民泊M&Aとは?売却・買取との違いと流れを徹底解説

民泊運営からの撤退を検討している方、または民泊事業への参入を考えている方にとって、「M&A」は不動産と事業を一括で譲渡できる選択肢です。本記事では、民泊M&Aの基本から売却・買取との違い、具体的な流れまでを解説します。

【重要】本記事の数値・期間について:
本記事に記載の期間・価格・手数料は、一般的な不動産M&A・中小企業M&Aの相場および当社(StayExit)の取引実績に基づく推計値です。民泊M&Aに特化した公的統計は存在せず、実際の条件は物件、事業規模、買い手の属性により大きく異なります。正確な査定は、必ず複数の専門業者にご相談ください。


民泊M&Aとは?売却・買取との違い

民泊M&Aの定義と2つのパターン

民泊M&Aとは、不動産と事業(運営権・ノウハウ・顧客基盤)を一括で譲渡する手法です。 単なる物件の売買ではなく、民泊事業そのものを次のオーナーに引き継ぐことが特徴です。

民泊M&Aには主に2つのパターンがあります。

【パターン1】不動産所有型M&A

物件の所有権と民泊事業を一括で譲渡する形式です。個人オーナーや法人が物件そのものと、運営に関わる資産・営業権を売却します。買主は物件を取得し、すぐに民泊運営を継続できるため、最も一般的なM&A形態です。

具体的な譲渡対象:

  • 不動産(建物・土地の所有権)
  • 営業権(のれん代)
  • 家具・家電・設備
  • 運営ノウハウ・マニュアル
  • 顧客リスト・レビュー評価
  • 取引先情報(清掃業者、管理会社など)

【パターン2】運営権譲渡型M&A

物件の所有権は移転せず、運営権のみを譲渡する形式です。賃借物件での民泊事業を引き継ぐケースで、転貸契約や管理契約を買主に承継します。初期投資を抑えて民泊事業に参入したい買主に人気があります。

具体的な譲渡対象:

  • 賃貸借契約の地位承継(大家の承諾が必要)
  • 営業権(のれん代)
  • 家具・家電・設備
  • 運営ノウハウ・マニュアル
  • 顧客リスト・レビュー評価

売却・買取・M&Aの比較表で違いを理解

民泊物件の出口戦略として、「売却(仲介)」「買取」「M&A」の3つがありますが、それぞれ大きく異なります。

項目売却(仲介)買取M&A
譲渡対象不動産のみ不動産のみ不動産+事業全体
買主個人・法人(第三者)買取業者投資家・事業者
価格市場価格相当市場価格の70~90%程度(※1)市場価格+事業価値
成約期間3~6ヶ月程度最短3営業日~3週間程度3~6ヶ月程度
仲介手数料物件価格×3%+6万円+税(※2)不要成功報酬(※3)
運営継続不可不可△条件付き(※4)
許認可買主が新規取得買主が新規取得△要確認(※5)
顧客基盤引き継げない引き継げない○引き継げる
運営ノウハウ引き継げない引き継げない○引き継げる

※1 買取価格について:
不動産買取の一般的な相場は市場価格の70~90%程度です。買取業者が転売リスクを負うため、仲介売却より低くなります。
出典: HOME4U「不動産買取相場」イエウール「買取価格の相場」

※2 仲介手数料について:
宅地建物取引業法第46条に基づく上限手数料です。
出典: 国土交通省「宅地建物取引業法」e-Gov法令検索

※3 M&A成功報酬について:
一般的なM&A仲介では、レーマン方式(譲渡価格に応じた段階的料率)または定率方式(5~10%程度)が採用されます。最低報酬額(数百万円~)が設定されているケースもあります。詳細は仲介会社にご確認ください。

※4 運営継続について:
許認可の承継が可能な場合は継続可能です。承継できない場合、売主の廃業届から買主の新規取得まで数週間~数ヶ月の空白期間が発生し、その間は営業できません。予約のキャンセルが必要になる可能性があります。

※5 許認可について:

  • 住宅宿泊事業届出: 原則として人的要件のため承継不可。買主が新規届出を提出する必要があります。
  • 旅館業許可: 自治体により地位承継が認められるケースもありますが、保健所の承認が必要です。事前に管轄行政機関への確認が必須です。

出典: 観光庁「民泊制度ポータルサイト」厚生労働省「旅館業法」


どの方法を選ぶべきか?

