのタイミングで撤退を判断すべきなのでしょうか。

撤退を検討すべき3つのサイン

以下の3つのサインのうち、1つでも該当する場合は、撤退を検討すべきタイミングです。

1. 6ヶ月連続赤字 単月の赤字は季節変動もあり得ますが、6ヶ月連続で赤字が続く場合、構造的な問題があると判断できます。

2. 稼働率50%未満 180日の営業可能日のうち、実稼働が90日未満(稼働率50%未満)の状態が3ヶ月以上続く場合、立地や物件の競争力に根本的な問題があります。

3. 月間キャッシュフロー-10万円以上 月々10万円の赤字は、年間120万円の持ち出しを意味します。

原状回復費用はいくらかかる?

民泊から撤退する際、多くのオーナーが頭を悩ませるのが原状回復費用です。

1R: 50万~100万円

  • 壁紙の張り替え: 10万~15万円
  • フローリング補修: 15万~25万円
  • クリーニング: 5万~8万円
  • 設備撤去: 10万~20万円
  • その他補修: 10万~32万円

1棟(3~5室): 200万~500万円

  • 各室の原状回復: 150万~300万円
  • 共用部分の改修: 30万~100万円
  • 消防設備の撤去・変更: 20万~50万円
  • 廃棄物処理: 10万~40万円

撤退判断フローチャート

[START]
    ↓
【6ヶ月以内に黒字化の見込みはあるか?】
    ↓YES → 運営継続を検討
    ↓NO
【稼働率を70%以上に改善できる具体策があるか?】
    ↓YES → 改善策を3ヶ月実行して再評価
    ↓NO
【原状回復費用を自己資金で払えるか?】
    ↓YES → 通常の撤退手続きを検討
    ↓NO
【売却・買取などの選択肢を検討】
    ↓
[撤退実行]

参考: トラベルボイス 民泊の緊急調査


京都 民泊の売却・買取という選択肢|原状回復不要で撤退する方法

民泊からの撤退方法は、原状回復して閉業するだけではありません。物件や事業の価値を現金化する選択肢もあります。

民泊物件を売却する3つのスキーム

買取: 最短3営業日で現金化、現況渡しOK 専門の買取業者が、民泊物件を現況のまま買い取るサービスです。原状回復不要で、家具・家電・設備をそのまま引き渡せる点が特徴です。

  • 対象: 1Rから1棟まで
  • 価格: 仲介より2~3割安いが、スピード重視の方に適している

借上げ: 運営権のみ譲渡、固定収入確保 物件の所有権は維持したまま、運営権だけを専門業者に譲渡し、固定の賃料収入を得る方法です。

  • 固定賃料: 月5万~15万円(物件規模による)
  • 契約期間: 通常3~5年

仲介: 高値売却を狙う、時間がかかる 一般的な不動産仲介を通じて、市場で買主を探す方法です。買取より高値での売却が期待できますが、買主が見つかるまで3ヶ月~1年以上かかる場合もあります。

買取サービスのメリットとデメリット

メリット

  • 原状回復費用が不要(50万~500万円の節約)
  • 最短3営業日で入金
  • 現況渡しOK
  • 手続きが簡単

デメリット

  • 仲介より売却価格が2~3割安い
  • 業者選びが重要

赤字が月10万円以上続いている場合、仲介で3ヶ月待つと30万円の追加損失が発生します。買取価格が仲介より50万円安くても、トータルでは買取の方が損失を抑えられる場合があります。

実際の買取事例

事例1: 京都市中京区・1R → 250万円で成約

  • 築25年、25㎡、稼働率40%、月間赤字8万円
  • 買取までの期間: 15日

事例2: 京都市東山区・1棟3室 → 600万円で成約

  • 築35年、延床面積80㎡、営業停止中
  • 買取までの期間: 10日

事例3: 京都府南部・古民家 → 800万円で成約

  • 築80年、延床面積120㎡、簡易宿所許可あり
  • 買取までの期間: 20日

参考: 民泊業界のM&A市場


まとめ|京都 民泊は開業より撤退支援が重要な時代へ

ここまで、京都における民泊の現状、厳しい規制、収支シミュレーション、そして撤退の選択肢まで解説してきました。

京都で民泊を続けるべき人・撤退すべき人

続けるべき人

  • 稼働率80%以上を安定的に維持できている
  • 月間・年間ともに黒字化している
  • 立地が優れている(主要観光地から徒歩圏)
  • 簡易宿所許可を取得しており、通年営業できている

撤退すべき人

  • 6ヶ月以上連続で赤字が続いている
  • 稼働率50%未満が3ヶ月以上続いている
  • 月間キャッシュフロー-10万円以上の赤字
  • 黒字化の具体的な改善策が見つからない

今すぐ行動すべき理由

民泊を赤字のまま運営し続けると、運営赤字、固定資産税、減価償却、機会損失を合わせて月25万~80万円の損失が発生し続けます。

撤退判断を1ヶ月先延ばしにするだけで、25万~80万円の損失が追加されます。早期に判断し、損失を最小化することが重要です。

次のアクション

撤退を検討する場合、以下の選択肢があります。

  1. 買取: 赤字を今すぐ止めたい場合(最短3営業日)
  2. 借上げ: 所有権は維持したいが運営から手を引きたい場合
  3. 仲介: 時間的余裕があり、少しでも高く売りたい場合

撤退は「失敗」ではなく、「次のステージへの戦略的判断」です。京都の民泊市場は構造的に厳しい環境にあり、早期に判断することが長期的な資産形成において重要です。

専門の撤退支援サービスを利用することで、原状回復費用をかけずに物件を現金化できる選択肢もあります。ご興味のある方は、StayExitの無料査定などのサービスを検討してみてください。


※本記事の情報は2025年12月時点のものです。法令・条例は変更される可能性がありますので、最新情報は京都市民泊ポータルサイト、京都府公式サイトでご確認ください。

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