M&Aが適している場合:

  • 事業価値(高稼働率、高評価レビュー)も評価してほしい
  • 時間に余裕がある(3~6ヶ月程度)
  • 運営ノウハウや顧客基盤も含めて譲渡したい
  • 廃業ではなく、事業承継として次世代に引き継ぎたい

売却(仲介)が適している場合:

  • 最高値で売りたい
  • 時間をかけられる(3~6ヶ月以上)
  • 物件の立地・状態に自信がある

買取が適している場合:

  • とにかく早く現金化したい(最短3営業日~3週間)
  • 赤字が続き、一刻も早く撤退したい
  • 原状回復費用を支払う資金がない

民泊撤退の全体像と選択肢については、民泊撤退の手続きと費用を徹底解説で詳しく解説しています。


民泊M&Aの流れと期間|7つのステップ

民泊M&Aは、一般的な不動産売買よりも複雑な手続きが必要です。ここでは、標準的な流れを7ステップで解説します。

中小企業庁の「中小M&Aガイドライン」(令和5年9月改訂版)では、M&Aプロセスの標準化が推奨されています。一般的な中小企業のM&Aでは、初回相談から成約まで数ヶ月から半年程度かかるケースが多く、民泊M&Aもおおむね同程度と考えられます。

出典: 中小企業庁「中小M&Aガイドライン」(令和5年9月改訂版)


民泊M&Aの標準的な流れ(7ステップ)

STEP 1: M&A仲介会社への相談(所要:1~3日程度)

M&A専門の仲介会社に連絡し、以下の情報をヒアリングします。

  • 物件情報(所在地、間取り、築年数)
  • 運営実績(稼働率、年間売上、利益)
  • 譲渡希望価格
  • 譲渡希望時期

この段階で秘密保持契約(NDA)を締結し、情報漏洩を防ぎます。


STEP 2: 企業価値評価・査定(所要:1~2週間程度)

不動産価格だけでなく、事業価値(営業権・のれん代) も評価します。

評価要素:

  • 過去2~3年の収益実績
  • 稼働率・客単価
  • Airbnbなどのレビュー評価・スーパーホスト認定
  • リピーター率
  • 物件の立地・競合状況
  • 運営体制・管理会社との契約

営業権(のれん代)の評価方法:
営業権は、将来の収益力を金額換算したものです。一般的には以下の方法で算定されます。

  • 年倍法: 年間営業利益×2~5年分
  • DCF法: 将来キャッシュフローの現在価値

民泊の場合、稼働率、レビュー評価、リピーター率、物件の立地・競合状況などが重要な評価要素となります。具体的な算定はM&A仲介会社や不動産鑑定士にご相談ください。


STEP 3: 買い手候補の探索・マッチング(所要:1~3ヶ月程度)

仲介会社が買い手候補を探索します。

  • 匿名の資料(ノンネームシート)で買い手に紹介
  • 関心を示した候補に詳細情報を開示
  • 複数の候補と並行交渉

買い手候補の属性:

  • 民泊運営を拡大したい事業者
  • 不動産投資家
  • ホテル・旅館業者
  • 個人投資家

STEP 4: トップ面談・条件交渉(所要:2~4週間程度)

売り手と買い手のトップ面談を実施し、以下を交渉します。

  • 譲渡価格
  • 引渡し条件(引渡し日、予約の取扱い)
  • 従業員の処遇(従業員がいる場合)
  • 競業避止義務(売主が同エリアで競合事業を行わない約束)

条件が合意に達したら、基本合意書(LOI: Letter of Intent) を締結します。


STEP 5: デューデリジェンス(DD)(所要:1~2ヶ月程度)

買い手が売り手の事業内容を詳細に調査します。

財務DD:

  • 過去2~3年の収支
  • 税務申告の正確性
  • 未払い費用の有無

法務DD:

  • 許認可の適法性(届出・許可の有効性)
  • 契約関係(管理会社、清掃業者、賃貸借契約)
  • 訴訟・近隣トラブルの有無
  • 規約違反の有無(分譲マンションの場合)

ビジネスDD:

  • 運営体制・業務フロー
  • 顧客基盤・リピーター率
  • 競合状況・市場動向
  • 収益性の持続可能性

売り手の対応:
情報を正直に開示し、過去のトラブルも報告してください。DDで問題が発覚した場合、価格減額や契約解除になる可能性があります。


STEP 6: 最終契約の締結(所要:1~2週間程度)

DDの結果を踏まえ、最終条件を調整します。

締結する契約:

  • 株式譲渡契約 または 事業譲渡契約
  • 譲渡価格、支払方法、支払時期
  • 表明保証(売り手が開示した情報が正確であることの保証)
  • 補償条項(虚偽があった場合の賠償)

契約書に署名・押印し、法的拘束力が発生します。


STEP 7: クロージング・引継ぎ(所要:1~3ヶ月程度)

最終契約に基づき、以下を実行します。

譲渡対価の支払い:

  • 買主から売主に譲渡価格を支払い

不動産の所有権移転登記:

  • 司法書士が登記手続きを実施

許認可の承継手続き:

  • 住宅宿泊事業届出: 売主が廃業届を提出 → 買主が新規届出を提出
  • 旅館業許可: 承継が認められる場合、保健所に承認申請

運営ノウハウの引継ぎ:

  • 運営マニュアルの提供
  • 業者情報(清掃、リネン、修繕)の引継ぎ
  • 実地研修(1~2週間程度)

顧客への通知:

  • 既存予約ゲストへの通知
  • Airbnbなどのプラットフォームでのアカウント承継または新規作成

合計期間: 3~6ヶ月程度


スムーズなM&Aを実現する4つのポイント

1. 運営実績を整理する

以下のデータを見やすくまとめましょう。

  • 過去2~3年の収支データ(月別・年別)
  • 稼働率(月別平均・年間平均)
  • 顧客評価(レビュー評価、スーパーホスト認定)
  • 高稼働率の月や売上ピークのデータを強調
  • 運営マニュアル、契約書類を整備

2. 許認可の状況を確認する

  • 住宅宿泊事業届出、旅館業許可などが適法に取得されているか確認
  • 買主への承継が可能か、自治体に事前確認
  • 承継できない場合は、買主が新規取得する必要性を明確に説明

出典: 観光庁「民泊制度ポータルサイト」住宅宿泊事業法施行要領

3. デューデリジェンスに備える

以下の資料を整理しておきます。

  • 財務資料(確定申告書、収支報告、領収書)
  • 契約書類(管理委託契約、清掃業者契約、賃貸借契約)
  • 許認可書類(届出受理書、許可証)
  • トラブル履歴(近隣クレーム、事故など)を正直に開示

4. 専門家を活用する

民泊M&Aは専門知識が必要なため、以下の専門家チームを構築しましょう。

専門家役割費用目安
M&A仲介会社買い手探索、条件交渉、契約書作成成功報酬(譲渡価格の5~10%など)
税理士譲渡所得税の試算、節税対策10~50万円程度
弁護士契約書のリーガルチェック、訴訟リスク評価30~100万円程度
司法書士不動産登記手続き10~30万円程度

専門家費用は合計で数十万円~数百万円かかりますが、トラブルを避け、スムーズなM&Aを実現するために必要な投資です。

民泊買取と民泊売却の違いについて詳しくは民泊買取の流れと相場をご覧ください。
民泊売却の流れと相場は民泊売却の流れと高値売却のコツで詳しく解説しています。


民泊M&Aのメリット・デメリットと注意点

民泊M&Aには、売却や買取にはないメリットがある一方、注意すべきデメリットもあります。


買い手・売り手それぞれのメリット・デメリット

【売り手のメリット】

✓ 事業価値を含めた高値譲渡が可能
高稼働率、高評価レビュー、安定収益があれば、営業権(のれん代)も評価されます。単純な不動産売却よりも高値で譲渡できる可能性があります。

✓ まとまった資金を確実に得られる
買い手が見つかれば確実に譲渡でき、次の事業への投資や引退資金として活用できます。

✓ 事業を継続してもらえる
廃業ではなく、事業承継として顧客や取引先との関係も継続できます。従業員を引き継いでもらえる可能性もあります。


【売り手のデメリット】

△ 手続きが複雑で時間がかかる
デューデリジェンスなど専門的な手続きが必要で、3~6ヶ月程度かかります。急いで現金化したい場合は買取の方が適しています。

△ 仲介手数料が高額
一般的なM&A仲介では、成功報酬として譲渡価格の5~10%程度が必要です(例: 3,000万円で譲渡した場合、150~300万円)。加えて、税理士、弁護士、司法書士への報酬も発生します。

△ 情報開示の負担
財務・法務・ビジネスの詳細を開示し、過去のトラブルも正直に報告する必要があります。情報整理に時間がかかります。


【買い手のメリット】

✓ すぐに運営を開始できる
許認可、設備、運営ノウハウがすべて揃った状態で取得できるため、ゼロから立ち上げるよりも早期に収益化できます。

✓ 顧客基盤・評価を引き継げる
Airbnbの高評価レビュー、リピーター顧客を承継し、初月から一定の稼働が見込めます。

✓ 運営ノウハウを学べる
売り手から運営マニュアル、業者情報を引き継ぎ、研修でスムーズに開始できます。


【買い手のデメリット】

△ 多額の資金が必要
不動産価格+営業権(のれん代)で、通常の物件購入より高額になります。金融機関からの融資が必要になるケースが多いです。

△ 未知のリスクを引き受ける可能性
DDで発見できなかった問題(隠れた近隣トラブル、設備の不具合など)が後から判明するリスクがあります。

△ 許認可の引継ぎが難しいケースも
住宅宿泊事業届出は原則として引き継げず、買主が新規申請が必要です。数週間~数ヶ月の空白期間が発生する可能性があります。


M&Aを成功させるための3つの注意点

注意点1: 許認可の引継ぎ可否を事前確認

民泊の許認可は、原則として買主への引継ぎが難しいケースが多くあります。

住宅宿泊事業届出:
原則として人的要件のため引き継げません。買主が新規届出を提出する必要があります。

旅館業許可:
自治体により地位承継が認められるケースもありますが、保健所の承認が必要です。事前に管轄の保健所に確認することが必須です。

空白期間のリスク:
引継ぎできない場合、売主の廃業届から買主の新規申請・承認まで、数週間~数ヶ月の空白期間が発生します。この間は営業できないため、既存予約のキャンセルが必要になります。引渡し時期の調整が重要です。

出典: 観光庁「民泊制度ポータルサイト」住宅宿泊事業法施行要領厚生労働省「旅館業法」


注意点2: デューデリジェンス(DD)の重要性

DDは、買い手が売り手の事業内容を詳細に調査するプロセスです。

DDで確認する項目:

  • 財務状況: 収支、税務申告の正確性、未払い費用
  • 法的リスク: 許認可の適法性、契約トラブル、訴訟の有無
  • 運営体制: 管理会社、清掃業者との契約関係
  • 近隣トラブル: クレーム履歴、騒音・ゴミ問題

売り手の対応:
情報を正直に開示してください。隠していた問題が後から発覚すると、損害賠償請求や契約解除のリスクがあります。

買い手の対応:
DD結果をもとに最終的な譲渡価格を決定します。問題が発覚した場合、価格減額や契約解除を検討してください。

出典: 中小企業庁「中小M&Aガイドライン」


注意点3: 専門家の活用が必須

民泊M&Aは専門知識が必要なため、以下の専門家チームを構築しましょう。

M&A仲介会社:
買い手探索、条件交渉、契約書作成をサポートします。

税理士:
譲渡所得税の試算、節税対策(事業譲渡 vs 株式譲渡の比較など)をアドバイスします。

弁護士:
契約書のリーガルチェック、訴訟リスクの評価、交渉サポートを行います。

司法書士:
不動産登記手続き(所有権移転登記)をサポートします。

専門家費用は合計で数十万円~数百万円かかりますが、トラブルを避け、スムーズなM&Aを実現するために必要な投資です。

民泊撤退の手続きについて詳しくは民泊撤退の手続き完全ガイドをご覧ください。


まとめ|民泊M&Aで事業価値を最大化する

民泊M&Aは、以下のような方に最適な選択肢です。

✓ 時間に余裕があり、事業価値を含めて評価してほしい
✓ 高稼働率や高評価レビューなど、事業の強みがある
✓ 廃業ではなく、事業承継として次世代に引き継ぎたい
✓ 運営ノウハウや顧客基盤も含めて譲渡したい

一方、手続きが複雑で時間がかかるため、以下のような場合は他の方法も検討する価値があります。

  • 急いで現金化したい → 買取
  • 高値を狙いたい、時間をかけられる → 売却(仲介)

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免責事項

本記事の情報は2025年12月時点のものです。法律・条例・市場状況は変動する可能性がありますので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

本記事に記載の期間・価格・手数料は、一般的な不動産M&A・中小企業M&Aの相場および当社の取引実績に基づく推計値です。民泊M&Aに特化した公的統計は存在せず、実際の条件は物件、事業規模、買い手の属性により大きく異なります。正確な査定は、必ず複数の専門業者にご相談ください。


参考資料・出典

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